結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2000−31448(T2000−31448/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第1646446号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲に示すとおりの構成よりなり、昭和54年9月12日登録出願、第17類「くつ下、たび、手袋(ゴム手袋、絶縁用ゴム手袋を含む)えりまき、マフラー、スカーフ、ネッカチーフ、ショール、ネクタイ、ゲートル、たびカバー、エプロン、おしめ、防火被服」を指定商品として同58年12月26日に設定登録、その後、平成6年8月30日及び同16年2月10日の二度に亘る商標権存続期間の更新登録がされたものである。
請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を要旨次のように述べるとともに、証拠方法として甲第1号証ないし甲第6号証を提出した。
(1)本件商標の商標権は、商標登録原簿(甲第2号証)から明らかなように、昭和58年12月26日に井後義之氏を名義人として登録され、平成6年8月30日に商標権存続期間の更新登録がされ、同12年7月26日に被請求人への移転登録がされたものである。
請求人の調査によれば、本件商標は、その指定商品について継続して3年以上日本国内において、井後義之氏、被請求人(商標権者)(以下「被請求人」という。)又はその使用権者のいずれによっても使用された事実が見当らない。
井後義之氏が代表を務めるネクタイの製造(卸)業者である件外「タッグネックウエアー工業株式会社」(以下「タッグネックウエアー工業」という。)は、平成12年9月11日に京都地方裁判所に自己破産を申請し、破産宣告が下されており、現在一切営業していない(甲第3号証)。
また、井後義之氏も所在不明で連絡がつかない状態である。
そこで、井後義之氏又はその使用権者による本件商標の使用の有無についての調査は、タッグネックウエアー工業の主要な取引先に対して、タッグネックウエアー工業の製品について問い合わせる形での調査とならざるを得なかった。
そして、その調査結果によれば、井後義之氏又はその使用権者が本件商標を使用していた事実は、認められなかった(甲第3号証)。
被請求人は、タッグネックウエアー工業の破産申請の2ヶ月前(平成12年7月10日)に、本件商標の移転登録の申請をしているが、請求人の調査によれば、被請求人は、生糸、撚糸の卸売専門業者である。
本件商標の商標権については、商標登録原簿の記載(甲第2号証)から明らかなように、専用使用権者、通常使用権者の登録がされておらず、前記調査結果によれば、未登録の通常使用権者がいるとも思えない。
また、被請求人は、過去に、法令によって、本件商標の使用について規制を受けた事実もなく、天変地異によって、本件商標の使用ができなかった事実も認められないから、本件商標を使用しないことについて正当な理由があるとは思えない。
したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、その登録の取消しを免れない。
(2)被請求人の答弁に対する弁駁
被請求人は、証拠を提出して、本件商標が本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、被請求人の通常使用権者によって、取消請求に係る指定商品中の「ネクタイ」に使用されているから、本件審判請求は理由がない旨答弁しているが、それに対し、請求人は、要旨以下のように弁駁する。
(ア)社章(営業標章)としての使用は、「商標として」使用した証拠となり得ない。
(a)標章について
被請求人が本件商標の使用事実を証明する証拠として提出した名刺、請求書及び領収書には、本件商標と同一の標章が表示されている。
しかし、これらの標章は、いずれもタッグコーポレーションの社章(営業標章又は商号標章)として用いられていることが明らかであって、本件商標が商標として使用されている事実が証明されていない。
(b)名刺について
被請求人提出の名刺(乙第6号証)の左上には、本件商標と同一の標章が表示されている。
しかし、そのすぐ横には「TAG CORPORATION」の社名の表示があることから、この標章は、社章としての表示とみるべきであり、本件商標を「商標として」使用した事実を証明する証拠とはなり得ない。
また、標章の使用が「商標としての使用」となるには、当該標章の使用が商品又は役務「について」なされること、すなわち当該標章が商品又は役務に関連して使用されていなければならない。
してみると、名刺において、単に標章が使用されているだけでは、仮に、当該標章が商標であったとしても、「当該商標自体の知名度を高め間接的に企業活動に資するため、広告を名刺で行っているもの」にすぎず、商標法上の「商標の使用」にはなり得ない(商標法概説15頁及び16頁:甲第4号証)。
(c)請求書及び領収書について
被請求人提出の請求書や領収書上にも同様に、本件商標と同一の標章が表示されているが、そのすぐ横には「京都市右京区太秦森ケ東町47番地」「株式会社タッグコーポレーション」「代表取締役 松村滋」の文字が三段に横書きされており、このように当該標章が表示されている位置からすると、いずれも社章(営業標章)としての表示とみるべきであるから、本件商標を「商標として」使用した事実を証明する証拠とはいえない。
(イ)被請求人提出の取引書類は、商標法第2条第3項第7号に規定する「商品に関する取引書類」に該当しない。
(a)商標法第2条第3項第7号は、「商品又は役務に関する広告、定価表又は取引書類に標章を付して展示し、又は頒布する行為」が商標の「使用」に該当すると規定しているが、商標は、本来、商品の出所を表示し、もって、自他商品を識別する機能を持つことをその本質とするものである。
したがって、商品自体や商品の容器・包装に商標を貼付するような商標の直接的使用行為であると、このような間接的使用行為であるとを問わず、そもそも当該商標が、その出所を表示すべき対象である商品との具体的関係において使用されていない以上、商標の使用とはなり得ない(最判昭和43年2月9日:甲第5号証)。
(b)これと同じ立場から、特許庁では、平成4年改正以前の商標法下で、商標権存続期間の更新登録出願の審査を行う際、登録商標の使用の有無を認定するための「商標の使用事実を示す資料」に関する取扱いにつき、次のような基準を設けていた(特許庁商標課編「商標審査基準(改訂第4版)」78頁)。
この審査基準は、商標登録の取消審判請求事件における登録商標の使用の有無を認定するための「商標の使用事実を示す資料」についても同様に適用されるべきである。
(c)当該審査基準には、「商標の使用事実を示す資料」が「商品に関する取引書類」である場合、「『商品に関する取引書類(例えば、納品書、送り状等)』は、商標及び商品が明確に表示されているものであって、それが取引上実際に使用された事実が把握されるものでなければ認めないものとする。」と記載されている。
(d)また、当該審査基準に関する実例を示して解説している「商品サービス商標実務入門」の266頁及び267頁においては、その註記で「・・・取引書類において次図のように『紳士服用ジャケット』又は『シャンプー』という普通名称が明示されていなければならない。」と説明されている(甲第6号証)。
(e)当該基準及び上記註記に示された実例に従えば、被請求人提出の取引書類は、本件商標をその商品との具体的関係において、明確に表示しておらず、いずれも「商標の使用事実を示す資料」として取り扱われないことが明白である。
すなわち、被請求人は、事例(あ)ないし(か)の商取引に関する取引関係書類を「商品に関する取引書類」として提出しているものの(乙第7号証ないし乙第39号証)、これらの書類からは、以下に記載した商取引が行われたことを認め得るとしても、本件商標が商品「蝶ネクタイ」や「ネクタイ」との具体的関係において使用されていたと認めるに足りる資料が一切含まれていない。
反対に、これらの取引書類中の納品書「マーク」欄や「品名」欄には、「CX83D76871」や「CX82D61481」などの商品番号や「POLO」というブランド名の記載があり、これらの記載からすると、被請求人の立証意図とは逆に、本件商標が具体的な商品との関係で全く使用されていなかった事実が認められる。
特に、事例(う)及び(え)において、商品名「POLOネクタイ」の販売に関する取引関係書類が、何故、本件商標の使用を裏付けることになるのか、その立証意図は、理解し難いものといわざるを得ない。
事例(あ)(乙第7号証ないし乙第13号証)・・・(株)カインドウエア・コスチュームに対し、「CX83D76871」というマークの商品「蝶タイ」「ACAA212」を2本販売(販売日 平成12年9月7日)
事例(い)(乙第14号証ないし乙第19号証)・・・(株)カインドウエア・コスチュームに対し、「CX82D61481」というマークの商品「ネクタイ」を9本販売(販売日 平成12年10月23日)
事例(う)(乙第20号証ないし乙第24号証)・・・堀越ネクタイ(株)に対し、商品「POLOネクタイ」を360本販売(販売日 平成12年8月1日)
事例(え)(乙第25号証ないし乙第29号証)・・・堀越ネクタイ(株)に対し、商品「POLOネクタイ」を432本販売(販売日 平成12年9月22日)
事例(お)(乙第30号証ないし乙第35号証)・・・(株)ホビーに対し、商品「Wクロスタイ」を30本販売(販売日 平成12年9月25日)
事例(か)(乙第36号証ないし乙第39号証)・・・(株)ホビーに対し、商品「Wクロスタイ」を70本販売(販売日 平成12年10月4日)
(ウ)先の(イ)(a)で引用した最判昭和43年2月9日判決(商標登録の取消審判の審決取消請求事件)においては、上告人が「社用便箋や封筒に本件商標の記載がなされていることは証拠上明らかであるにもかかわらず、原審が本件商標の使用事実を認めなかったことは、商標使用の解釈を誤り、経験則及び採証法則に違背し、釈明権不行使の違法をおかしたものである。」という理由で商標の使用事実の有無について争った事案である。
この事件で最高裁判所は、「商標の使用があるとするためには、当該商標が、必ずしも指定商品そのものに付されて使用されていることは必要でないが、その商品との具体的関係において使用されていることを必要とするものと解するのが相当である。そして、商標を表示した取引書類であっても、所論のように、それが常に指定商品との具体的関係において使用されるものと推認すべき経験則は存在せず、右の事実は、当事者において、裁判所の釈明をまつまでもなく、主張立証する必要があるものといわなければならない。」と判示しており、当該事件で上告人会社提出の便箋や封筒等の書類が指定商品「ソース」等との具体的関係において使用されていたことを認めるに足る資料がないからという理由で、商標の使用事実を認めなかった。
この最高裁判決が示した商標の使用の有無に関する判断基準を本件審判事件に当てはめれば、本件も同様に、被請求人提出の取引書類が指定商品の一部である「ネクタイ」等との具体的関係において使用されていたことを認めるに足る資料は一切存在しない。
したがって、被請求人提出の乙第7号証ないし乙第39号証の取引書類では、被請求人が本件商標を使用した事実を認めることができない。
(エ)結論
以上の(ア)ないし(ウ)から明らかなように、被請求人提出の乙第6号証の名刺及び乙第7号証ないし乙第39号証の取引書類をもってしては、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、被請求人の通常使用権者が本件商標を取消請求に係る指定商品中の「ネクタイ」に使用していたと認めることができない。
被請求人は、結論同旨の審決を求め、要旨次のように答弁し、証拠方法として乙第1号証ないし乙第39号証を提出した。
(1)被請求人は、本件商標の商標権を平成12年7月10日に「京都市下京区富小路通六条下る本塩竃町524番地」に所在の「井後義之」氏から譲渡を受け、同月26日の移転登録の後、「京都市右京区太秦森ケ東町47番地」に所在の「株式会社タッグコーポレーション」(通常使用権者)に本件商標の商標権に関する通常使用権を許諾した。
(2)被請求人と通常使用権者との関係について
(ア)被請求人は、法人登記簿謄本(乙第1号証)に記載のとおり、昭和24年8月19日設立、繊維原料並びに繊維製品の製造、加工、販売又は輸入及代行等をその業務としている。
請求人は、被請求人が生糸、撚糸の卸売専門業者である旨主張しているが、被請求人は、生糸、撚糸の卸売のみではなく、1999年(平成11年)8月発行の「会社案内」(被請求人会社設立50周年記念:乙第2号証)に見られるとおり、各種繊維製品の製造・販売を行っており、当該繊維製品中には、「ネクタイ」がある(審決注:答弁書の乙第2号証の7頁及び8頁という記載は同号証の2頁及び4頁並びに5頁の誤記)。
(イ)通常使用権者は、法人登記簿謄本(乙第3号証)に記載のとおり、昭和48年2月8日設立、衣料用雑貨及び日用品雑貨の販売及び輸出入等を業務としており、株主名簿(乙第4号証)に記載のとおり、発行済株式の総数60,000株のうち、被請求人が50,000株を所有する被請求人の子会社である。
(ウ)被請求人は、「ネクタイ」を含む所謂紳士雑貨の製造・販売業務(乙第2号証)の一部を子会社(通常使用権者)に移管(平成12年初頭に決定)し、通常使用権者は、それを受け入れ、同年4月19日に旧社名を現社名に変更した(乙第3号証)。
被請求人は、同年7月26日より現在に至るまで、本件商標の商標権に関する通常使用権を通常使用権者に許諾した。その契約書は作成していないが、両会社が親子関係にあるので(すなわち、被請求人の代表取締役専務 松村滋が通常使用権者の代表取締役となっており(乙第1号証及び乙第3号証)、通常使用権の対価が無償であって、被請求人の営業本部のある「京都市下京区烏丸通五条上る西側」(乙第5号証)に所在の社屋内において通常使用権者が業務を行っており、被請求人の課長 上村雅章は通常使用権者の部長として業務を統括しているので(乙第6号証))、契約書作成の必要はないと判断した。
(3)本件商標の使用状況について
(ア)本件商標は、下記事例(あ)ないし(か)のとおり、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、通常使用権者により、その請求に係る指定商品中の「ネクタイ」に使用されている。
事例(あ):平成12年9月7日に、通常使用権者は、「東京都千代田区東神田2丁目2番5号」に所在の「株式会社カインドウェアコスチューム」(以下「(株)カインド」という。)に対し、商品「ネクタイ(蝶ネクタイ)」を2本販売し、その代金「1,960円」を含む同年9月〆の売上代金について同年10月3日に請求書を発行しており、当該代金は、同年10月31日に振込まれており、同年11月1日に領収書を発行している。
上記商取引が事実であることは、(株)カインド宛の00年(平成12年)9月7日付けの納品書控(写)(乙第7号証)、通常使用権者の(株)カインド用御得意先元帳抜粋(写)(乙第8号証)、(株)カインド宛の同年10月3日付けの請求書控(写)(乙第9号証)、(株)カインドに保存されている当該請求書(写)(乙第10号証)、(株)カインドの00年(平成12年)9月度分仕入支払案内書の281頁(写)(乙第11号証)、通常使用権者の普通預金通帳の表紙及び2頁(写)(乙第12号証)及び(株)カインド宛の同年11月1日付けの領収書控(写)(乙第13号証)によって立証される。
なお、乙第9号証及び乙第10号証の請求金額と乙第13号証の領収金額とが一致していない理由は、上記商取引において、通常使用権者が9月〆の売上代金19,588円の請求書を平成12年10月3日に発行したが(乙第9号証及び乙第10号証)、(株)カインドは、乙第11号証で9月度分仕入支払案内書を発行しており、乙第11号証に記載の合計支払高が13,446円であったことによる。
また、被請求人は、乙第9号証及び乙第10号証の場合と同様に、乙第13号証についても、(株)カインドに保存されている当該領収書(写)を堤出すべく努めたが、支払い方法が現金振込みであるため、当該領収書は、(株)カインドにおいて破棄されていた。
事例(い):平成12年10月23日に、通常使用権者は、(株)カインドに対し、商品「ネクタイ」を9本販売し、その代金「18,450円」を含む同年10月〆の売上代金について同年11月6日に請求書を発行しており、当該代金は、約束手形で受け取っており、同月29日に領収書を発行している。
上記商取引が事実であることは、(株)カインド宛の同年10月23日付けの納品書控(写)(乙第14号証)、通常使用権者の(株)カインド用御得意先元帳抜粋(写)(乙第8号証)、(株)カインド宛の同年11月6日付けの請求書控(写)(乙第15号証)、(株)カインドに保存されている当該請求書(写)(乙第16号証)、(株)カインドの00年(平成12年)10月度分仕入支払案内書の299頁(写)(乙第17号証)、(株)カインド宛の同年11月29日付けの領収書控(写)(乙第18号証)及び(株)カインドに保存されている当該領収書(写)(乙第19号証)によって立証される。
なお、乙第8号証の2枚目において、約手受け入れ日付(11/29)とCX82D61481ネクタイの売上げ日付(12/4)とが逆転しているのは、元帳記入者が当該売上げの記入を忘れており、乙第17号証によって記帳落ちに気がついて記入したことによる。
事例(う):平成12年8月1日に、通常使用権者は、「東京都中央区東日本橋1−4−2」に所在の「堀越ネクタイ株式会社」(以下「堀越(株)」という。)に対し、商品「POLOネクタイ」を360本販売し、その代金「421,200円」を含む売上代金を為替手形で受け取っており、同年9月22日に領収書を発行している。
上記商取引が事実であることは、堀越(株)宛の同年8月1日付けの仮納品書控(写)(乙第20号証)、通常使用権者の堀越(株)用御得意先元帳抜粋(写)(乙第21号証)、堀越(株)発行の納品書控(写)(乙第22号証)、堀越(株)宛の同年9月19日付けの領収書控(写)(乙第23号証)及び堀越(株)に保存されている当該領収書(写)(乙第24号証)によって立証される。
なお、乙第20号証の品番数字と乙第22号証の商品コード数字とが一致していないのは、前者における下3桁が口座番号(59)を表していることによる。
また、上記商取引において、通常使用権者が発行した請求書(乙第27号証)は、堀越(株)から支給されたものを使用しており、当該請求書のコピーをとっていなかったので、提出できない。
事例(え):平成12年9月22日に、通常使用権者は、堀越(株)に対し、商品「POLOネクタイ」を432本販売し、その代金「505,440円」を含む売上代金について同年10月23日に請求書を発行しており、当該代金を為替手形で受け取っており、同年11月17日に領収書を発行している。
上記商取引が事実であることは、堀越(株)宛の同年9月22日付けの仮納品書控(写)(乙第25号証)、乙第21号証、堀越(株)発行の納品書控(写)(乙第26号証)、堀越(株)宛の同年10月23日付けの請求書(写)(乙第27号証)、堀越(株)宛の同年11月17日付けの領収書控(写)(乙第28号証)及び堀越(株)に保存されている当該領収書(写)(乙第29号証)によって立証される。
なお、乙第25号証の品番数字と乙第26号証の商品コード数字とが一致していないのは、上記事例(う)のなお書きと同じ理由である。
また、乙第27号証の請求金額と、乙第28号証及び乙第29号証の領収金額とが一致していないのは、値引を行ったからである。
事例(お):平成12年9月25日に、通常使用権者は、「東京都渋谷区渋谷1丁目20番1号三進ビル3階」に所在の「株式会社ホビー」(以下「(株)ホビー」という。)に対し、商品「Wクロスタイ」を30本販売した。その代金「50,100円」を含む同年9月〆の売上代金は、同年10月25日に振込まれており、同月26日に領収書を発行している。
上記商取引が事実であることは、(株)ホビー発行の発注書(写)(乙第30号証)、通常使用権者の(株)ホビー用御得意先元帳抜粋(写)(乙第31号証)、(株)ホビー発行の2000年(平成12年)9月30日付けの仕入明細書(写)(乙第32号証)、(株)ホビー発行の同年10月25日付けの送金ご案内(写)(乙第33号証)、乙第12号証、(株)ホビー宛の同月26日付けの領収書控(写)(乙第34号証)及び(株)ホビーに保存されている当該領収書(写)(乙第35号証)によって立証される。
事例(か):平成12年10月4日に、通常使用権者は、(株)ホビーに対し、商品「Wクロスタイ」を70本販売した。その代金「116,900円」を含む同年10月〆の売上代金については、約束手形で受け取っており、同年11月27日に領収書を発行している。
上記商取引が事実であることは、(株)ホビー発行の発注書(写)(乙第36号証)、通常使用権者の(株)ホビー用御得意先元帳抜粋(写)(乙第31号証)、(株)ホビー発行の2000年(平成12年)10月31日付けの仕入明細書(写)(乙第37号証)、(株)ホビー宛の同年11月27日付けの領収書控(写)(乙第38号証)及び(株)ホビーに保管されている当該領収書(写)(乙第39号証)によって立証される。
なお、上記各商取引においては、(株)ホビーと通常使用権者との申し合せにより、請求書の発行を省略し、乙第32号証と乙第37号証に記載された金額が支払われている。
(イ)通常使用権者は、上記事例(あ)ないし(か)のとおり、乙第9号証及び乙第10号証、乙第15号証及び乙第16号証(請求書)、乙第13号証、乙第18号証及び乙第19号証、乙第23号証及び乙第24号証、乙第28号証及び乙第29号証、乙第34号証及び乙第35号証、乙第38号証及び乙第39号証(領収書)上に、本件商標の態様に変更を加えずに付して、商品「ネクタイ」の卸売業務を行ったものである。
したがって、上記事例(あ)ないし(か)の通常使用権者の行為は、商標法第2条第3項第7号に規定する「商品(ネクタイ)に関する取引書類(請求書や領収書)に標章(本件商標)を付して・・・頒布する行為」に該当する。
(4)まとめ
本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、通常使用権者が取消請求に係る指定商品中の「ネクタイ」に使用(ネクタイの請求書及び領収書に本件商標を付して頒布)していたので、その登録は、商標法第50条第2項の規定によって、取り消されるべきでない。
(1)被請求人(松村株式会社)は、その子会社である「株式会社タッグコーポレーション」(通常使用権者)に対し、平成12年7月26日より今日に至るまで、本件商標の商標権に関する通常使用権を許諾しているとしており(ただし、通常使用権設定契約書は作成していない。)、そのことは被請求人の主張及び提出に係る乙第1号証ないし乙第6号証等を総合すれば、推認し得るところである。
しかして、被請求人は、取消請求に係る指定商品中の「ネクタイ」について、通常使用権者が本件商標を使用している旨述べ、乙第7号証ないし乙第39号証等の証拠を提出しているところ、そのうち乙第30号証ないし乙第39号証等よりすれば、通常使用権者は、本件審判請求の登録(平成13年1月10日)前3年以内に当たる平成12年9月13日に株式会社ホビーより発注を受け、商品「Wクロスタイ」(ネクタイ)を製造して同月30日に納品し、同年10月25日にその代金を受領し、同月26日に領収書を発行したこと、当該領収書上には、本件商標と社会通念上同一の構成態様よりなる標章が表示されていることを認めることができる。
同様に、通常使用権者は、平成12年9月27日に株式会社ホビーから発注を受け、商品「Wクロスタイ」(ネクタイ)を製造して同年10月31日に納品し、同年11月27日に約束手形によって代金の支払い及び相殺金を受領して、同日に領収書を発行したこと、当該領収書上には、本件商標と社会通念上同一の構成態様よりなる標章が表示されていることを認めることができる。
以上の事実よりすると、通常使用権者は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、取消請求に係る指定商品中の商品「ネクタイ」について、本件商標と社会通念上同一の構成態様よりなる標章を「商品に関する取引書類」の一である領収書に付し、取引先である株式会社ホビーに発行(頒布)していたものであり、さらに、該取引書類の一つである発注書(乙第30号証及び乙第36号証)上には、商品「Wクロスタイ」(ネクタイ)が明確に表示されていることからすると、本件審判事件においては、商標及び商品が明確に表示されており、取消請求に係る指定商品中の「ネクタイ」との具体的関係において、当該標章が取引上実際に使用されたことも把握できるから、商標法上の商標として使用されていなかったとまではいえず、商標としての使用がされていたとみて差し支えないというべきである。
(2)なお、請求人は、被請求人が本件商標の使用事実を証明する証拠として提出した領収書等には、本件商標と同一の標章が表示されているところ、そのすぐ横に社名の表示等があるので、たとえ、本件商標と同一の標章が表示されているとしても、当該標章は、通常使用権者の社章(営業標章)としての表示とみるべきであり、本件商標を「商標として」使用した事実を証明する証拠ではない旨述べている。
しかしながら、仮に、そうであるといい得ても、当該標章が通常使用権者の社章(営業標章)であることを推測させる一応の考え方にすぎず、当該標章が上記(1)のとおり、実際に商標として使用されたことについて、矛盾、その他信用性を疑わせる点は格別見当たらないから、この点に関する請求人の上記主張は採用の限りでない。
(3)したがって、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、被請求人の通常使用権者が、その取消請求に係る指定商品中の「ネクタイ」について、使用していたものとみて差し支えないというべきであるから、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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