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Trademark Appeal Case

称呼の類似性と要部抽出

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2005−90050(T2005−90050/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第4818290号商標の登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4818290号商標(以下「本件商標」という。)は、「KAOLOG」及び「カオログ」の文字を上下二段に横書きしてなり、平成15年12月2日に登録出願され、第42類「電子計算機のプログラムの設計、作成又は保守,ウェブサイトの作成又は保守,電気通信回線を通じた電子計算機用プログラムの提供,ネットワーク上でキャラクターを生成するためのコンピュータプログラムの提供」を指定役務として、同16年11月19日に設定登録されたものである。

2 引用商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第1929679号商標(以下「引用A商標」という。)は、「花王」及び「KAO」の文字を上下二段に横書きしてなり、昭和59年9月20日に登録出願、第11類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同62年1月28日に設定登録され、その後、平成9年4月25日に商標権の存続期間の更新登録がされているものである。

同じく登録第2701381号商標(以下「引用B商標」という。)は、「KAO」の文字を横書きしてなり、平成2年11月29日に登録出願、第11類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同6年12月22日に設定登録されたものであるが、その商標権は、存続期間の満了により消滅し、その抹消の登録が同17年8月31日にされているものである。

同じく登録第2705052号商標(以下「引用C商標」という。)は、やや図案化した「KAO」の文字を横書きしてなり、平成3年12月27日に登録出願、第11類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同7年3月31日に設定登録されたものである。

同じく登録第3151324号商標(以下「引用D商標」という。)は、やや図案化した「kao」の文字を横書きしてなり、平成4年9月30日に登録出願、第42類に属する商標登録原簿記載のとおりの役務を指定役務として、同8年5月31日に設定登録されたものである。

同じく登録第3173506号商標(以下「引用E商標」という。)は、引用D商標と同一の構成からなり、平成4年9月28日に登録出願、第9類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同8年7月31日に設定登録されたものである。

同じく登録第526157号商標の防護標章登録第2号(以下「引用F商標」という。)は、引用B商標と同一の構成からなり、第4類「石鹸」を指定商品として設定登録された登録第526157号商標の防護標章登録第2号として、第11類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、昭和50年10月31日に登録出願、同55年1月31日に設定登録され、その後、平成2年5月23日、同12年3月31日の2回に亘り商標権の存続期間の更新登録がされているものである。

同じく登録第3027307号商標の防護標章登録第1号(以下「引用G商標」という。)は、引用D商標と同一の構成からなり、第3類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として設定登録された登録第3027307号商標の防護標章登録第1号として、第1ないし第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品又は指定役務として、平成10年9月16日に登録出願、同12年1月21日に設定登録されたものである。(以下、これらをまとめていうときは「引用商標」という。)

3 登録異議申立ての理由の要点

(1)引用商標の周知著名性について

申立人は、1890年(明治23年)以来、「花王」及び「KAO」をハウスマークとして継続使用しており、積極的に広告宣伝を行った結果、「花王」及び「KAO」の文字は、申立人の商号の一部及びハウスマークとして本件商標の登録出願時及び登録査定時には既に周知著名となっていた。

(2)本件商標と引用商標との類否について

本件商標の構成中の「LOG」及び「ログ」の文字部分は、「コンピュータシステムの使用データの変更などの経過を記録したもの」等の意味を有するコンピュータ用語であり、その指定役務との関係においては自他役務識別力がないことから、本件商標は、「KAO」及び「カオ」の文字部分が識別力のある要部として認識され、単に「カオー」又は「カオ」の称呼を生ずるものである。これに対し、引用商標はいずれも「カオー」の称呼を生ずるものであるから、本件商標と引用商標とは、称呼上互いに類似する商標である。

また、本件商標の指定役務と引用AないしC商標及びE商標の指定商品中の「電子応用機械器具」並びに引用D商標の指定役務中の「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機の貸与」とは互いに類似するものである。

(3)出所の混同の有無について

本件商標と引用商標との外観及び称呼上の類似性、引用商標の周知著名性及び独創性の高さ、申立人が多角経営の代表的企業でありソフト開発等も行っていること、「LOG」及び「ログ」の文字の識別力の弱さ等の取引実情等を総合的にみれば、本件商標に接する取引者・需要者は、著名な申立人又は同人と何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかの如く、その出所について混同を生ずるおそれがある。

(4)不正の目的について

本件商標の登録出願時には、引用商標は既に申立人の営業表示及びその業務に係る商品・役務に使用する商標として極めて広く知られていたものであるから、本件商標の出願人が偶然に著名な引用商標を含む本件商標を出願したとは考え難く、著名な引用商標の持つ名声・信用・評判を毀損させる目的をもって出願したものというべきであり、また、引用商標の出所表示機能を希釈化させるおそれがあるから、このような本件商標は信義則に反する不正の目的でなされた出願というべきである。

(5)まとめ

以上のことから、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号、第15号及び第19号に違反してされたものであり、取り消すべきものである。

4 当審の判断

(1)本件商標と引用商標との類否について

本件商標は、上記1のとおりの構成からなるところ、構成各文字は、外観上まとまりよく一体に表現されていて、片仮名文字部分が欧文字部分の読みを特定したものとみても不自然ではなく、しかも、全体をもって称呼してもよどみなく一連に称呼できるものである。そして、本件商標の構成中の「LOG」及び「ログ」の文字部分が「コンピュータシステムの使用データの変更などの経過を記録したもの」、「使用テープや制御の設定などのデータを記録したコンピュータ操作の記録」等の意味を有する語であるとしても、かかる構成においては特定の役務又は役務の質、用途等を具体的に表示するものとして、直ちに理解できるものともいい難いところであるから、むしろ、本件商標は、構成全体をもって一体不可分の一種の造語よりなるものと認識し、把握されるとみるのが自然である。

そうすると、本件商標は、「カオログ」の一連の称呼のみを生じ、既成の親しまれた観念を有しないものといわなければならない。

一方、引用A商標は、「カオウ」又は「カオー」の称呼及び「花の中の最もすぐれたもの」の観念を生じ、引用BないしG商標は、それぞれ英和辞典等にみられない綴り字からなるものであって、「カオ」又は「カオー」の称呼を生ずるものといえる。

しかして、本件商標から生ずる「カオログ」の称呼と引用商標から生ずる「カオウ」、「カオー」又は「カオ」の称呼とは、音構成の差、相違する各音の音質の差等により明らかに区別し得るものである。

また、本件商標と引用商標とは、上記の構成からみて外観及び観念においても相紛れるおそれはない。

してみれば、本件商標と引用商標とは、称呼、外観及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。

(2)出所の混同の有無について

申立人は、引用商標が長年盛大に使用された結果、本件商標の登録出願時及び登録査定時には既に、引用商標が申立人の業務に係る商品・役務について使用する商標として、取引者・需要者間に広く認識されていたものであり、また、申立人の多角経営等の取引実情等からしても、本件商標をその指定役務に使用すると出所の混同を生ずるおそれがある旨主張し、証拠を提出している。

確かに、申立人の提出に係る証拠によれば、「花王」又は「KAO」の文字からなる商標が月をモチーフにした図形からなる商標(以下「月図形」という。)と共に長年盛大に使用されていることが認められ、取引者、需要者間に相当程度広く認識されているものといえる。しかし、「KAO」の商標は、「花王」の商標又は「月図形」と一緒に使用されることが多く、それ自体単独で使用されているものは少いことに加えて、「カオ」の称呼をもって広く知られているものともいい難い。また、これが「花王」の商標又は「月図形」と分離観察された場合に、その構成文字から直ちに「カオー」又は「カオウ」とのみ称呼されるともいい難いから、「花王」の商標又は「月図形」に比較すると、取引者、需要者間における浸透度は低いものといわざるを得ない。

しかも、本件商標は、上記(1)のとおり、一体不可分に看取されるものであって、「KAO」の文字部分は全体に埋没しており、引用商標とは類似することのない別異の商標であることから、申立人のいう上記取引実情等を考慮したとしても、殊更該文字部分のみが分離抽出して観察されるものではない。

そうすると、本件商標をその指定役務について使用しても、これに接する取引者、需要者がその構成中の「KAO」の文字部分に注目して、引用商標を連想、想起するようなことはないというべきであり、該役務が申立人又は同人と経済的・組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかの如く、その出所について混同を生ずるおそれはないものと判断するのが相当である。

(3)不正の目的について

上記(1)及び(2)のとおり、本件商標は、引用商標とは類似することのない別異の商標であり、混同を生ずるおそれもないものであるから、本件商標が引用商標の名声・信用・評判にフリーライドしたり、引用商標の出所表示機能を希釈化させるものとはいい難く、その登録出願が信義則に反する不正目的によるものということはできない。

(4)まとめ

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号、第15号及び第19号に違反してされたものでないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきである。

よって、結論のとおり決定する。

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