Trademark Appeal Case
周知商標の称呼類似
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2004−90481(T2004−90481/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4769475号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成15年8月27日に登録出願、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、平成16年5月14日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人であるメージャー リーグ ベースボール プロパティーズ インコーポレーテッド(以下「申立人」という。)は、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同第15号及び同第19号に該当する旨申立て、その理由を以下のとおり述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第16号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)申立人の所有する別掲(2)ないし(8)の商標(以下「引用商標」という。)は、米国メジャーリーグに属する球団である「ANAHEIM ANGELS(アナハイム・エンジェルス)」がユニフオーム、帽子等に付し、エンブレムとして使用している商標であり、該球団名は単に「ANGELS(エンジェルス)」と略称されている。(甲第2号証及び甲第各号証)。
(2)近年においては、日本プロ野球球団で活躍した選手(野茂英雄、新庄剛志、鈴木一朗、石井一久、長谷川滋利等)が米国メジャーリーグに属する球団に移籍し、活躍していることから、我が国においても、米国メジャーリーグ試合の観戦ツアーが企画されていること、新聞・雑誌等の刊行物には米国メジャーリーグに関する記事が多数掲載されていること、米国メジャーリーグの試合がテレビ等で頻繁に放映、放送され、本件商標の出願日以前から人気に拍車がかかった(甲第4号証ないし甲第9号証)。
(3)米国メジャーリーグに属する「ANAHEIM ANGELS」は、1961年に設立され、40年以上の歴史を有する球団であり、設立以来「ANGELS」と略称で親しまれている。当初の名称は本件商標と同一の「LA ANGELS」であったが、その後「CALIFORNIA ANGELS」と改名し、現在の「ANAHEIM ANGELS」に至っている。そして、前記引用商標の多くは1961年以来、エンジェルスの選手その他の関係者によって着用されるユニフォームに顕著に表示されており、現在では、ユニフォームの前面に顕著に表記されているものである(甲第3号証の1)。
(4)米国メジャーリーグに属する各球団の名称、略称、エンブレム等を付した申立人及び日本における申立人のライセンシーらのライセンス商品「帽子、Tシャツ、靴、時計、文房具」等は、インターネット等の販売網を通じて購入可能であり、また、日本国内においても、申立人らのライセンス商品として販売されている(甲第11号証)。
以上のとおり、引用商標は、人気スポーツ「MAJOR LEAGUE BASEBALL」の人気球団「アナハイム・エンジェルス(ANAHEIM ANGELS)」のチーム名ないしその略称として世界的に広く知られている。
(5)本件商標は、構成中の「L.A.ANGEL」の文字部分より「エルエイエンジェル」、「エンジェル」の称呼が生じる。これに対して、引用商標よりは、「エンジェルス」の称呼が生じる。両称呼は、全体として語調、語感が近似し、互いに聞き誤るおそれがある。
してみれば、本件商標は、引用商標と称呼において類似するものであるから、商標法第4条第1項第10号に該当する。
(6)また、本件商標は、周知著名な引用商標と類似するから商標法第4条第1項15号に該当する。
(7)さらに、本件商標権者は、申立人所有の引用商標の顧客吸引力にただ乗り(フリーライド)する目的で使用するものといえるから、商標法第4条第1項第19号に該当する。
(8)したがって、本件商標の登録は取り消されるべきである。
3 当審の判断
申立人より提出された甲第3号ないし甲第19号証(枝番号を含む。)を総合勘案するに、米国メジャーリーグに属するエンジェルス球団「ANAHEIM ANGELS(アナハイム・エンジェルス)」(現在の名称は「LOS ANGELES ANGELS OF ANAHEIM」である。以下「エンジェルス球団」という。)の略称である「ANGELS(エンジェルス)」の名称及び引用商標は、本件商標の出願時のみならず登録査定時においても、わが国の不特定多数の者に知られていたものと認められる。
(1)商標法第4条第1項第10号について
本件商標は、前記のとおり左右に広げた翼状の図形及びその下部に「L.A.ANGEL」の欧文字を表してなるところ、該欧文字部分は丸みを帯びた籠文字で、同じ大きさ、等間隔で全体としてまとまりよく一体に表されており、これより生ずると認められる「エルエイエンジェル」の称呼も格別冗長というべきものでなく、よどみなく一連に称呼し得るものである。
さらに、本件商標中前半部の「L.A.」が、アメリカ合衆国カリフォルニア州南西部にある米国第二の都市「Los Angeles」の略称として広く一般に親しまれ、後半部分の「ANGEL」が、「天使」を意味する極めて平易な英語であって、我が国においても一般によく知られている語であることから、「ロサンジェルスエンジェル」の称呼をも生じ、「ロサンジェルスの天使」程の意味合いを理解、認識するものである。
一方、引用商標は、前記のとおりの構成からなるところ、これより「エンジェルス」、または「アナハイムエンジェルス」の称呼が生じるものである。
してみると、両称呼は、「エンジェル」の音を共通にするものの、他の音を異にするから、称呼上十分に聴別し得るものである。
また、引用商標は上記のとおりエンジェルス球団そのものを連想、想起させるから、「ロサンジェルスの天使」程の観念を有する本件商標と引用商標とは、観念においても異なるものである。
さらに、外観についても、両商標は、前記のとおり構成上明らかに異なるから、外観上も区別し得るものである。
したがって、本件商標と引用商標とは、外観、称呼、観念の何れにおいても類似しない別異の商標といわなければならない。
(2)商標法第4条第1項第15号について
本件商標と引用商標とは別異の商標であること、前記の認定のとおりであるばかりでなく、エンジェルス球団は、設立当時の1961年〜1965年の途中まで「LOS ANGELES ANGELS」(ロサンジェルスエンジェルス)なる球団名であったものの、その時期は僅か4年強の短期間であるうえ、本件出願時及び登録査定時には「アナハイム・エンジェルス(ANAHEIM ANGELS)」あるいは「ANGELS(エンジェルス)」の球団名で知られていたものであるから、本件商標より「ロサンジェルスエンジェル」の称呼が生じることがあるとしても、これよりエンジェルス球団の旧球団名である「LOS ANGELES ANGELS」(ロサンジェルスエンジェルス)を想起させ、「アナハイム・エンジェルス(ANAHEIM ANGELS)」あるいは「ANGELS(エンジェルス)」の球団名を連想させることもないと判断するのが相当である。
そうとすると、申立人が本件商標の指定商品を含む商品に引用商標を付し商品化事業を行っているとしても、商標権者が本件商標をその指定商品について使用した場合、取引者、需要者をして、その商品が申立人又は申立人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものである。
(2)商標法第4条第1項第19号について
両商標は、別異の商標であること上記認定のとおりであるから、本件商標は不正の利益を得る目的をもって出願されたものとも認められない。
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同第15号及び同第19号に違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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