Trademark Appeal Case
SOHOの記述性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成11年異議第90053号 |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | other |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4188060号商標(以下、「本件商標」という。)は、「SOHO」の文字を書してなり、平成9年3月31日に登録出願、第37類「建築一式工事,土木一式工事,内装仕上工事,電気工事,電気通信工事」を指定役務として、同10年9月18日に設定の登録がされたものである。
2 取消理由の通知
本件商標は、「小規模事務所や自宅兼用事務所」を指称する「Small Office Home Office」の略語と認められる「SOHO」の文字を普通に用いられる方法で表示してなるにすぎないものであるから、これをその指定役務中「SOHO対応の役務」に使用した場合には、その役務の質、機能又は用途を表示するにすぎないものであり、「SOHO対応の役務」以外の役務について使用した場合には、その役務の質について誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第3条1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する旨の取消理由を通知した。
3 商標権者の意見
上記2の取消理由に対して、商標権者は、要旨つぎのように意見を述べている。
本件商標は、その指定役務中の「電気通信工事」以外の指定役務との関係では、その質、機能又は用途を表示するものとはいえない。すなわち、甲第3号証ないし同第5号証は、いずれもパソコン用語関係の辞書であるうえ、それら各辞書での説明は「職場形態」を表わす語、「仕事場」又は「仕事場環境」を表わす語、「個人事業所」を表わす語のように様々であり、「SOHO」の意味の説明は概念においてまちまちであり、新語としての定着度も確実なものとはいえない。また、甲第2号証及び同第6号証は一般の辞書として広く利用されているとしても、これら各辞書における「SOHO」の説明は、パソコンとの関係でされているのであって、本件商標の指定役務に係る業界の用語として説明されているものではなく、何んら具体的ではない。
甲第7号証の日本経済新聞社キーワード検索で「SOHO」の文字が「Small Office Home Office」の略語として頻繁に見出し及び記事中に使用されているとしても、そもそもそこで「見出し」及び「記事」として使用されている意味が、上記のとおり、本件指定役務との関係で、当該各役務の内容を具体的に表示するものでないことからすれば、当該使用がどれほど多くとも、指定役務との関係では問題となるものではない。
甲第8号証ないし同第12号証中には、一部の業者が「SOHO」の文字を「電気通信工事」との関係においてその用途表示として使用している例がみられるが、しかし、そのホームページ等の中で、「SOHO対応住宅」、「SOHO住宅展示場」という表現を用いるとしても、それは結局、「電気通信工事」に関し、「SOHO」対応の工事がされているということであって、本件商標の各個別役務との関係で「SOHO」の文字が当該役務の具体的な内容を表示するものとはいえない。
4 当審の判断
そこで判断するに、本件商標は、「SOHO」の文字を書してなるものであるところ、登録異議申立人の提出に係る甲第2号証(自由国民社発行「現代用語の基礎知識(1998年)」)、同第3号証(日経BP社発行「日経パソコン新語辞典(1998年版)」)、同第4号証(日経BP社発行「情報・通信新語辞典(1998年版)」)、同第5号証(技術評論社発行「パソコン用語辞典(97−98)」)、同第6号証(朝日新聞社発行「知恵蔵(1999年)」)及び同第7号証(日本経済新聞社キーワード検索1996年掲載分)によれば、近年のパソコン通信やインターネットなどの通信技術の発達とともに、自宅や小さな事務所を拠点に、パソコンなどを利用した新しい働き方(事業)が注目されており、「SOHO」の語は、この拠点となる「小規模事務所や自宅兼用事務所」を指称する「Small Office Home Office」の頭文字を綴ったものであり、ソーホーと称されているものであること、また、上記甲第2号証によれば「・・・1980年代、企業合理化に伴う失業者の増加とパソコン普及によって、アメリカではSOHOの人口は5000万人と推定されるが、日本でもバブル崩壊後の企業のリストラによって、組織からの離脱が目立ち、SOHO志向が強まっている。・・・」旨記載されており、さらに、甲第7号証によれば、本件商標の登録前である1996年の時点において、「SOHO」の語が上記意味合いで、見出しや記事に頻繁に使用されていることを認めることができる。
そして、甲第8号証ないし同第12号証(KOWA CORPORAT10N、松本電気工事、株式会社ソフマップ、デジタルポイント、阿蘇西原事務所の各ホームページ)によれば、建築及び工事関係の業種における広告、宣伝の文言として、例えば、「SOHO対応住宅」、「SOHO住宅展示場」、「SOHO LAN工事」、「SOHOからのネットワーク工事」等と「SOHO」の語が普通に使用されており、また、前記甲第7号証の1998年12月30日付けの記事によれば、「住宅兼オフィスSOHO、居住性重視・・・第一号のSOHOビル・・・各戸には、キッチン、バス・トイレが付いており、毎秒三メガビットの情報をやりとりできる高速のインターネット専用回線や、オフィスビルなみの電気容量、内線電話などが利用できる。不在時の伝言授受や翻訳・通訳・人材派遣、事務機器の貸し出し、隣接のホテルと提携した食事配達などのサービスも提供する。・・・」旨記載されている。
このような各事実に照らしてみれば、「SOHO」の語に接する取引者・需要者は、単にパソコンとの関係で電気通信工事がなされているというにとどまらず、パソコン通信などの通信技術を利用した新しい形での仕事を遂行するにふさわしい種々の生活環境全体に関わる設備工事がなされている小規模事務所や自宅兼用事務所を想起するものとみるのが相当である。
してみれば、本件商標は、「SOHO」の文字を普通に用いられる方法で表示してなるにすぎないものであるから、これをその指定役務について使用した場合には、前記した実情から、これに接する取引者、需要者は、SOHO対応の建築一式工事、土木一式工事、内装仕上工事、電気工事、電気通信工事であること、すなわち、その役務の質、機能又は用途を表示したものと認識するに止まり、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないものであり、また、これを指定役務中のSOHO対応の役務以外の役務について使用した場合には、その役務の質について誤認を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の3第2項の規定に基づき、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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