Trademark Appeal Case
「フライパン1つで」の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2003−21671(T2003−21671/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「フライパン1つで」の文字を標準文字により横書きしてなり、第30類に属する願書に記載のとおりの商品を指定商品として、平成14年11月27日に登録出願されたものであり、その後、指定商品については、同15年7月28日付け及び当審における同15年12月19日付けの手続補正書において、第30類「ラーメンの麺,ラーメン用のたれを封入してなる容器入りのラーメンの麺,調理済みラーメン,ラーメン用のたれ」と補正されたものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「この商標登録出願に係る商標は、『フライパン1つで手軽に簡単に調理ができる』的意味合いを直ちに理解させるに止まり、また、インターネット、新聞記事情報によれば、食品分野において加工食品等の調理方法を表す語として普通に使用されている事実が認められるので、これを指定商品に使用しても、需要者は何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標と認める。したがって、この商標登録出願に係る商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
(1)本願商標は、前記したとおりの構成からなるところ、これよりは、「フライパン1つで手軽に簡単に調理ができる」の如き意味合いを容易に理解・認識し得るものである。
そして、昨今、特に若い人の間においては、いくつもの調理器具を使用する料理より、手軽に簡単にできる料理が好まれており、これを受けて、食品業界においても、手軽に簡単に調理ができる食材の開発やレシピの紹介が盛んに行われている。このことは、拒絶理由において開示した下記の(a)及び(b)の新聞記事情報ばかりでなく、例えば、以下の(c)ないし(f)の新聞記事情報によっても首肯し得るものである。
(a)2003.2.5 日本食糧新聞「ブルドック 鶏てりやきだれ 240g」発売(ブルドックソース)
「フライパン1つで時間をかけず簡単に調理できる。使いやすいプラスチックボトル入り。」
(b)2002.2.27 日本食糧新聞「今夜はやきとり丼」発売(盛田)
「特徴は、フライパン1つで簡単に香ばしいやきとり丼ができる。」
(c)1992.2.28 毎日新聞東京朝刊「フライパン料理=別冊主婦と生活編集部編」
「突然の来客があったとき、もてなしの料理を何にしようかと悩むもの。そんなとき、フライパン1つで出来るもてなし料理約60種を紹介している。」
(d)1992.12.16 朝日新聞東京朝刊「牛どん540キロカロリー(料理メモ)」
「フライパン1つで、ごく簡単に出来ます。・・・。」
(e)1999.11.9 産経新聞東京夕刊「パスタ料理 冷凍食品 本場の味をフライパン1つで」
「本格的なイタリア料理を家庭で作りたい。でも、手間をかけるのが面倒という人には、冷凍食品が大きな味方になってくれる。ピザやグラタンはすでに定番だが、ブイトーニから九月に『フライパンでイタリアン』シリーズが発売された。」
(f)2005.8.3 日本食糧新聞「キッコーマン うちのごはん 大根のそぼろ炒め」発売(キッコーマン)
「卵、野菜、豆腐など身近な材料を1〜2品加えるだけ。フライパン1つで簡単に調理。」
(2)上記した実情よりすると、「フライパン1つで」の語は、食品業界においては、「フライパン1つで手軽に簡単に調理ができる」の如き記述的な意味合いを表す語として一般的に使用されているばかりでなく、むしろ、手軽に簡単に調理ができることを簡潔・明瞭に表現するキャッチフレーズとして用いられているものということができる。
この点について、請求人は、補正後の指定商品である「ラーメンの麺」等との関係からみれば、フライパンはラーメンの調理器具として認識されることはないから、本願商標を「ラーメンの麺」等に使用しても、「フライパン1つで簡単に調理ができる」との意味合いを直ちに認識させたり直感させたりすることはない旨主張している。
しかしながら、「ラーメンの麺」との関係においてみても、上記したところと同様の事情にあることは、例えば、以下の(g)ないし(i)のインターネット情報によっても首肯し得るものである。
(g)杉浦製粉株式会社の通販部門の店「すぎのき亭」のホームーページ(http://www.rakuten.co.jp/suginoki/499936/589692/)
「フライパンひとつで楽々調理♪魔法のラーメン新発売!フライパンラーメンカレー味/おいしいものを食べたい!でも、面倒なのはイヤ!そんなワガママなあなたにぴったり!作るのも、片付けも簡単!便利!おいしい!3拍子揃ったラーメンが新発売」
(h)ラーメン通の隠れ家のホームーページ(http://e-docodemo.jp/ramen/v/item.asp?item_cd=0000047&cate_id=28&page_no=&access_id=&mem_id=&sort=1)
「フライパン1つでお好みの野菜を炒めてラーメン作り簡単調理!/フライパン1つでお好みの野菜を炒めてラーメンを茹でたら出来上がり。」
(i)有限会社サカイ食品のホームーページ(http://www.sakai-foods.com/syouhin.html)
「フライパンラーメン醤油味/フライパン1つで簡単調理。」
(3)ところで、商標法第3条第1項各号列挙のいわゆる自他商品の識別機能を有しない商標について商標登録できないこととするのは、「これらは通常、商品を流通過程に置く場合に必要な表示であるから、何人も使用をする必要があり、かつ、何人もその使用を欲するものだから一私人に独占を認めることは妥当でないこと、また、多くの場合にすでに一般的に使用されているものであるから、これらのものに自他商品の識別力を認めることができないこと」によるものと解される(社団法人発明協会発行 特許庁編「工業所有権法逐条解説(第16版)」参照)。
そうとすれば、「フライパン1つで」の語は、「(フライパン1つで)手軽に簡単に調理ができる」の如き記述的な意味合いを容易に理解・認識させるものであり、既に、多くの企業や文献において頻繁に使用されているものであるから、これをその指定商品に使用しても、これに接する取引者・需要者をして、単に、キャッチフレーズを表したものと理解させるにとどまり、自他商品を識別するための標識とは認識し得ないばかりでなく、一私人にその独占を認めるのは妥当でないものというべきである。
また、請求人は、審決例を挙げて主張しているが、そもそも、商標の識別性の判断は、各商標につき、それぞれの構成態様や取引の実情などをも勘案し、個別具体的に判断されるべき性質のものであるばかりでなく、請求人の主張している審決例は、本件とは商標の態様を異にするものであって、事案を異にするものであるから、この点についての請求人の主張も採用することはできない。
(4)したがって、本願商標は、これをその指定商品に使用しても、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができないものであるから、商標法第3条第1項第6号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は、妥当であって取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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