Trademark Appeal Case
「ピクト」とコンピュータ用語の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2004−10313(T2004−10313/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「ピクト」の文字(標準文字による商標)を書してなり、第38類及び第42類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として、平成14年12月4日に登録出願、その後、指定役務については、原審における同15年9月3日受付の手続補正書により、第42類「電子計算機を用いた電子メールシステムの企画・開発又は保守,コンピュータプログラムの提供,コンピュータプログラムの貸与,コンピュータプログラムの設計・作成又は保守,ウェブサイトの作成又は保守,インターネットサーバーの貸与,ウェブサイトのホスティング,デザインの考案,インターネットによる検索エンジンの提供,コンピュータによる文字信号・画像信号・音声信号の編集,コンピュータによる文字情報・画像情報・音声情報の文字信号・画像信号・音声信号への変換,コンピュータデータベースへのアクセスタイムの賃貸」に補正されたものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、『Mac OSで標準的に使われる画像ファイル形式』である『PICT』に通じる『ピクト』の文字を標準文字で表してなるものであるから、これをその指定役務中、『電子計算機を用いた電子メールシステムの企画・開発又は保守,コンピュータプログラムの提供,コンピュータプログラムの貸与,コンピュータプログラムの設計・作成又は保守,ウェブサイトの作成又は保守,インターネットサーバーの貸与,ウェブサイトのホスティング,デザインの考案,インターネットによる検索エンジンの提供,コンピュータによる文字信号・画像信号・音声信号の編集,コンピュータによる文字情報・画像情報・音声情報の文字信号・画像信号・音声信号への変換,コンピュータデータベースへのアクセスタイムの賃貸』等のコンピュータに関係する役務について使用するときは、単に役務の質(内容)を表示するにとどまるものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断して、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
本願商標は、上記のとおり「ピクト」の片仮名文字を標準文字で表してなるものである。
ところで、該文字について見ると、本願の指定役務と関係を有するコンピュータ技術や電子情報通信の分野で普通に使用される用語が掲載された以下の各種辞典及びインターネット上の各種用語解説には、原審において説示したように「Mac OSで標準的に使われる画像ファイル形式」を意味する「PICT」の表音表示とする記載が認められる(なお、「Mac」の語は、「Macintosh:マッキントッシュ。略してマック(Mac)とも呼ばれる、米国アップル社が1984年に発表したパソコンのこと。」を指称し、「OS」の語は、「コンピュータ・システムをできるだけ効率的に使うよう設計されたソフトウェア。プログラムの実行管理や周辺装置の管理などにあたる。基本ソフトともいう。」を指称するものである。いずれも、株式会社技術評論社 平成16年11月1日発行「2005’−06年版 最新パソコン用語事典 第16版」による。)。
(1)株式会社技術評論社 平成16年11月1日発行「2005’−06年版 最新パソコン用語事典 第16版」259頁
(2)日経BP社 平成15年9月16日発行「日経パソコン用語事典 2004年版」338頁
(3)株式会社オーム社 平成13年7月25日発行「コンピュータ&情報通信用語事典」103頁
(4)株式会社アスキー 平成10年10月1日発行「アスキーパソコン用語ハンドブック改訂三版」207頁
(5)日経BP社 平成14年3月18日発行「デジタル用語辞典2002−2003年版 第3版」299頁
(6)株式会社技術評論社 平成9年7月25日発行「最新インターネット用語事典」132頁
(7)日刊工業新聞社 平成6年2月28日発行「情報・通信略語辞典 第2版」649頁
(8)日外アソシエーツ株式会社 平成13年1月26日発行「英和コンピュータ用語大辞典 第3版」922頁
(9)http://www.pc-view.net/Help/manual/0486.html「PC View用語解説」
(10)http://www.jade.dti.ne.jp/~keyaki-c/faq/w_dic.html「インターネット用語解説」
(11)http://e-words.jp/w/PICT.html「IT用語辞典e−Words」
(12)http://jiten.com/dicmi/docs/p/9428.htm「マルチメディア/インターネット事典」
また、原審説示中の「Mac」については、前出の「2005’−06年版 最新パソコン用語事典 第16版」において「発売当初からの優れたGUI(グラフィカル・ユーザー・インターフェース)や、プラグ・アンド・プレイ機能などにより、コンピュータを特別なものとして意識せず、家電製品と同様に使えるよう工夫されている。強力なグラフィックス機能を背景に、出版やデザイン及びイラスト関係のアプリケーションが充実しており、DTP(パソコンなどを使って文書の編集や印刷を行うシステム)分野では圧倒的なシェアを持つ。」とする記載、株式会社集英社が平成17年1月1日発行の「imidas2005」において「マッキントッシュ(Macintosh)アメリカのアップルコンピュータ社が開発し、1984年に発表した独自設計のパソコンで、通称マック。直感的な操作の使い勝手のよさと、先進性、マルチメディアタイトル、デザイン、出版関連のソフトウェアの豊富さにより、独自仕様のパソコンとしては、一時期はある程度シェアを獲得。」とする記載及び自由国民社が平成17年1月1日発行の「現代用語の基礎知識2005別冊付録」において「マッキントッシュ:Macintosh。米国アップル社が1984年から販売しているパソコンのシリーズ。「マック」あるいは「アップル」ともいう。グラフィック表示(アイコン)と、クリックボタンひとつのマウスが特徴のOSで、特にデザイナーや文筆業に愛用者が多い。パソコンのシェアではWindows(マイクロソフト社)に届かないが、少なくない「マック」信奉者を生み出している。」とする記載等により、我が国において、多くの取引者・需要者を有し、使用されている実情の一端をうかがい知ることができるところである。
そして、デジタルカメラやスキャナーの一般への普及により、容易に写真その他の画像をデジタルで加工編集できるようになった今日、画像データに係る基本ソフトの画像ファイル形式については、本願指定役務を取り扱う取引者・需要者に広く知られ、親しまれ、普通に利用されているものというのが相当である。
そうとすれば、本願商標を構成する「ピクト」の文字からは、一般に「Mac OSで標準的に使われる画像ファイル形式」の意味合いを有する「PICT」を表音表記したものと容易に理解、認識させるものというべきである。
してみれば、「ピクト」の文字よりなる本願商標をその指定役務について使用した場合、これに接する取引者・需要者は、「Mac OSで標準的に使われる画像ファイル形式」の意味合いを有する「PICT」を表音表記したものと理解、把握するにとどまり、それをもって自他役務の識別標識とは認識し得ないものであるから、結局、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標といわなければならない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当し、登録することはできない。
なお、原査定は、本願商標は商標法第3条第1項第3号に該当する旨認定しているが、同法第3条は、自他商品・役務の識別力についての登録要件に関する条項であって、同第1項第6号は、同項各号の総括的規定と解されるものであるから、当審において、本願商標を同法第3条第1項第6号に該当すると判断しても、請求人には、既に意見(自他商品の識別力の有無について)を述べる機会が与えられているので、あらためて拒絶の理由を通知することなく判断した。
よって、結論のとおり審決する。
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