Trademark Appeal Case
称呼の類似性と要部抽出
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2004−9171(T2004−9171/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、第43類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として、平成15年5月9日に登録出願されたものである。
そして、その指定役務については、平成15年12月19日付けの手続補正書により、第43類「かに料理の提供,うどんまたはそば料理の提供,えび料理の提供,うなぎ料理の提供,すしの提供,てんぷら料理の提供,とんかつ料理の提供,焼肉料理の提供,北海道料理を主とする飲食物の提供,アルコール飲料を主とする飲食物の提供,茶・コーヒー・ココア・清涼飲料水又は果実飲料を主とする飲食物の提供,宿泊施設の提供」に補正されたものである。
2 原査定の引用商標
原査定において、本願の拒絶の理由に引用した登録第4312125号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲2のとおりの構成よりなり、平成10年5月26日に登録出願、第42類「かに料理の提供,その他かにを使用した飲食物の提供」を指定役務として、同11年9月3日に設定登録されたものである。
3 当審の判断
本願商標は、別掲1のとおり半円状の輪郭線の中に蟹と思しき図柄を描き、「北海道料理」の文字を半円の円周に沿うように半円弧状に表す一方、その半円の下には、縦書きで「北国の心と味の店」及び「たらば屋」の文字を2行に書してなるところ、円周弧状に書された文字部分、中段の図形部分及び下段の縦書きの文字部分は、これらを常に一体不可分のものとしてのみ認識しなければならない格別の事情を認め得ないものであるから、これらの各部分は、いずれもそれぞれが独立して自他役務の識別標識としての機能を果たし得るものというのが相当である。
しかして、構成中の文字部分において、上段の「北海道料理」の文字と下段の「北国の心と味の店たらば屋」の文字とは、その表示形態が異なるものとして、視覚上明らかに分離して把握されるばかりでなく、上段の「北海道料理」の文字部分は、本願指定役務との関係では、役務の質を表示する語というべきであり、また、下段の「北国の心と味の店」の文字部分は、役務の提供についての端的な宣伝文句、企業理念や店のイメージ向上を目的とした観念的、抽象的表現を表した、一種のキャッチフレーズとして、それぞれ認識し、理解されるものであって、自他役務の識別力が無いか又は極めて弱いものといわざるを得ない。
そして、簡易迅速性を重んじる取引の実際において、取引者、需要者は、その役務に使用された商標の自他役務の識別の機能を有する部分を適宜抽出し、その称呼を簡略化して取引に資する場合のあることは、経験則上明らかなところである。
そうとすれば、本願商標の文字部分全体を称呼する場合には、かなり冗長なものとなり、かつ、その構成中の「北海道料理」及び「北国の心と味の店」の文字部分が前記したとおり、自他役務の識別力が無いか又は極めて弱いものと認められるから、簡易迅速性を重んじる取引の実際にあっては、取引者、需要者は、「たらば屋」の文字部分に自他役務の識別標識としての機能を見いだし、該文字部分から生ずる「タラバヤ」の称呼をもって取引に資される場合が決して少なくないというのが相当である。
してみれば、本願商標は、「たらば屋」の文字部分も独立して自他役務の識別標識としての機能を果たし得ると認められるものであるから、構成全体より生ずる「ホッカイドウリョウリキタグニノココロトアジノミセタラバヤ」の一連の称呼、縦書きの文字部分に相応した「キタグニノココロトアジノミセタラバヤ」のみにとどまらず、単に「タラバヤ」の称呼をも生ずるものというべきである。
また、「屋」の文字は、商家などの家の称号に用いられる語であって、一種の屋号を表したものとして認識される場合があることから、本願商標からは、「たらば屋」という屋号を表したものとの観念を生ずるものである。
他方、引用商標は、別掲2のとおり、やや小さく表した「かに料理」の文字と、前記文字に比して大きく表した「たらば屋」の文字とを二段に書し、下段の「屋」の文字の右横下に、黒塗り四角形の中に白抜きで「たらば屋」の文字を落款と思しき態様で描いたものを配してなるものであるところ、その構成上、一見して「かに料理」と「たらば屋」及び落款と思しき態様で書された「たらば屋」の各文字の表示形態が異なり、視覚的に分離されて看取されることに加えて、前者の「かに料理」の文字部分は、引用商標の指定役務との関係では、役務の質を表示する語というべきであるから、中央に書された「たらば屋」の文字は、他の文字に比して圧倒的顕著に表されていることもあいまって、看者の注意を最も引くものといえる。
そうとすると、引用商標は、その構成において、最も注意を引き、かつ、読みやすい「たらば屋」の文字部分のみをとらえて、これより生ずる称呼及び観念をもって取引に資される場合が決して少なくないというのが相当であるから、「タラバヤ」の称呼をも生じ、かつ「たらば屋」という屋号を表したものとの観念を生ずるものといわなければならない。
してみれば、本願商標と引用商標とは、外観を異にするとしても、構成中の「たらば屋」の文字部分において「タラバヤ」の称呼及び屋号を表したものとの観念を共通にする類似する商標であって、かつ、本願商標の指定役務は、引用商標の指定役務と同一又は類似する役務を含むものであるから、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すべき限りでない。
なお、請求人は、「結合商標の要部が、他の称呼の一部を取り出して出所の混同を生じるかとの争点に対し、一部分の称呼、観念からは出所の混同が生じるといえない」とした判決と、本件が類似している旨主張しているが、登録出願に係る商標と引用された商標との類否判断は、両商標について個別具体的に行えば足り、過去の登録例の判断に拘束されることなく検討されるべきものであり、本願商標については、前記のとおり判断するのが相当であるから、請求人の主張を認めることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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