Trademark Appeal Case
記述的結合商標の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2001−6265(T2001−6265/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第42類に属する願書記載の役務を指定役務として、平成11年12月10日に登録出願されたものであるが、その後、指定役務については、同13年1月29日付けの手続補正書により、第42類「朝鮮料理の提供」と補正されたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『元祖』の文字と『全州式』の文字を二段に書し、その右側に『石焼ビビムパ本舗』(「ム」の文字は小さく表されている)の文字を書してなるところ、これをその指定役務との関係においてみると、『元祖』の文字は、『ある料理等を初めて提供したこと』、すなわち役務の質を誇示するものとしてしばしば採択使用されているところであり、又、『全州式』の文字は『韓国全羅北道の道都である全州で行われている調理方法』の意を表したと認識されるものであり、さらに、『石焼ビビムパ本舗」の文字は、『朝鮮料理の一である「ビビムパ」を石の器に入れ焼きあげた料理を提供する店』の意を表したと認識されるので、これらの文字全体からは、『韓国の全州で行われている調理方法で調理した石焼きビビムパを初めて提供した店』ていどの意味合いを表したと理解、把握されるにすぎないものであるから、これをその指定役務中の『朝鮮料理の提供』に使用した場合、該商標に接する需要者は、単に役務の質、提供の場所を表示したと認識するにすぎず、自他役務の識別標識としての機能を果たすものとは認められない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるので、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
本願商標は、別掲の構成のとおり「元祖」及び「全州式」の文字を上下二段に書し、その右横に「石焼ビビムパ本舗」(「ム」の文字は小さく表されている)の文字を大きく書したものであり、それぞれの文字構成は、視覚上、分離して看取し得るものであって、「元祖」と「全州式」及び「石焼ビビムパ本舗」の三つの語を結合させてなるものであることを容易に理解させるものである。
次に、本願商標を構成する「元祖」、「全州式」及び「石焼ビビムパ本舗」の各文字(語)についてみるに、「元祖」の文字は、「家系の最初の人。ある物事を初めてしだした人。創始者。」(広辞苑第五版)の意味を有し、飲食物関連の分野においては、「元祖○○○ラーメン」、「元祖○○○そば」のように普通に用いられている語である。また、「全州式」の文字は、その文字部分中「全州」の文字部分が「韓国南西部の都市。(チョンジュ)」(広辞苑第五版)を理解させ、「式」の語が、「一定の体裁または形状。また、標準となるやり方・作法。規定。式目」等の意味を有し、「韓国式」、「中国式」等のように、地域名や他の語と組み合わせて結合して使用されるものであるところから、「全州式」の文字(語)からは、「韓国の全州地域のやり方」程の意味合いを理解させるものである。そして、「石焼ビビムパ本舗」の文字は、「石焼ビビムパ」の文字部分が、高温に熱された石鍋にご飯を入れ、その上にナムルや挽肉、卵などを乗っけてかき混ぜて食べる韓国の代表的な料理を理解させるものであり、また、「本舗」の文字が、「本店。特定商品を製造販売する大元の店。」の意味を有し、例えば、ラーメンやうどん等の飲食物を提供する店名として「○○○ラーメン本舗」、「○○○うどん本舗」等のように使用されており、「石焼ビビムパを提供する大元の店」の意味合いを容易に理解させるものである。
さらに、本願商標の指定役務は、「朝鮮料理の提供」であり、これには「石焼ビビムパを主とする飲食物の提供」も含まれるところ、この「石焼ビビムパ」の語は、「石焼ビビンバ」の語と同義であり、「現代用語の基礎知識2005 別冊付録」(発行 自由国民社)によれば、「石焼きビビンバは、ソウルにあるレストラン『全州中央会館』社長のナムグン(南宮)氏が1970年代に開発したもの。」との記載が認められる。
また、以下に示したインターネット上のホームページの他、多数のホームページにおける韓国料理を提供する店の紹介記事中に、「元祖石焼ビビンバ」、「全州式」の文字が採択・使用されている事例が認められる。
(1)レストラン「韓国料理YUUJIN」の紹介記事中のメニュー欄に「元祖石焼ビビンバ980円」の記述(http://r.gnavi.co.jp/f057800/menu3.htm)
(2)レストラン「韓国料理ジンジュ」の紹介記事中のメニュー欄に「元祖石焼ビビンバ 880円」の記述(http://r.gnavi.co.jp/f061100/menu4.htm)
(3)焼肉店「高麗館(焼き肉)」の紹介記事中の「●元祖!石焼ビビンバは伝統の味。高麗館は、オープン当時から、伝統の石焼ビビンバを皆様に提供してきました。」の記述(http://www.citydo.com/prf/chiba/guide/sg/270000608.html)
(4)焼肉店「ききょう亭」の紹介記事中の「寛げるインテリアの中、最高級黒毛和牛と元祖石焼ビビンバが味わえる」の記述(http://denentoshi.com/shop/kikyoutei/)
(5)焼肉店「陽山道上野広小路店」を紹介する記事中のメニューの欄に「石焼ビビンバ(全州式)1260円」の記述(http://www.gurupita.com/clients/0002092652/menu)
(6)グルメSHOPガイドを紹介する記事中の「千歳夜噺」のメニューの欄に「全州式辛口石焼ビビンバ・・・714円(税込)」の記述(http://www.tsuiteru.com/gourmet/shop/menu03.php?shop_id=170093274menu_no=4)
(7)焼き肉レストラン「kaya」の紹介記事中のお勧めメニューの欄に「石焼ビピンバ 全州式本場の石焼。コッチジャンが最高。とても人気のある1品です。¥880」記述(http://www5e.biglobe.ne.jp/~KAYA/Menus.html)
このように、韓国料理や焼肉を提供する店においては、韓国の代表的な料理の一つである「石焼ビビムパ」が提供されており、「元祖石焼ビビンバ」及び「全州式」の語も普通に使用されている状況にある。
以上のことからすると、「元祖 全州式 石焼ビビムパ本舗」の文字は、これを構成する各文字の意味合いとが相俟って、全体として、「韓国全州式の創始者による石焼ビビムパを提供する大元の店」程の意味を有する語として一般に理解されるものと考えられる。
ところで、商標法第3条第1項第3号は、自他商品又は自他役務の識別標識としての機能を果たし得ない商標として、役務の提供の場所、質、提供の方法等を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものを例示的に列挙しているところ、同号の「提供の場所」を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標は、当該指定役務が提供されているであろうと一般的に認識されている地域、土地を表示するものにすぎず、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないとともに、特定人による独占的使用を認めるのを公益上適当としないものであるから、商標登録が許されないものである。
そして、当該指定役務が提供されているであろうと一般的に認識されているような場所、店舗等を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標(例えば、指定役務が、そばの提供についての「蕎麦屋」、すしの提供についての「寿司屋」など)も、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないとともに、特定人による独占的使用を認めるのを公益上適当としないものであるから、「提供の場所」に準じて商標登録が許されないものである。
これを本件についてみるに、本願商標は、「元祖 全州式 石焼ビビムパ本舗」の文字構成よりなるものであって、これが「韓国全州式の創始者による石焼ビビムパを提供する大元の店」程の意味合いをもって理解されることは上述したとおりであり、加えて、韓国(朝鮮)料理を提供する店において、韓国の代表的な料理の一つである「石焼ビビムパ」が提供されているほか、「石焼ビビンバ」を提供する専門店の存在や店の看板やメニュー等に「石焼ビビンバ」の文字が採用されているといった状況に照らすと、本願商標をその指定役務に使用した場合には、これに接する取引者、需要者が、前記意味合いの「石焼ビビムパ」の提供の場所を理解するものと認めるのが相当であり、本願商標は、自他役務の識別標識として機能し得ないといわざるを得ない。
なお、請求人はいくつかの登録例を示して、本願商標が自他役務の識別力を有する旨主張しているが、当該登録商標例は、いずれも本願商標とはその構成態様が相違するものであって、また、出願された商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かは、当該商標の査定時又は審決時において、その商標が使用される役務等の取引の実情等を考慮し、個別具体的に判断されるものであり、請求人の挙げた登録商標例があるからといって、本願商標を構成する「元祖 全州式 石焼ビビムパ本舗」の文字が造語として認められるべきであると直ちにいうことはできないものである。そして、本願商標が、役務の提供の場所、質を表示するものであって、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないことは上述したとおりであり、請求人の挙げた商標登録例の存在によってその認定は左右されないから、請求人のかかる主張は採用することができない。
したがって、本願商標を商標法第3条第1項第3号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当なものであって取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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