Trademark Appeal Case
e-と普通名称の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2003−21258(T2003−21258/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「e−University」の文字(標準文字による商標)を書してなり、第41類「当せん金付証票の発売,技芸・スポーツ又は知識の教授,献体に関する情報の提供,献体の手配,セミナーの企画・運営又は開催,動物の調教,植物の供覧,動物の供覧,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,美術品の展示,庭園の供覧,洞窟の供覧,書籍の制作,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,映画の上映・制作又は配給,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,放送番組の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),放送番組の制作における演出,映像機器・音声機器等の機器であって放送番組の制作のために使用されるものの操作,スポーツの興行の企画・運営又は開催,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。),競馬の企画・運営又は開催,競輪の企画・運営又は開催,競艇の企画・運営又は開催,小型自動車競走の企画・運営又は開催,音響用又は映像用のスタジオの提供,運動施設の提供,娯楽施設の提供,映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供,興行場の座席の手配,映画機械器具の貸与,映写フィルムの貸与,楽器の貸与,運動用具の貸与,テレビジョン受信機の貸与,ラジオ受信機の貸与,図書の貸与,レコード又は録音済み磁気テープの貸与,録画済み磁気テープの貸与,ネガフィルムの貸与,ポジフィルムの貸与,おもちゃの貸与,遊園地用機械器具の貸与,遊戯用器具の貸与,書画の貸与,写真の撮影,通訳,翻訳,カメラの貸与,光学機械器具の貸与」及び第42類「気象情報の提供,建築物の設計,測量,地質の調査,機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらの機械等により構成される設備の設計,デザインの考案,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明,医薬品・化粧品又は食品の試験・検査又は研究,建築又は都市計画に関する研究,公害の防止に関する試験又は研究,電気に関する試験又は研究,土木に関する試験又は研究,農業・畜産又は水産に関する試験・検査又は研究,機械器具に関する試験又は研究,著作権の利用に関する契約の代理又は媒介,社会保険に関する手続の代理,計測器の貸与,電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供,理化学機械器具の貸与,製図用具の貸与」を指定役務として、平成14年11月27日に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、一般に商品・役務の規格・種類・等級などを表わすための記号・符号、あるいは、『電子』の意味を表わす『electronic』の略語として、例えば、『eコマース、eビジネス、eメール』などのごとく、取引上類型的に、普通に用いられている欧文字1字の『e』の文字と、役務の『知識の教授』における最高学府の『大学』を表わす『University』の文字とを『−』で結合し『e−University』の文字を書してなるものであるから、これをその役務に使用しても、その商標に接した取引者・需要者は、本願商標を構成する『e』、『−』及び『University』の各文字をそれぞれ上記のように把握するとともに、商標全体として見ても、『単純に、これら各文字を組み合わせたもの』といった程度に理解するにとどまり、本願商標は、自他商品・役務の識別標識であるとまでは認識し得えないものと見るのが相当であって、何人かの業務に係る役務であることを認識することができないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当し、前記商品・役務以外の商品・役務に使用するときは、商品の品質又は役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断して、本願を拒絶したものである。
3 当審において通知した審尋
当審において、請求人に対し、平成17年10月11日付け(発送日)で通知した審尋は、以下のとおりである。
原審の拒絶査定においては、「本願商標は、平成15年7月11日付けで通知した理由によって、拒絶をすべきものと認める。」として、本願商標が商標法第3条第1項第6号及び同法第4条第1項第16号に該当することを理由に本願を拒絶している。
しかして、本願商標は「e−University」の文字を書してなるものであるところ、その構成中の「e−」の文字部分は、近年の高度情報通信社会の中で、「e−コマース(電子商取引)」、「e−メール(電子メール)、「e−マーケットプレース(インターネット上に作られた企業間取引所)」(株式会社エクスメディア発行 パソコン用語辞典2002版より)等のように、高度情報通信社会に対応した複合語となることの多い語であることから、本願商標に接する需要者・取引者は、全体として「高度情報通信社会に対応した大学」のような意味合いを容易に理解、認識するものというのが相当である。
そして、商取引の実際においては、「高度情報通信社会に対応した大学」であることを表す語として、「e−University」の語が全国各地の大学教育機関で普通に使用されている実情が、例えば、以下のインターネットのホームページ情報からも十分に裏付けられるところである。
(1)http://trex.daishodai.ac.jp/euniv/introduction.htm
研究プロジェクト(e-University時代における教育サービス)のウェブサイトにおいて、「e-University時代の教育サービス」研究プロジェクト」との表題のもと、「プロジェクト概要」中に、「・・・高度情報通信社会に対応した大学『e-University』は、教育面の『e-Education』と行政面の『e-Administration』で構成されている。本プロジェクトは、『e-University』を念頭に大学におけるICT(Information and Communication Technology)を活用した新世代の教育サービスに関する研究を行う。具体的には、・・・」との記述がある。
(2)http://www.seijoh-u.ac.jp/about/ab_02_01.html
星城大学のウェブサイト中に、「e−Universityの実現」との表題のもと、「具体的な教育プログラムを効率良く個人個人のペースで進められるように、星城大学では、全ての学生、教職員が全キャンパス無線LANによるネットワークを用いて、携帯パソコンで大学独自の教材(e-Text)をダウンロードしたり、更に学生同士や学生と教職員とが何時でもe-メール通信が出来るよう、キャンパス情報通信ネットワーク環境が完備されています。更に平成15年度からは、インターネットを通して学外からも授業教材や大学連絡事項をダウンロード出来るように通信網を整備しています。本学は将来の学外遠隔授業も視野に入れた高度情報化時代の最先端に位置するe-Universityの実現を目指しています。具体的には、・・・」との記述がある。
(3)http://www.gifu-u.ac.jp/imc/idea.html
岐阜大学のウェブサイトにおいて、「組織概要:理念」中に、「『e-University』、『Open-University』の実現に向けて」との表題のもと、「・・・ネットワーク対外接続網の強化、LMSの考え方に基づいたe-Learningシステムの導入等により、教育研究ならびに業務を協調支援する新しい岐阜大学の姿『e-University』、地域の教育研究を情報ネットワークで支援できる新しい岐阜大学の姿『Open University』の構築に向けて、センター教職員と努力したいと存じます。どうぞセンターにご要望をお寄せいただき、『e-University』、『Open University』の実現に皆さんのお力を与えて下さい。・・・」との記述がある。
(4)http://www.waseda.jp/kikou/houkoku/2000/Cont03_Initiatives/J6/J6.html
早稲田大学総合研究機構プロジェクト研究所のウェブサイトにおいて、「次代の社会システムを創造する 電子政府・自治体研究所」との表題のもと、「・・・2.APEC電子政府国際研究プロジェクト アジア太平洋地域の電子政府人材育成事業体系化作業を優先研究課題として、今年一月からスタートした APEC、ITU両国際機関並びに日本、タイ政府などとの共同研究プロジェクトである。正式名称は「e-University in HRD for e-government」で、2年間の国際研修プログラム並びにインターネットによる日本―タイ間遠隔教育がメインの活動である。・・・」との記述がある。
(5)http://www.juce.jp/LINK/journal/0302/03_02.html
社団法人私立大学情報教育協会のウェブサイトにおいて、「オンデマンド型インターネット授業の概要と課題」との表題のもと、記事中に、「(3)e-University・・・インターネット授業によって、いつでも、どこでも授業を受講することが可能になっても、受講手続きや、学内掲示板の確認、参考資料の入手のために結局キャンパスに出向かなければならないのであれば、その効果は極めて限定されたものとなってしまいます。資金移動や座席予約だけにとどまっていた金融機関や交通機関のインターネットサービスが、契約内容の変更や決済手続きにも拡大されてようやく実用的なサービスとして普及したように、授業だけでなく、関連するサービスも含めた総合的なインターネットサービスを提供する『e-University』の実現が求められています。」との記述がある。
(6)http://www.sony.jp/products/Professional/VIDEOCONF/sample/kanazawa.html
ソニー株式会社のウェブサイトにおいて、「ビデオ会議システム導入事例」において、「eユニバーシティに向けた取り組みの中でPCS-1導入による遠隔ゼミの実施も実現」との項に、「「KIT(ケイ アイ ティ)」の愛称で親しまれる金沢工業大学様は、自ら学び行動する意欲を持つ学生を育てる「オンリーワンの人間力教育」を提唱し、“eユニバーシティ”に向けた取り組みを行っています。・・・」との記述がある。
(7)http://www.hitachi.co.jp/Div/jkk/jirei/seijyoh/
株式会社日立製作所のウェブサイトにおいて、「システム導入事例」の照会中、「導入事例:学校法人名古屋石田学園星城大学 様 21世紀の大学『eUniversity』を実現するeラーニングシステム ITをフル活用する大学教育のプラットフォーム「HIPLUS on Web」」、「星城大学は、社会の時代的ニーズや地域の要請に応えるため、実務実践型専門教育による人材育成を掲げ、2002年4月に開学しました。 今回、ご紹介するHIPLUS on Webをベースとした「eラーニングシステム」は、星城大学が目指す「e‐ユニバーシティ」を実現する基幹システムです。」との記述がある。
かかる状況においては、「e−University」の文字よりなる本願商標をその指定役務中、大学教育に関連した役務について使用した場合、需要者・取引者は、前記した事情よりして、高度情報通信社会に対応した大学であることを表記したものとして理解するにとどまり、それをもって自他役務の識別標識とは認識し得ないものというのが相当であるから、結局、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標というべきである。
また、前記役務以外の役務に使用するときは、これに接する需要者・取引者は、その役務があたかも「高度情報通信社会に対応した大学教育に関連した役務」であるかのごとく役務の質について誤認を生ずるおそれがあるものといわざるを得ない。
そうとすれば、当審においても、本願商標は、商標法第3条第1項第6号及び同法第4条第1項第16号に該当するものと判断するものである。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第6号及び同法第4条第1項第16号に該当するとの点について、あらためて意見、反論等があれば、その旨を記した書面を提出されたい。
4 当審の判断
当審において、請求人に対し、上記3の審尋を通知し、相当の期間を指定して回答書を提出する機会を与えたところ、平成17年11月21日付けにて、請求人より「平成17年10月11日付け(発送日)の審尋に関し、請求人に特段の見解はない。」旨の上申書が提出された。
よって、判断するに、本願商標は、上記1のとおり、「e−University」の欧文字を標準文字で表してなるところ、該構成文字よりは、上記3の審尋において説示したように「高度情報通信社会に対応した大学」のような意味合いを容易に理解、認識させるというのが相当である。
さらに、「e−University」の文字が、「高度情報通信社会に対応した大学」であることを表す語として、全国各地の大学教育機関で普通に使用されている実情は、上記3の審尋で示したとおりである。
してみれば、本願商標について行った当審の証拠調べの結果とそれに基づく先の認定・判断は、妥当であって、本願商標をその指定役務中、大学教育に関連した役務について使用した場合、需要者・取引者は、前記した事情よりして、高度情報通信社会に対応した大学であることを表記したものとして理解するにとどまり、それをもって自他役務の識別標識とは認識し得ないものというのが相当であるから、結局、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標というべきである。
また、前記役務以外の役務に使用するときは、これに接する需要者・取引者は、その役務があたかも「高度情報通信社会に対応した大学教育に関連した役務」であるかのごとく役務の質について誤認を生ずるおそれがあるものといわざるを得ない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号及び同法第4条第1項第16号に該当するものというべく、これと同旨の理由をもって本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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