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Trademark Appeal Case

称呼類似性:促音の有無

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2004−89119(T2004−89119/J3)
審判種別無効
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第4793560号商標(以下「本件商標」という。)は、「TOPO」の欧文字を標準文字で書してなり、平成14年6月6日に登録出願、第30類「カラメルをトッピングしたポップコーン,その他の菓子,パン」を指定商品として、平成16年8月13日に設定登録されたものである。

第2 引用商標

請求人が本件商標の無効の理由に引用する登録第2670133号商標(以下「引用商標1」という。)は、「トッポ」の片仮名文字を横書きしてなり、平成4年3月27日に登録出願、第30類「アイスクリーム、その他本類に属する商品」を指定商品として、平成6年5月31日に設定登録され、その後、平成17年2月2日に指定使用品を第30類「菓子及びパン」とする指定商品の書換登録がされたものである。同じく、登録第4292335号商標(以下「引用商標2」という。)は、「くろトッポ」の文字を横書きしてなり、平成10年2月26日に登録出願、第30「菓子及びパン」を指定商品として、平成11年7月9日に設定登録されたものである。同じく、登録第4481466号商標(以下「引用商標3」という。)は、「あおトッポ」の文字を標準文字により横書きしてなり、平成12年7月24日に登録出願、第30類「菓子及びパン」を指定商品として、平成13年6月8日に設定登録されたものである。

第3 請求人の主張

請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第25号証(枝番を含む。)を提出した。

1 請求の理由

(1)本件商標「TOPO」は、これをローマ字読み又は英語読みすることにより「トポ」の称呼を生じること明らかである。

一方、「頂上、首位、主席」等を意味する英語として広く知られている「TOP」が外来語として「トップ」と表記、発音されている用例等にならって、前半部の「TOP」の文字部分を「トップ」と発音しようとするのと、後半部の「PO」を「ポ」と発音しようとするのとが、リエーゾン現象を生じることにより、「TOPO」は、全体として英語風に「トッポ」と呼称されることが少なくないものと認められる。

このことは、イタリアの作家マリア・ペレゴの人形劇の「TOPO GIGIO」が、我が国では「トッポ ジージョ」と表記、呼称され、広く知られているキャラクターであることが顕著な事実(甲第21号証の1ないし甲第21号証の4)で、「TOPO」の欧文字が、商標として該商品に使用された場合、一般の取引者、需要者はこれを「トッポ」と呼称するのが普通であると認められることからも容易に首肯できる。

このように、本件商標は、その構成上「トポ」の称呼を生じるが「トッポ」の称呼を生じることも明らかであり、どちらかというと「トッポ」の称呼を生じることが多いと認められる。

なお、本件商標の観念について言及するに、「TOPO」は、「頂上、端」等を意味するポルトガル語(甲第5号証の1ないし甲第5号証の3)であるとともに、「ネズミ」を意味するイタリア語(甲第6号証の1ないし甲第6号証の3)であるが、我が国において、これらポルトガル語またはイタリア語が、誰にでも普通に理解されているとは認めがたく、したがって、一般取引者、需要者は、一種の創造語程度に認識するのが普通で、上記「TOPO GIGIO」からそのキャラクターとしての「ネズミ」を想起させることがある程度と認められる。

(2)引用商標1は、「トッポ」の片仮名文字から「トッポ」の称呼を生じることが明らかである。

そして、本件商標と引用商標1は、「トッポ」の称呼を同一にする以上、外観および観念について対比するまでもなく、互いに類似する商標である。

(3)本件商標は、「トポ」の称呼をも生じるが「トポ」の称呼と引用商標1の「トッポ」の称呼とは類似する。

「トポ」の称呼と「トッポ」の称呼とは、第1音の「ト」と第3音の「ポ」を同じにし、第2音の促音「ッ」の有無ということで相違するにすぎない。

しかも、「ツ」の促音はそれ自体が独立した1音として明確に発音されるとか聴取されるものではないため、その有無が「トポ」と「トッポ」の称呼全体に及ぼす影響は極めて小さく、これらをそれぞれ一気に呼称するとき、全体の語感、語調および聴感が著しく近似して、両称呼は彼此相紛らわしく、迅速を旨とする取引の実際においては促音「ッ」の有無を判別できないと認められる。

このため、「トポ」と「トッポ」は、互いに類似する称呼であるというべきものである。

本件商標と引用商標1の場合のように、称呼における促音「ッ」の有無を唯一の相違点とする商標について、かかる相違点が存在してもなお類似商標であるとする判断は、多数の審決例が共通して採用し、既に一般化していると認められる(甲第7号証ないし甲第20号証)。

(4)引用商標2「くろトッポ」の「くろ」は「黒色」を、また、引用商標3「あおトッポ」の「あお」は「青色」を指称、意味すると容易に認められる。したがって、引用商標2、引用商標3が、その指定商品に使用されたとき、これらに接する取引者、需要者は、「くろ」または「あお」の文字を当該商品の品質を表示したものと理解するに止まるもので、これら「くろ」又は「あお」の文字は自他商品の識別標識として機能することはない。

すなわち、引用商標2、引用商標3の自他商品の識別標識として機能する部分は、いずれも後半の「トッポ」の文字部分であると認められる。したがって、引用商標2、引用商標3は、迅速を尊ぶ取引の実際においては各後半の「トッポ」の文字部分に着目し、これより生じる「トッポ」の称呼が取引に資されることが少なくないと認められる。

このため、引用商標2、引用商標3は、その全体構成から「クロトッポ」「アオトッポ」の称呼を生じる以外に、後半の「トッポ」の文字部分から「トッポ」の称呼も生じることが明らかである。

そして、引用商標2、引用商標3の称呼「トッポ」が本件商標の称呼「トッポ」と同一であることは自明であり、外観および観念について判断するまでもなく、互いに類似する商標であることは当然である。

また、引用商標2、引用商標3の称呼「トッポ」は、本件商標の称呼「トポ」と類似することも、上記(3)から明らかである。

(5)結論

以上のとおり、本件商標と引用各商標とは、称呼上彼此相紛らわしく互いに類似する商標と認められ、かつ指定商品も抵触し、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたと認められるから、同法第46条第1項第1号により、無効にすべきものである。

2 答弁に対する弁駁

(1)一般に、商標の類否判断は、商品の主たる需要者層(例えば、専門家、老人、子供、婦人等の違い)、その他、取引の実情を考慮し、その需要者が通常有する注意力を基準に判断しなければならないとされているところ、これを本件商標の指定商品の需要者について見るに、その指定商品中の少なくとも「菓子」は、幼児を含む低年齢者すなわち子供を主な需要者(一般消費者)とするものであることが顕著な事実である(甲第22号証及び甲第23号証)。

換言すると、本件商標の指定商品、特に「カラメルをトッピングしたポップコーン、その他の菓子」の需要者には、主として幼児を含む低年齢者が含まれ、特にこれら低年齢者においては、「トポ」と「トッポ」を常に明確に発音したり、明確に聞き取っているとは限らず、これらを暖味に発音しあるいは暖味に聞いていることが決して少なくないと認められる。

すなわち、語頭の「ト」と語尾の「ポ」を発音し又は聞いただけで、それが「トポ」であったか「トッポ」であったかを格別詮索することなく当該商品を指称するものとしている可能性がきわめて高く、それは、低年齢者や老人以外の、ごく普通の一般人においても、特に店頭等で早口で呼称している場合には同様に起きる現象であることが多いと認められる。

(2)請求人は、本件商標と引用商標の称呼「トポ」と「トッポ」を時と場所を同じにして両者の相違を見極めるようとする場合、すなわち、両称呼を直接対比観察する場合において、被請求人のいう普通の一般人が、その両称呼の相違を指摘できないとまで主張しようとしているものではない。

すなわち、請求人は、本件商標と引用商標とを、時と場所を異にして行う離隔観察において、さらに具体的には、迅速を旨とし、かつ、繁忙を極める実際の取引場裏で商品の識別標識として取引に資される場合において、これら両称呼が、特にその主たる需要者である幼児を含む低年齢者にとって、相紛らわしく類似たるを免れないと主張しているものである(甲第22号証、甲第24号証及び甲第25号証)。

(3)なお、被請求人が、乙第2号証として引用する複数の審決は、何れも、幼児を含む低年齢者が直接需要者として当該取引に当たることがある菓子、パン等の商品を対象とするものではないことにおいて、本件商標と引用各商標の場合と事例を異にする。

第4 被請求人の主張

被請求人は、結論同旨の審決を求める、と答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証及び乙第2号証を提出した。

1 商標の称呼は、通常、その構成自体より最も呼びやすいものとなることは判例、審査基準において争いのないところである。そして、指定商品に係る平均的な需要者を想定して商標よりいかなる称呼が生じるかが認定される(乙第1号証)。

そうすると、欧文字からなる商標の場合、それが一般によく知られた特有の読み方をするとか、商品との関係でドイツ語読みされる傾向が強いといった取引の特殊な事情がない限り、ローマ字読み又は英語読みの称呼が最も自然な称呼と考えられる。

そこで、本件商標についてみると、本件商標は「TOPO」の欧文字からなるものである。「TOPO」は英語にはない語であるから、ローマ字読みで「トポ」の称呼が生ずる。本件商標の指定商品は「菓子、パン」であるから、その平均的な需要者は老若男女を問わないごく普通の一般人ということになる。したがって、商品との関係での取引の特殊な事情ということも考慮する必要もないので、本件商標からは「トポ」が最も自然な称呼と考えられる。請求人のいうように、ポルトガル語やイタリア語等はわが国の一般人において普通に理解されている程には到っていないからである。

2 請求人は、引用商標1ないし引用商標3を引用しているが、議論の重複を避けるために、引用商標1の「トッポ」と本件商標と対比する。

本件商標は、上記1のとおり、「トポ」の称呼が生じ、引用商標は「トッポ」の称呼が生ずるものである。両者の差異は中間音の促音「ッ」の有無ということになる。

2音、3音といった簡潔な音構成において、1音の差異が全体称呼に与える影響は決して小さくないといえる。その1音の有無により全体の語調、語感が違ってくるからである。特に、促音が入った場合には、その前の音をより強く発音させることになる。

本件の場合「トポ」と発音してみると、音の抑揚がなく平板であり、「ト」「ポ」のそれぞれの音自体もそれほど強く発せられないのに対し、「トッポ」の方は自然と「トッ」が強く発せられ、それに引きずられて「ポ」もはっきり発音されることになる。「ッ」という一拍が入ったことにより、音の抑揚もつく。まさに二拍子と三拍子の違いといったところである。

このように、本件商標の「トポ」と引用商標1の「トッポ」の称呼は、全体の語調・語感に大きな違いがあることがわかる。

このように対比してみると、それぞれの称呼を聴き較べた場合、はっきりとそれぞれを聴別でき、両商標を誤認・混同し、出所の混同を起こさせるおそれのないと考えるのが妥当である。

審決においても、本件と同様、すなわち、2音、3音の音構成からなる商標で促音「ッ」の差異のある商標について非類似である旨の判断・認定を行っている(乙第2号証)。

さらに、外観についても、本件商標と引用各商標とは、視覚的な印象を全く異にするものであり、また、本件商標と引用各商標とも造語的なものであり、いずれも観念上の共通性は全くないものである。

したがって、本件商標と引用商標1ないし引用商標3の有する称呼、外観及び観念のそれぞれの要素を総合的に考察し、類否を判断した場合には、両商標は相紛れるおそれのない非類似の商標ということになる。

3 以上のとおり、本件商標は、引用各商標に類似するものでなく、商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。

第5 当審の判断

1 本件商標は「TOPO」の文字よりなるところ、該文字は、ポルトガル語で「頂上、端」等の意味を有し(甲第5号証の1ないし甲第5号証の3)、イタリア語で「鼠」の意味を有する(甲第6号証の1ないし甲第6号証の3)語であることは認められるとしても、我が国において、ポルトガル語、イタリア語は、普通一般に使用されている語ではないから、これに、接する取引者、需要者は、特定の意味を有しない造語よりなるものと理解、認識するものというのが相当である。

そして、通常、特定の意味を有しない欧文字よりなるものと理解、認識される文字にあっては、これに接する取引者、需要者をして、一般に親しまれ使用されているローマ字読み若しくは英語読みに発音し、商取引に資するものというのが実情である。

してみると、本件商標は、「TOPO」の文字に相応しローマ文字読みに「トポ」の称呼のみをもって商取引に資されるものというのが自然である。

この点において、請求人は、イタリアの作家マリア・ペレゴの人形劇の「TOPO GIGIO」が我が国では「トッポ ジージョ」と表記、呼称され、広く知られているキャラクターであることが顕著な事実(甲第21号証の1ないし甲第2号証の4)で、「TOPO」の欧文字が、商標として該商品に使用された場合、一般の取引者、需要者はこれを「トツポ」と呼称するのが普通である、旨主張する。

しかしながら、本件商標は、「TOPO」の文字よりなるものであって、該文字よりは、「TOPO GIGIO(トッポ ジージョ)」を容易に想起するものとは認め得ないから、本件商標よりは「トッポ」の称呼を生ずるものとは認め難いものである。

他方、引用商標1は、「トッポ」の文字に相応し「トッポ」の称呼を生じることは明らかである。また、引用商標2は「くろトッポ」及び引用商標3は「あおトッポ」の文字よりなるところ、引用商標2の「くろ」、引用商標3の「あお」の文字は、それぞれ「黒色」「青色」を想起させることがあるとしても、同書、同大、等間隔に横一連にまとまりよく書してなる構成よりなることからすれば、引用商標2は、「くろトッポ」の文字に相応し「クロトッポ」、引用商標3は、「あおトッポ」の文字に相応し「アオトッポ」の自然の称呼を生ずるものとみるのが相当である。

そこで、先ず、本件商標より生ずる「トポ」の称呼と引用商標1より生ずる「トッポ」の称呼とを比較するに、両称呼は、語尾音「ポ」を同じくするものの引用商標1が「ト」に促音「ッ」を帯同する差異を有するものである。

そして、「トポ」と「トッポ」の称呼は、簡潔な短い音構成よりなるものであるから、促音「ッ」の音の有無が全体の称呼に及ぼす影響は決して小さくなく、「トポ」は比較的平滑に称呼されるのに対し、「トッポ」は強く称呼されることもあり、両称呼をそれぞれ一連に称呼する場合、全体の語調、語感も相違し、互いに聞き誤るおそれはないものというのが相当である。

次に、本件商標より生ずる「トポ」の称呼と引用商標2より生ずる「クロトッポ」及び引用商標3より生ずる「アオトッポ」の称呼とを比較するに、その称呼は、音構成、音数において明らかな差異を有するものであるから、互いに聴別し得るものである。

更に、本件商標は、特定の意味を有するものと認識、理解されるものではないから、観念においては、比較することはできない。また、外観においても、互いに区別し得る差異を有するものである。

そうとすれば、本件商標と引用商標1ないし引用商標3とは、その称呼、観念及び外観のいずれの点においても非類似の商標というべきである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではないから、商標法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきではない。

よって、結論のとおり審決する。

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