結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2005−89031(T2005−89031/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第2340039号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、昭和63年2月8日に登録出願、第20類「立て看板、その他本類に属する商品」を指定商品として、平成3年3月22日に登録査定がなされ、同年9月30日に設定登録されたものである。
なお、指定商品については、平成13年11月21日に指定商品の書換登録がされ、別掲(1)に記載したとおりの指定商品に書き換えられている。
請求人は、本件商標の登録の無効の理由として、下記の2件の登録商標を引用しており、いずれも、現に有効に存続しているものである。
(a)登録第1283515号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、昭和49年1月10日に登録出願、第20類「家具、畳類、建具、屋内装置品、屋外装置品、記念カツプ類、葬祭用具」を指定商品として、同52年7月11日に設定登録されたものである。その後、指定商品については、商標登録の取消の審判により、その指定商品中の「葬祭用具」について取り消すべき旨の審決がされ、その審判の確定登録が平成17年8月10日にされているものである。
(b)登録第1395129号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲(3)のとおりの構成よりなり、昭和49年8月22日に登録出願、第20類「家具、その他本類に属する商品」を指定商品として、同54年10月30日に設定登録されたものである。その後、指定商品については、商標登録の取消の審判により、その指定商品中の「葬祭用具」について取り消すべき旨の審決がされ、その審判の確定登録が平成17年7月15日にされているものである。
請求人は、本件商標の指定商品中、第20類「全指定商品」についての登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし同第4号証を提出した。
本件商標は、その構成中に、「光」の文字を有し、「ヒカリ」の自然的称呼を生ずるものであるところ、本件商標が登録される前に、既に本件商標と同一又は類似する引用商標1及び引用商標2の2件の商標が登録されている。引用各商標は、漢字の「光」から「ヒカリ」の自然的称呼が生じるのは明かであり、これは明らかに過誤による登録であり、本件商標の登録された日にすでに無効原因があるものである。
本件商標は、登録されてはならないものが登録されたのである。即ち、法令に反して登録されたものであり、法令に反することは明らかに国家、社会の公共の秩序に反することであり、公の秩序を乱すものである。
したがって、本件商標は、公序良俗に反するものであり、商標法第4条第1項第7号に該当するものであるから、その登録は無効とされなければならないものである。
(1)被請求人は、本件商標が商標法第4条第1項第11号に反して登録された過誤による重複登録であるとするのがその趣旨であると思料されるので、すでに、商標法第47条で審判を請求できないものであるから、商標法第56条第1項で準用する特許法第135条の規定によって却下されるべきものである旨主張している。
しかし、被請求人は、法条規定の適用を誤解している。確かに、商標法第4条第1項第11号の規定は、商標の類否に関する規定で、同一又は類似の商標は、同一の商品・役務の区分の同一又は類似の商品・役務においては、1つの商標のみ以外は認めないとする規定であり、この規定に反して登録された商標について、この規定を理由として、無効審判を請求することは、登録から5年を経過した後は認めない(商標法第47条)とされている。しかし、登録から5年経過した後、過誤による重複登録であっても、無効審判の提起が認められないとされている訳ではなく、法は、あくまでも過誤による重複登録商標を無効とする理由として、商標法第4条第1項第11号を根拠とする場合は5年間の除斥期間経過後は認めないとしているのであって、他の条項に該当し、それを理由とする場合には、その条項を理由として過誤による重複登録の商標に対する無効審判の請求を認めている。例え、それが除斥期間経過後であっても、除斥期間の定めのない条項に該当している場合は認められるものである。
過誤による重複登録の商標に対する除斥期間経過後の無効審判を一切認めないとすると、本来登録されるべきでなかった商標が登録され、不当な権利が保護されると同時に、不法状態が法によって不当に維持されることになるのみならず、この結果、同一又は類似の商品に権利者の異なる同一又は類似する商標が付されて市場に流通し、商品の出所に誤認・混同を生じさせ、さらに取引の安全を害することとなる。このような事態の生じることを防ぐため、除斥期間を経過した後であっても、過誤登録された商標の無効審判を請求することができるものとして、商標法第4条第1項第7号の規定を設けたものであり、本件商標のような場合には、本条を理由に無効審判を請求することができるとしているものと解される。
それゆえ、請求人は、本件商標に対し、商標法第4条第1項第7号に該当するとして無効審判を請求したものであって、何ら不適法な審判請求ではない。
(2)被請求人は、本件商標から「ミッツカシワバヒカリ」或いは、「ゴモンショウ」の称呼が生じ、また、「被請求人の御紋章」あるいは、「三柏葉光」の観念が生じるものであると主張している。
しかし、本件商標の構成から、常に必ず図形と文字「光」とが一体不可分の構成のものであるとされなければならない合理的な理由は全くなく、それゆえ、文字「光」から「ヒカリ」の自然的称呼が生じることは明らかである。「ゴモンショウ」の称呼が生じるのは特定のごく限られた人々の間のみのことであって、それは一般的に認められないことである。また、その観念においても同様のことであり、特定の意味を有する観念は、一般的には生じないものである。
また、被請求人は、本件商標の周知性を主張しているが、周知であることを裏付ける証拠は皆無であり、宗教法人としての被請求人が著名であっても、本件商標の登録無効とは何の関係もないことである。
被請求人は、本件審判請求は却下する、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べた。
(1)本件審判請求は、商標法第4条第1項第11号違反を理由とするものと解され、既に、除斥期間の経過により、その請求はできないものであるから、審決をもって却下されるべきものである。
(2)本件商標について
本件商標は、被請求人の創始者の家紋と漢字「光」とを組み合わせたものであり、「ミッツカシワバヒカリ」或いは「ゴモンショウ」の称呼を生じ、「被請求人の御紋章」或いは「三柏葉光」の観念を生じるものであって、昭和32年に被請求人が法人化された頃から現在に至るまで被請求人の紋章として、また、被請求人の業務に係る商品、それらの広告・宣伝等に使用され、広く一般に知られるに至っている商標である。
(3)本件商標と引用各商標との類否について
両商標は、その構成中に「光」の文字を有する点において共通する部分を有するとしても、その文字部分がとび抜けて目立つ構成態様ではないので、いずれも文字と図形全体を一体として把握・認識されるものであり、外観・称呼及び観念のいずれにおいても類似しないものである。
(1)本件商標は、別掲(1)のとおりの構成よりなるところ、請求人は、本件商標の登録は商標法第4条第1項第7号に違反してされたものであるから、その登録は無効にされるべきである旨主張している。
これに対して、被請求人は、本件審判請求は商標法第4条第1項第11号違反を理由とするものと解され、既に、除斥期間の経過により、その請求はできないものであるから、審決をもって却下されるべきものである旨主張しているので、まず、この点について判断する。
本件商標は、前記したとおり、平成3年9月30日に商標権の設定の登録がなされており、本件審判請求は、平成17年3月7日になされたものである。
ところで、商標登録出願が商標法第4条第1項各号等に違反して登録を受けた場合、商標法第46条の規定により、その商標登録を無効にすることについて審判を請求することができるが、無効理由によっては、商標法第47条により、一定の期間(商標権の設定の登録の日から5年)、無効審判の請求がなく平穏に経過した場合、その既存の法律状態を尊重し維持するために無効理由たる瑕疵が治癒したものとして、その理由によっては無効審判の請求を認めないこととされている。除斥期間が適用されるか否かの基準は、その無効理由が公益的な見地から既存の法律状態を覆してまでも無効とすべきものであるかどうかにかかっており、商標法第4条第1項第7号については除斥期間の適用はないが、同項第11号については除斥期間が適用されることとなっている。
そうとすれば、本件審判請求は、商標権の設定の登録の日から5年を経過した後になされたものではあるが、請求人は、商標法第4条第1項第7号を理由に無効審判の請求をしているものであるから、第7号に該当することの具体的な根拠が何であれ、商標法第47条の規定からみれば、除斥期間の適用はなく、本件審判請求を審決をもって却下することはできない。
(2)そこで次に、本件商標の登録が商標法第4条第1項第7号に違反してされたものであるか否かについて判断する。
商標登録を受けることができない商標として、商標法第4条第1項において規定されている商標のうち、第7号において規定されているのは、「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」である。そして、この規定に該当する商標としては、商標の構成自体がきょう激、卑わいな商標、差別的若しくは他人に不快な印象を与えるような商標、構成自体に問題がなくても、指定商品について使用することが社会公共の利益や一般的道徳観念に反することとなる商標、あるいは、他の法律によって、その使用等が禁止されている商標、特定の国若しくはその国民を侮辱するような商標又は一般に国際信義に反する商標、更には、公正な取引秩序を乱し、ひいては公序良俗を害することとなるような商標がこれに当たるものと解されている。
本件商標は、別掲(1)のとおりの構成よりなるものであるから、その構成態様からみて、上記したような商標に当たらないことは明らかなところである。また、請求人の主張によるも、本件商標の出願・登録にあたって、被請求人(出願人)に何らかの不正の意図があったというような事情についての主張・立証もないから、本件商標は、公正な取引秩序を乱し、ひいては公序良俗を害することとなるような商標にも該当しないものといわなければならない。
そうとすれば、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号に違反してされたものということはできない。
(3)この点について、請求人は、本件商標が登録される前に、既に本件商標と同一又は類似する引用商標1及び引用商標2の2件の商標が登録されていたことを挙げて、これは明らかに過誤による登録であって、法令に反して登録されたものであり、法令に反することは明らかに国家、社会公共の秩序に反することであるから、結局、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当することになる旨主張している。
しかしながら、商標法は、商標法第3条で商標としての一般的適格性をもつものとされた商標について、具体的に公序良俗の見地及び他人の業務に係る商品と混同を生ずるかどうか、商品の品質の誤認を生ずるかどうか等の見地から検討を加え、商標法第4条第1項において、不登録理由として第1号から第19号までの事由を規定しているところ、第7号の規定は、第4条第1項の総括条項として規定されているものではない。
請求人の主張しているところは、本件商標が登録される前に、既に本件商標と同一又は類似する2件の商標が登録されていたことを理由としていることに尽きるものであるから、商標法第4条第1項の不登録理由に照らしてみれば、実質的には、第11号に違反して登録されたことを無効理由として主張しているものであり、このような私益的理由自体は、上記のように解される第7号の規定に該当するものとは認められない。
そして、請求人の主張に従い、本件商標が法令(商標法)に反して登録された状態になっているとしても、また、商標法第47条(除斥期間)の関係から、第11号を無効理由とする審判請求ができない状況になっているとしても、そうであるからといって、第7号の解釈の幅をむやみに広げて適用することは、商標法全体の整合性の点からばかりでなく、公序良俗の解釈の観点からみても適切なこととはいえないから、この点についての請求人の主張は採用できない。
(4)まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものではないから、その指定商品中の第20類「家具,すだれ,装飾用ビーズカーテン,つい立て,びょうぶ,ベンチ,アドバルーン,木製又はプラスチック製の立て看板,食品見本模型,人工池,葬祭用具」についての登録は、同法第46条第1項の規定により、無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。