結論テキスト
審判費用は、被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 平成10年審判第30755号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第2423633号商標(以下、「本件商標」という)は、「DENT」の文字を上段に、「デント」の文字を下段に書してなり、旧第11類「電気機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械器具、電気材料」を指定商品として、昭和60年6月24日に登録出願され、平成4年6月30日に登録されたものである。
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由を要旨以下のように述べた。
(1)本件商標は、継続して3年以上日本国内において、商標権者(又は通常使用権者)によって指定商品中「電子応用機械器具」については一度も使用された事実が存在しないから、商標法第50条第1項の規定により取消されるべきである。
(2)被請求人は、本件商標が「電子応用式口腔用給水吸引機」について使用しているとし、これはコンピュータを構造上その本質的な要素としているから「電子応用機械器具」に属する旨述べている。
確かに被請求人の製品はコンピュータを利用しているため電子の作用を応用していることは認められるが、請求人提出の乙第7号証(特許庁商標課編「商品及び役務区分解説[改訂第3版])からも明らかなように医療用のものは「電子応用機械器具」の概念から除かれる。
この点について、被請求人は本件商品は「施設・病院・訪問診療用」であり、必ずしも「病院・診療用」に限られるものでもなく、また「医療用機械器具」の下位概念のいずれにも−該当しない旨主張するが、商品及び役務区分解説で言う「医院または病院で専ら使用される」を医院や病院といった場所に着目して解釈するべきではない。商品の分類の基準として用途主義が採用される以上、本件商品がいずれの商品区分に属するかは、あくまでもその商品の目的・用途の観点から判断すべきだからである。
そこで本件商品の用途を見てみると、乙第1号証等の書証の記載や被請求人自身が「本件商品は(中略)要介助者の口腔洗浄ができるように設計された装置である。」と述べていることから判断して、その用途は口腔洗浄により要介護者の口腔内を清潔に保ち誤嚥性等の全身疾患を防止することにあると言える。
また、被請求人は「本件商品の使用者は、医師や看護婦等の指導管理下であれば、有資格者に限定されるものではない。」旨述べ、本件商品が医療用でないことを主張する。しかし、医師等の有資格者の指導、管理が強制される(乙第3号証取扱説明書第5項)ということは、本件商品が医療用に使用されるという何よりの証拠である。
以上のことを考慮するなら、本件商品の用途は口腔洗浄により要介護者の口腔内を清潔に保ち誤嚥性等の全身疾患の防止という治療目的であり、本件商品は「治療用機械器具」、その中でも「洗浄器具」の概念に含まれるものであるといえる。
被請求人は、「本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求める。」と答弁し、その理由を要旨以下のように述べるとともに、証拠方法として、乙第1号証ないし同第7号証を提出した。
(1)被請求人は、本件商標をその指定商品中「電子応用式口腔用給水吸引機」について使用している。
乙第1号証として商品パンフレットを提出する。パンフレット裏面下欄に記載のように、本パンフレットの印刷年月は1997年(平成9年)9月であり、本件審判請求前の使用の事実を立証するものである。 !
また乙第2号証として、本パンフレットの納品書(写)を提出する。納品書の日付は平成9年9月20日であり、パンフレット裏面の記載と一致している。
(2)本件商標中、英文字「DENT」は乙第1号証パンフレット左上部に表示されて居り、片仮名文字「デント」はパンフレット上部中央と説明文中に使用されている。
また英文字「DENT」は、パンフレットに掲載された商品現物の写真から分かるように、直接商品自体にも表示されている。
(3)本件商標が使用される商品「電子応用式口腔用給水吸引機」を説明するため、乙第3号証として「取扱説明書」を、乙第5号証として「ザービスマニュアル」を提出する。
なお乙第4号証は乙第3号証取扱説明書の物品受領書であり、平成9年9月18日の日付がある。なお納品先の中島電機は、本件商品の依託組立先である。
乙第6号証は乙第5号証サービスマニュアルの納品書であり、平成10年4月8日の日付がある。
本件商品「電子応用式口腔用給水吸引機」は、寝たきり老人や病人など介助を必要とする人のための口腔ケア用機器であり、口腔内洗浄時に使用する給水量、外に排出されるべき汚れた水や唾液の吸水量とを内蔵されたマイクロコンピュータにより制御し、介助者なら誰でも容易かつ適確に要介助者の口腔洗浄を行なうことが出来るように設計された装置である。
乙第3号証取扱説明書第7頁に写真が掲載されているように、本件商品は給水吸引機本体と給吸替ブラシ、電動歯ブラシ本体、給水ボトル、吸引ボトル、液体歯磨きなどの附属品により構成されて居り、給水吸引機本体が主要な商品であることが理解される。
このことは取扱説明書第4頁下欄に「本製品はマイクロコンピュータによって制御しています」との記載から理解されるし、また乙第5号証サービスマニュアル最終頁に掲載された展開図に「PCB」、つまり「printed circuit board(プリント回路基板)」の位置が図示されていることからも理解される。
以上のように、本件商品「口腔用給水吸引機」はコンピュータを構造上その本質的な要素としているものであるが、乙第7号証65頁に、「電子応用機械機具」とは「電子の作用を応用したもので、その機械機具の機能の本質的な要素としているものだけが含まれる」と解説されているように、本件商品は正に「電子応用機械機具」ということになる。
またこの説明に続いて、医療用のものは除かれ、第10類「医療用機械機具」に含まれると記載されている。
しかし、第71頁の解説では、「医療用機械機具」とは「医院又ぱ病院で専ら使用される機械機具がこの概念に属する」とあるが、乙第1号証パンフレット右上部に「施設・病院・訪問診療用」とあるように、本件商品は必ずしも「病院・診療用」に限られるものでもないし、「医療用機械機具」の下位概念の「診断用・手術用・治療用・病院用・歯科用・獣医科用の機械機具」のいずれでもなく、これらに続く「医療用の補助器具及び矯正器具」に属するものでもない。
さらに本件商品の使用者は、乙第3号証取扱説明書第5頁に記載のように、医師や看護婦等が望ましいものの、その指導管理下であれば、医師、看護婦等の有資格者等に限定されるものでもない。
なお乙第7号証「区分解説」第72頁の「医療用の補助器具及び矯正器具」の説明に「医師の指導で使用される‘‘器具器械的なもの‘‘に限られる」と、本件商品が恰もこれに該当するかのような記載があるが、商品分類で例示されている「医療用の補助器具及び矯正器具」とは「医療用サポーター、義眼、椎骨矯正器、補聴器」などであり、本件商品がこのような「器具器械」でないことは明らかであるし、むしろコンピ ュータを応用した電子装置であるのであるから、第10類の「医療用の補助器具及び矯正器具」に該当するものではない。
勿論「歯ブラシ」自体ではないので第3類(旧第4類)に属する商品でもないし、単なる「電動歯ブラシ」ではないの で第21類(旧第11類)「民生用機械機具」に属するものではない。
そうすると、消極的に判断しても本件商品は「電子応用機械器具」という以外ないことになる。
(4)以上のように、本件商標は、本件審判請求日より3年以内に、その指定商品中「電子応用機械器具」に属する「電子応用式口腔給水吸引機」に使用されていたものである。
被請求人が提出した各乙号証を総合して検討すれば、被請求人が本件商標を使用していると主張する商品「電子応用式口腔用給水吸引機」(以下、「使用商品」という)は、日常生活において介助を必要とする者の起居・動作を助ける者(介助者)が使用する、給水・吸引機能が付いた、被介助者の口腔内の洗浄・衛生保持のための機械器具であると判断されるものである。
しかして、同乙号証によれば、この使用商品に関して、次の記載が認められる。
▲1▼.「本製品はマイクロコンピュータによって制御しています。」(乙第3号証4頁)
▲2▼.部品覧に「PCB」(printed circuit b oard(プリント回路基板)の略と認め得る)との記載と、その使用位置が示された図説の表示(乙第5号証最終頁)。
▲3▼.「デント・エラック給吸ブラシ910は、全介助を必要とする人の口腔ケアを目的として、施設、病院、訪問診療等でご使用いただく製品です。」(乙第1号証第一葉)
▲4▼.「施設・病院・訪問診療向け/【全介助者用口腔ケアシステム】」(乙第3号証第一葉)
▲5▼.「1.安全上の注意」「危険事項」「警告事項]「注意事項」「禁止事項」「強制事項」の項目とこれに対応した説明文(乙第3号証2頁の目次および3頁)。
▲6▼.「危険 誤った取扱をすると、人が死亡または重傷を負う危険が差し迫って生じることが想定される内容を示します。」「警告 誤った取扱をすると、人が死亡または重傷を負う可能性が想定される内容を示します。」(乙第3号証3頁)
▲7▼.「!強制/▲1▼本製品は歯科医師、医師、歯科衛生士、看護婦の有資格者、あるいは有資格者の指導管理下にある方が使用してください。」(乙第3号証5頁)これらによれば、使用商品を作用的・機能的にみれば、電子の作用を応用した機械器具ということができるものであるが、これを目的・用途・需要者(使用者)の面からみたときには、自ら口腔を清潔に保つことができない、お年寄りや病人やなど、介助や介護を必要どする者の口腔内を清潔にする機械器具ということもできるものである。
しかして、使用商品に関しては、前記の▲6▼、▲7▼などにみられるような注意喚起などがされており、さらに、使用商品が、専ら、医師や看護婦などの医療知識を有する専門家、あるいは、これらの者の指導・管理を受ける者によって使用されるものであることから、使用商品は、一般の需要者によって日常生活において普通に使用される器具類とみることはできないものというべきである。
そうとすれば、使用商品に電子回路が組み込まれ、それがマイクロコンピュータとして作用し、機能することがあっても、使用商品は、この面が重視される商品とみるよりも、その目的・用途・需要者(使用者)に重きがおかれる商品とみるべきである。
してみると、使用商品は、被介助者の口腔内の清潔を保つために、医療の専門家、あるいは、その指導・監督を受ける者によって使用される機械器具と認められることから、これは、「医療用機械器具」に属する商品というのが相当である。
そして、本件商標が出願された時点に施行されていた商標法施行令によれば、本件商標の指定商品中の「電子応用機械器具」は、「医療用機械器具に属するものを除く」とされていることから、使用商品が「電子応用機械器具(医療用機械器具に属するものを除く。)」に属する商品ということはできないものというべきである。
してみれば、被請求人が提出した証拠方法によっては、本件商標が、本件取消審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件審判請求に係る商品「電子応用機械器具」について使用されていたと認めることができないものである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により、その指定商品中「電子応用機械器具」についての登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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