結論テキスト
審判費用は被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2004−89116(T2004−89116/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第4606519号商標(以下「本件商標」という。)は、「あ
じわい豆腐バーグ」の文字を標準文字で書してなり、平成14年2月15日に登録出願、第29類「豆腐を用いたハンバーグ」を指定商品として、平成14年9月20日に設定登録されたものである。
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第27号証(枝番を含む。)を提出した。
請求人は、食品及び飲料の製造販売をその主たる業務とし、本件商標の指定商品である「豆腐を用いたハンバーグ」に類似する商品を取り扱っており、自己の取扱いに係る商品の包装又はラベルに、当該商品の品質等に関わる意味合いの文字を表示することが少なくないから、本件商標の存続に関しては十分な利害関係を有する。
本件商標は、「あじわい豆腐バーグ」の文字を書してなるところ、その構成中の「あじわい」の文字部分は、「味、うまみ」を意味する「味わい」の文字を平仮名文字で表したものと、また、構成中の「豆腐バーグ」の文字部分は、本件商標の指定商品である「豆腐を用いたハンバーグ」を端的に理解させるものと認められる。
(1)辞書類によれば、本件商標中の「あじわい」の文字部分は、それぞれ次のような記載がある。
「広辞林第五版」(甲第1号証)には、「味、うまみ」とあって、「料理の味わい」との用例が挙げられている。また、「学研国語大辞典」(甲第2号証)には、「食物のうまみ。風味。」とあって、「季節料理の味わい」との用例が挙げられている。さらに、「角川類語新辞典」(甲第3号証)には、「風味/飲食物の刺激による舌の感覚」の項目中に、「味わい」の文字について、「味の深さ」との記載があるほか、「これがトマト本来の味わいである。汁の味わいをみる。」との用例が挙げられ、さらに、「『味』は単なる味覚をさすが、『味わい』は味覚以上に、うまみ・よさ・趣などを含めていうことが多い。」との記載もある。また、「講談社類語大辞典」(甲第4号証)には、「味わう」の項目中に、「味わい(あじわい)」の文字について、「時間をかけて感じる味のよさ。『ブランデーの深い味わい』」との用例が挙げられている。
要するに、「あじわい」又は「味わい」の語は、食品や飲料等との関係において、そのものに「味がある」とか「旨みがある」ということを表現するために、日常的に使用されているものということができる。
(2)市場に流通する食品や飲料等には、以下(ア)ないし(カ)のように、「あじわい」又は「味わい」の文字を商品名又は商品名の一部に使用する例が少なくない。これらの商品における「あじわい」又は「味わい」の文字は、いずれも「味わいのある」や「味わいが良い」等の意味合いをもって当該商品の味がよいことを誇張するために使用されているとみるのが自然である。
(ア)甲第5号証は、財団法人東京都高齢者研究・福祉振興財団 東京都老人総合研究所(東京都板橋区栄町35番2号在)のホームページに掲載された「高齢者向け食品一覧」(抜粋)であって、「副食(主菜)」として紹介された商品中には、シリーズ名「レンジアップ」製品名「味わい肉じゃが」の表示がある。すなわち、甲第5号証は、この一覧へのリストアップがなされた平成11年11月時点において、かかる「味わい肉じゃが」なる製品が右欄記載の「マルハ株式会社」により販売されていたことを示すものである。
なお、上記「味わい肉じゃが」における「味わい」の文字部分について、これが「味わいのある」や「味わいが良い」等の意味合いをもって、当該商品の味がよいことを誇張するために表示されたものであることを積極的に示すような具体的説明等はないが、甲第1号証ないし甲第4号証が示すように、「味わい」の語が「味がある」とか「旨みがある」の意味を有するものであることや、たとえば、上記「レンジアップ」と称されるシリーズ製品として、甲第5号証の一覧中に「風味なつかし いかと里芋煮」、「とろっとうまいさばみそ煮」の各表示があり、これらの「風味なつかし」の文字部分が「風味が懐かしいものであること」を、「とろっとうまい」の文字部分が「とろりとして美味であること」をそれぞれ誇張した表示と捉えるのが自然であることに照らせば、当該「味わい肉じゃが」中の「味わい」の文字部分は、その肉じゃがの味がよいことを誇張するために表示したものと判断するのが経験的に妥当である。
(イ)甲第6号証は、福井県Aコープチェーンのホームページ(「ウインターギフト2002」)であり、これには、日本ハム株式会社製と思しき商品につき、「あじわい麦豚ハムセット」の表示がある。
(ウ)甲第7号証は、有限会社真木沢ミートピア(岩手県北上市口内町真木沢)のホームページであり、これには、スペアリブ、粗挽きウインナー、ガーリックウインナー、しその葉ウインナーの詰め合わせ商品につき、「あじわいセット」の表示がある。
(エ)甲第8号証は、株式会社北都(北海道網走市南4条西3丁目)のホームページであり、これには、帆立貝柱その他の帆立加工品詰め合わせ商品につき、「帆立あじわいセットA」、「帆立あじわいセットB」の表示がある。
(オ)甲第9号証は、檜山観光物産公社(北海道檜山郡江差町字中歌町1番地の3)のホームページであり、これには、朝いか生干し、ほたて粕漬、氷温度ほっけ塩味、氷温ほっけしょうゆ味、いかめしの詰め合わせ商品につき、「桧山あじわいセット」の表示がある。
(カ)甲第10号証は、厚生労働省のホームページ中の「特定危険部位を含むおそれのある牛由来原材料を使用して製造又は加工された食品の安全性確保に係る自主点検の結果について」と題する平成13年11月2日付の報道発表資料である。特に甲第11号証の1ないし29は、その食品分類別報告内容からの抜粋である。そして、甲第10号証及び甲第11号証は、少なくとも平成13年11月2日時点で、以下のように、各名称の製品が各業者により製造又は加工されていたことを示すものである。
(a)「あじわいロースハム 500g」及び「あじわいロースハム 焼豚500g」(いずれも食肉製品)が米久デリカ株式会社(川本町白草台1565−15)により製造又は加工されていた(甲第11号証の1)。
(b)「味わいヤキブタ」(食肉製品)が四国物産株式会社(香川県三豊郡詫間町大字松崎水出2615−7)により製造又は加工されていた(甲第11号証の2)。
(c)「くらしモア味わいフレッシュベーコン」、「くらしモア味わいフレッシュロースハム」、「くらしモア味わいフレッシュうす切りロースハム」(いずれも食肉製品)がプリマハム株式会社茨城工場(土浦市中向原635)により製造又は加工されていた(甲第11号証の3、4)。
(d)「香り物語 味わいスモーク、フランクフルトソーセージ」(食肉製品)がプリマハム株式会社四国工場(西条市朔日市887−4)により製造又は加工されていた(甲第11号証の5)。
(e)「香の物語あらびき味わいスモーク」(食肉製品)が株式会社ドルチャ(土浦市向原635)により製造又は加工されていた(甲第11号証の6)。
(f)「業務用味わいハンバーグ」(食肉製品)が雪印食品株式会社関東工場(春日部市小淵1263)により製造又は加工されていた(甲第11号証の7)。
(g)「特味わいビーフカレーRP」(レトルト食品)、「味わいビーフカレー」(惣菜)が中越パニー株式会社(八街市大木671)により製造又は加工されていた(甲第11号証の8、16)。
(h)「味わいビーフ DRP4」(缶詰食品)が熊本ほにほ食品株式会社熊本工場(熊本県菊池郡菊陽町原水5594)により製造又は加工されていた(甲第11号証の9)。
(i)「あじわいビーフ牛丼」(冷凍食品)が有田食品株式会社(和歌山県有田市箕島743)により製造又は加工されていた(甲第11号証の10)。
(j)「神戸のあじわいコロッケ」(惣菜)が株式会社ガスボードデリサービス(大田区仲池上1−21−11)により製造又は加工されていた(甲第11号証の11)。
(k)「あじわい卯の花」、「あじわいがんもの煮付け」、「あじわいキンピラ」、「あじわい高野豆腐の含め煮」、「あじわい小松菜と揚げの煮物」、「あじわい里芋の煮ころがし」、「あじわい白和え」、「あじわい肉じゃが」、「あじわいほうれん草ごま和え」(いずれもそうざい類)がヤマダイ食品株式会社(四日市市富田2−8−19)により製造又は加工されていた(甲第11号証の12、13)。
(l)「特製味わい御膳」、「特製味わい御膳(赤飯)」(いずれも弁当)が株式会社フレンドリーデリカ(杵島郡白石町大字馬洗1540番地1)により製造又は加工されていた(甲第11号証の14)。
(m)「特製味わい御膳」(そうざい)が株式会社弁釜上磯工場(上磯市追分3丁目36−47)により製造又は加工されていた(甲第11号証の15)。
(n)「味わい惣菜パンコーンハムサラダ」(そうざい類)がユアサ・フナショク株式会社高瀬工場(船橋市高瀬町6番地)により製造又は加工されていた(甲第11号証の17)。
(o)「味わいレストランハンバーグ」(惣菜)が信州ハム株式会社更埴工場(更埴市屋代1269)により製造又は加工されていた(甲第11号証の18)。
(p)「香りさわやか味わいぽん酢」(その他調味料)がマルカン酢株式会社(東灘区向洋町西5丁目6)により製造又は加工されていた(甲第11号証の19)。
(q)「味わい等」(醤油風調味料)がマルタ醤油株式会社(中蒲原郡小須戸町大字小須戸3397)により製造又は加工されていた(甲第11号証の20)。
(r)「あじわい」(米菓)がアジカル食品株式会社(中蒲原郡亀田町城所畑中甲182−1)により製造又は加工されていた(甲第11号証の21)。
(s)「あじわい10AH」(米菓)がひざつき製菓株式会社(栃木市城内町2−6−18)により製造又は加工されていた(甲第11号証の22)。
(t)「味わいポテト ピリ辛焼肉キムチ味」、「味わいポテト ピリ辛マーボー味」、「味わいポテト 野菜スープ味ペッパー仕立」(いずれもスナック菓子)がヤマザキ・ナビスコ株式会社(猿島郡総和町丘里7)により製造又は加工されていた(甲第11号証の23)。
(u)「味わいキムチ」(菓子類)が株式会社サンフードジャパン(東村山市恩田町5−38−2)により製造又は加工されていた(甲第11号証の24)。
(v)「あじわいブレッド」(菓子)が株式会社神戸屋(大阪市東淀川区豊新2−16−14)により製造又は加工されていた(甲第11号証の25)。
(w)「味わいうどん松茸入り95g」(うどん)が株式会社横山製麺工場(岡山県浅口郡里庄町里見4245)により製造又は加工されていた(甲第11号証の26)。
(x)「ふんわり味わいはんぺん」(魚肉練り製品)が株式会社紀文食品(泉佐野市住吉町28−11)により製造又は加工されていた(甲第11号証の27)。
(y)「あじわい明太茶漬」(ふりかけ食品)が大盛食品株式会社(福岡市南区清水4丁目8−31)により製造又は加工されていた(甲第11号証の28)。
(z)「ユーコープあじわいだし入り味噌」(みそ)がひかり味噌株式会社(諏訪郡下諏訪町4848−1)により製造又は加工されていた(甲第11号証の29)。
要するに、「味わい」又は「あじわい」の文字は、本件商標の登録査定時点において既に、不特定多数の食品の製造又は加工業者により、各種食品の商品名中にそれが美味であることを誇張するために普通に使用されていたものと認められる。なお、甲第11号証の1ないし29は、いわゆるBSE問題に関連して行われた食品製造等業者の自主点検に基づく報告内容からの抽出にすぎず、かかる自主点検、報告を行わなかった食品製造等業者も少なくないと考えられることからすれば、「味わい」又は「あじわい」の文字についての同様な用例は、他にも相当数があるものと思料される。
(3)「あじわい」又は「味わい」の文字に関して、これらの文字のみからなる商標及びこれらの文字と商品の普通名称等の自他商品識別力に乏しい文字との結合からなる商標につき、「拒絶文字商標集(食品部門)」(食品特許協会編又は社団法人日本食品特許センター編)に、特許庁における過去の審査例をみることができる(甲第12号証ないし甲第19号証)。この「拒絶文字商標集(食品部門)」が自他商品識別標識としての機能を発揮し得ない商標、すなわち商標法第3条1項各号のいずれかに該当するものとして登録を拒絶された商標を編さんされたものであることはいうまでもない。
また、最近の特許庁の審査実務も、甲第12号証ないし甲第19号証が示すところと変わらない(甲第20号証)。
(1)本件商標中の「豆腐バーグ」の文字は、前記のとおり、本件商標の指定商品「豆腐を用いたハンバーグ」を端的に理解させるものと認められる(甲第21号証ないし甲第25号証)。
(2)「とうふバーグ」の文字を書してなり「豆腐を使用してなるハンバーグ」を指定商品とする商標登録出願(商願2000−85400)につき、法第3条1項各号(各号のいずれか)に該当するものとした拒絶査定の例がある(甲第26号証)。
前記の甲各号証において、「あじわい豆腐バーグ」又は「味わい豆腐バーグ」の文字を「豆腐入りハンバーグ」に使用した例は見当たらないが、甲第11号証の7及び18をはじめとする用例や、甲第27号証(イタリア料理店「サイゼリヤ」をチェーン展開する株式会社サイゼリヤ(埼玉県吉川市旭2−5在)のホームページに掲載されたメニュー)に示す「味わいハンバーグ」の用例からすれば、「豆腐入りハンバーグ」について味わいが良いということを表現するために、「あじわい豆腐バーグ」の文字が使用される蓋然性はきわめて大きいというべきである。
したがって、本件商標は、その指定商品「豆腐を用いたハンバーグ」との関係においては、当該商品が「味わいのある豆腐製(豆腐入り)ハンバーグ」又は「味わいが良い豆腐製(豆腐入り)ハンバーグ」であることを理解させるにすぎないものと認められるものである。
よって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に違反して登録されたものと認められるから、同法第46条第1項第1号によりその登録は無効にされるべきものである。
被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べた。
本件商標は、「あじわい」の後ろに「豆腐バーグ」を書してなる結合商標である。このうち「豆腐バーグ」は、本件商標の指定商品である「豆腐を用いたハンバーグ」を端的に表したものであるが、前半の「あじわい」は、「味、うまみ、おもむき、もののよさ、趣味」を意味する多義的な名詞であるから(甲第1号証)、必ずしも商品の品質等を具体的に表すものではない。
また、本件商標は、「あじわい」という名詞の後ろに「豆腐バーグ」を結合するところ、当該結合により後ろの名詞を「味わいのある」や「味わいが良い」のように修飾することが日常的に行われているものではない。
請求人は、「あじわい」に関し、辞典からの用例を種々示しているが、いずれも「これがトマト本来の味わいである。汁の味わいをみる。」、「ブランデーの深い味わい」などであり、上記結合の例は示されていない。
したがって、「あじわい」の語が「味がある」、「旨みがある」ということを表現するために、日常的に使用されているとする請求人の主張は失当である。
なお、請求人は、市場に流通する商品において、「あじわい」又は「味わい」の文字を商品名又は商品名の一部に使用する例が少なくないことを例示しているが、「あじわい」がその商品の品質等を具体的に表すものとして普通に使用されていることの証拠は示されていない。請求人も認めるように、製品(甲第5号証)に関し「当該商品の味がよいことを誇張するために表示されたものであることを積極的に示すような他の表示や具体的説明等はみることができない。」のである。
(1)請求人が挙げた例示の多くは、「味わい」又は「あじわい」+「普通名称」の結合商標であるが、いずれも商品名として採用されており、会社間での重複もないため、結合商標全体としてある程度の識別性が市場において機能していると思料する(甲第11号証の1、2、7、12、13及び16)。
しかるに、本件商標も、上記商品同様、市場において識別性を発揮することが期待され、本来的に識別性を有するものと思料される。
(2)請求人が提出した証拠のうち、甲第12号証の1ないし4、甲第13号証の1ないし3、甲第14号証の1及び2、甲第15号証の1、2及び4、甲第17号証は、いずれも単独の「味わい」又は「あじわい」に関するものであり、結合商標の拒絶例はそれほど多くなく、本件商標の指定商品と類似関係にある商品に限定するならば、その数はわずかとなる。
また、請求人は、甲第20号証の1ないし4により、特許庁における審査例を示しているが、これらは、いずれも審査において意見書を提出していないものについての査定であること、さらに、同号証の1は、他の拒絶理由(商標法第4条第1項第16号)も発せられていることから参考にし難いものである。
(3)したがって、本件商標中の「あじわい」の語は、商品の品質等を具体的に表すものでなく、商標を全体としてみた場合の識別性は十分にあると思料する。
以上のとおり、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に違反して登録されたものではなく、その登録を無効にする理由はない。
本件商標は、前記のとおり、「あじわい豆腐バーグ」の文字を書してなるものであるところ、その構成中の「あじわい」の文字部分は、「味。うまみ。おもむき。もののよさ。趣味」等を意味する語であり(甲第1号証ないし甲第3号証)、また、「豆腐バーグ」の文字部分は、本件商標の指定商品である「豆腐を用いたハンバーグ」との関係からみれば、指定商品を表したと理解されるものである(「豆腐バーグ」の文字部分が指定商品を表すものであることについては、当事者間に争いがない。)。
そうすると、本件商標は、「あじわい」と「豆腐バーグ」の2語を結合したものと理解されるものであって、本件商標中の「あじわい」の文字部分は、「豆腐を用いたハンバーグ」なる意味合いを生ずる「豆腐バーグ」との関係からみれば、食品に関する「味、うまみ」などの意味を表したものと理解されるというのが相当である。
ところで、甲第10号証ないし甲第11号証の29によれば、食品を取り扱う分野において、「あじわい」又は「味わい」の語は、商品の普通名称に冠して、本件商標の登録査定時にはすでに、不特定多数の業者によって少なからず使用されていた実情にあったことが認められる。
そして、味の善し悪しが商品の品質の重要な要素となる食品の分野における上記「あじわい」又は「味わい」の語の使用の態様・頻度からすれば、「あじわい」又は「味わい」の語に商品の普通名称を付加した表示に接する需要者は、表示された文字全体をもって自他商品の識別標識として捉えるというより、「あじわい」又は「味わい」の語の部分を、後に続く商品の味などがよいことを表すために使用される語であると把握し、認識する場合が多いとみるのが相当である。
そうであるならば、「あじわい」と「豆腐バーグ」の各文字を結合した語が取引上実際に使用されている事実はないとしても、本件商標に接する需要者は、その構成中の「あじわい」の文字部分をそれに続く「豆腐バーグ」について、「深いよい味のする商品」の意味合いをもって、商品の品質を表示したものと認識し、本件商標全体として「味のある(又は、よい味のする)豆腐を用いたハンバーグ」なる意味合いを表したと認識するに止まるものとみるのが相当であるから、本件商標は、これをその指定商品について使用しても、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものといわざるを得ない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第3号に違反してされたものといわなければならない。
被請求人は、本件商標は「あじわい」という名詞の後ろに「豆腐バーグ」を結合するところ、当該結合により後ろの名詞を「味わいのある」や「味わいが良い」のように修飾することが日常的に行われているものではない旨主張し、さらに、「あじわい」がその商品の品質等を具体的に表すものとして普通に使用されていることの証拠は示されていない旨主張する。
しかし、前記認定のとおり、「あじわい」の語は、食品との関係では、「味、うまみ」などの意味を表すものと理解されるといえるし、また、食品の分野において、「あじわい」又は「味わい」の語が商品の普通名称に冠して、不特定多数の業者によって普通に使用されていた実情にあったところからすれば、この種商品の主たる需要者である一般の消費者は、「あじわい」又は「味わい」の語が当該商品の味のよいことを表す語であると認識するというのは自然の見方というべきである。
したがって、上記に関する被請求人の主張は理由がない。
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第3号に違反してされたものであるから、商標法第46条第1項の規定により、無効とすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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