Trademark Appeal Case
PKIサーバの識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2003−22336(T2003−22336/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1.本願商標
本願商標は、「PKIサーバ」の文字を書してなり、第9類「耳栓,加工ガラス(建築用のものを除く。),アーク溶接機,金属溶断機,電気溶接装置,オゾン発生器,電解槽,検卵器,金銭登録機,硬貨の計数用又は選別用の機械,作業記録機,写真複写機,手動計算機,製図用又は図案用の機械器具,タイムスタンプ,タイムレコーダー,パンチカードシステム機械,票数計算機,ビリングマシン,郵便切手のはり付けチェック装置,自動販売機,ガソリンステーション用装置,駐車場用硬貨作動式ゲート,救命用具,消火器,消火栓,消火ホース用ノズル,スプリンクラー消火装置,火災報知機,ガス漏れ警報器,盗難警報器,保安用ヘルメット,鉄道用信号機,乗物の故障の警告用の三角標識,発光式又は機械式の道路標識,潜水用機械器具,業務用テレビゲーム機,電動式扉自動開閉装置,乗物運転技能訓練用シミュレーター,運動技能訓練用シミュレーター,理化学機械器具,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,測定機械器具,配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,磁心,抵抗線,電極,消防艇,ロケット,消防車,自動車用シガーライター,事故防護用手袋,防じんマスク,防毒マスク,溶接マスク,防火被服,眼鏡,家庭用テレビゲームおもちゃ,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD−ROM,スロットマシン,ウエイトベルト,ウエットスーツ,浮袋,運動用保護ヘルメット,エアタンク,水泳用浮き板,レギュレーター,レコード,メトロノーム,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD−ROM,計算尺,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,電子出版物」及び第42類「気象情報の提供,建築物の設計,測量,地質の調査,機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらの機械等により構成される設備の設計,デザインの考案,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明,医薬品・化粧品又は食品の試験・検査又は研究,建築又は都市計画に関する研究,公害の防止に関する試験又は研究,電気に関する試験又は研究,土木に関する試験又は研究,農業・畜産又は水産に関する試験・検査又は研究,機械器具に関する試験又は研究,計測器の貸与,電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供,理化学機械器具の貸与,製図用具の貸与」を指定役務として、平成14年12月5日に登録出願されたものである。
2.原査定の拒絶理由の要点
原査定は、「本願商標は、インターネットなどのネットワーク通信のデータを暗号化するセキュリティーシステムの一つを表すものとして一般に使用されている公開鍵基盤の『Public Key Infrastructure』の略称『PKI』の文字とコンピュータネットワークにおいてデータ等提供するコンピュータを認識される『サーバ』の文字を『PKIサーバ』と普通に用いられる方法で書してなるから、これをその指定商品・指定役務中、例えば『データを暗号化するセキュリティーシステムの公開鍵基盤を有するサーバコンピュータ』・『データを暗号化するセキュリティーシステムの公開鍵基盤を有するサーバコンピュータの貸与』に使用するときは、単に商品の品質・役務の質について普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標と認められる。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品・役務以外の商品・役務に使用するときは、商品の品質・役務の質の誤認を生じさせるおそれがあり、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3.当審の判断
本願商標は、前記のとおり「PKIサーバ」の文字よりなるところ、その構成中、「PKI」(Public Key Infrastructure)の文字は、例えば、平成16年11月1日 株式会社技術評論社発行の2005−’06年版 最新パソコン用語事典には、「PKI[ピーケーアイ]」の項に「公開鍵暗号を用いた技術/製品全般を指す言葉。具体的には、各種の公開鍵暗号技術、暗号化電子メール、デジタル証明書を発行する認証局構築サーバーなどが含まれる。公開鍵基盤と訳す。」との記載、また、「サーバ」の文字についてみると、例えば、IT用語辞典e−Wordsには、「サーバ【server】」の項に「コンピュータネットワークにおいて、クライアントコンピュータに対し、自身の持っている機能やデータを提供するコンピュータのこと。インターネットにおけるWWWサーバなどが該当する。また、クライアントソフトウェアに対し、自身の持っている機能やデータを提供するソフトウェアのこと。」との記載が認められる。
また、2005年1月1日 株式会社集英社発行の「imidas2005」の「電子認証」の項には「インターネットを利用する電子商取引では対面によって相手の確認ができないことや、通信内容が改ざんされる恐れがあることから、電子的な情報によって相手を確認したり、改ざんがないことを確認する手段が必要となる。・・・技術的にはPKI(public key infrastructure 公開鍵基盤)とよばれる暗号・認証技術が利用されている。公開鍵基盤により、通信の当事者同士が本人しか持たない秘密鍵と、それと対の公開している公開鍵を使って、本人の証明や文書改ざんがないことを確認できる。電子署名・認証法が2001年4月施工されており、現在では電子文書に紙の文書と同じ法的効力が認められている。」との記載が認められる。
ところで、最近のインターネットを利用する電子商取引の本人確認の認証においては、その信頼性、安全性が求められるところ、その認証には、PKI(Public Key Infrastructure 公開鍵基盤)が、利用され、該鍵暗号を利用したサーバーコンピュータやソフトウェアが「PKIサーバ」と称され、また、該「PKIサーバ」に関するサービスが提供されていると認められる。
そして、上記した実情は、以下の各種新聞記事の記載やインターネットの情報から裏付けられるものである。
(1)1999.07.22 日刊工業新聞 9頁には、「セキュリティ・ダイナミックス、デジタル証明書管理システムを発売」の見だしのもと「・・・PKI(公開カギ暗号基盤)構築の中核となるデジタル証明書管理システム・・・を発売した。・・・同システムは、認証局の構築とデジタル証明書、証明書失効リストの発行と管理を行うサーバソフトウエア。」との記載。
(2)2000.01.25 日刊工業新聞 11頁には「エントラスト・ジャパン、PKIセキュリティーの新製品を発売」の見だしのもと「・・・は、PKI(公開カギ基盤)セキュリティーの新製品・・・発売する。ユーザーは、簡単な操作でPKI方式による高いセキュリティーを得られる。」との記載。
(3)2001.11.19 日刊工業新聞 10頁には「SII、日本ボルチモアと提携−PKI関連ハード製品発売」の見だしのもと「・・・OEM(相手先ブランド)供給を受け公開カギ基盤(PKI)関連ハード製品を発売した。PKIの最重要部分であるカギの生成とそのカギを安全に保護・管理するハードウエアセキュリティーモジュール(HSM)『エスキーパー』で、各サーバに接続し暗号カギを生成する。」との記載。
(4)2005.03.02 日刊工業新聞 10頁には「情報セキュリティー最前線(12)認証技術」の見だしのもと「PKI(公開鍵基盤)は電子商取引などで、安全性の高い環境を確保できるものとして注目を集めている。公開鍵と秘密鍵、証明書を使ったセキュリティー環境で、電子証明書を発行する『CA(認証局)』、証明書の申請を受け付ける『PA(登録局)』などで構成する。さらに、この認証ソフトと構築・運用サービスを統合した認証サービスも好調だ。」との記載。
(5)2005.07.14 日刊工業新聞 10頁には「日立、既存システムにそのまま追加導入できるセキュリティーソフト発売」の見だしのもと「・・・企業内データ通信のセキュリティーを確保するソフトウエアを開発したと発表した・・・公開鍵暗号基盤(PKI)を用いた電子認証と、暗号化通信の機能を一つのソフトで実現した。離れた拠点間でもVPN(仮想私設網)を使う必要がなくなり、ネットワーク構築を効率化できる。暗号化通信のための情報をサーバで一元管理することで、運用コスト低減にもつながる。」との記載。
(6)株式会社ナックデザイン(http://www.i-server.jp/company/)のホームページ中「PKIサーバー」には「製品のご案内/PKIサーバー」、「PKIサーバーは強力なセキュリティを提供します。」との記載。
(7)日本テレコム株式会社のホームページ(http://www.japan-telecom.co.jp/release/2004/jun/0601/ref.html)には、「1.サービス概要」として「『PKIプラットフォーム』は、法人向けIP−VPNサービス『Solteria』、法人向け広域イーサネットサービス『Wide−Ether』をご利用のお客様に対し、PKIサーバからお客様一人ひとりに電子証明書と秘密鍵を発行するサービスです。」との記載。
(8)日立ソフトウェアエンジニアリング株式会社のホームページ中「金融ソリューション」(http://www.hitachi-sk.co.jp/Products/f-solution/e-kinyuu3_06.html)には、「総合PKIソリューション」の見だしのもと「『PKIサーバ構築サービス』は、お客様独自の認証局(プライベートCA)を構築することにより、お客様のポリシーに沿った柔軟な認証システムを使用することを可能にするソリューションです。」との記載。
以上のとおり、「PKI」は、公開鍵暗号を用いた技術全般を指す言葉であって、ソフトウエアやサーバコンピュータについて「PKIサーバ」と称している事実が認められる。
そうとすれば、本願商標は、これをその指定商品及び指定役務中「公開鍵基盤を利用したソフトウエアやサーバコンピュータ」及び「公開鍵基盤を利用したソフトウエアの構築やサーバコンピュータの貸与」等について使用した場合、これに接する取引者、需要者は、該商品及び役務が公開鍵基盤を利用したものと理解するにとどまり、商品の品質、機能及び役務の質、用途等を表示するにすぎないものと認められ、前記以外の商品及び役務に使用するときは、商品の品質及び役務の質について誤認を生じさせるおそれがあるものといわざるを得ない。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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