Trademark Appeal Case
原材料名結合商標の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2004−9914(T2004−9914/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「しらすパイ」の文字を標準文字で書してなり、第30類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成14年10月15日に登録出願されたものであるが、その後、指定商品については、同15年6月23日付け手続補正書により、第30類「パイ菓子」に補正されたものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、『しらすパイ』の文字を普通に用いられる方法で書してなるところ、その構成中の『しらす』の文字は『カタクチイワシ等の稚魚の称』を意味する『しらす(白子)』を容易に認識させ、『パイ』の文字は『パイ菓子』を指称する語として広く使用されているから、これよりは全体として『しらす入りのパイ菓子』程度の意味合いを認識・理解させるにすぎず、これを本願指定商品中、前記意味合いの商品に使用するときは、単に商品の品質を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
本願商標は、「しらすパイ」の文字よりなるところ、その構成中前半の「しらす」の文字は、「カタクチイワシ・ウナギ・アユなどの稚魚の称。」等(広辞苑第5版)を、また、後半の「パイ」の文字は、「小麦粉・バターなどから作った生地で、果物の甘煮または肉類などを包んだり、生地の上にのせたりして、オーブンで焼いた洋菓子。」(広辞苑第5版)を、それぞれ意味するものである。
そして、一般に「パイ」を取り扱う業界においては、例えば、原材料名がアップル(りんご)なら「
アップル
パイ」、マロン(栗)なら「
マロン
パイ」、クルミなら「
クルミ
パイ」、チーズなら「
チーズ
パイ」、パンプキン(カボチャ)なら「
パンプキン
パイ」、「梨」なら「
梨
パイ」、「レモン」なら「
レモン
パイ」、「チョコレート」なら「
チョコレート
パイ」、「いちご」なら「
いちご
パイ」、「バナナ」なら「
バナナ
パイ」のように、原材料名に「パイ」の文字を結合し、その内容を具体的に表示して、普通に多数取引されているものである。
さらに、インターネットの情報によれば、以下のとおり、いろいろな魚介類を使った「パイ菓子」が現実に取引されていることが窺える。
(1)「J−SaPa TOPICS 2004冬号〈第21号)」のホームページ(http://www.j-sapa.or.jp/publication/21/rediscover.html) には、「
明太子パイ
〈12本入り〉500円/税別) 明太子を練り込んだ生地をサックリと焼きあげた逸品。」の記載。
(2)「【楽天市場】
しろえびパイ
:しろえびかき餅の米田」のホームページ(http://www.rakuten.co.jp/yoneda/550665/551788/#544076)には、「しろえびパイ8枚箱 価格840円(税込み) 柔らかいパイ生地の上にしろえびをまるごとのせて焼き上げてあります。」の記載。
(3)「フロール」のホームページ(http://www.e-yamagata.com/town/event/event3.htm) には、「新商品情報/山居倉庫『酒田夢の倶楽(ゆめのくら)にて販売しております。
桜えびパイ
10コ入り 600円」の記載。
(4)「いいものいろいろ」のホームページ (http://www.shimanami-iroiro.jp/j/02.html) には、「今治合同製パン(株) ●
ちりめんじゃこパイ
10枚入り 367円」の記載。
(5)「ヨジテレビ」のホームページ(http://www.ox-tv.co.jp/yoji/yoji-2/joho050623-2.html)には、「これが
たらこパイ
「日和の花びら」。・・・タラコ生産量日本一の石巻市、もちろん地元産のタラコがタップリと入っています。 サブレ生地にタラコを混ぜ込み、それをさらにパイ生地で包んで、さっくりと焼きあげました。」の記載
(6)「お菓子/株式会社江戸金」のホームページ( http://www.e-shopyamaguchi.com/webapp/commerce/command/ProductDisplay?prrfnbr=167&prmenbr=10531 )には、「
うにパイ
良質のうにを原料として、独自の技術で風味を生かし、パイに焼き上げました。」の記載。
(7)「東京・六本木/オー・シザーブル」のホームページ(http://ochugen.spaspa.jp/detail/0/6/4162021)には、「お中元に<東京・六本木/オー・シザーブル>ガレットブルトンヌ詰合せ 価格3675円(税込み)フランボワーズ・キウイ各3個・アプリコット4個各約30g、
アンチョビパイ
・チーズパイ各約50g各1袋」の記載。
そのうえ、「しらす」は、カルシウムを多く含む食品として一般によく知られているものであって、最近では、菓子の原材料にされていることが、以下にあげるインターネットの情報から窺える。
(8)「iimono−pro.com」のホームページには、「みんながえらんだいいもの」の見出しのもと、「
しらす
揚げ」(製造/販売元 (有)富士見堂〈東京〉)」の記載。
(9)「げんぶ堂」のホームページには、「進物用」の見出しのもと、「スナック華族」の商品説明に「ごぼう、海苔、ひじき、
しらす
、えび等、自然食材のクラッカーとおかきの詰め合わせです。」の記載。
(10)「前田製菓」のホームページには、「1988年4月 機能性食品シリーズ企画『ひじきスナック』『
しらす
スナック』発売」の記載。
そうすると、本願商標は、構成文字全体で、「しらす入り(原材料等)パイ菓子」を容易に認識させるとみるのが自然である。
してみれば、本願商標は、これをその指定商品中「しらす入り(原材料等)パイ菓子」に使用するときは、単に商品の品質、原材料を表示するにすぎないものであり、かつ、これを前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。
おって、請求人は、「『しらす』は、意味が多岐にわたることから、これを『カタクチイワシ等の稚魚』の意味に断定できないこと、また、普通パイの原材料として使用されないものであるから、パイの原材料表示として認識されることはないことからすると、本願商標は、構成文字全体をもって一体不可分の造語を表したものとして認識され、自他商品識別標識としての機能を十分に果たし得るものである。さらに、添付した過去の登録例と同様に本願も登録されるべきである。」旨主張しているが、そもそも、商標の識別性の判断は、各商標につき、それぞれの取引の実情などをも勘案し、個別具体的に判断されるべき性質のものであるところ、一般に「パイ」を取り扱う業界においては、原材料名に「パイ」の文字を結合し、「パイ」の内容を具体的に表示して、普通に多数取引されていること、魚介類を使った「パイ菓子」が現実に取引されていること等を勘案すると、本願商標については、前記のとおり判断するのが相当であるうえ、請求人の主張している過去の登録例は、いずれも、本願商標とは、事案を異にするものというべきものであるから、本願商標の識別性の判断の参考として採用することはできない。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であり、これを取り消すことはできない。
よって、結論のとおり、審決する。
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