結論テキスト
審判費用は、被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2004−31137(T2004−31137/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第4195925号商標(以下「本件商標」という。)は、「ONE TOUCH」の欧文字と「ワンタッチ」の片仮名文字とを二段に併記してなり、平成9年3月11日に登録出願され、第25類「履物,運動用特殊靴」を指定商品として、同10年10月9日に設定登録されたものである。
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のとおり述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
商標権者は、日本国内において、本件商標を継続して3年以上「履物,運動用特殊靴」について使用していない。また、その商標登録原簿に徴する限り、本件商標に専用使用権あるいは通常使用権が設定、許諾されている事実も見当たらない。
よって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。
(1)被請求人は、株式会社ユニ・スターとの間に交わした本件商標に関する通常使用権設定契約の覚書(乙第1号証)、大同石油株式会社の商品が掲載された全国森林組合連合会の林業資材要覧(乙第4号証)、「ニューワンタッチNS」商品の写真(乙第5号証)、大同石油株式会社の注文書(乙第6号証ないし乙第9号証)等を提示し、本件商標を「履物」について使用していると主張している。
しかしながら、被請求人が提出した証拠によれば、本件商標は、商標権者である被請求人又は通常使用権者である株式会社ユニ・スター(以下、「商標権者等」という。)によって使用されているものではなく、商標法第50条第1項に規定されている主体的要件を満たしていないから、本件商標の使用は立証されていない。
また、被請求人が提出した証拠によれば、「使用標識」と主張している商標は本件商標と社会通念上同一の商標であるとは認められず、本件商標の使用には当たらないものであるから、本件商標の使用は立証されていない。
(2)請求人は、被請求人と株式会社ユニ・スターとの通常使用権設定契約覚書(乙第1号証)を提出しているから、株式会社ユニ・スターが本件商標についての通常使用権者であることについて争うものではない(なお、乙第3号証は本事案とは無関係であるため言及しない)。
しかしながら、上記乙第4号証「林業資材要覧」は、全国森林組合連合会が指定品目としている「林業資材」のカタログであり、その112頁及び113頁は「大同石油株式会社」の商品が掲載されているものである。
してみれば、カタログ(乙第4号証)中の商標の使用者は、被請求人である商標権者でもなく、通常使用権者でもない大同石油株式会社である。
したがって、かかる第三者の商品が掲載されたカタログ(乙第4号証)は、本件商標をその指定商品に使用していても無権原者による登録商標の使用であり、「商標権者等が本件商標を使用していることの証左」したことにならない。
また、被請求人は、答弁書において「通常使用権者である株式会社ユニ・スターがOEM契約先の大同石油株式会社の本件商標を付した商品カタログ」云々と述べ、あたかもOEM契約先が通常使用権者と一体あるいは同一視できるが如く主張しているが、 商標法第50条第1項が登録商標の使用主体として適格性を認めているのは商標権者、専用使用権者、通常使用権者のいずれかであって、OEM契約先までを含むものではない。
したがって、被請求人も自認しているとおり、乙第4号証は無権原者である大同石油株式会社が商品「ノンスリップ林業用たび」等について「ニューワンタッチNS」ほかの商標を使用していることを示しているにすぎず、商標権者等が本件商標を使用していることの証左にならないことは明白である。
(3)また、被請求人は、乙第5号証として乙第4号証のカタログに記載の商品及び1足箱の写真を提出している。
しかし、当該写真は商標権者である被請求人の社員が社内において撮影したものであることは推認し得るが、当該写真中の1足箱表面には「大同石油株式会社」の名称のみが製造者あるいは販売者表示的に表わされているのみであり、写真中には商標権者等の名称が表れていない。
したがって、乙第5号証の写真をもってしても、何らこれが「商標権者等が本件商標を使用していることの証左」にならない。
さらに、乙第6号証ないし乙第9号証として提出されている大同石油株式会社による注文書であるが、当該注文書からは注文主である「大同石油株式会社」が株式会社ユニ・スターに対して「防水ワンタッチ丸」ほかの商品を一定量注文したことは是認できる。
しかしながら、注文書に記載する商品名称は、注文主の商品名称、即ち商標であり、したがって、乙第6号証ないし乙第9号証として提出された注文書では「注文主である大同石油株式会社が自社の商品である防水ワンタッチ丸ほかの商品の製造を株式会社ユニ・スターに発注したこと」が示されているのみであって、「商標権者等が本件商標を使用していることの証左」にならない。
以上述べたとおり、被請求人が提出した乙第1号証ないし乙第9号証よりは、「株式会社ユニ・スターが本件商標の通常使用権者であること」だけは是認し得るものの、乙第4号証ないし乙第9号証は、本件商標の商標権者でもなくまた通常使用権者でもない第三者(無権原者)である大同石油株式会社が本件商標に類似する商標を使用していることを示しているにすぎず、したがって、何れの証拠をもってしても「商標権者等が本件商標をその指定商品である履物、運動用特殊靴に使用していることの証左」にならないものであって、被請求人が本件商標の使用を証明していないというべきである。
(4)次に、被請求人は乙第10号証として辞典の記載を提出し、また乙第11号証として審判便覧を提出することによって、各証拠中の使用標識が本件商標の使用と同一視できる旨を主張している。しかし、「使用標識」と主張されているものは、本件商標と社会通念上同一の商標であるとは認められず、よって本件商標の使用には当たらない。
なお、上述のとおり、被請求人が提出した証拠は商標権者である被請求人あるいは通常使用権者による使用証拠に当たらず、商標権者等が本件商標をその指定商品である「履物、運動用特殊靴」に使用していないことは明白であり、また、「使用標識」と主張しているものが本件商標と社会通念上同一の商標であるとは認められず、本件商標の使用には当たらないものであることについては以下に述べる。
乙各号証に使用されている標識は、「ワンタッチブーツコルバ」、「ニューワンタッチNS」、「ニューワンタッチ先丸」、「防水ワンタッチ」、「NEWワンタッチ」、「防水ワンタッチ丸」、「ニューワンタッチ」であって、本件商標の一部である英文字の「ONE TOUCH」又はカタカナの「ワンタッチ」が単独で使用されているものではないから、「使用標識」と主張されているものが本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標であるとは認められない。
なお、被請求人は、「防水」「先丸」「ニュー」「NS」「NEW」の表示はそれぞれ商品の機能、形状、型番等を意味する品質表示であり商標の部分は「ワンタッチ」であると述べている。
しかしながら、その使用態様に照らせばこれら品質表示としている部分についても一連一体で表示・使用されており、また、大同石油株式会社の注文書においても「ワンタッチ」或いは「ONE TOUCH」とは商品名が記載されず「防水ワンタッチ丸」等と記載することで商品の種類を特定していることから、一連一体の構成が出所表示機能を果たす商標として使用されているものである。
してみれば、使用標識は、本件商標と同一の称呼、観念が生ずるものでもなく、また、社会通念上同一の商標であるとは認められない。
したがって、被請求人が提出した証拠によっては、被請求人又は通常使用権者が、本件商標の指定商品「履物、運動用特殊靴」について、本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標を使用しているとは認められず、よって、使用標識の点からも被請求人は本件商標の使用を証明していないというべきである。
被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める。」と答弁し、その理由を要旨次のとおり述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第11号証を提出した。
答弁の理由
乙第1号証は、被請求人と株式会社ユニ・スターとの間に交わした本件商標の通常使用権設定契約の「覚書」である。
乙第2号証は、株式会社ユニ・スターの決算報告書(平成14年7月1日より平成15年6月30日まで)の写しであり、1頁目の営業報告には、株式会社ユニ・スターは、フットウェア部門やフィッシング部門を有し、履物を製造していること。2頁目には、株式会社ユニ・スターが、100%株を出資した被請求人の子会社であることが記載されている。
乙第3号証は、2003年10月発行の「被請求人の会社概要」であり、株式会社ユニ・スターが当社の子会社であることが記載されている。
乙第4号証は、平成14年10月に発行された、「林業資材要覧」であり、112頁には、本件商標の「ワンタッチ」が釣り用靴に使用されていることが確認できる。
品名表示の「防水ワンタッチ先丸」や「ニューワンタッチNS」の内、「防水」、「先丸」や「ニュー」、「NS」の表示は、それぞれ商品の機能、形状、型番等を意味する品質表示であり、商標の部分は「ワンタッチ」であり、本件商標の「ワンタッチ」の使用と認められる。
乙第5号証は、乙第4号証のカタログに記載の商品「ニューワンタッチNS」の商品とその1足箱の写真である。写真の撮影日は平成16年10月21日、撮影場所は月星化成株式会社社内、撮影者は社員であるが、当該写真を見ると、1足箱には「NEWワンタッチ」と表示されており、「NEW」は品質を表示するもので、商標の部分は「ワンタッチ」であり、本件商標の「ワンタッチ」が1足箱に使用されていることが確認できる。
本件商標は、上記したとおり「ONE TOUCH」と「ワンタッチ」の文字を二段併記した構成よりなるところ、二段併記の商標の片方の使用に関しては、特許庁インターネットホームページの商標の審判便覧(乙第11号証)において、両者の観念が同一の場合は社会通念上同一と認められる登録商標の使用の事例として掲載されている。
そして、「ONE TOUCH」と「ワンタッチ」が、観念が同一であることは乙第10号証によって認められる。
乙第6号証は、OEM先(大同石油株式会社)から受けた平成15年6月5日付の靴の注文書であり、当該注文書には、品番112の「防水ワンタッチ先丸NS」(表示は防水ワンタッチ丸であり、防水ワンタッチ先丸NSが長いので、略記されたものである。以下、同じ)が320足記載されている。
乙第7号証は、同じくOEM先からの平成15年8月29日付の靴の注文書であり、当該注文書には、品番112の「防水ワンタッチ先丸NS」が280足記載されている。
乙第8号証は、同じくOEM先からの平成15年9月3日付の靴の注文書であり、当該注文書には、品番3NCの「ニューワンタッチ先丸NS」が2700足記載されている。
乙第9号証は、同じくOEM先からの平成15年12月27日付の靴の注文書であり、当該注文書には、品番112の「防水ワンタッチ先丸NS」が580足記載されている。
当該注文書(乙第6号証ないし乙第9号証)に記載の略記された品名の「防水ワンタッチ丸」や品名「ニューワンタッチ」の内、「防水」、「丸」、「ニュー」の表示は、品質を表す表示であり、本件商標中の「ワンタッチ」の使用と認められる。
当該注文書(乙第6号証ないし乙第9号証)により、平成15年8月29日から平成15年12月27日にかけて、本件商標「ワンタッチ」を付した靴が、OEM先の大同石油株式会社から通常使用権者である株式会社ユニ・スターに注文し、取引されたことが確認されたから、本件審判の請求の登録前3年以内に、本件商標が使用されたことは明らかである。
以上、乙第1号証ないし乙第11号証によって、本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に、その指定商品中の「履物」(釣り用靴は、履物に属する)について通常使用権者である株式会社ユニ・スターによって使用されていることは明らかである。
したがって、本件審判の請求は成り立たない。
被請求人と株式会社ユニ・スターとの間に交わした本件商標の通常使用権設定契約「覚書」、株式会社ユニ・スターの決算報告書(平成14年7月1日より平成15年6月30日まで)写及び2003年10月発行の「被請求人の会社概要」)によれば、被請求人(商標権者)「月星化成株式会社」と子会社「株式会社ユニ・スター」間には、「釣り用靴」について本件商標の通常使用権契約が存在することを認めることができる(乙第1号証ないし乙第3号証)。
本件商標は、「ONE TOUCH」の欧文字と「ワンタッチ」の片仮名文字とを二段に併記してなりなるものである。
ところで、登録商標の使用か否かについては、使用商標が登録商標の構成部分に変更を加えた場合には、その使用商標は、その変更が登録された際の形態における商標の識別性に影響を与えず、かつ、商標の同一性を損なわないときに、当該登録商標と社会通念上同一の商標の使用であると解すべきである。
そこで、これを本件についてみると、「全国森林組合連合会」平成14年10月発行の「林業資材要覧」112頁及び113頁(乙第4号証)は、被請求人が赤の矢印で指摘している「ニューワンタッチNS」及び「防水ワンタッチ先丸」を含め、「ワンタッチブーツコルバ」「ニューワンタッチ先丸」「防水ワンタッチ」「防水ワンタッチ先丸DXL」及び「防水ワンタッチ先丸DXLボア付」並びに注文書(乙第6号証ないし乙第9号証)の「防水ワンタッチ丸」及び「ニューワンタッチ」は、その構成中の「NS」「防水」等の文字が、商品の品番、品質等を表す語であるとしても、乙第5号証の写真下部の一足箱の表示部分を除き、いずれも一連一体に表示されており、本件商標と構成態様を異にするので、商標の同一性を損なっているといえるものであるから、本件商標を社会通念上同一の商標の使用であるとはいえないというのが相当である。
そして、乙第5号証の「商品カタログ6Pに記載の靴(品名:ニューワンタッチNS)とその1足箱」の写真は、その下部に「NEW ワンタッチ」(「NEW」の文字はやや小さく斜め右上向きに表示されている。)と表示されているが、「NS」の文字が見当たらないことからすると品名としての「ニューワンタッチNS」靴の専用の包装用箱であるとは直ちには認め難く、また、その撮影日も(平成16年10月21日)との関係からしても、この写真によっては、本件商標と社会通念上同一の商標の使用とみることができないといわざるを得ない。
以上の事実を総合勘案するに、被請求人は、本件商標「ONE TOUCH」又は「ワンタッチ」をその指定商品について使用していないものというのが相当である。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、その指定商品についての登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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