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Trademark Appeal Case

政府刊行物「白書」の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2003−17344(T2003−17344/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、「不動産白書」の文字を標準文字で書してなり、第16類「年鑑」を指定商品として、平成14年8月30日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶理由の要旨

本願商標は、「不動産白書」の文字よりなるところ、「白書」の文字が付された刊行物は、政府刊行物として、一般国民に認識されているから、これを出願人が商標として採択使用することは穏当でない。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する旨、認定・判断して、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断

本願商標は、前記のとおり「不動産白書」の文字よりなるものであるところ、「民法上、土地およびその定着物(建物・立木など)のこと。」の意味を有する「不動産」の文字と「[white paper の訳語。もとイギリス政府が外交報告書の表紙に白紙を用いたからいう] 政府の公式の調査報告書。日本では1947年片山内閣以来使用。」の意味(いずれも株式会社岩波書店発行 広辞苑第五版)を有する「白書」の文字とを結合したものと認められる。

ところで、その構成中「白書」の文字についてみると、前記広辞苑以外に、「[英国政府の報告書が白い表紙をつけ、white paperと呼ばれるところから]政府が、外交、経済など各分野の現状を明らかにし、将来の政策を述べるために発表する報告書。」(株式会社三省堂発行 大辞林)との記載、「政府各省が直面する課題と現状を研究・調査の報告書として提出されるのが白書」(朝日新聞社発行 知恵蔵1999)との記載、「白書は、政府が国政の各分野の現状と課題をひとまとめにして報告書の形で広く国民に提示する公文書であり、主管府省で調製され、閣議の了解を得て公表され市販される。外交青書(外務省)、防衛白書(防衛庁)、犯罪白書(法務省)など30数種類発行されている。」(株式会社集英社発行 imidas2005」との記載が認められる。

また、独立行政法人国立印刷局のインターネットのホームページ内の「白書案内」(http://www.npb.go.jp/ja/books/whitepaper/)をみると、「白書とは」の見出しのもと「白書とは、もともとイギリス政府の公式報告書のことをさし、報告書の表紙が白いので、White Paper と呼ばれたことから、白書という言葉が生まれました。・・・白い表紙なのでありのままの、ガラス張りの報告書というように意味づけられる場合もあります。一般的には、政府の実情報告書と解釈されています。」との記載、「白書のあゆみ」の見出しのもと「昭和22年7月、「経済実相報告書」という題で、わが国初の白書が発表されました。・・・しかし、どんなものでも安易に白書という名がつけられるようになると、一つの省から重複していくつもの白書が出されたり、白書ごとに違った展望が述べられたり、じゅうぶんな分析がなされない内容にただ売らんがために白書という題名をつけるものなど、いろいろな弊害が出てきましたので、昭和38年10月24日『政府刊行物(白書類)の取扱いについて』という事務次官等会議申合わせが行われ、現在に至っています。」との記載、「国立印刷局発行白書一覧」の見出しのある同ホームページ(http://www.npb.go.jp/ja/books/whitepaper/list.html)では「土地白書/国土交通省/2004年7月発行」等の記載、「白書のあらまし」の見出しのある同ホームページ(http://www.npb.go.jp/ja/books/whitepaper/aramashi.html)では「各省庁から提出された白書が正式発表された後、担当省庁の執筆者がその概要を平易に解説した『白書のあらまし』が官報資料版に掲載されます。」との記載及び「No1/国土交通白書」から「No50/少子化白書」の白書名の表が認められます。

そうすると、「白書」は、昭和22年以降、中央省庁が編集する政府刊行物の名称に用いられ、昭和38年以降は、事務次官等会議申合せによって、名称に「白書」の文字を付し得る政府刊行物が限定される等、その名称管理がなされており、現在においては、政治・経済・社会の実態及び政府の施策の現状について、国民に周知させることを目的とする、報告書的な内容の「白書」が発行されているところ、わが国で刊行されている辞書、用語辞典類には、「白書」の語について、このような政府刊行物としての性格が概ね正確に掲記されていることが認められ、これらの事実に鑑みれば、「白書」の文字が付された刊行物は、一般に、そのような報告書的な内容の政府刊行物として、一般国民に認識され、かつ、編集の主体がこのように各中央省庁であることに由来して、その内容についての信頼性を形成しているものと認めることができる。

してみれば、本願商標は、「不動産に関する白書」であることを容易に理解するものとするのが相当であり、また、不動産の一つである土地について、国土交通省が「土地白書」を発行している事実からも、これをその指定商品に使用した場合、政府刊行物としての「白書」に対する一般国民の信頼性を損なうものであって、取引者、需要者は、政府発行の刊行物であるかのように誤認するおそれがあり、ひいては商取引の秩序を乱し、また、社会公共の利益を害することになるといわざるを得ない。

なお、請求人(出願人)は、1997年より「不動産に関する豊富なデータをベースに、様々な角度から実地した分析・考察をより精緻に編集した年鑑」を発行し、以来、政府刊行物と誤認された事実がない。また、請求人(出願人)の発行に係るものと需要者間に広く知られていること、及び政府刊行物とは別の販売経路により取引されるところからも政府刊行物と誤認されるおそればない旨述べている。

しかしながら、請求人(出願人)が本願商標を年鑑について使用されていることは認められるとしても、たとえば、「かんぽう/官報:政府刊行物」(株式会社かんぽう)のホームページの「7月の新刊リスト」(http://www.k-service.jp/ordermade/HPinformation/shinkan7m.htm)をみると政府刊行物と一緒に「不動産白書」が記載されていることが認められ、政府刊行物と該年鑑の販売経路が相違するとはいえないので、その主張は採用することができない。また、本願商標については、前記したとおり判断するのが相当である。

さらに、「白書」の文字をその構成中に有する商標登録出願に関して、前記の認定、判断と同様の審決をしたものに対する東京高等裁判所等における平成11(行ケ)第394号審決取消請求事件(審判番号05-16810 商標「企業市民白書」 指定商品第26類「印刷物」)は、平成12年5月8日に請求を棄却する旨の判決が言い渡されているところである。

したがって、本願商標が商標法第4条第1項第7号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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