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Trademark Appeal Case

地名と普通名称の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2003−20421(T2003−20421/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、「江の島温泉」の文字を横書きしてなり、平成13年9月7日に出願された2001年商標登録願第81388号の分割出願(商標法第10条第1項の規定に基づく)として、第42類「宿泊施設の提供,入浴施設の提供」を指定役務として、平成14年8月30日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由

原査定は、「本願商標は、『神奈川県江ノ島にある温泉』の意味を認識させる『江の島温泉』の文字を普通に用いられる方法で書してなるものであるから、これを指定する役務の『宿泊施設の提供,入浴施設の提供』について使用するときは、『神奈川県江ノ島にある温泉を利用した宿泊施設の提供,神奈川県江ノ島にある温泉を利用した入浴施設の提供』の意味合いを認識させるにとどまり、単にその役務の内容(質)あるいは提供の場所を表示してなるにすぎず、自他役務の識別標識としての機能を有しないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断して、本願を拒絶したものである。

3 当審において通知した審尋

当審において、本願商標について改めて証拠調べを行った結果、本願商標をなお、商標法第3条第1項第3号に該当すべきものとする新たな証拠を発見したので、商標法第56条において準用する特許法第150条の規定により、請求人に対し、期間を指定して意見を述べる機会を与えて通知した審尋書の要旨は、以下のとおりである。

本願商標を構成する「江の島温泉」の文字(語)について以下の事実を発見した。

(1)http://www.city.tarumizu.kagoshima.jp/emachi/e03/emachi84.htm

「垂水市e−まちづくり」の見出しの下、「観光・史跡(温泉&旅館)■江の島温泉 ご紹介 泉質:ナトリウム塩化物温泉 効能:慢性皮膚病、慢性婦人病、切り傷など ●朝、早くから地元の常連さんがやって来ます。昔ながらの銭湯で、雰囲気が最高です。自噴の天然温泉はかけ流し式で、看板は「江の島」を目印にお越し下さい。 所在地 〒891-2101鹿児島県垂水市海潟541-1 アクセス 垂水港より北へ車で8分 TEL 0994-32-0765 FAX 0994-32-0508 料金 大人200円 子供100円 営業時間 7:00〜18:30位まで」とする記述がある。

(2)http://www6.ocn.ne.jp/~musashi/hs_kaigata_enoshimaonsen.htm

「江ノ島温泉」の見出しの下、「垂水市海潟にございます 海潟温泉 「江ノ島温泉」。看板は“江之島”ですが温泉成分表には“江ノ島”と記載。浴場は昔の銭湯といった感じで、鄙びた雰囲気が最高です。朝早くから地元の常連さんがやって来る人気の温泉です。自噴の天然温泉は掛け流し式でとても良いお湯でござる。〜略」とする記述がある。

(3)http://2.csx.jp/users/gokujou/O-Enoshima/Enoshima.htm

「江ノ島温泉」の見出しの下、「江ノ島温泉とは共同湯の名称で、垂水市の海潟温泉の中にあります。典型的な裏路地系の温泉で鹿児島では屈指の湯と風情を誇ります。絶対お勧め温泉の一つですので、機会を得られる方は是非ご訪問下さい。江ノ島温泉は海に面した立地で、防波堤のすぐ横にあります。国道からもほとんど離れていませんが四方を民家や旅館に囲まれているため、入り組んだ路地をアプローチして歩いて行くことになります。たどり着く浴舎は意外に新しい外観ですが、外側を張り替えただけで浴槽や浴室は温泉ファンをつかんではなさない風情を醸します。〜略」とする記述がある。

そして、これらにより、「江の島温泉」の文字よりなる本願商標を、その指定役務について使用するときは、全体として「江の島にある又は江の島付近にある温泉」程の意味合いを看取させるにとどまり、単にその役務の質(内容)・提供場所を表示するにすぎないものと認められるから、自他役務の識別標識としての機能を有するものとはいうことができない。

したがって、本願商標を商標法第3条第1項第3号に該当するとした原査定の拒絶の理由は、免れ得ないものである。

4 審尋に対する請求人の回答

請求人は、平成17年8月15日付け回答書をもって、当審が示した上記3の審尋に対し、要旨次のように意見、回答を述べ、反論している。

インターネットのホームページの鹿児島県の垂水市海潟にある「江の島温泉」の記述を根拠として、本願商標「江の島温泉」は「江の島にある温泉」の意味しかないので、役務の提供場所を表示するに過ぎないものと認められるから、自他役務の識別標識の機能がないと説示している。

しかし、このホームページの記載からは、「江の島温泉」は鹿児島県の海潟にあると認識できるだけであって、「江の島」又は「江の島付近」にある温泉だとは何処にも記載がない。にもかかわらず、何故に「江の島温泉」は「江の島にある温泉」の意味しかないから役務の提供場所を表示するに過ぎないという発想が出てくるのか全く理解できないところである。

仮に、「江の島温泉」は「江の島にある温泉」の意味しかないから役務の提供場所を表示するに過ぎないというのであれば、江の島ではない鹿児島の海潟で「江の島温泉」という名称を使用することは、役務の提供場所を誤認させる表示になるから、不正競争行為に該当し、本来、使用してはならない筈のものである。

これに対して、本願の「江の島温泉」は、請求人である株式会社飯田産業が「江の島」で掘り当てた正真正銘の江の島温泉で使用する目的のものであるので、たとえ、「江の島温泉」は「江の島にある温泉」の意味しかないとしても、役務の提供場所を誤認させる表示にはならないばかりでなく、「江の島温泉」は請求人が掘り当てた江の島で唯一の温泉を意味するのであるから、「江の島温泉」が自他役務の識別機能を持つことは明らかである。

5 当審の判断

本願商標について、当審においてした証拠調べ結果に基づく上記3の審尋は、妥当なものであって、その認定の不当性を述べる請求人の主張は以下の理由により、いずれも採用の限りでなく、さきの認定を覆すに足りない。

本願商標は、上記1のとおり「江の島温泉」の文字を横書きしてなるところ、上記3の審尋中のホームページ情報によれば、該文字を名称とする入浴施設が鹿児島県垂水市海潟541−1において提供されている事実がある。

そして、その所在地は、垂水市北部の海潟温泉の中にあり、錦江湾に面した立地で防波堤の先には「江の島」と称する小島が存在することが前記ホームページ情報及びニューエスト鹿児島県都市地図(発行所:株式会社昭文社)により確認することができる。

さらに、我が国においては、原審説示の「神奈川県藤沢市」及び前記審尋中の「鹿児島県垂水市」の属島のほか、例えば「宮城県牡鹿郡女川町」、「千葉県安房郡白浜町」、「山口県長門市」、「愛媛県越智郡上島町」、「長崎県西彼杵郡崎戸町」等の属島が、その島名を「江の島」と称している。

以上よりすれば、「江の島温泉」の文字よりなる本願商標を、その指定役務について使用した場合、これに接する取引者、需要者は、全体として「江の島にある又は江の島付近にある温泉」であること、すなわち、その役務の質(内容)・提供場所を表示したものと理解、把握するにとどまり、自他役務の識別標識とは認識し得ないものと判断するのが相当である。

また、商標法第3条第1項第3号の趣旨は、商品や役務を流通過程又は取引過程に置く場合に必要な表示であるから、何人も使用する必要があり、かつ、何人もその使用を欲するものであるから、一私人に独占を認めるのは妥当ではなく、また、現実に使用され、あるいは、将来一般的に使用されるものであることから、出所識別機能を認めることができないものと解されるものであって、たとえ、請求人が神奈川県藤沢市の属島である江の島で温泉を掘り当てたとしても、本願商標は、前記の趣旨からして、特定人に独占させることが適切ではないものである。

したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当なものであって、取り消すことができない。

なお、請求人は、過去の登録例を挙げて述べるところがあるが、それらは、本件とは事案を異にするものであるから、採用することができない。

よって、結論のとおり審決する。

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