Trademark Appeal Case
著名商標と結合商標の混同
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成10年異議第92029号 |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | other |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4163578号商標(以下、「本件商標」という。)は、平成8年11月13日登録出願され、別紙に示すとおり、「ROYAL UMRRO」の欧文字よりなり、第18類「かばん類,袋物,傘」を指定商品として、平成10年7月10日に設定の登録がされたものである。
2 登録異議の申立ての理由
本件商標は、登録異議申立人(「アムブロ・インターナショナル・ジエ・ブイ」及び「株式会社デサント」)(以下、「申立人等」という。)の引用に係る商標、すなわち、平成7年9月28日に登録出願され、別紙に示したとおりの構成よりなり、商品の区分第18類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成9年8月1日に設定登録された登録第4036546号商標(以下、「引用商標」という。)と類似する商標であり、かつ、引用商標中の「UMBRO」の文字は申立人等の取り扱いに係る商品「スポーツウエアー、スポーツシューズ」等を表示する商標として取引者・需要者の間に広く認識されている著名な商標であって、本件商標をその指定商品に使用するときは、申立人等又は申立人等と何らかの契約関係にある者の業務に係る商品であるかの如く、その出所について混同を生ずるおそれがあるから、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当する。
したがって、本件商標の登録は取り消されるべきである。
3 本件商標に対する取消理由
本件登録異議の申立てがあった結果、本件商標を商標法第4条第1項第第15号に該当するものとして商標権者に対して通知した取消理由は、つぎのとおりである。
〈取消理由〉
登録異議申立人「アムブロ・インターナショナル・ジエ・ブイ」及び「株式会社デサント」(以下、申立人等」という。)の提出に係る甲号各証によれば、申立人等は、世界各国のサッカーの代表チームとサプライ契約を結び、各国の代表チームがワールドカップ等のサッカーの国際大会に「UMBRO」の商標が付されたユニフォーム等を着用して出場することを通じて、長年にわたり「UMBRO」の商標の広告宣伝活動をした結果、その使用に係る「UMBRO」或いは「umbro」の商標は、申立人等の業務に係る「スポーツウェアー、スポーツシューズ、バッグ類などのスポーツ関連商品」の商標として、本件商標の登録出願前から取引者・需要者の間において広く知られていたものであることを認めることができる。
しかして、本件商標は、その構成中の「ROYAL」の語が「堂々とした、りっぱな、すばらしい」等の語義を有する形容詞であるところから、これに続く「UMBRO」の語に強い出所表示力を有するものとみるのが相当である。
してみれば、商標権者が本件商標をその指定商品について使用するときは、それらの商品がいずれも申立人等の業務に係る商品と関連を有する商品であるところから、これに接する取引者・需要者は、申立人等の著名な商標である「UMBRO」の文字部分に注意を惹かれ、申立人等又は申立人等と何等かの関連を有する者の業務に係る商品であるかの如く、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものといわなければならない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第第15号に違反して登録されたものである。
4 商標権者の意見
上記3の取消理由通知に対して、商標権者は、その意見を要旨つぎのように述べた。
(1)「UMBRO」商標の広告宣伝について
取消理由通知では、「UMBRO」商標は広告宣伝活動の結果、取引者・需要者に広く知られているとあるが、一般的に広告業界で広く知られているとは、▲1▼その商標がついている商品がどの位販売されているか、▲2▼その商標の普及のためにどの位の宣伝費を投入したか、で判断される。
▲1▼そこで、「スポーツ産業年鑑’97」(株式会社スポーツ産業研究所発行)の1995年の統計資料によると、その年のスポーツウェアの年間販売額は約8000億円、スポーツシューズの販売額は約3100億円であり、合計すると1兆1100億円となる。これに対し「UMBRO」の商品の販売は、1996年以前、最大でも年間約15〜20億であった(10年前は2〜3億円)。これは数多くのブランドが存在する中で、このように、わずかな売り上げの商品の商標が広く知られている商標とは言わない。
▲2▼どの位の宣伝費が継続的に投入されたかについては、申立人の証拠は、雑誌社が記事として掲載したものであって、「UMBRO」そのもの或いは代理店が広告として掲載したものでない(一部を除き)。雑誌の数は、サッカーのみでも、5〜6誌あり、週間雑誌がその多くである、年間52週のうち数回、記事が掲載され、僅かな広告を掲載しても、それで商標が広く知れ渡り、周知性が広がると考えたらあまりにも認識が甘い、業界常識では考えられないことである。
また、カタログを証拠として挙げているが、カタログを発行したから、広告宣伝活動を実践してきたと言うことであるなら、余りにも認識が甘い、市場への宣伝ですら、少ないのでは一般常識として、全く価値がないとされている。
(2)「UMBRO」の語の出所表示力について
商標権者が意見書で挙げた登録例から判断すると、本件商標「ROYAL UMBRO」は、「ROYAL」と「UMBRO」の二つの文字商標からなる結合商標で、決して、切り離して成るものではなく、一体不可分に結合し、登録出願したものであり、特許庁により許可されたものである。わが国の登録例をもってすれば、「ROYAL」は単なる形容詞の扱いではなく出所表示力ある語と判断できる。
以上のとおり、本件の取消理由通知の再考と、本件商標の登録維持を求めるものである。
5 当審の判断
本件商標についてした先の取消理由は妥当なものであって、その認定の誤りを述べる商標権者の意見は、以下の理由により、採用することができない。
本件商標は、その構成別紙に示すとおり、「ROYAL UMBRO」の文字よりなるところ、登録異議申立人である「アンブロ・インターナショナル・ジエ・ブイ」(以下、「アンブロ社」という。)及び「株式会社デサント」(以下、申立人二社を「申立人等」という。)の提出に係る甲各号証によれば、アンブロ社の前身は1920年代の創業に係る会社であって、当時より同人が一貫してその業務に係るスポーツウェアー、スポーツシューズ、バッグ類などのスポーツ関連商品について使用する「UMBRO」又は「umbro」商標(以下、「使用商標」という。)は、本件商標に係る登録出願前において、株式会社スズキスポーツ、株式会社アクロス等のスポーツ用品関連事業者により反復継続してわが国に輸入され販売されていたことが認められる。そして、これらスポーツ用品は、わが国の各種スポーツ雑誌(特に、サッカー関連雑誌)において反復広告・宣伝されていたことが認められる。
また、特に、アンブロ社とサプライ契約を結んだ各国のサッカー代表チームがワールドカップなどの国際大会において、使用商標を付したユニフォームを着用して出場したこと、さらには、これがテレビジョン放映されるなどした状況よりみて、使用商標は、スポーツ関連の業界ないしは同関連用品の取引者・需要者の間において、広く認識せられるに至ったものであることを推認するのに十分である。
この点は、例えば、1994年にワールドカップがアメリカの9都市で開催され、或いは、その前年の1993年5月には、わが国においても参加10チームによるJリーグ(日本プロフットボールリーグ)第1回リーグ戦が開始され、さらには、1996年5月、2002年ワールドカップの開催予定が日本・韓国の共同開催とする旨決定されるなど、昨今のわが国社会一般のプロサッカーへの関心の急速な高まりといわゆるサッカー人口の急激な増加状況等の客観情勢に照らし相当といわなければならない。
なお、平成10年に至って、申立人の一人である株式会社デサントがアンブロ社に係る使用商標ないしは同関連商標のわが国における権利取得を図って後は、前記各商品は専ら同人によりその国内販売が行われている状況が認められる。
しかして、本件商標は、前記構成よりなるところ、これよりは、全体として特定の意味合いを表現し得る熟語的文字とはいい難く、むしろ、「ROYAL」、「UMBRO」の各文字の結合よりなるものと容易に認識し得るものであり、加えて、前半の「ROYAL」の文字部分は先の取消理由に示す如く、他の語の前にあって、修飾語的意味合いの語として容易に看取し得るものであり、加えて、構成中の「UMBRO」の文字部分は、アンブロ社の創業者名に由来する独創的な文字構成ともいうべき使用商標(「UMBRO」又は「umbro」)と同一の綴字と認められる。
さらに、申立人等の業務に係るスポーツウェアー、スポーツシューズ、バッグ類などのスポーツ関連商品と本件商標の指定商品(「かばん類,袋物,傘」)とは、その原材料、用途及び需要者の範囲等を共通にし、かつ、共にファッション性を有する商品であるという点で、密接に関連する商品といえるものである。
そうすると、本件商標をその指定商品について使用した場合、これに接する取引者・需要者は、前記事情よりして、「UMBRO」の部分に注意を惹かれ、その商品が申立人等ないしは申立人等と事業上何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、商品の出所について混同を生ずるおそれが少なからずあると判断するのが相当である。
商標権者は、前記4の意見書において、申立人等の商標を付した商品の販売高、その広告・宣伝の実績及び「ROYAL」の語の出所表示力等に関して種々述べているが、前記認定のとおり、わが国プロサッカーの興隆事情に照らし、使用商標の著名性は、本件商標の登録出願時すでにわが国スポーツ関連の業界ないしは同関連用品の取引者・需要者間に広く及んでいたことを十分推認させるものであるから、その主張は採用することができない。そして、ほかに、この認定を覆すに足りる証左は見出せない。
してみれば、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものといわざるを得ないから、その登録は、同法第43条の3第2項の規定により・取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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