結論テキスト
審判費用は、被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2004−31292(T2004−31292/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第2514417号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成2年10月12日に登録出願、第17類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成5年3月31日に設定登録され、その後、平成14年10月15日に商標権存続期間の更新登録がされ、また、指定商品については、平成15年3月12日に第5類「失禁用おしめ」、第9類「事故防護用手袋,防火被服,防じんマスク,防毒マスク,溶接マスク」、第10類「医療用手袋」、第16類「紙製幼児用おしめ」、第17類「絶縁手袋」、第20類「クッション,座布団,まくら,マットレス」、第21類「家事用手袋」、第22類「衣服綿,ハンモック,布団袋,布団綿」、第24類「布製身の回り品,かや,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布」及び第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,和服,下着,水泳着,水泳帽,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子」とする書換の登録がされたものである。
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証を提出した。
本件商標は、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかによって使用された事実は存在しないから、商標法第50条第1項の規定により、その登録を取り消されるべきである。2 答弁に対する弁駁
(1)乙第1ないし3号証について
乙第1ないし3号証は、被請求人(商標権者)の住所が電話帳に記載された「テリヤスポーツ」の住所と合致していること、及び被請求人が「テリヤスポーツ」の経営者であることを示す証拠として提出されたものであり、本件商標の使用について証明するものではない。また、乙第1号証は、1993年8月27日現在のものであり、本件審判の請求の登録前3年以内に登録商標を指定商品について使用しているものとはいえない。さらに、乙第2号証に表示された犬の図形は、本件商標中の犬の図形部分(以下「本件犬図形」という。)のみと類似するものであるから、本件商標と社会通念上同一性のある商標の使用とはいえない。
(2)乙第4ないし6号証について
被請求人は、乙第4号証の表記から、「Scottish terrier」が「Scotch terrier」と同一であると主張し、乙第5、6号証の記載から、「スコティッシュ・テリヤは他の17種類のテリヤとは形状が異なっており、他のテリヤ犬とは混同されることはない。」と主張する。
しかしながら、乙第4ないし6号証は、単に犬の種類の説明をするものにすぎず、本件商標の使用の事実を何ら立証するものではない。
(3)乙第7ないし10号証について
(ア)被請求人は、乙第7ないし10号証(商品の写真)について、平成16年11月9日に撮影したと説明するが、当該写真の撮影者の氏名及び住所が明らかでないから、請求人は、上記の点ついて被請求人に釈明を求める。
(イ)被請求人は、乙第7ないし10号証に表示された犬の図形の使用をもって、本件商標と社会通念上同一の商標を使用していると主張するが、乙第7ないし10号証に表示された商標は、本件商標と社会通念上同一の商標ではない。すなわち、乙第7ないし10号証に表示された商標は、本件商標にある「スコッチ テリヤ」及び「SCOTCH TERRIER」の各文字がない。
また、乙第7号証に表示された犬の図形と本件犬図形とを対比すると、(a)犬の首部分に巻かれたリボンについて、リボンの結び目や皺が明確である本件犬図形に対し、乙第7号証のそれは、結び目や皺がなく、花のようなデザインが施されているかのように見える。(b)犬の鼻部分の形状について、本件犬図形においては丸い鼻先であるのに対し、乙第7号証のそれは、鋭角に尖った形状の鼻先であり、同一形状の犬の図形であるとはいえない。
さらに、乙第7号証に表示された犬の図形は、あたかもアイロンプリントにおいて即席にTシャツに付されたものであるかのような印象を受ける。Tシャツは、襟元のタグ等に商標が使用されていることが一般的であると考えるが、乙第7号証のTシャツには、そのようなタグは見受けられないばかりか、犬の図形の位置についても、通常のTシャツであれば左胸ポケットのある位置あたりに付されるものであるが、乙第7号証の犬の図形は、内側寄りで、かつ、かなり上方に位置し、Tシャツ全体としてみた上で、不自然な印象が否めない。よって、このような証拠をもって、本件商標の使用を認めることは妥当でない。
乙第8号証中、下段に示されたタグ部分の写真からは、タグがズボン本体から浮かび上がっているような印象を受け、また、タグをズボン本体に取り付けられたときに生ずる縫い目が見られない。よって、乙第8号証の写真は、即席にタグをズボン上に置いた状態で写真が撮影された可能性があるといわざるを得ない。
したがって、乙第7ないし10号証に表示された商標は、本件犬図形と類似する図形のみの使用であり、外観において同視される図形からなる商標でもなく、また、商標法第50条にいう社会通念上同一の商標にも該当しないものであるから、本件審判の請求の登録前3年以内の本件商標の使用の事実を立証するものではない。
(ウ)スコティッシュテリアという犬の種類が、他のテリア犬と異なる形状をしており、スコティッシュテリアがスコッチテリアと呼ばれることがあるとしても、「スコティッシュテリアのような図形」の使用をしていれば、本件商標の使用に該当するとの被請求人の主張は失当である。前記のとおり、本件商標の場合は、片仮名の「スコッチ テリヤ」、欧文字の「SCOTCH TERRIER」及び願書に記載された犬の図形の全体をもって、本件商標の使用であるというべきである。
この点につき、本件商標の商品区分の一つである第25類においては、テリア犬をモチーフとした登録商標は多数存在し、その首部分にリボンや首輪らしきデザインが施された商標が多数存在する(甲第1号証)。このことは、その犬の図形としての類似範囲の狭さを表すものと考えられるのであり、商標法第50条第1項における社会通念上同一の商標についての判断においても、同様に、同一性は狭く判断されるべきである。
(4)乙第11ないし21号証について
被請求人は、乙第7号証に示した商品が販売された証拠として乙第12、14、17及び18号証の納品書を、乙第8号証に示した商品が販売された証拠として乙第11、13、15ないし17、19及び20号証の納品書を、乙第9号証に示した商品が販売された証拠として乙第17号証の納品書を、さらに、乙第10号証に示した商品が販売された証拠として乙第21号証の売上補助帳を提出しているが、乙第11ないし13号証の日付は、本件審判の請求の登録前3年以内に該当しない。
また、乙第14ないし21号証からは、Tシャツやサッカーパンツ、試合ロングパンツ、ハーフパンツ及びベストが販売された事実は窺えても、これらの納品書と乙第7ないし10号証の商品とを結びつける客観的証拠は何ら存在しないから、販売された商品に本件商標と社会通念上同一性のある商標が付されたか否かは明らかでない。
さらに、乙第12、14、17及び18号証の納品書に記載のTシャツは、その単価が3000円(税込)(乙第12号証)、2200円(税込)(乙第14及び17号証)、2450円(税込)(乙第18号証)と多様であり、同一のTシャツが複数日において販売されたとする証拠としては、疑問である。
また、同様に、乙第11、13、15ないし17、19及び20号証の納品書によると、サッカーパンツ、試合ロングパンツは、その単価が3100円(税込)(乙第11、15、17及び20号証)、3300円(税込)(乙第16号証)、4500円(税込)(乙第13及び19号証)と多様であり、同一のパンツが複数日において販売されたとする証拠としては、疑問である。
以上のように、実際に使用している商品とその納品書等との関連付けができない以上、これら証拠をもって、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標をその指定商品に使用をしているとは認められない。
(5)むすび
以上述べたとおり、乙第1ないし21号証は、いずれも本件商標の使用の事実を立証するものではない。
被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1ないし21号証を提出した。
(1)被請求人の住所は、広島市中区住吉町8番12号であり、この住所は乙第1号証(NTT職業別電話帳、1993年8月27日現在、広島県、広島市・廿日市市・大竹市地方、上巻)の1114頁右下部及び乙第2号証(NTT職業別電話帳、2003年9月17日現在、広島市中央版)の533頁右下部に記載された広告「テリヤスポーツ」の住所と合致している。
(2)乙第3号証(野村証券広島支店からの2004年11月10日付FAX)には「テリヤスポーツ社長番匠良次様」と記載されている。
(3)乙第1ないし3号証から分かるように、被請求人は個人経営商店「テリヤスポーツ」の経営者である。
(1)乙第4号証(研究社新英和中辞典)の1596頁に「Scotch terrier」が図示され、「スコッチテリア」と日本語訳が記載され、また、1597頁には、「Scottish terrier」と「Scotch terrier」は同一と記載されている。
(2)乙第5号証(インターネットホームページの「スコティッシュ・テリヤ」に関する記事)の1頁2行目には「スコッティー/スコッチ・テリヤ」と記載され、2頁の上段右端にはスコッチテリヤのシュタイフ製ぬいぐるみが記載されている。
(3)乙第6号証(株式会社新星出版社、2004年4月15日発行の「世界の犬カタログ」)の10頁右列PART4から分かるように、その85頁から104頁には18種類のテリヤが記載されており、その内99頁にはスコティッシュ・テリヤが記載されている。そして、スコティッシュ・テリヤは、他の17種類のテリヤとは形状が異なっており、他のテリヤ犬と混同されることはない。
(4)乙第4号証のスコッチテリヤの図形、乙第5号証のスコティシュ・テリヤのぬいぐるみの写真、乙第6号証のスコッチ・テリヤの写真からして、乙第1、2号証の右下のテリヤスポーツの広告に画かれている犬の図形は、スコッチ・テリヤであることは明らかである。
(1)乙第7号証(スコッチテリヤの図形を表示したTシャツの写真)のTシャツと完全同一種類のTシャツは、乙第18号証(納品書(控))のM寸に示すように販売されている。また、略同一種類のTシャツは乙第18号証のS寸、乙第12、14及び17号証の納品書(控)に示すように、本件審判の請求の登録日前に販売されている。
(2)乙第8号証(スコッチテリヤの図形を表示したパンツの写真)のパンツと完全同一種類のパンツは、試合用ロングパンツで乙第19号証(納品書(控))に示すように販売されており、略同一種類のパンツは乙第11、13、15ないし17、20号証(いずれも納品書(控))に示すように、サッカーパンツ、試合用ロンパン、試合用パンツ、試合用ロングパンツとして、本件審判の請求の登録日前に販売されている。
(3)乙第9号証(ハーフパンツの写真)と完全同一種類のハーフパンツは、乙第17号証(納品書(控))のハーフパンツJRに示すように、また、略同一種類のハーフパンツは乙第17号証のM寸に示すように、本件審判の請求の登録日前に販売されている。
(4)乙第10号証(スコッチ・テリヤの図形を表示したベストの写真)は、乙第21号証(売上補助帳)の右頁中程の平成15年4月7日緑ベストHOFUCHUO LIONSと完全同一種類のベストであり、同売上補助帳には、略同一種類のベストの、本件審判の請求の登録日前の平成11年2月5日から平成16年7月7日にかけての販売が記載されている。
本件商標は、上段に「スコッチテリヤ」の文字、中段に「スコッチテリヤ」の図形、下段に「SCOTCH TERRIER」と記載された商標である。そして、乙第1、2、7ないし10号証に表示された犬の図形は、スコッチテリヤであり、被請求人は、指定商品中、Tシャツ、サッカーパンツ、ハーフパンツ、ベストに社会通念上登録商標と同一と認められる商標を使用している。
したがって、本件商標は、商標法第50条の規定に基づき、その登録が取り消されるべきものではない。
(1)乙第2号証は、2003年9月17日現在の情報が掲載された「NTT西日本/デイリータウンページ/広島市中央版」であるところ、その533頁には、別掲(2)のとおり、「テリヤ」の文字が大きく書され、その右にやや図案化された犬の図形が表示され、該図形の下に「スポーツ」の文字が小さく書されている。
(2)乙第7号証は、2004年11月9日に撮影されたTシャツの写真2葉であるところ、該Tシャツの左胸部分には、赤色ではあるものの、色彩を同一にすれば上記(1)の犬の図形部分と酷似する犬の図形が表示されている。
(3)乙第8号証は、2004年11月9日に撮影されたサッカーパンツの写真2葉であるところ、該サッカーパンツのベルトループ左下部分に、上記(1)の犬の図形部分と酷似する犬の図形及びその右に「テリヤ」の文字が大きく表示されている。
(4)乙第9号証は、2004年11月9日に撮影された短パンの写真1葉であるところ、該短パンのウエスト部に、乙第8号証に表示されたものと同様の犬の図形及び「テリヤ」の文字が大きく表示されている。但し、乙第9号証の犬の図形には青色が、また、「テリヤ」の文字には赤色が施されている。
(5)乙第10号証は、2004年11月9日に撮影されたベストの写真2葉であるところ、該ベストの後ろ身頃の襟部内側に、「TERRIER BRAND」の文字、その下に上記(1)の犬の図形部分と酷似する犬の図形及び該図形の下に「SPORTS WEAR」の文字が表示された織りネームが付されている。
これに対し、本件商標は、別掲(1)のとおり、その構成中、中央にやや図案化された犬の図形(本件犬図形)を顕著に表し、該図形の上段に「スコッチテリヤ」の文字を、また、図形の下段に「SCOTCH TERRIER」の文字を横書きしてなるものである。
ところで、乙第4ないし6号証によれば、犬の一種類であるテリアには、18種類のものがあり、「スコッチテリア(スコティッシュ・テリア)」はそのうちの一種類であることが認められる。
しかしながら、本件商標の指定商品である被服等の分野における主たる需要者は、老若男女を含めた一般の消費者であり、このような需要者がテリアの種類を必ずしも熟知しているとは限らず、むしろ、テリアの特徴を備えた犬を総称的にテリアと認識する場合が多いとみるのが相当であるのみならず、前記認定のとおり、使用に係る商標における犬の図形及び本件犬図形は、いずれもやや図案化されて表現されているものである。
そうすると、本件商標に接する需要者は、その構成中の本件犬図形については、その上下に書された「スコッチテリヤ」及び「SCOTCH TERRIER」の各文字によりはじめて「スコッチテリア犬」を表したと理解するというのが相当である。
したがって、本件商標は、構成全体をもって、「スコッチテリヤ(スコッチテリア犬)」の称呼及び観念を生ずるものといわなければならない。
他方、使用に係る商標に接する需要者も、「テリヤ」若しくは「TERRIER」の文字により、いわゆるテリア犬を総称的に表したと理解するというのが相当であり、また、使用に係る商標のうち、犬の図形のみが表示されたものに接する需要者は、犬の総称的な一種類であるテリアを表したと理解はするものの、直ちに「スコッチテリア犬」を表したと理解することはきわめて困難であるというのが相当である。
したがって、使用に係る商標は、これより「テリヤ(テリア)」の称呼及び観念を生ずるものといわなければならない。
以上によれば、本件商標と使用に係る商標とは、同一の称呼及び観念を生ずる商標ということはできないし、外観上も明らかに相違するものというべきであるから、使用に係る商標は、本件商標と社会通念上同一の商標と認めることはできない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
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