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Trademark Appeal Case

「診断士」商標の識別力と公序良俗

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2003−23699(T2003−23699/J1)
審判種別不服
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

原査定を取り消す。
本願商標は、登録すべきものとする。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、「マクラ診断士」及び「枕診断士」の文字を二段に書してなり、第20類及び第37類に属する願書記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成15年2月28日に登録出願されたものであるが、その後、指定商品及び指定役務については、同17年9月16日付けの手続補正書によって、第20類「まくら」、第37類「まくらの調節・修理」及び第41類「まくら調節の資格認定の実施」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶理由の要点

原査定は、(1)及び(2)のとおり認定、判断して、本願を拒絶したものである。

(1)本願商標は、「枕に関する診断を行う資格を有する者」なる意味合いを看取させる「マクラ診断士」及び「枕診断士」の文字を2段に普通に用いられる方法で書して成るので、これを本願指定役務中「まくらの調節」に使用しても、該役務に関しての資格を有する者を表示するにすぎず、自他役務の識別標識としての機能を有しないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。

(2)本願商標は、「マクラ診断士」及び「枕診断士」の文字を普通に用いられる方法で2段に書してなるもので、語尾に「士」又は「診断士」の文字を有する語は例えば「弁護士、公認会計士、税理士」、「中小企業診断士」等のように国家、地方公共団体若しくはこれらの行う資格試験に合格した者に与えられる肩書の一種として理解され、本願商標を出願人が自己の商標として採択・使用することは、あたかも該国家資格が存在し、これを表示したものと取引者・需要者に認識させるから、これを商標として登録することは国家資格等の制度に対する社会的信頼を失わせ、ひいては公の秩序又は善良な風俗を害するおそれがあるものと認める。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。

3 当審の判断

(1)本願商標は、上記1のとおりの構成からなるところ、これよりは原審説示のような「まくらの調節」を指すものとして、その指定役務を取り扱う業界において普通に使用されている事実を発見し得ないものである。

してみれば、本願商標は、その指定役務との関係において、自他役務の識別標識としての機能を有するものというべきであり、需要者をして何人かの業務に係る役務であることを認識し得る商標であるとみるのが相当である。

したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当しない。

(2)本願商標は、その構成する「マクラ診断士」及び「枕診断士」の文字から直ちに国家資格を表示したものと認識し把握されるものとはいい難いものである。蓋し、一般に、「士」の文字は、「1)官位・俸禄を有し、人民の上位にある者。『士師・進士』2)周代に、四民の上、大夫の下にあった身分。『士大夫』3)兵卒の指揮をつかさどる人。また、軍人。兵。『士官・士気・戦士』4)近世封建社会の身分の一。もののふ。さむらい。『武士・士農工商』」を意味する語であって(岩波書店発行「広辞苑」第5版)、他の文字と結合して身分や資格等を示す名称を表すために使用されており、博士、弁護士、弁理士、税理士等のように法律で規定され、使用が規制されている資格名称が存在するが、他方で法律に準拠しない「士」の文字を含む名称や称号が使用されている事実もある。そして、「マクラ診断士」及び「枕診断士」の名称は、法律等に規定されたものではなく、格別その使用が制限されたものともいえないし、公の機関が付与する資格や称号と紛らわしいものともいい難いものである。

そうすると、本願商標をその指定商品及び指定役務に使用しても、これに接する取引者、需要者は国家資格を表す名称ないしは公の機関によって付与された称号等を表したものであるかの如く認識するようなことはないというべきであり、これが、直ちに国家資格等の制度に対する社会的信頼を失わせ、ひいては公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあるものとはいうことはできない。

また、本願商標は、その構成自体がきょう激、卑わい、差別的若しくは他人に不快な印象を与えるものではないし、これを使用することが社会公共の利益に反し又は社会の一般的道徳観念に反するようなものでもない。

したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。

(3)以上のとおりであるから、本願商標は、商標法第3条第1項第6号及び同法第4条第1項第7号に該当するものであるとして、本願を拒絶した原査定は妥当なものでなく、取消しを免れない。

その他、政令で定める期間内に本願について拒絶の理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

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