sokuhyo

Trademark Appeal Case

称呼同一と漢字外観類似

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成10年異議第92301号
審判種別異議
結論other

結論テキスト

登録第4185594号商標の登録を取消す。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4185594号商標(以下、「本件商標」という。)は、「糸電改」の文字を横書きしてなり、平成9年4月25日に登録出願、第23類「糸」を指定商品として、同10年9月4日に設定の登録がされたものである。

2 取消理由の通知

平成11年3月29日付けで、商標権者に下記の取消理由を通知した。

申立人が引用する登録第1850697号商標(以下、「引用商標」という。)は、「紫電改」の文字を縦書きしてなり、第4類「せっけん類、歯みがき、化粧品、香料類」を指定商品とするものであり、申立人が提出した甲第3号証ないし甲第24号証によれば、申立人が「育毛剤」について使用して、本件商標の登録出願時には既に、周知著名になっていたものと認められる。そして、本件商標と引用商標は、同一の「シデンカイ」の称呼を生じ、また、外観においても、その構成文字の1文字目の「糸」と「紫」は構成要素の「糸」を共通にする漢字であり、他の構成文字は同一の漢字であって似ているところがある。さらに、申立人が繊維分野において広く知られた会社であることを考慮すれば、本件商標をその指定商品に使用するときは、申立人又は申立人と経済的又は組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であるかのように、需要者が、その商品の出所について混同を生ずるおそれがある。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。

3 商標権者の意見

上記2の取消理由に対して、商標権者は、要旨つぎのように意見を述べている。

(1)異議申立人が繊維事業における有力事業者の一つであり、引用商標が、そのロゴとあいまって「育毛剤」の有力商品のひとつとして目に触れる機会が多いことは認められとしても、この分野は、多様な商品が展開される激しい競争下にあると窺れ、個々の商品名称とその提供者とが結合して認識されているかどうかは定かでない。

(2)引用商標を構成する「紫電改」の語をインターネットで検索すると、数百件の情報が検索され、引用商標に係わる商品の情報が数件あるほかは残りすべてが、「航空機」に関するものであり、この語句の原義に立ち返れば、引用商標が商標権として独占的あるいは排他的効力を持つ範囲はその原義からくる表現すなわち「紫電改」の限定された外観とこの外観と一体化された称呼としての「シデンカイ」にあるというべきある。商品、役務の明々白々な相違がある場合には、なおのこと限定的に判断されてしかるべきである。

(3)また、引用商標の頭文字の「紫」と本件商標の「糸」とは通常人の埋解するところ全く別文字であり、本件商標に接する者は、繊維分野で単に「紫電改」の原義の「もじり」を展開する事業者が現れたと認識、理解するにとどまるものというべきである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものではない。

4 当審の判断

そこで判断するに、申立人の提出に係る甲第17号証ないし同第24号証(1984年版ないし1998年版の「粧界ハンドブック」株式会社週刊粧業発行)によれば、申立人は、育毛剤「紫電改」を昭和58年(1984年)に発売して以来、今日に至るまで15年間にわたり販売し続けてきたものであること、また、甲第3号証(平成7年ないし同10年における「紫電改」の宣伝展開内容)、同第4号証(平成7年ないし同10年における「紫電改」の雑誌掲載詳細)、同第5号証ないし同第8号証(甲子園球場掲出写真)及び同第9号証ないし同第16号証(各種雑誌の掲載広告)によれば、申立人は、週刊現代、週刊文春、週刊宝石、週刊朝日、サンデー毎日、週刊読売をはじめ数多くの雑誌に「紫電改」の広告を載せ、平成7年以降の4年間に限っても延べ209誌に広告を掲載したことが窺われるばかりでなく、その他、テレビ、ラジオ、新聞、さらには甲子園球場のバックネット下あるいはペンタビジョンヘの広告を行う等各種の広告媒体を通じて繰り返し「紫電改」の宣伝広告を行ってきた事実を認めることができる。

以上の事実によれば、引用商標は、少なくとも本件商標が出願された平成9年4月以前には、育毛剤の商標として取引者・需要者間に広く認識されていたものと認められる。

しかして、本件商標は、「糸電改」の文字からなるものであるところ、本件商標と引用商標とは共に「シデンカイ」の称呼を同一にし、外観においても、漢字3文字中の2文字を同じくし、唯一異なる「糸」と「紫」さえ、「糸」を部首の一部に含んだ類似の文字であるから、両者は、これを看る者に対して、極めて似通った印象を与えるものであり、互いに紛らわしい類似の商標であるといわなければならない。

そして、甲第5号証ないし同第16号証の「紫電改」の広告によれば、広告中には必ず「カネボウ」あるいは「Kanebo」の文字も表示されており、これが申立人の略称であって、申立人が本件商標の指定商品である「糸」を含む繊維分野においても広く知られた会社であることは甲第25号証(「有価証券報告書総覧」平成10年大蔵省印刷局発行)を徴するまでもなく明らかなところである。

してみれば、商標権者が、本件商標をその指定商品である「糸」に使用するときは、これに接する取引者・需要者は、申立人の繊維分野における著名度とも相俟って、容易に、引用商標を想起・連想し、これが申立人又は申立人と経済的又は組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であるかの如く、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものといわなければならない。

なお、商標権者は、「紫電改」の語はそもそも「航空機」の名称であるから、引用商標はこの語句の原義に立ち返って、限定的に判断されるべきである旨主張しているが、引用商標は、その指定商品との関係からみても、航空機とは何らの関連性もなく、これを限定的に解釈すべき格別の理由も見当たらないから、そのことが直ちに、両商標間における出所の混同についての上記認定を左右することにはならない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

Next Action

次の一手につながるサービス

類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。

次の一歩へ

商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。