Trademark Appeal Case
POLOの周知性と混同
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成9年異議第90081号 |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | other |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4008302号商標(以下「本件商標」という。)は、平成6年8月29日に登録出願され、別紙(1)のとおりの構成よりなり、第28類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同9年6月6日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人Aの申立理由
本件商標は、申立人の名称の著名な略称である「POLO」の文字を含んでなるものであり、その使用について承諾を与えていない。また、「POLO」、「Polo」の文字及びポロプレーヤーの図形は、申立人の商標として、広く一般に知られているものであり、それを一部に含む本件商標がその指定商品に使用された場合、商品の出所について混同を生ずるおそれがある。したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号及び同第15号の規定に違反して登録されたものであるから、取り消されるべきである。
登録異議申立人Bの申立理由
本件商標は、申立人が「被服」等に使用し、周知著名となっている「POLO CLUB」の部分に強く注意をひかれ、あたかも申立人と何らかの関連があるかの如く、商品の出所につき誤認を生ずるおそれがあり、商標法第4条第1項第15号に該当し、その登録は認められるべきでない。また、本件商標は、商標法第4条第1項第7号にも該当するものである。
3 当審の取消理由の通知
当審では、商標権者に対し、「本件商標は、アメリカ合衆国ニューヨーク州在の『ザ ポロ/ローレン カンパニー リミテッド パートナーシップ』が、商品『被服、ネクタイ、眼鏡』等に使用して、本件商標の出願時には既に取引者、需要者間において著名となっている商標「POLO」の文字を構成中に有してなるものであるから、このような商標を、その指定商品に使用するときは、恰も上記会社あるいは、これと何等かの関係を有する者の取り扱いに係る商品であるかの如く、その商品の出所について混同を生じさせるおそれがあるものと認められる。したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号規定に違反して登録されたものである。」旨の商標登録の取消理由を通知した。
4 商標権者の意見
商標権者は、当審の取消理由の通知に対して意見書を提出している。
5 当審の判断
(1)「POLO」の周知性について検討する。
(株)講談社 昭和53年7月20日発行「男の一流品大図鑑」、サンケイマーケッテング昭和58年9月28日発行「舶来ブランド事典’84ザ・ブランド」によれば、以下の事実が認められる。
ラルフ・ローレンは、1967年ネクタイメーカーのボー・ボランメル社にデザイナーとして入社、幅広ネクタイをデザインし、圧倒的に若者に支持され、世界に広まった。翌1968年独立、社名を「ポロ・ファッションズ」(以下、「ポロ社」という。)とし、ネクタイ、スーツ、シャツ、セーター、靴、カバンなどのデザインをはじめ、トータルな展開を図ってきた。1971年には婦人服デザインにも進出、服飾業界の名誉ある賞、「コティ賞」を1970年と1973年の2回受賞するとともに、数々の賞を受賞。1974年の映画「華麗なるギャツビー」の主演ロバート・レッドフォードの衣装デザインを担当、アメリカを代表するデザイナーとしての地位を確立した。我が国においても、ラルフ・ローレンの名前は服飾業界等において広く知られるようになり、そのデザインに係る商品には「Polo」の文字とともに「by RALPH LAUREN」の文字及び馬に乗ったポロ競技のプレーヤーの図形の各商標(以下、一括して「引用商標」という。)が用いられ、これらの商標は「ポロ」と略称されている。
そして、(株)洋品界昭和55年3月発行「海外ファッション・ブランド総覧1980年版」「ポロ/Polo」の項及びボイス情報(株)昭和59年9月発行「ライセンス・ビジネスの多角的戦略’85」の「ポロ・バイ・ラルフローレン」の項の記述及び昭和63年10月29日付日経流通新聞の記事によれば、我が国においては、西武百貨店が昭和51年にポロ社から使用許諾を受け、同52年からラルフ・ローレンのデザインに係る紳士服、紳士靴、サングラス等、同53年から婦人服の輸入、製造、販売を開始したことが認められる。
また、ラルフ・ローレンに係る紳士服、紳士用品については、(株)スタイル社1971年7月発行「dansen男子専科」、前出「男の一流品大図鑑」、(株)講談社昭和54年5月発行「世界の一流品大図鑑’79年版」、(株)チャネラー昭和54年9月発行別冊チャネラー「ファッション・ブランド年鑑’80版」、「男の一流品大図鑑’81年版」(昭和55年11月発行)、「世界の一流品大図鑑’80版」(昭和55年5月発行)、婦人画報社昭和55年12月発行「MEN’S CLUB 1980,12」、「世界の一流品大図鑑’81年版」(昭和56年5月発行)、前出「舶来ブランド事典’84ザ・ブランド」、(株)講談社昭和60年5月発行「流行ブランド図鑑」に、眼鏡については、「世界の一流品大図鑑’80版」、「ファッション・ブランド年鑑’80版」、「男の一流品大図鑑’81年版」、「世界の一流品大図鑑’81年版」に「POLO」、「ポロ」、「Polo」、「ポロ(アメリカ)」、「ポロ/ラルフローレン(アメリカ)」等の商標の下に紹介されていることが認められる。他にこれを覆すに足りる証拠はない。
なお、ラルフ・ローレンの「POLO」、「ポロ」、「Polo」の商標について、上記認定事実とほぼ同様の事実を認定した東京高等裁判所の判決(平成2年(行ケ)183号、平成3年7月11日判決言渡)がある。
以上の事実を総合し、上記判決をも併せ考慮すると、我が国においては、遅くても本件商標権に係る登録出願前までには既にラルフ・ローレンのデザインに係る商品を表示するものとして引用商標が取引者、需要者の間に広く認識されていたものと認められ、その状態は現在においても継続しているというのが相当である。
(2) 本件商標は、別紙に表示するとおり二頭の馬に乗ったポロ競技のプレーヤーを含む図形と、該図形を取り囲む様に書された「ELDORADO POLO CLUB」、「PALMSPRINGS CALIFORNIA」の欧文字とからなるものである。
そして、本件商標は、その構成中の「ELDORADO」「POLO」「CLUB」「PALMSPRING」「CALIFORNIA」の各文字は、それぞれ既成の意味を有する語であるから、これらの語を結合してなるものであることは明らかであって、「POLO」の文字部分が1つ語に吸収されて埋没しているものではなく、かつ、全体として不可分一体の既成の観念を示すものとして一般に広く認識されているものともいい難いものである。そして、「POLO」の文字部分については、ポロ競技(馬にのったプレーヤーによる2チームが互いにマレットで1個のボールを奪い合い、ゴールに打ち込むことを競う球技)を、さらに中央部分の図形についてはポロ競技のプレーヤーを認識させることも相俟って「ポロ(競技)」の観念、「ポロ」の称呼が生ずるものと認められる。
他方、ラルフ・ローレンのデザインに係る商品を表示するものとして周知商標である引用商標は「ポロ(競技)」の観念、「ポロ」の称呼が生ずることは前記したとおりである。
そうとすれば、本件商標は、その指定商品に使用する場合には、これに接する取引者、需要者は、前記した実情からラルフ・ローレンのデザインに係る商品を表示するものとして周知商標である引用商標を連想、想起し、ラルフ・ローレン又は同人と組織的・経済的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であるかのようにその出所について混同を生ずるおそれがあるものといわなければならない。
5 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号の規定に違反してされたものといわざるを得ないから、商標法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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