Trademark Appeal Case
緑茶ビーズの識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2002−9392(T2002−9392/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「緑茶ビーズ」の文字を標準文字で書してなり、第3類「せっけん類,香料類,化粧品,つけづめ,つけまつ毛,かつら装着用接着剤,つけまつ毛用接着剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり,歯磨き,家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,つや出し剤,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布,靴クリーム,靴墨,塗料用剥離剤」及び第5類「薬剤,歯科用材料,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,医療用腕環,失禁用おしめ,人工受精用精液,乳児用粉乳,乳糖,はえ取り紙,防虫紙」を指定商品として、平成13年2月5日に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、『緑茶ビーズ』の文字を普通に用いられる方法で書してなり、その構成中前半部の『緑茶』の文字よりは、一般的な日本茶の意味を理解させるものであるが、『緑茶は、その他に香料としても用いられ茶のフレーバーは、飲料用、冷菓用、ゼリー、キャンディー、ケーキなどの用途別に開発されている。』(香りの総合事典 株式会社朝倉書店発行)ところ、近時、緑茶の持つ自然な香りと消臭・抗菌効果が注目されており、インターネットを検索すると消臭・芳香剤や石けんなどに原材料の一つとして緑茶が使用され販売されているといった実情が認められるものである。また、その後半部の『ビーズ』の文字は、『数珠玉』などのような小球状の玉を理解させるところ、芳香・消臭剤を取り扱う業界においては、例えば、『消臭剤配合の新しいビーズ芳香剤で、灰皿の中はスッキリ、さわやか!』あるいは『無臭の消臭効果を十分に保持したビーズタイプの消臭剤です。』などのように、芳香・消臭成分を配合したビーズ状の商品が販売されており、取引上『ビーズ』の文字は、商品の形状を表す語として普通に採択使用されているのが実情であることよりすれば、これをその指定商品中、例えば『消臭効果を有する芳香剤(身体用のものを除く。)』や、『消臭剤(身体用のものを除く。)』などに使用しても、これに接する取引者、需要者は、『緑茶成分を配合してなるビーズ状の商品』であると理解するに止まるものと判断するのが相当であるから、単に商品の品質、原材料、効能を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 審判請求の理由
請求人は、その請求の理由として「原審認定においては、『緑茶』と『ビーズ』に分離観察し、それぞれの意味合いを参酌した上で全体としても顕著性なし、品質誤認のおそれありとしたものであるが、一連一体に表示されている本願商標を敢えて前半部の『緑茶』と『ビーズ』に分離観察すべき必然性はないというべきである。原審において『緑茶』『ビーズ』の使用例を例示しているが、一連一体に表した『緑茶ビーズ』の使用例が存在しないこと自体、本願商標が品質表示に該当せず、品質誤認を生じるおそれもないことを如実に物語るものである。そもそも『緑茶』といえば飲料であり、緑茶が『ビーズ』にならない以上、『緑茶ビーズ』といってもどのような商品を示すものかきわめて不明瞭であり、原審認定のように『緑茶成分を配合してなるビーズ状の商品』であるとの認識には至らないと解するのが正当な商標観察方法というべきである。」旨述べるとともに、「ビーズ」の文字と他の文字との結合商標或いは「ビーズ」や「ビーズ/BEADS」のみからなる商標の登録例を挙げて(甲第1号証ないし甲第24号証)、本願商標の登録を求めた。
4 当審の判断
(1)本願商標は、上記のとおり、「緑茶ビーズ」の文字よりなるところ、その構成前半部の「緑茶」の文字(語)は、「製茶の一種。茶の若葉を摘んだあと直ちに熱処理をし、みどり色を保有させたもの。」(広辞苑第5版)を意味する語であることからすれば、請求人が「緑茶」はそもそも飲料である、と述べる点については否定するものではない。
しかしながら、商標が自他商品の識別力を有するか否かについては、その指定商品との関係を考慮して相対的に判断されるべきものであるから、この点を踏まえてみてみると、「緑茶」には、飲料としての本来の用途、効能とは別に、原審説示の如く、近時においては、自然・健康志向の高まりもあって、緑茶の持つ自然な香りと天然成分による消臭・抗菌効果が注目されており、芳香・消臭剤や石けんなどの香付けや消臭・抗菌効果を付加するための原材料としても使用されている実情がある。そうすると、本願の指定商品に含まれる芳香・消臭剤や石けんなどの商品との関係では、「緑茶」は飲料としてではなく、香付けや消臭・抗菌効果を付加するための原材料の一つとして理解、認識されるというべきである。
また、同後半部の「ビーズ」の文字(語)は、「室内装飾・婦人服飾・手芸品などに用いる、糸通し孔のついた小さな飾り玉。多くはガラス製で切子型・円型・管型などがあり、色彩は多様。南京玉。」(広辞苑第5版)を意味する語であるところ、芳香・消臭剤を取り扱う業界においては、「ビーズ状消臭剤」や「ビーズタイプ」の如く、商品の形状を表す語として普通に採択使用されているというのが実情である。
してみると、「緑茶」の文字(語)は、本願の指定商品、特に芳香・消臭剤や石けんなどに使用する場合には、原材料の一つとして理解、認識されるものといえるものであり、また、「ビーズ」の文字(語)は、芳香・消臭剤について使用する場合には、商品の形状を表す語として理解、認識されるものとみて差し支えなく、これら商品に使用する場合、本願商標「緑茶ビーズ」の文字よりは、原材料と商品の形状とを羅列し表示したものと把握されるにすぎず、これ以上に各語を結合することによりそれぞれの有する意味を超えて新たな観念が生じるというような格別の事由は見出せない。
したがって、「緑茶」と「ビーズ」との文字を結合してなるにすぎない本願商標は、その指定商品第3類中の「芳香剤」を包含している「香料類」及び第5類中の「薬剤」に包含されている「消臭剤,防臭剤,脱臭剤」に使用する場合は、これに接する取引者、需要者は「緑茶成分を配合してなるビーズ状の商品」程の意味合いを容易に看取するというのが相当であって、単に、商品の原材料及び形状、すなわち商品の品質を端的に表現したものと理解するに止まり、自他商品の識別標識として認識し得ないものというべきであるから、商標法第3条第1項第3号に該当するものである。
また、本願商標を、緑茶(成分)を原材料の一とし、その持つ自然な香りと消臭・抗菌効果を応用した商品、あるいは緑茶成分を配合してなるビーズ状の商品以外の第3類「せっけん類,香料類,化粧品」及び第5類「消臭剤,防臭剤,脱臭剤」に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当するものというべきである。
(2)ところで、「緑茶」及び「ビーズ」の各語については、新聞報道記事、あるいはインターネット上で各種企業が自社の製品等を紹介しているホームページ(ウエブページ)情報において、例えば次のような記事又は掲載情報を見出すことができる。
●「緑茶」の語について
ア 1987年11月24日付け化学工業日報には、「徳山曹達、家庭用消臭剤市場に参入、2種発売、植物系成分で無臭」の見出しの下に、「・・・ピュレーヌは緑茶から抽出した消臭成分をベースとした消臭剤で、・・・」との記載がある。
イ 1994年11月20日付け日本農業新聞には、「[流通ビュウ]お茶は万能選手、広がる用途」の見出しの下に、「緑茶は茶の湯として飲む以外に、消臭・除菌効果を生かして、菓子類はもちろん、非食品にも積極的に利用されている。・・・非食品商品では、室内、トイレ、車内などの消臭除菌剤類をはじめ、消臭効果を付加したマスク、ハンカチ、シーツ、トイレットペーパー、つまようじ、壁紙、障子紙など広範囲に利用されている。特に、消臭、除菌剤については、消臭剤としての製品以外に、消臭機能付きの商品への利用も多く、・・・」との記載がある。
ウ 1999年6月2日付け日本農業新聞には、「用途広がる茶成分、工業製品90種類、日本茶業中央会」の見出しの下に、「・・・茶そのものの利用や緑茶カテキンや緑茶フラボノイドといった成分を抽出して、衣料品、医療品、消臭・抗菌剤、芳香剤、入浴剤など製品化の範囲は多岐にわたる。特に、し尿下水用やトイレの芳香剤などにも利用され、あらためて“茶の万能”ぶりが浮き彫りになった。・・・」との記載がある。
エ 2000年11月16日付け日刊工業新聞には、「あすなろ本舗、植物の抽出液を使った消臭剤を発売」の見出しの下に、「・・・植物の抽出液を使った消臭剤『消臭楽園=写真』を発売した。・・・原料は消臭効果が高い木酢と緑茶、ハーブから抽出した。」との記載がある。
オ 2002年11月8日付け読売新聞(東京朝刊)には、「緑茶カテキン引っ張りだこ『防腐、抗菌、消臭』に効果大」の見出しの下に、「・・・緑茶の葉に含まれる『カテキン』を使った新製品が相次いで開発されている。カテキンには防腐、抗菌、消臭などの効果があり・・・」との記載がある。
カ 2005年4月26日付け朝日新聞(東京地方版/静岡)には、「緑茶の香り漂う商品を展示即売 静岡、来月2日まで /静岡」の見出しの下に、「・・・飲む以外の緑茶の使い道を考えた商品を紹介した・・・緑茶の香りのするびんせんやせっけん、茶香炉、靴の中敷きなど約90種類の商品が即売されている。」との記載がある。
キ 2005年7月1日付け朝日新聞(東京朝刊)には、「(情報ファイル・商品)緑茶系消臭スプレー 花王」の見出しの下に、「・・・緑茶の消臭効果で、衣類や布製品に染みついた汗、たばこ、ペットのにおいや、生乾きの洗濯物などの臭みを抑えるという。」との記載がある。
ク 「株式会社マンダム」のウエブページ(http://www.mandom.co.jp/release/2005/src/05070411.html)には、「●緑茶エキスとマツエキスの2種類の天然消臭成分が、靴の中のニオイを即効消臭します。」との記載がある。
ケ 「小さなお茶屋かわそうえん(有限会社かわそう)」のウエブページ(http://www.kawasouen.co.jp/popri.htm)には、「緑茶ポプリ(香り緑茶の消臭・芳香剤)・・・静岡県産粉末緑茶を30%配合した多孔体の樹脂粒です。緑茶の持つ自然な香りと消臭効果に優れています。」との記載がある。
●「ビーズ」の語について
コ 1995年8月25日付け北海道新聞(朝刊全道)には、「<気になる!>植物成分の無香消臭剤」の見出しの下に、「ナチュラルフレッシャー(スプレー式七十ミリリットル、八百円、ビーズタイプ二百グラム、八百円)は空気に触れると気化し、消臭分子がアンモニアなど生活悪臭の三大成分の分子を分解する中和作用でにおいを元から消去する。・・・まとめ買いをする主婦が多く『特にビーズタイプはガラスの容器に移して夏のインテリアとしても受けているようです』」との記載がある。
サ 1997年7月2日付け静岡新聞(朝刊)には、「経済短信=紙おむつ消臭剤−エステー化学」の見出しの下に、「・・・使用済み紙おむつ用のビーズ状消臭剤『ママタッチ消臭つぶ』=写真=とおしりふき『ママタッチおしりふきビッグパック』を1日に発売した。」との記載がある。
シ 2001年9月13日付け日本経済新聞(朝刊)には、「備長炭入り冷蔵庫脱臭剤――白元(ニューフェース)」の見出しの下に、「・・・ヤシガラ活性炭と消臭ビーズ、備長炭の3成分を含む。・・・消臭ビーズに含まれる水分が蒸発していく様子を見て、取り換え時期が分かる。」との記載がある。
ス 2004年4月16日付け化学工業日報には、「リリース科学、柿タンニンを普及促進、食品・化粧品用など」の見出しの下に、「・・・スプレーやゲルに加えたり、ビーズやポリマーなどの坦体に加工して冷蔵庫や車、室内のにおいを抑える家庭品用などを用意している。」との記載がある。
セ 2005年6月2日付け化学工業日報には、「韓国・愛敬精密化学、日本に投入、ビーズタイプ大口径高吸水性樹脂」の見出しの下に、「・・・ビーズタイプの大口径高吸水性樹脂『HISOB』(商品名)を開発、韓国に続き、提携先の岡畑興産(本社・大阪市)を通じて日本での販売を開始した。・・・芳香・消臭剤の基材のほか、植物栄養剤、殺虫剤、保冷剤などにも用途があるとみて日本市場での売り込みを積極化させる。・・・」との記載がある。
ソ 「株式会社新昌化学工業所」のウエブページ(http://www.sinsyo.co.jp/kabe.html)には、「■消臭ビーズ 消臭エキスが消臭ビーズから飛び出して空気中を漂い冷蔵庫内のいやなニオイを消臭します。」との記載がある。
タ 「楽天市場」のウエブページ(http://www.rakuten.co.jp/serios/587782/645727/?#648643)には、「消臭ビーズ 300g つめかえ用 無香料タイプ〜植物酵素系消臭剤配合〜 デカ玉ビーズでしっかり消臭!! アクアリフレ消臭ビーズ無香タイプは大きな弾力性のあるクリスタルビーズの中に色々ないやなニオイに対し消臭作用のある植物酵素系消臭成分などをしっかり浸透させた消臭剤です。」との記載がある。
チ 「株式会社ダイヤケミカル」のウエブページ(http://www.diachemical.co.jp/tobacob/text.html)には、「灰皿用消臭芳香剤『たばこ消臭ビーズ』 たばこのいや〜なにおいを解消する、灰皿に入れて使用するビーズタイプの消臭芳香剤です。」との記載がある。
ツ 「ケンコーコム」のウエブページ(http://www.kenko.com/product/item/itm_6551503072.html)には、「『おやすみサシェ 緑茶』は、枕の中に入れて香りを楽しめるサシェです。・・・サシェとは、フランス語で『匂い袋』のことです。枕の中に入れてほのかな香りを楽しみながら、おやすみください。日本人に馴染み深い緑茶のやさしい香りに包まれます。原材料には、緑茶加工ビーズを使用しました。」との記載がある。
してみると、これら新聞報道記事やインターネットの情報によっても、前記(1)の認定の妥当性を裏付けることができる。
(3)請求人は、一連一体に表した「緑茶ビーズ」の使用例が存在しないこと自体、本願商標が品質表示に該当せず、品質誤認を生じるおそれもない旨主張しているが、商標法第3条第1項第3号に該当する商標とは、常に、その商品の品質等を表すものとして現実に使用されているか、あるいは必ず使用されるものでなくてはならないとされているものでなく、取引者、需要者にその商品の品質等を表すものにすぎないと認識される標章のみからなるものであるか否かによっても判断されるべきものと解すべきであるから、請求人のこの点についての主張は採用することができない。
また、請求人は、「ビーズ」の文字と他の文字との結合商標、あるいは「ビーズ」や「ビーズ/BEADS」のみからなる商標の登録例を挙げて(甲第1号証ないし甲第24号証)本願商標の登録適格性を主張しているが、それらの事例は商標の具体的構成において本願商標とは事案を異にするものであり、かつ、本願商標については前記(1)の認定を相当とするものであるから、それら事例をもって本願商標の登録の適否についての判断基準とするのは必ずしも適切でない。したがって、この点についての請求人の主張も採用することができない。
(4)以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから、これと同趣旨をもって本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消す理由はない。
よって、結論のとおり審決する。
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