Trademark Appeal Case
称呼類似と要部抽出
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成11年異議第90009号 |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | other |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4185770号商標(以下「本件商標」という。)は、「ボンコパン」の文字と「Bons Copins」の文字とを二段に左横書きしてなり、平成9年6月24日に登録出願され、第25類「被服」を指定商品として、平成10年9月4日に設定登録されたものである。
2 登録異議申立ての理由
本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当し、その登録は取り消されるべきである。
3 取消理由の通知
平成11年7月13日付けで、商標権者に下記の取消理由を通知した。
本件商標は、「ボンコパン」の文字と「Bons Copins」の文字とを二段に左横書きしてなり、平成9年6月24日に登録出願され、第25類「被服」を指定商品として、平成10年9月4日に設定登録されたものであるところ、登録異議申立人フィナンツィアリア、レ、コパン、ソチエタ、ペル、アッツィオーニ(以下「申立人」という。)の引用する登録第1611829号商標(以下「引用商標」という。)は、別紙に示すとおりの構成よりなり、昭和48年10月12日に登録出願され、第17類「被服、布製身回品、寝具類」を指定商品として、昭和58年8月30日に設定登録されているものである。
しかして、本件商標の指定商品である被服等のファッション業界においては、フランス語が古くから親しまれて用いられており、本件商標中の「Bon」の文字部分は「良い」等を意味する形容詞として、また、引用商標中の「Les」の文字部分は定冠詞を表したものとして容易に理解されるものであり、いずれもそれ自体識別力が強いものとはいえないから、両商標とも、「コパン」の称呼を生ずる後半の文字部分が需要者に強い印象を与えるものとみるのが相当である。
そして、申立人提出の甲各号証によれば、引用商標は、申立人の業務に係る商品「ニット、スカート、シャツ等の被服類」の商標として、本件商標登録出願前より、取引者・需要者の間において広く認識されていたものと認められる。
してみれば、本件商標は、その指定商品について使用された場合、これに接する取引者・需要者をして、容易に申立人が使用する周知・著名な引用商標を想記・連想させ、引用商標と彼此混同を生じさせるおそれがあるものというべきであり、結局、本件商標と引用商標とは「コパン」の称呼において相紛らわしい類似する商標といわなければならない。そして、本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品中に包含されているものであり、引用商標は、本件商標より先出願かつ先登録に係るものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
4 商標権者の意見
上記3の取消理由に対して、商標権者は、要旨つぎのように意見を述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第13号証(枝番号を含む。)を提出した。
本件商標は、上段に片仮名文字「ボンコパン」、下段にアルファベット文字「Bons Copins」を併記してなる構成である。本件商標中、「Bons」と「Copins」とは視覚的にもまとまりよく一体的に表されているから、その片仮名文字に相応して、「ボンコパン」とのみ一連に称呼するものである。
(1)本件商標中、「コパン」の称呼を生ずる後半の文字部分が需要者に強い印象を与えるとの指摘について
通知書の中で、「Bon」は、識別力が弱いと記載されているが、特許庁は、これまで、被服等を指定商品とする商標について、「ボン」「bon」の文字の有無により、互いに非類似の商標として数多く登録してきた。これまでの登録例の一部を、乙第1号証ないし乙第6号証として添付する。
・「ボンボヌール/BON BONHEUR」(乙第1号証の1)と、
「BONHEUR/ボヌール」(乙第1号証の2)
・「BON FRERE/ボンフレール」(乙第2号証の1)と、
「Frere」(乙第2号証の2)
・「ボンワルツ/BONWALTZ」(乙第3号証の1)と、
「WALTZ/ワルツ」(乙第3号証の2)
・「ボン ドリーム/BONDREAM」(乙第4号証の1)と、
「DREAM」(乙第4号証の2)
・「BONCUTE/ボンキュート」(乙第5号証の1)と、
「CUTE/キュート」(乙第5号証の2)
・「ボンヴァカンス/BONNE VACANCE」(乙第6号証の1)と、
「バカンス/VACANCE」(乙第6号証の2)
このように、特許庁はこれまで、商標中の「bon」「ボン」の文字は、他の文字と共にまとまりよく表されている限り、他の文字部分と一連一体的なものとして認識し、数多くの登録をしてきたのであり、それによって現在社会の商品流通秩序が維持されている。
これら数多くの登録例は、被服等の業界では他の業界と比べてフランス語に親しみがあり、フランス語の「Bon」が「良い」を意味するからといっても、「Bon」「ボン」の文字が本件指定商品の優秀表示として、即ち、直接に品質を表示する部分として一般的に使用されてないことを示すものである。
(2)引用商標中、「コパン」の称呼を生ずる後半の文字部分が需要者に強い印象を与えるとの指摘について
通知書中には、引用商標中の「Les」の文字部分は識別力が弱いと指摘されているが、次の3件の登録商標と審決例を参照されたい。
・登録第1228614号「コパン」 (乙第7号証)
・登録第1353822号「copan」(乙第8号証)
・登録第2713683号「copan」(乙第9号証)
・平成3年審判第1727号審決(平成7年9月18日審決)公報
(乙第10号証)
これらは、特許庁がこれまで、「Les Copains」と「コパン」「copan」とを、夫々、出所混同の虞れがないものとして登録してきたことを示すものである。
審決公報(乙第10号証)では、引用商標の「Les Copains」は、「Les」と「Copains」とが外観上まとまりよく一体的に表されており、これをフランス語読み風に「レコパン」と称呼しても、淀みなく一連に称呼し得るものであるから、「レコパン」の称呼のみを生ずるとみるのが自然であると判断されている。
これは、フランス語の「Les」「レ」についても、前述の「bon」「ボン」と同じように、他の文字とまとまりよく表されている限り、他の文字部分と一連一体的に認識されるべきであることを述べている。そうである以上、通知書に指摘されているように、引用商標中、「Les」は識別力が弱く「コパン」の称呼を生ずる後半の文字部分が特に識別力が強いということはあり得ない。乙第10号証の審決日は平成7年であり、商品の区分は旧第17類被服であるから、本件との社会事情、業界の違いは考えられない。
(3)引用商標は周知・著名な商標であるとの指摘について
商標は、たとえ周知・著名になっても、これまでの商品流通秩序を損なってまで保護されるものではない。
「WIPO・SCTの周知商標保護に関する勧告決議案(平成11年6月特許庁国際課・商標課発行)」(乙第11号証)によれば、第3条(1)に、「周知商標は当該国で有効に周知となったときから保護する」と規定され、第4条(1)(d)に、「周知商標が周知になる以前より使用され、登録され、出願されている商標に対しては、悪意である場合を除き、周知商標との抵触の適用を求められない」と規定されている。
引用商標は昭和48年10月12日に出願され、昭和58年8月30日に登録されたものである。これに対し、乙第7号証として添付した商標「コパン」は、昭和45年12月25日に出願され、昭和51年10月27日に登録されたものである。
従って、引用商標の「Les Copains」が、乙第7号証商標の出願された昭和45年12月25日よりも前に周知・著名であったか、または、乙第7号証商標「コパン」が悪意でなされたのでない限り、その先願に係る乙第7号証商標「コパン」と抵触する主張を行なう等、周知商標として保護を受けることができないのである。
通知書の中では、引用商標は、本件商標登録出願前より、取引者・需要者の間において広く認識されていたものと認められると記載されているが、その周知になった時が具体的にいつであるかは明らかにされていない。
申立書の証拠書類を参照しても、一番古い使用開始日を示す甲第20号証が1983年(昭和58年)版であるから、引用商標が、昭和45年12月25日より前に既に周知であったとは到底考えられない。
従って、引用商標の「Les Copains」は、その先願に係る乙第7号証商標「コパン」に抵触する主張をすることは許されないのであり、換言すれば、引用商標から「コパン」の称呼を生ずると主張することはできないのである。
商標法第1条は、商標の使用をする者の業務上の信用の維持だけでなく、産業発達への寄与と需要者の利益保護についても法目的として規定している。そうである以上、引用商標が乙第7号証商標「コパン」との抵触の適用を主張できないのは、単に、その商標権者だけに限るものでなく、商品に接する取引者・需要者にまで及ぶのは当然である。即ち、引用商標「Les Copains」は、たとえ周知・著名になったとしても、乙第7号証商標「コパン」が有効に存続している限り、日本国内において、「コパン」の称呼を生ずると主張することはできないのである。
このように、引用商標「Les Copains」は、「コパン」の称呼を生じないことを前提として登録されたものである。一方、乙第7号証商標「コパン」が現在も有効な権利として存続し、約20年以上の期間に亘り、日本国内で商品流通秩序が維持されている。
「Les Copains」がその後の使用により周知になったとしても、その「Les Copains」から「コパン」の称呼を生ずるとすれば、それは乙第7号証商標の権利を侵害しながらの違法な使用によって周知になったことを意味し、保護するに値しないばかりか、これまでに乙第7号証商標「コパン」によって形成された商品流通秩序を破壊し、法目的に反する結果となる。
なお、申立人提出の甲各号証の日本語資料によれば、引用商標のフランス語文字は、「レ・コパン」と表示されている。
ナカテン「・」は、複数の語を視覚的に区切る一方で、それら複数の語全体を観念的或いは称呼的に1つのまとまりのある語として認識させる目的で用いられる記号である。
引用商標「Les Copains」は、日本では、「レ・コパン」として表示されており、「レ」と「コパン」はナカテン「・」によって関連づけらるものであるから、乙第10号証の審決のように、フランス語読み風に「レコパン」の称呼のみを生ずるとするのが自然である。
(4)上述したように、引用商標の周知・著名性は、乙第7号証商標「コパン」に及ぶものでなく、日本国内において、引用商標から「コパン」の称呼を生ずると主張することはできない。
また、本件商標からは「ボンコパン」の称呼のみを生じ、「コパン」の称呼を生ずることはない。
引用商標から生ずる「レコパン」の称呼と、本件商標から生ずる「ボンコパン」の称呼とは十分に聴別し得るものであるから、本件商標が商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものでないことは明らかである。
5 当審の判断
本件商標と引用商標は、上記及び別紙に示すとおりの構成よりなるところ、本件商標の指定商品である被服等のファッション業界においては、フランス語が古くから親しまれて用いられており、本件商標中の「Bons」(「bon」の複数形)の文字部分は「良い」等を意味する形容詞として、また、引用商標中の「Les」(「le」の複数形)の文字部分は定冠詞を表したものとして容易に理解されるものであり、いずれもそれ自体識別力が強いものとはいえないから、両商標とも、「コパン」の称呼を生ずる後半の文字部分が需要者に強い印象を与えるものとみるのが相当である。
そして、申立人の提出した甲第11号証の「FASHION NEWS Vol.27 95−96」、同第12号証の「VERY」(1995年10月号)、同第13号証の「ELLE」(1995年11月1日発行)、同第14号証の「ミス家庭画報」(1997年4月号)、同第15号証の「vingtaine」(1996年3月号)及び同第16号証の「ウーマンズ・ウェア・デイリー・ジャパン」(1997年2月10日発行)等のファッション雑誌による記事及び広告、また、同第20号証ないし同第22号証の「世界の一流品大図鑑」(’83、’87、’94)及び同第24号証の「海外ファッションブランド総覧」(株式会社アパレルファッション昭和59年1月10日発行)等によれば、引用商標は、商品「ニット、スカート、シャツ等の被服類」の商標として紹介されていた事実及び甲第17号証における商品の送り状によれば、現在も商品の輸入が行われていることを認めることができる。
以上の事実に照らしてみれば、引用商標は、少なくとも、本件商標の登録出願時である平成9年6月24日以前には、「ニット、スカート、シャツ等の被服類」の商標として、我が国における取引者・需要者間に広く認識されていたものと認められ、これは現在も継続しているものである。
してみれば、本件商標は、その指定商品について使用された場合、これに接する取引者・需要者をして、容易に申立人が使用する周知・著名な引用商標を想記・連想させ、引用商標と彼此混同を生じさせるおそれがあるものというべきであり、結局、本件商標と引用商標とは外観、観念上の相違点を考慮しても、「コパン」の称呼において相紛らわしい類似する商標といわなければならない。
また、本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似する商品について使用をするものである。
商標権者は、本件商標の取消理由に対し、登録例、審決例を示し本件商標、引用商標ともに一連一体的に認識されるものである等々述べる。
しかしながら、本件については引用商標が本件商標の出願時及び登録時において、取引者需要者間に広く認識されているものであることが証拠により認められること、及び商標の登録要件については出願ごとに判断されるべきものであるから、前記意見は採用しがたい。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
Next Action
次の一手につながるサービス
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。