sokuhyo

Trademark Appeal Case

商標使用の有無と普通名称

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2004−30779(T2004−30779/J2)
審判種別取消
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第3313978号商標(以下「本件商標」という。)は、「SNOAM」の欧文字と「スノーム」の片仮名文字を2段に書してなり、平成6年5月12日に登録出願され、第9類「理化学機械器具,測定機械器具,配電用又は制御用の機械器具,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,光学機械器具,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,タイムスタンプ,メトロノーム」を指定商品として、平成9年5月30日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張

請求人は、「本件商標の登録を取り消す。審判費用は被請求人の負担とする」との審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第3号証を提出した。

1 請求の理由

本件商標は、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても、その指定商品について使用されていない。

したがって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。

2 弁駁の理由

(ア)被請求人が使用していると主張する標識(以下「使用標識」と称す。)は、何れも「走査型近接場原子間力顕微鏡」を意味する「Scanning NearField Optical/Atomic Force Microscope」について通用されている普通名称である「SNOAM」の文字を、商品「走査型近接場原子間力顕微鏡」を表すものとして普通に用いられているものに過ぎない。

(イ)被請求人は、2003年度の受賞内容が記載されたカタログ第13頁に「倒立型SNOAMシステム」の表記が記載されていることを以て、本件商標が使用されていると主張している。しかし、被請求人が乙第1号証として提出したカタログ第13頁における「倒立型SNOAMシステム」の表記における使用標識は、倒立型顕微鏡に走査型近接場原子間力顕微鏡であるSNOAMを搭載して機能を拡張したものであることを表現しているに過ぎず、本件商標をその指定商品中「理化学機械器具、測定機械器具、電気磁気測定器、光学機械器具、電子応用機械器具及びその部品」について自他商品識別標識、即ち商標として使用しているものではないことは明白であり、被請求人は登録商標の使用を証明していないというべきである。

(ウ)乙第2号証及び乙第4号証は、「倒立顕微鏡型SNOAM」の記載がある「受注伝票/受注変更決裁書」及び「作業確認書」であるが、これらの記載は、倒立型顕微鏡に走査型近接場原子間力顕微鏡であるSNOAMを搭載して機能を拡張したものを受注し、また、これに関する作業を行ったことを確認する書類に過ぎない。

また、乙第3号証は「SNOAM用液中モジュール」の記載がある「受注伝票/受注変更決裁書」であるが、この記載も走査型近接場原子間力顕微鏡であるSNOAM用のモジュールを受注したことを確認する書類に過ぎない。

(エ)取扱説明書(乙第5号証)の目次において、「SNOMAの測定原理」との誤記が存在する。商取引の常識から考えて、3,000万円を超える高額且つ精密な機器の取扱説明書の目次に誤記が存在すること自体、証拠としての信憑性に疑問を抱かざるを得ない。

更に、被請求人は取扱説明書全文を証拠として提出することなく、表紙、目次、概要、ご注意のページのみを証拠として提出し「SNOAMの測定原理」「SNOAM測定方法」などのページを提出していない。

加えて、「警告ラベルの位置」とのタイトルが付された写真の写しは、何を対象としたものであるのか、何を主張・立証しようと意図しているのか全く不明であり、本件商標の使用証拠には成り得ないものである。

(オ)以上述べたとおり、提出されている各乙号証は、いずれも本件商標が使用されている事実を示すものではない。

第3 被請求人の主張

被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のとおり述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第9号証を提出した。

(1)本件商標は現在使用している商標に係わるものであるので、本件審判請求には承服できない。

(2)本件商標は、第3頁に2003年度の「日本応用磁気学会論文賞受賞」の記載があることから、少なくとも2003年には発行され、第13頁右中段に「倒立型SNOAMシステム」の標記が記載されたカタログ(乙第1号証)、あるいは2004年3月9日の日付が記載された取扱説明書(乙第5号証)、2003年4月23日の作業確認書(乙第4号証)、2002年10月29日付けの受注伝票(乙第2号証)、2004年6月10日付けの受注伝票(乙第3号証)から明らかなように、「理化学機械器具、測定機械器具、電気磁気測定器、光学器械器具、電子応用機械器具及びその部品」につき、継続的に使用されていることは明らかである。

第4 当審の判断

(1)請求人は、本件審判において、使用に係る商品が請求に係る指定商品中の「電子応用機械器具及びその部品」の範疇に属するものであること及び使用の時期が本件審判の請求の登録(平成16年7月7日)前3年以内であることについては、争うことを明らかにしていない。

そうすると、本件審判の争点は、商品「走査型プローブ顕微鏡」に使用される「SNOAM」の表示が、本件登録商標の使用と認められるか否かである。そこで、これについて判断する。

(2)乙第1号証、第4号証及び乙第5号証によれば、以下の事実を認めることができる。

(ア)乙第1号証は、被請求人の発行に係る「走査型プローブ顕微鏡システム」の商品カタログと認められるところ、該カタログの13頁中段右側には、青地に白抜き文字で「倒立型SNOAMシステム」の見出しが記載され、その下段には、「染色体の蛍光観察と分光分析」及び「倒立型顕微鏡にアドオンされたSNOAMシステムにより、蛍光染色させた部位への確実な位置決めができます。」の記載があり、また、写真の下には「倒立型SNOAMユニット」の記載がある。

(イ)乙第4号証は、被請求人が「東北大学」に宛てた2003年4月25日付け「作業確認書」であるところ、その「品目コード」、「品目名」、「数量」、「単位」の各欄には、それぞれ「K−T102802680]、「倒立型顕微鏡型SNOAM[東北大学様向け]」、「1」「式」と記載されている。

(ウ)乙第5号証は、2004年3月9日付けの「倒立顕微鏡型SNOAM取扱説明書」と認められるところ、その取扱説明書中の「目次」の頁には、「2.3 SNOAMユニット」、「5 SNOAMの測定方法」、「6 倒立顕微鏡型SNOAMスペック表」の記載、同「概要」の頁には、「SNOAMモード」の記載及び「警告ラベルの位置」の頁の下段の写真には、「SNOAM」の文字が付されたアダプターBOXが掲載されている。

(3)前記(ア)ないし(ウ)で認定した事実を総合して判断すると、被請求人は、染色体の蛍光観察及び分光分析のため、「倒立型顕微鏡」に、その「追加(付属)機器」である「SNOAM」ユニットを合体させた「倒立型SNOAMシステム」と呼ばれる顕微鏡の機器一式、即ち「走査型プローブ顕微鏡」を販売したことが推認される。

そして、前記の「走査型プローブ顕微鏡」は、被請求人より提出されたカタログ及び取扱説明書の記載内容から判断して、本件商標の指定商品中「電子応用機械器具及びその部品」に含まれる「電子顕微鏡」に属する商品と認め得るものである。

そうすると、被請求人は、本件審判の請求の登録(平成16年7月7日)前3年以内に日本国内において、請求に係る指定商品中の「電子応用機械器具及びその部品」に含まれる「電子顕微鏡」について、本件商標と社会通念上同一の商標を使用していたものといわざるを得ない。

(4)請求人の主張について

(ア)請求人は、乙第1号証ないし乙第5号証の「SNOAM」の表示は、何れも「走査型近接場原子間力顕微鏡」を意味する「Scanning NearField Optical/Atomic Force Microscope」について通用されている普通名称であるにすぎない旨述べ、証拠方法として、甲第2号証及び甲第3号証を提出している。

しかしながら、請求人提出に係るインターネット情報(甲第2号証)をみても、「走査プローブ顕微鏡,SPM」、「走査型近接場超音波顕微鏡,SNAM」等の文字はあるものの、「走査型近接場原子間力顕微鏡」及び「SNOAM」の文字は、一切記載されていない。

また、同インターネット情報(甲第3号証)をみても、請求人に関する記載を除けば、「SNOAM(近接場光学顕微鏡)」、「走査型近視野原子間力顕微鏡(SNOAM)」、「各種生物用顕微鏡SNOAM、AFM,紫外正立・倒立、実体など)」の不統一な意味合いの記載しかなく、これらの書証をもってしては、「SNOAM」の文字が、「走査型近接場原子間力顕微鏡」を表す普通名称として、この種業界において普遍的に理解され認識されていたものと認めることはできない。

(イ)また、請求人は、乙第5号証の「取扱説明書」の目次には、「SNOMAの測定原理」との誤記が存在する。高額且つ精密な機器の取扱説明書の目次に誤記が存在すること自体、証拠としての信憑性に疑問を抱かざるを得ない旨述べている。

しかしながら、該誤記は、本来「SNOAMの測定原理」と記載すべきであった単純な誤記と認めるのが相当であり、これをもって、該「取扱説明書」が全く信憑性のないものとは認め難く、また、これを覆すに足る客観的証拠も見出せない。

したがって、上記請求人の主張は、いずれも採用することができない。

(5)むすび

以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者が本件請求に係る指定商品中の「電子応用機械器具及びその部品」に含まれる「電子顕微鏡」について、本件商標と社会通念上同一の商標を使用していたことを証明したと認め得るところである。

したがって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により、取り消すべきものではない。

よって、結論のとおり審決する。

Next Action

次の一手につながるサービス

類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。

次の一歩へ

商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。