結論テキスト
審判費用は被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2004−89094(T2004−89094/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第4733396商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成15年5月7日に登録出願、第7類「半導体製造装置」及び第9類「測定機械器具」を指定商品として、同15年12月12日に設定登録されたものである。
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第515号証を提出した。
(1)請求の理由
(ア)請求人(株式会社テクノス)は、人間の目の神経細胞を電子回路化した「ニューロ視覚センサー」をはじめ、世界最高精度の三次元センサー等で国内の大手製造業の3分の2以上に納入実績を持つ外観検査機器メーカーの草分け的な存在である。
1965年に創業した請求人は、1988年に外観検査装置「ニューロ視覚センサー」の発売を開始した。
この「ニューロ視覚センサー」は、人間の目をコンセプトに開発した独創的な製品であって、世界で初めて人間の目の中の視神経細胞を実現したもので、ベテラン検査員の欠点を見つける反射神経の機能を電子回路化した画期的な外観検査装置である。
これにより、従来人間でしかできなかった色むら検査の自動化やスカシ検査のほか、目に見えるすべての検査に適用できるようになった。
この「ニューロ視覚センサー」シリーズは、1988年に開発に成功して以降、センサーと頭脳に当たる独自開発のスーパーコンピューターを有機的に組み合わせることにより、次々とその性能を向上させた。
請求人のように、人間の目の働きの原理を使い、電子回路化する技術を追随する他のメーカーはなく、オンリーワンという製品の独創性が強みである。
また、請求人の技術力には定評があり、「中小企業優秀新技術・新製品賞」を3度にわたって受賞(「新機械開発賞」と、そのトップの「中小企業長官賞」を受賞)したのをはじめ、「アドバンスド・ディスプレイ・オブ・ザ・イヤー」等数々の賞を受賞している。
最終製品の外観検査がすべての製造業で欠くべからざるものであること、及び上記のような製品の独自性、品質の優秀さもあって、請求人の外観検査装置は、急速に市場を獲得し、国内製造業のほぼ全業種に行きわたっている。上場企業240社を含む、大手の電機・食品・自動車・半導体のメーカー等に350セット以上を納入した実績をもつ。
特徴的なのは、国内の企業所得番付のトップ38社のうち、製造業を営む会社のすべてに納入されていることと、日本で生産する液晶の外観検査装置の分野において6割のシェアを占めていることである。
(イ)新製品を採りあげた記事、注目すべき企業として採りあげられた記事等、請求人に関連する記事は、半導体産業新聞、オートメレビュー、日刊工業新聞、日経産業新聞等といった業界紙(誌)のみならず、日本経済新聞、読売新聞、毎日新聞、週刊ダイヤモンドといった一般紙(誌)にも数多く掲載されている。
「ニューロ視覚センサー」等、画期的な請求人の技術は、数多くの新聞、雑誌において、新技術・理論の紹介、分野別の適用事例等について特集記事が組まれている。
その他、請求人は、新聞、雑誌を通じて頻繁に宣伝広告を行っているほか、オートテック東京、フラットパネルディスプレイ製造技術展等の展示会にも積極的に参加し、自社製品をアピールしている。
(ウ)請求人が、その製造・販売にかかる商品について使用している商標は、その商号の略称(要部)である「テクノス」、及びこれを英文表記した「TECHNOS」、更には社章の下に「TECHNOS」の文字を表記した別掲(2)のとおりの商標の3つである(以下、これらを一括していう場合は「引用商標」と総称する。)。
商標「テクノス」は、あらゆる請求人の製品において、ハウスマーク的にあるいは要部として使用されている。また、商標「TECHNOS」は、製品自体に、山形の図形と「TECHNOS」の文字とからなる商標は、商品パンフレットに必ず表示されている。
なお、請求人の商号であり、ハウスマークでもある「テクノス」は、1975年に、接頭語の「テクノ」に、複合・複数の「ス」をつけて命名したものであって、請求人の創作に係る造語である。
(エ)上記(ア)ないし(ウ)に記載した事情については、添付した新聞記事、雑誌記事、カタログ、パンフレット等(甲第3号証ないし同第482号証参照)からも理解できるものである。
(オ)このような状況を客観的にみれば、本件商標の登録出願前から、引用商標及び商号の略称(要部)である「テクノス」は、商品「外観検査機器」の分野において、需要者(主に製造業者等)間で広く認識されるに至っていることは明らかである。
現に、商標「TECHNOS」は、「日本有名商標集(第3版)」に掲載されているものである(甲第480号証及び同第482号証参照)。
(カ)他方、本件商標は、幾何学的な図形(以下「本件図形」という。)を左端に配し、その右横に「テクノス株式会社」の文字を書した構成からなるものであり、図形部分と文字部分とを分離して把握される場合も少なくないものである。
しかるところ、「テクノス株式会社」の文字中「株式会社」は、法人組織の種類を表すものとして省略して取引される場合も少なくないものである。
そうとすれば、本件商標にあっては、「テクノス」の部分も独立した1つの要部として認識されるものであって、これよりは「テクノス」の称呼を生じるものである。
一方、請求人が使用する引用商標の各々から「テクノス」の称呼を生じること明らかであるから、本件商標と引用商標とは称呼上類似するものである。
また、引用商標を使用している「外観検査機器」は、色むら検査やスカシ検査のほか、目に見えるすべての検査を行う機械器具であるから、これが本件商標の指定商品である第9類「測定機械器具」と同ー又は類似であること明白である。
したがって、本件商標は、その登録出願前から需要者間で広く認識されるに至っていた請求人の商標と類似するにもかかわらず登録されたものであって、商標法第4条第1項第10号の規定に違反して登録されたものである。(キ)請求人が製造・販売する「外観検査機器」は、上記のようにほとんどの製造業において利用されているものであるところ、請求人が製造・販売する外観検査機器は、半導体の製造業者、あるいは半導体ウエハー、半導体チップの製造業者向けのものも製造され、また納入されているものである(甲第152号証ないし同第154号証等)。
同時に、請求人の製品は、「半導体産業新聞」、「半導体技術総覧」といった専門紙(誌)にも採りあげられているものであって(甲第155号証等)、請求人が使用する引用商標並びにその商号は、半導体製造業の分野においても広く認識されているものである。
したがって、本件商標が、その指定商品である第7類「半導体製造装置」に使用された場合には、その商品が、請求人の業務に係るものであると誤認し、あるいは請求人と経済的又は組織的に何等かの関係にある者の業務に係るものであると誤認し、需要者をして、その商品の出所について混同させるおそれがある。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号の規定に違反して登録されたものである。
なお、請求人は、目の機能を電子回路化したと称して、テクノスの社名を名乗る全く無縁の会社が現れたことから、顧客が混乱し、業務上支障を来した経験をもつものである(甲第177号証及び同第417号証)。
(2)被請求人の答弁に対する弁駁の理由
(ア)被請求人は、本件商標の要部は図形部分であって、「テクノス株式会社」の部分は識別機能を果たし得ないとされつつも、他方で、「テクノス株式会社」は、液晶表示装置の検査装置、半導体製造分野における検査装置を取り扱う業界において広く認識されているとされている。もし広く認識されているのであれば、この「テクノス株式会社」の部分を無視して本件商標を称呼、観念するようなことはあり得ない。
通常の取引の経験則に照らせば、本件商標に接する一般需要者は、「テクノス株式会社」の文字部分から「テクノスカブシキカイシャ」あるいは「テクノス」の称呼により取引するのは明らかである。
(イ)また、被請求人は、被請求人である「テクノス株式会社」は、独自の製品とその技術力の高さから、液晶表示装置の検査装置、半導体製造分野における検査装置を取り扱う業界において広く認識されており、本件商標に接する需要者・取引者においては、これを被請求人の業務に係るものであると十分に認識し得るものとなっていることから、その指定商品のいずれについて使用しても、請求人の業務に係る商品等であるかの如く、その出所について混同を生ずるおそれは全くない、とされている。
しかしながら、審判請求書において述べたとおり、請求人の製造・販売に係る「外観検査機器」に使用される商標は、請求人の商標として需要者間で広く認識されていたことは明らかであり、しかも、請求人が製造・販売する「外観検査機器」は、「半導体製造」を含むほとんどすべての製造業に納入されているものであることから、これとの関係で、本件商標の登録がされ、使用されることは、需要者をして出所の混同を生じさせるおそれがあること、及び請求人が長年使用してきた商標に化体された業務上の信用を毀損し、その指標力を希釈化するおそれがあることは明白である。
このことは、仮に、本件商標が、一地方において被請求人の商標として認識され得るものであったとしても何ら変わりはないのである。
(ウ)請求人の外観検査装置「ニューロ視覚センサー」の画期的な技術は、当初、学会、シンポジウムにおいても取り上げられたものである(甲第299号証、同第311号証等)。
請求人は、その後も研究を重ね、当該技術をほとんどすべての製造業の分野に応用できるようになるまでに至っているものである。したがって、様々な分野の展示会に当該技術を応用させた商品を出展している(甲第484号証ないし同第506号証)。
答弁書においては、被請求人の製造・販売に係る商品「液晶表示装置の検査装置、半導体製造分野における検査装置、液晶用ガラス基板の膜厚ムラ検査装置」に言及されているが、請求人は、1995年(平成7年)7月12日発行の日刊工業新聞に液晶外観自動検査システムについての広告を行い(甲第507号証)、既に、当該新聞広告の下段に示した東芝、日立、松下電産、三菱電機、ソニー、シャープ、日本電気等大手企業に納入した実績をもっていたものである。なお、当該液晶外観自動検査システムの商品パンフレット(甲第508号証)も同時期に広く頒布されているほか、業界誌にも広告しているものである(甲第509号証)。
また、当該新聞広告の左上方に記載されている「ファインプロセステクノロジー・ジャパン95」の展示会公式ガイドブック(出展社概要)においては、請求人の出展する商品として「液晶カラーフィルタ外観検査システム」、「液晶カラーフィルタ面ムラ検査システム」、「半導体外観検査システム」、「半導体膜厚ムラ検査システム」が紹介されている(甲第510号証参照)。
答弁書においては、被請求人の製品は、「外観を検査するというよりも、むしろ内部における瑕疵を事前の検査により発見することで、生産効率や歩留りの向上に貢献し」と述べているが、「膜厚ムラ検査」については、上記のように、請求人は平成7年の時点で手掛けているものであるし、「生産効率」についても、生産全部を見渡す画像表示技術に関して平成6年に特許出願をするとともに、「欠陥撲滅運動」をコンセプトにして生産効率を向上させる運動を続け、琵琶湖で行われた環境メッセにもセンサメーカーとして唯一出展し(甲第511号証、「サンゲン株式会社本社」は請求人の製品の販売代理店である)、アピールしているものである。
このように、請求人の製品と被請求人の製品とは競合関係にあるものであって、本件商標が使用された場合には、需要者をして出所の混同を生じるおそれが客観的に存するものである。
なお、過去に、某企業が他社のテクノスと液晶検査システムを開発したとの記事が雑誌に掲載され、現実に当該製品が請求人の製品であるかの如くに、ユーザーをして混同させた事実がある。請求人は、当該企業に対し抗議し、善処するよう書面をもって要求したものである(甲第512号証ないし同第515号証参照)。
(エ)以上述べたように、本件商標は、請求人の周知・著名商標との間で出所の混同を生じるおそれがあること明らかである。
(3)むすび
本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同第15号の規定に違反して登録されたものであるから、商標法第46条第1項の規定により無効とされるべきものである。
被請求人は、「本件審判請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第37号証を提出した。
(1)答弁の理由
(ア)「テクノス」の文字について
本件商標の構成中「テクノス」の片仮名文字は、「技術、技巧、科学技術」の意の連結形を表す「techno」の語(乙第2号証)に、複数形「s」を付けた「technos」に通じ、「技術(の集合体)」の如き意味合いから、我が国においては機械類を取り扱う企業や技術系企業の企業名等として、単独であるいは他の語と結合して採択・使用されることが極めて多い語であり(乙第3号証)、また、商標として採択・使用されることも比較的多いものである(乙第4号証ないし同第14号証)。なお、1900年創業のスイスの時計メーカーのブランド名としては、我が国においても馴染みのあるもののひとつである(乙第15号証)。
このように、「テクノス」の文字は、ありふれた名称を表す語であって、自他商品の識別機能を果たし得ない語であるというべきものである。
本件商標においては、その構成中「株式会社」の語も法人組織の種類を表す語であることから識別力に乏しい付記的部分であることから、青く塗りつぶした2つの長円形を「T」字状に重ねた本件図形部分を特徴とする商標である。
(イ)本件商標と引用商標との類否について
本件商標と引用商標との類否についてみると、まずその外観において、本件商標と引用商標とは、著しく相違し相紛れるおそれのない非類似の商標である。
また、その称呼及び観念においては、本件図形部分を特徴とし、これを要部とする本件商標からは、特定の称呼及び観念は生じず、「テクノス」の片仮名文字、「TECHNOS」の欧文字、山形の図形と「TECHNOS」の欧文字からなる引用商標とは、比較すべくもなく非類似の商標である。
したがって、本件商標と引用商標とは、その外観、称呼及び観念のいずれの点についても相紛れるおそれのない非類似の商標である。
(ウ)被請求人「テクノス株式会社」について
被請求人である「テクノス株式会社」は、平成2年8月設立の主に画像処理による各種検査装置・測定機械器具等の製造・販売を行う企業であるが(乙第1号証)、その独自の画像解析技術を活用した検査装置の開発が評価され、平成10年には「平成九年度第八回研究開発型企業債務保証の決定」を受け、また同年に「平成九年度NBK大賞開発部門賞」を受賞したものである(乙第1号証、同第22号証及び同第24号証)。
特に、液晶表示装置(LCD)の光学特性検査装置については、その技術力の高さから、大手電機メーカーや液晶パネルメーカーへ多数納入されている(乙第16号証ないし同第36号証)。
また、半導体製造分野等におけるガラス基板部品実装検査装置については、従来は人手による検査でしか対応していなかったものが、同社の検査装置により自動的にIC部品取付け部の画像を取り込み、画像解析により検査することができるようになり、正確でスピーディな検査が可能となった。
さらに、液晶用ガラス基板の膜厚ムラ検査装置についても、ガラス基板の薄膜の膜厚ムラの状況を取り込んだ画像の解析により検査することが可能であり、モジュール工程での外観検査でしかできなかった検査を液晶の前半工程の製造ライン上に組み込むことで、不良品廃棄によるロスを軽減することができるものである。
これらの同社製品は、主として検査対象の外観を検査するというよりも、むしろ内部における瑕疵を事前の検査により発見することで、生産効率や歩留りの向上に貢献し、引いては製造コストの削減に貢献しているものである。
なお、同社は、平成13年から熊本大学の構内に「テクノス熊本開発センター」を設立し、同大学と共同で液晶表示装置(LCD)の膜厚ムラ検査装置の研究開発を行っており、「国立大学の中の民間研究所」として話題となったものである(乙第26号証、同第28号証、同第30号証及び同第31号証)。
以上のとおり、被請求人である「テクノス株式会社」は、独自の製品とその技術力の高さから、液晶表示装置の検査装置、半導体製造分野における検査装置を取り扱う業界において広く認識されており、かつ同社においては、本件商標を自社の取り扱う製品に付して使用している(乙第37号証)。
したがって、本件商標に接する需要者・取引者においては、これを被請求人「テクノス株式会社」の業務に係るものであると十分に認識し得るものとなっている。
(2)弁駁に対する答弁の理由
本件商標の構成中の「テクノス」の文字が、ありふれた名称を表わす語であることは請求人が提出している甲第498号証、同第499号証、同第500号証及び同第504号証の展示会パンフレットにあるとおり大阪府枚方市長尾谷町1丁目3−1に所在す「(株)テクノス」が、また、甲第506号証の展示会パンフレットにあるとおり東京都中央区八丁堀4−11−10に所在する「テクノス(株)」が、それぞれ請求人と同じ展示会に出展していることからも明らかである。
本件商標は、指定商品を第7類「半導体製造装置」及び第9類「測定機械器具」とするものであるが、被請求人が主として取り扱う「液晶表示装置(LCD)の光学特性検査装置」、「半導体製造分野等におけるガラス基板部品実装検査装置」、「液晶用ガラス基板の膜厚ムラ検査装置」等の商品は、液晶表示装置や半導体の製造者、いわば専門技術者をその取引者とするものであり、また、これらの商品を購入し導入するにあたっては、数百万円〜数千万円の費用を伴い、取引者は商品の提供者等に対して導入後も長期間にわたってその保守・修理等を期待するものである。
したがって、取引者は、取引に際し、商品の品質・性能・価格等のあらゆる面において慎重に比較検討し選定するもので、商標に対して払う注意力も極めて高いものである。
さらに、本件商標は、被請求人が取り扱う製品に付して使用しており、独自の製品とその技術力の高さから、非請求人が取り扱う商品の分野において広く認識されているものである。(乙第16号証ないし同乙第37号証及び乙第38号証ないし同第46号証)。
このような実情の下、本件商標と引用商標に接した取引者は、両者を明確に区別して認識するものであって、その出所についても混同を生じるおそれはないものである。
(3)むすび
本件商標は、本件図形部分を要部とするものであり、引用商標とは、その外観、称呼及び観念のいずれについても非類似であるから、商標法第4条第1項第10号の規定には該当しないものである。
また、被請求人である「テクノス株式会社」は、本件商標に接する需要者・取引者をして、これが被請求人の業務に係るものであると十分に認識し得るものとなっていることから、その指定商品のいずれについて使用しても、請求人の業務に係る商品等であるかの如く、その出所について混同を生ずるおそれは全くないものであるから、商標法第4条第1項第15号の規定にも該当しないものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同第15号のいずれにも該当せず、何ら無効理由を有しないものである。
(1)請求人の提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。
(a)請求人である株式会社テクノスは、1965年創業の外観検査機器メーカーであり、1988年に外観検査装置「ニューロ視覚センサー」の発売を開始した。その技術あるいはその商品については、昭和57年5月から平成16年1月にかけて、日刊工業新聞、電波新聞、日経産業新聞、オートメレビューなどの業界紙、一般紙などの新聞において、「テクノス」、「テクノスが開発」などと請求人を表す「テクノス」の文字が記載されて多数報道されていて(甲第3号証ないし同第184号証)、これを2002年7月に発売した商品「テクノス5000K」についてみると、「キズ、色ムラ1台で 外観検査システム精度、目視の100倍」(甲第161号証、2002年6月27日付け「日刊工業新聞」)、「世界最高レベルの精度 ニューロ視覚センサー」(甲第162号証、2002年7月8日付け「電波新聞」)、「あらゆる欠陥検査の要求に応える超高精度な移管検査システムの新製品・・・」「新製品はミクロンオーダーの精度が必要な液晶や半導体分野だけでなく、ミリオーダー精度で十分な食品分野などすべてのニーズに1台で対応するシステム・・・」(甲第163号証、2002年8月28日付け「半導体産業新聞」)などと報道された。
(b)請求人は、1990年に「優秀新技術新製品賞」、1997年に「新機械開発賞」、「中小企業庁長官賞」、2度目の「優秀新技術新製品賞」、2002年に3度目の「優秀新技術新製品賞」、「アドバンストディスプレイオブザイヤー」をそれぞれ受賞した(甲第418号証、「計測技術2002年12月号」)。
(c)請求人は、日刊工業新聞、日本経済新聞などの全国紙などに、一面の全面を用いるなどして外観検査装置の広告を掲載した(甲第185号証ないし同第193号証)。
(d)「ニューロ視覚センサー」など請求人の技術について、請求人を表す「テクノス」の文字が明記されて数多くの雑誌に特集記事が組まれるなどして掲載された(甲第194号証ないし同第446号証)。
(e)請求人は、第2回国際コンバーティング機材展、FA・IMS’92新生産・情報システム展、オートテック’93、第22回インターネプコン・ジャパン’93、第5回ファインプロセステクノロジー・ジャパン’95、’98国際画像機器展、国際プラスチックフェア2002、第12回フラットパネルディスプレイ製造技術展、SEMI FPD Expo2002など、1990年(平成2年)から2004年(平成16年)に開催された様々な分野の展示会に商品を出展した(甲第484号証ないし同第506号証)。
(f)請求人の商品の主要取引先は、日本の企業所得番付トップ38社のうち製造業では100%、製造業トップ50社の70%以上、東京証券取引所一部上場企業を中心に240社であり、自動車、鉄鋼、フィルム、化学その他27業界におけるトップ企業がユーザーになっている(甲第418号証、「計測技術2002年12月号」)。
(g)請求人の外観検査装置「ニューロ視覚センサー」には引用商標が使用されている。
(h)AIPPI・JAPAN発行「日本有名商標集第3版」に引用商標(「テクノス」商標を除く。)が掲載されている(甲第480号証及び同第483号証)
以上の事実によれば、本件商標の登録出願の時には、引用商標は、我が国において請求人の外観検査装置「ニューロ視覚センサー」に使用する商標として取引者・需要者の間に広く認識され、周知・著名性を獲得していたものであり、その著名である事実は、本件商標の登録査定時においても継続していたものと認められる。
(2)そこで、本件商標についてみるに、本件商標は、別掲のとおり、「テクノス株式会社」の文字の左側に本件図形を配してなるものであって、文字部分と図形部分とを常に一体ものとしてのみ認識しなければならない格別の事由は見出せず、「テクノス株式会社」の文字部分独自でも識別標識としての機能を果たすものと認められる。
してみれば、本件商標は、「テクノス株式会社」の文字に相応した「テクノスカブシキガイシャ」の一連の称呼のほか、法人組織の種類を表すに止まる「株式会社」の文字部分を省略して「テクノス」の称呼をも生じるものと判断するのが相当である。
被請求人は、「テクノス」の語は機械類を取り扱う企業や技術系企業の企業名等として採択・使用されることの極めて多い識別機能を果たし得ない語である、したがって、図形部分を特徴とし、これを要部とする本件商標からは、特定の称呼及び観念は生じない旨述べる。
確かに、「テクノス」の語は、企業の名称の一部などに採択使用されることの多い語であると認められる。しかしながら、一般の商取引の経験則に従えば、本件商標がその指定商品に使用された場合、これに接した取引者・需要者が構成中の「テクノス株式会社」の文字を特定の事業者の名称を表した出所標識と認識するというべきであって、本件商標より該文字に相応した称呼を生ずること上述のとおりである。被請求人のこの点に関する主張は、上記判断を左右するものではない。
これに対し、引用商標は、「テクノス」の文字、「TECHNOS」の文字、あるいは別掲(2)に示したとおり「TECHNOS」と図形よりなるものであり、各引用商標の構成文字に相応して「テクノス」の称呼を生じるものである。
してみれば、本件商標は、外観、観念の点を考慮しても、引用商標と「テクノス」の称呼において彼此相紛れるおそれのある類似の商標といわなければならない。
また、請求人が引用商標を使用している「外観検査機器」は、色むらやひび割れ、傷といった様々な欠陥を検出できる機器であるから(例えば甲第160号)、該商品は本件商標の指定商品である第9類「測定機械器具」と同ー又は類似のものであると認められる。
したがって、本件商標は、その登録出願前から周知・著名な引用商標と類似のものであり、本件商標の指定商品中の第9類「測定機械器具」については、引用商標が使用される商品と同一又は類似の商品に使用するものであるから、商標法第4条第1項第10号に該当する。
(3)請求人の外観検査機器は、上述のようにほとんどの製造業の使用に対応していて、半導体あるいは半導体ウエハー、半導体チップの製造工程中においても使用されるものであり(例えば甲第152号証ないし同第154号証)、半導体関連の専門紙(誌)にも採りあげられているものである(甲第155号証、同第163号証等)。
そうとすれば、引用商標は、半導体製造業の分野においても、請求人が外観検査機器に使用する商標として取引者・需要者の間に広く認識されているものというべきであり、また、請求人の外観検査機器は、本件商標の指定商品中の第7類「半導体製造装置」と密接に関連する商品であるということができる。
してみれば、本件商標がその指定商品の第7類「半導体製造装置」に使用された場合、これに接した取引者・需要者は本件商標より直ちに引用商標を連想・想起するというべきであり、該商品を請求人の業務に係る商品であるかのように、その出所について誤認・混同するおそれがあるといわなければならない。
したがって、本件商標は、他人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがあり、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(4)被請求人は、被請求人の取り扱う商品の取引者は、液晶表示装置や半導体の製造者といった専門技術者であり、しかも、取引者は導入後も長期間にわたってその保守・修理等を期待するものであるから、商品の選択に際しては、商品の品質・性能・価格等慎重に比較検討し、商標に対して払う注意力も極めて高いものがあること、また、本件商標は被請求人の独自の製品とその技術力の高さから、被請求人が取り扱う商品の分野において広く認識されており、本件商標に接する取引者・需要者においては、これを被請求人の業務に係るものであると十分に認識し得るものとなっているものであるとし、本件商標は、これをその指定商品のいずれについて使用しても、請求人の業務に係る商品であるかの如く、その出所について混同を生ずるおそれはない旨述べている。
しかしながら、被請求人の取り扱う商品の取引者は専門技術者であり、そして、取引に際し、商標に対して払われる注意力が極めて高いからといって、互いに同一又は類似する商品又は密接に関連する商品について、周知・著名な引用商標と類似する本件商標を使用した場合、商品の出所について混同を生ずるおそれがないということはできない。
また、確かに、被請求人は、平成2年8月に設立されたFPD検査装置、半導体製造装置などの製造、販売を行っている画像処理装置のメーカーであり、シャープ、三洋電機、アドバンストディスプレイ、東芝松下ディスプレイテクノロジー、鳥取三洋電機、堀場製作所、松下電器産業といった大手企業を主要取引先とし(乙第1号証)、平成10年には「平成九年度第八回研究開発型企業債務保証の決定」を受け、同年に「平成九年度NBK大賞開発部門賞」を受賞(乙第22号証及び乙第24号証)、平成13年には熊本大学の構内に「テクノス熊本開発センター」を設立し、同大学と共同で液晶表示装置(LCD)の検査装置の研究開発を行っており(乙第26号証、乙第28号証及び乙第30号証)、画像処理装置開発メーカーとして一定の評価を受けていることは認めることができる。
しかしがら、請求人は、上記(1)の(a)ないし(h)で述べたように、平成57年以降業界誌などで請求人の技術、商品について「世界最高レベルの精度 ニューロ視覚センサー」などと記載されて多数報道がされ、3度にわたって「優秀新技術新製品賞」を受賞し、また、「新機械開発賞」、「中小企業庁長官賞」、「アドバンスドディスプレイオブザイヤー」の各賞をも受賞した実績があり、さらに、全国紙に商品の広告をし、様々な分野の展示会に出展した事実があることからすると、多くの業界の関係者が請求人の商品に高い関心を寄せたであろうことは容易に推認し得るところであり、現に大手メーカーを含む様々な業界の多くの企業が請求人商品のユーザーとなっており、日本有名商標集に引用商標が掲載されている等の事実を勘案すれば、請求人の商標は、被請求人のそれを越えて極めて高い知名度を得ていたものということができ、その知名度は、取引者・需要者の間に広く認識され周知・著名性を獲得するに至っていたと認められること上述のとおりである。
したがって、被請求人の上記主張も、採用することができない。
(5)以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同第15号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定に基づき、その登録を無効とすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。