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Trademark Appeal Case

商標不使用取消の正当理由

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2003−31399(T2003−31399/J2)
審判種別取消
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第2021612号商標(以下「本件商標」という。)は、「産業と経済」(各文字は縁取りがされている。)の文字を横書きしてなり、昭和60年10月7日登録出願、第26類「雑誌、新聞」を指定商品として、同63年2月22日設定登録、その後、平成10年3月24日に商標権存続期間の更新登録がされたものである。

2 請求人の主張

請求人は、「本件商標の登録を取り消す。審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求める。」と申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次の通り述べた。

(1)請求の理由

本件商標は、請求人の調査した限りにおいては、少なくとも、本件審判請求日前3年以内に日本国内において、その指定商品のいずれにも使用されていないことが判明した。したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。

(2)答弁に対する弁駁

被請求人は、平成16年7月8日付けの答弁書において、「本件商標は被請求人により使用されたものとされるべきである」と主張しているが、商標法の規定上、被請求人が使用していると認めることはできない。

また、被請求人は、「被請求人には、不使用につき正当理由が有る」と主張しているが、商標法の規定における正当理由には該当しない。

したがって、本件商標を取り消す旨の審決を求める。

3 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のとおり述べ、証拠方法として乙第1号証の1ないし乙第16号証の8を提出した。

答弁の理由

(1)被請求人と請求人との関係について

被請求人は、昭和22年7月に創刊され、本件商標を使用した月刊誌「産業と経済」の編集、発行及び販売を昭和31年の設立時から行ってきた。

被請求人は、上記の雑誌に係る商標権及び営業権並びに雑誌コード使用権を請求人に平成12年3月11日付で譲渡した(乙第2号証の2(東京地裁平成16年(ワ)第6586号事件の訴状の写し)中の甲第4号証及び甲第5号証))。

その後、請求人は、上記権利の譲渡対価につき、被請求人が再三に渡って催告をしたのに対し、被請求人が譲渡対価費用債権を請求人に対し有していることを認めた上で、当該対価を支払うことなく月刊誌「産業と経済」を現在に至るまで発行しつづけている(乙第3号証ないし乙第7号証)。

そこで、被請求人は平成15年10月3日に到達の書面により、請求人に対し上記の譲渡対価を1週間以内に支払うよう催告すると共に、支払いのない場合には上記売買契約を解除することを通知した。

被請求人は平成16年3月24日付で請求人を被告として「雑誌コード使用権」移転申請手続き請求並びに損害賠償請求を内容とする訴えを東京地方裁判所に提訴し、現在当該訴訟は係争中で有る。

(2)被請求人が本件商標を使用していたことについて

上記したとおり、平成12年3月11日以降本件商標は、請求人が月刊雑誌「産業と経済」の商標として使用している。

これは、雑誌「産業と経済」につき被請求人が所有していた「雑誌コード使用権」をそのまま請求人が使用することについて被請求人が許諾していたことによるものである。

この「雑誌コード使用権」を有さない者は、雑誌の取次業者(全国で9社)による雑誌の取次ぎを依頼することができず、事実上雑誌を全国販売することが不可能となる。請求人は、被請求人の「雑誌コード使用権」を譲受け、しかも、被請求人の協力の下、各取次業者に対して「仕入先変更のお願い」の書面を提出することで、平成12年4月8日搬入分五月号より請求人の編集・出版に係る本件商標が使用された月刊誌「産業と経済」が途切れることなくその発行が継続可能となったものである。

かかる被請求人の協力は、被請求人の努力によって信用が築かれてきた月刊誌「産業と経済」の発行が止まったり、その品質が落ちるといった不都合が生じないようにせんとするためであって、請求人による月刊誌「産業と経済」の発行は被請求人による許諾の下に為されていたと言い得るものである。

このことは、被請求人が請求人による登録商標「産業と経済」の使用に対して商標権侵害に基づく差止請求等の法的処置を取っていないことからも証明できる。

以上述べたことから、本件商標の請求人による使用は、被請求人の許諾に基づくものであって、かかる本件商標の使用は、被請求人による使用と言い得るものであり、かつ、被請求人による本件商標の不使用については商標法第50条第2項但書にいう正当理由が有るものである。

(3)前述したとおり本件商標は被請求人により使用されたものとされるべきであり、仮にそれが認められない場合には、被請求人には、不使用につき正当理由が有るものである。

したがって、本件審判請求は成り立たない旨の審決がなされるべきである。

4 当審の判断

被請求人提出に係る乙第2号証の2(東京地裁平成16年(ワ)第6586号事件の訴状の写し)中の甲第5号証(商標権等譲渡契約書)によれば、本件商標は、雑誌コード使用権等と共に平成12年3月11日付けで被請求人より請求人に対して譲渡されている事実が認められる。

そして、請求人はその後、被請求人の契約履行の催告書(乙第12号証の1ないし7・平成12年6月9日〜平成15年5月30日)に対して、被請求人に対する譲渡対価費用債権を請求人に対し有していることを認めている状況にある(乙第13号証の1ないし4(平成12年12月15日〜同15年6月27日))。

また、本件商標を付した雑誌「産業と経済」が、昭和31年より現在まで被請求人及び請求人により継続して発行されている事実は、当該雑誌に付された通巻番号等により推認し得るものである。

そうとすれば、両者間の本件商標の譲渡による商標権の移転登録が完了するまでは、被請求人と請求人の関係は、商標権者と使用権者の関係にあるものとみるのが相当である。

してみれば、本件商標は本件審判請求の予告登録前3年以内に日本国内において、取消請求に係る指定商品中の「雑誌」について、本件商標の使用権者というべき請求人によって使用されていたものといわなければならない。

したがって、本件商標についての登録は、商標法第50条の規定により取り消すべき限りでない。

なお、請求人は東京地方裁判所平成16年(ワ)第6586号事件の判決確定まで、本件審判の審理を暫時中止してもらいたい旨述べているが、本件不使用取消審判に関しては、上記のように判断するのが妥当であって、当該訴訟の結果によって、請求人の使用権者としての立場及びその使用事実が左右されるものといえないから、上記訴訟事件の結果を待つことなく審決した。

よって、結論のとおり審決する。

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