Trademark Appeal Case
著名商標の類否判断
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2004−90621(T2004−90621/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4783964号商標(以下「本件商標」という。)は、平成15年3月12日に登録出願され、「梁ポッター」の文字を標準文字で書してなり、第6類「建築用又は構築用の金属製専用材料としての鉄筋とセパレーターとの連結金具」を指定商品として、同16年7月2日に設定登録されたものである。
2 登録異議申立の理由(要点)
(1)引用標章
登録異議申立人ワーナー ブラザーズ エンターテイメント インコーポレイテッド(以下「申立人」という。)は、「ハリー・ポッター」の片仮名文字と「Harry Potter」の欧文字からなる標章(以下纏めて「引用標章」という。)を引用し、引用標章は、1997年に著者J.K.Rowlingにより書かれた、ファンタジーの主人公の名前であり、「ハリー・ポッター」シリーズと呼ばれる一連の本のタイトルであって、係る書籍は現在までに5作を刊行、全世界で1億部以上を売る驚異的なベストセラーである。申立人は、2000年6月19日付けで、著者より「ハリー・ポッター」シリーズのタイトル、キャラクター及びその他の内容並びにその他一切の当該作品に関する商標権の譲渡を受け、映画化、関連商品の販売等を行ってきた。特に、映画は2001年11月16日に米国公開された「ハリー・ポッターと賢者の石」が北米市場の一位を達成し、本シリーズ3作目の「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」は2004年6月4日に全米で公開され、全米歴代32位の興業成績をあげている。そして、日本においても引用標章が周知・著名な商標として、本件商標の登録出願時には既に著名性を獲得していたものである。
(2)商標法第4条第1項第15号について
本件商標は、申立人の商標として世界的に周知・著名な引用標章と類似の商標であるから、本件商標がその指定商品に使用された場合、商品の出所について混同を生ずるおそれがある。
(3)商標法第4条第1項第19号について
本件商標は、申立人の世界的に周知・著名な引用標章と類似する商標である。申立人と何等の関係を持たない第三者の本件商標の使用がその名声の毀損等を招くことは必定であるから、客観的には不正の目的をもって使用するために出願したものといわざるを得ないものである。
(4)商標法第4条第1項第7号について
本件商標権者に不正の目的がない場合にも、本件商標は引用標章の出所表示機能の希釈化及びその名声の毀損を招くものである。
(5)まとめ
よって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号、同第19号及び同第7号に違反してされたものであるから、取り消されるべきである。
3 当審の判断
(1)引用標章について
引用標章を構成する「ハリーポッター」及び「Harry Potter」なる文字(語)は、著者J.K.Rowlingにより書かれた「ハリー・ポッターと賢者の石」ほか現在までに5作が刊行された「ハリー・ポッター」シリーズと呼ばれる一連の書籍のタイトルであって、その物語における主人公の名前であること、また、申立人に係る映画「ハリー・ポッターと賢者の石」が2001年12月に公開されたほか、本シリーズ3作が公開され本件商標の登録出願時には、書籍の題号(又は主人公の名前)及び映画のタイトルとして、米国始め我が国においても広く認識されていたとみて差し支えないものである。
しかし、引用標章が世界で非常によく知られた周知・著名な商標である旨の主張は俄に認め難い。すなわち、申立人及びライセンシーにより当該映画の関連商品(トレーナー、タオル、アクセサリー、おもちゃ、文房具類、バッグ等)に引用標章が使用されている事実は認められるとしても(甲第9号証−1ないし同第9号証−4)、これら各種商品はいわゆるキャラクターグッズといわれるものであり、引用標章は専ら当該映画に係る商品であることを表示するためのものと認識されるものであって、これ以上にライセンシー等による各種商品に使用されたことにより、引用標章がそれら商品の出所表示標識としての周知・著名性を獲得するに至ったとまでは認められない。
(2)本件商標について
本件商標は、前記のとおり「梁ポッター」の文字よりなるところ、構成中の「梁」の文字は、「ハリ」と読まれ「上部の重みを支えるため、あるいは柱を固定するために柱上に架する水平材」を意味する漢字を、また、同「ポッター」の文字は、「陶工、陶芸家、焼物師」等を意味する「potter」の読みを片仮名文字で表したものと看取させるものである。
そして、本件商標を構成する「梁ポッター」の文字(語)は、これら各文字を任意に結合したものであるとしても、それは本件商標の登録出願時における当該書籍の題号(又は主人公の名前)及び映画のタイトルとして広く認識されていた状況を考慮すれば、引用標章を構成する「ハリーポッター」及び「Harry Potter」なる文字中欧米の男性名「ハリー」及び「Harry」の代わりに、指定商品との関係からこれをもじって「梁」としたものと推測させ、全体として引用標章を語呂合わせしたといえるものである。
(3)引用標章と本件商標の類否について
「梁」と「ポッター」の語を連綴してなる本件商標が、当該書籍の題号(又は主人公の名前)等によるものであって、これより「ハリポッター」の称呼が生じ、これと引用標章とがその称呼において近似するとしても、本件商標の指定商品は、書籍又は映画とは何らの関連性もない建築用又は構築用の金属製専用材料に係る分野の商品であり、加えて、引用標章が使用されている各種のキャラクターグッズともその取引者、需要者を異にする別個の商品というべきものである。
また、本件商標をその指定商品に使用する場合、たとい引用標章を連想する場合があるとしても、その指定商品との関連の強い「梁」の漢字に着目し取引に資され、その外観及び観念においては顕著な差異を有するものというべきであるから、両者を全体としてみても十分に区別し得る類似しない別個なものとみるのが相当であり、商品の出所の混同を生じさせるおそれがあるとまではいえない。
(4)商標法第4条第1項第15号について
引用標章は、当該書籍の題号又は映画のタイトル(及び主人公の名前)を表示するものとして需要者に広く認識されたものであるとしても、上述のとおり、本件商標とは別異のものであり、かつ、引用標章が各種のキャラクターグッズほか、特定人の商品又は役務の出所標識としてその周知・著名性を獲得していたものとする的確な証左は見当たらない。そうしてみると、本件商標をその指定商品について使用した場合、直ちに引用標章を想起し、その商品が申立人又は同人と関係のある者の業務に係るものであるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものということはできない。
(5)商標法第4条第1項第7号及び同第19号について
本件商標は、たとい引用標章を構成する「ハリーポッター」及び「Harry Potter」なる文字(語)をもとに、意味の異なる「梁ポッター」の文字に置き換え語呂合わせしたものといえるとしても、この事柄をもって、直ちに不正の目的をもって使用することを意図して登録出願されたものとはいい得ず、また、本件商標をその指定商品に使用する場合、両者はかかる構成文字の相違をもって、十分に区別し得るものとであり、その使用が引用標章の名声の毀損等を招くことになるものということはできない。
(6)まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号、同第15号及び同第19号に違反してされたものとできないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものとする。
よって、結論のとおり決定する。
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