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Trademark Appeal Case

指定商品と使用実態

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2004−30889(T2004−30889/J2)
審判種別取消
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4436961号商標(以下「本件商標」という。)は、「InhibitEX」の文字を標準文字により表してなり、平成11年12月14日(パリ条約に基づく優先権主張1999年6月18日ドイツ連邦共和国)に登録出願、第1類「核酸を含む試料から成分を精製及び単離するための化学品,特にデンプン又はセルロースその他の炭化水素ポリマーをベースとする化学品,その他の化学品」及び第5類「医療目的のために核酸を含む試料から成分を精製及び単離するための化学品,その他の薬剤」を指定商品として同12年12月1日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張の要点

請求人は、本件商標の指定商品中第5類「医療目的のために核酸を含む試料から成分を精製及び単離するための化学品,その他の薬剤」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁の理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1及び第2号証を提出している。

(1)本件商標は、その第5類の指定商品「医療目的のために核酸を含む試料から成分を精製及び単離するための化学品,その他の薬剤」について、過去3年間日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実がない。

よって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、上記商品についての登録を取り消されるべきである。

(2)被請求人は、乙第1ないし第3号証を提出して、本件商標を第5類「医療目的のために核酸を含む試料から成分を精製及び単離するための化学品,その他の薬剤」の範疇に属する商品に使用している旨を主張しているが、乙第1ないし第3号証は、本件商標を上記商品に使用していることを立証する証拠ではないことは明らかである。

第5類に属する薬剤の中には、人又は動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されることが目的とされる物であって、機械器具でないものが含まれる。

しかしながら、本件商標が使用されている商品は、被請求人も認めているように、「糞便中に高濃度で存在する酵素阻害物質やその他の不純物を除去するための試薬」であり、分析の前処理に用いられる試薬であることは明らかであり、診断用に使用される商品ではない。

このような分析の前処理に使用される試薬は、被請求人が指定商品において「・・・・化学品」と指定していることからも明らかなように、第1類「化学品」の範疇に属する商品として取り扱われるべきであり、このような商品が第5類「薬剤」の範疇に属する商品として取り扱われると第5類「薬剤」の範囲が非常に不明確なものとなり、国際分類上も望ましくない。

以上述べたように、被請求人の提出した乙第1ないし第3号証は、それらの証拠能力について検討するまでもなく、何れも、本件商標を第5類「医療目的のために核酸を含む試料から成分を精製及び単離するための化学品,その他の薬剤」の範晴に属する商品に使用していることを立証する証拠ではなく、単なる分析の前処理に用いられる試薬について本件商標を使用していることを立証する証拠にすぎない。

3 被請求人の答弁の要点

被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1ないし第3号証を提出している。

(1)本件商標は、以下に述べるように、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、商標権者又は使用権者によって、本件審判請求に係る指定商品第5類「医療目的のために核酸を含む試料から成分を精製及び単離するための化学品,その他の薬剤」の範疇に属する商品について使用されているものである。

(2)本件審判請求登録前3年以内における使用について

乙第1号証は、本件商標が使用されている商品の商品説明書であり、また乙第2号証は、本件商標の使用に係る商品の使用説明書である(乙第2号証の2、5、 8、11及び14ページ参照)。

乙第1号証の裏面の右下には「12/2001」と記載されており、このことは、本件商標が2001年12月の時点で使用されていたことを示すものである。

さらに、乙第2号証の表表紙に「August 2001」と記載されているように、本件商標を使用した商品は、2001年8月から販売が開始され、現在も継続して販売されている。また、乙第1号証の表表紙の右下に小さく「05/2002」と表記されていることから判るように、この商品説明書は、2005年5月に再版されたものであり、このことから、2005年5月の時点において本件商標が使用されていたことが明らかである。

これらの商品説明書は、いずれもその発行日が、本件審判請求登録日である平成16年(2004年)7月28日から遡って3年以内のものであるから、本件商標が本件審判請求登録前3年以内において使用されていることは明白である。

(3)日本国内における使用について

乙第1及び第2号証に係る商品説明書は、いずれも日本語で印刷されており、被請求人の子会社である株式会社キアゲン(以下「キアゲン」という。)によって日本の需用者向けに配布されているものであるから、本件商標が日本国内において使用されていることは明らかである。

(4)商標権者又は使用権者による使用について

本件商標を付した商品(以下「本件商品」という。)は、ドイツに本社を有する被請求人キアゲン ゲーエムベーハーによって製造された後、被請求人の子会社であるキアゲンによって日本に輸入され、販売されている。

キアゲンは、そのインターネットホームページ(乙第3号証)の記載から明らかなように、被請求人の日本法人として1997年に設立され、核酸の分離・精製に関する製品とカスタムサービス品およびオートメーション機器等の販売を主たる業務とする企業である。

キアゲンが我が国で販売する商品は、本件商品をはじめ全て被請求人の製造に係る商品であり、また商品販売に際して配布される商品説明書(乙第1及び第2号証)は、親会社である被請求人の指示の下にキアゲンが編集・発行しているものである。

このような被請求人とキアゲンの関係に鑑みれば、日本における本件商標の使用は、親会社たる被請求人自らが行っているか、あるいは子会社たるキアゲンが使用権者として行っているかのいずれかであることは明白である。

したがって、本件商標が商標権者又は使用権者によって使用されていることは明らかである。

(5)本件審判請求に係る指定商品についての使用

(ア)本件商品は、乙第1号証に示されているように、糞便からのバクテリア、ウイルス、寄生虫及びゲノムDNAの分離に使用されるキット(商品名:QIAamp DNA Stool Mini Kit)と共に使用されるもので、糞便中に高濃度で存在する酵素阻害物質やその他の不純物を除去するための専用の試薬である。

この試薬によって試料中の不純物が除去され、上記キットを用いて精製されたDNAは、ウイルス診断、バクテリア診断、寄生虫診断、結腸癌の診断等の用途に供される。これらの診断行為には、大学や研究所等の研究機関において純粋な研究を目的として行われるものと、病院等の医療機関において疾病の診断や臨床検査を目的として行われるものとがある。このため、当該試薬及びキットは、上記研究機関の研究者や医療機関の医師等を対象として販売されている。

そして、本件商標の使用に係る試薬が、病院等の医療機関に対して販売され、当該医療機関において疾病の診断や臨床検査を目的として使用される場合、かかる用途は「医療目的」の使用となり、その場合、当該試薬は「診断用試薬」として扱われるものであるから、本件商標が第5類「薬剤」の範疇に属する商品について使用されていることは明らかである。

(イ)本件商品に係る試薬は、上述のように、糞便からバクテリア、ウイルス、寄生虫及びゲノムDNAを分離するためのキットと共に販売されるものであるが、このキットの使用に当たって本件商品に係る試薬は必須不可欠のものである。つまり、当該キットは、本件商品と一緒に使用されて初めてその目的と効果を発揮し得るものであるから、本件商品は、それ自体が技術的効果と経済的価値を有する商品である。このことは、乙第1号証において、本件商品が「 ... 糞便中に高濃度でしばしば存在する酵素阻害物質やその他の不純物を除去するための専用の新しい試薬」である旨述べられていること、また、乙第2号証に示された商品の使用方法において、本件商品の使用が必須となっていることからもよく判る。

本件商品は、「QIAamp DNA Stool Mini Kit」と命名されたキットと共に販売されるものであるが、本件商品に使用されている商標「InhibitEX」は、上記キットの使用に必須不可欠で且つ優れた効能を有する試薬の名称として需用者に認識され、かかる認識の下に需用者は市場において本件商品の試薬を選択し、その結果、本件商品を含むキットを購入するものであるから、商標「InhibitEX」が市場において自他商品の識別標識としての機能を発揮していることは明らかである。

(ウ)以上から、本件商標は、本件審判請求に係る指定商品第5類「医療目的のために核酸を含む試料から成分を精製及び単離するための化学品,その他の薬剤」の範疇に属する商品について使用されているものである。

(6)結語

以上述べたように、本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、商標権者又は使用権者によって、本件審判請求に係る指定商品第5類「医療目的のために核酸を含む試料から成分を精製及び単離するための化学品,その他の薬剤」の範疇に属する商品について使用されているものである。

4 当審の判断

(1)被請求人は、本件商標を本件商品について使用している旨主張し、証拠を提出している。これに対し、請求人は、本件商品は請求に係る指定商品である「薬剤」の範疇に属するものでない旨主張しているので、先ず本件商品について検討する。

(ア)被請求人の提出に係る乙第1及び第2号証の商品説明書によれば、本件商品は、「QIAamp DNA Stool Mini Kit」と称する、糞便からのバクテリア、ウイルス、寄生虫及びゲノムDNAの分離に使用されるキット(道具一式)と共に使用されるものであり、糞便中に高濃度で存在する酵素阻害物質やその他の不純物を除去するための専用の試薬であって、この試薬は、上記キットの使用に当たり必須不可欠のものと認められる。

(イ)乙第1号証の商品説明書では、上記キットを用いて精製したDNAは、ウイルス診断、バクテリア診断、寄生虫診断、結腸ガンの検出等の目的に最適とされていること、上記キットの使用には本件商品が試薬として必須不可欠であること、乙第2号証の商品説明書では、病原体を検出するために糞便からDNA分離が行われるとしていること、上記の診断行為は、大学や研究所等の研究機関における研究を目的としても行われるが、病院等の医療機関における疾病診断や臨床検査のためにも行われるものといえること、これらの診断や検査等は医療目的といえることなどを総合すれば、本件商品は、請求人が主張するように医療目的の試薬でなく単なる化学品であると断定することは適当でなく、むしろ診断用試薬の範疇に属する商品とみて差し支えないというべきである。

そして、診断用試薬が本件請求に係る指定商品「医療目的のために核酸を含む試料から成分を精製及び単離するための化学品,その他の薬剤」の範疇に属するものであることはいうまでもない。

(2)次に、本件審判請求の登録前3年以内における本件商品についての本件商標の使用について検討する。

被請求人の提出に係る乙第1及び第2号証の商品説明書は、本件商品を含む「QIAamp DNA Stool Mini Kit」について説明するものであり、被請求人の日本法人であるキアゲン(乙第3号証)が発行したものと認められる。

乙第1号証の商品説明書の裏面右下隅に小さく記載された「12/2001」の数字は、2001年12月に該説明書が印刷されたことを示すものとみるのが自然である。また、乙第2号証の商品説明書の表紙右下に小さく記載された「05/2002」の数字は、2002年5月に該説明書が印刷されたことを示すものといえる。もっとも、乙2号証の商品説明書は、その表紙左下に記載された「August2001」の文字及び裏表紙の最下段に記載された「08/2001」の数字からすると、2001年8月時点の内容のものとみるのが自然である。

そして、これらの商品説明書は、本件商品を含む「QIAamp DNA Stool Mini Kit」の取引に際し頒布されたものと推認される。

また、これらの商品説明書中には、試薬の名称として「InhibitEX」の文字が使用されており、該文字は本件商標と社会通念上同一といい得るものである。

以上を総合すれば、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に本件商品について被請求人によって使用されていたものというべきである。

(3)以上のとおり、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に我が国において、被請求人によって、請求に係る指定商品中の「診断用試薬」について使用されていたものと認められる。

したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すべき限りでない。

よって、結論のとおり審決する。

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