結論テキスト
審判費用は、被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2001−30706(T2001−30706/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第3211064号商標(以下「本件商標」という。)は、「トレジャーボックス」の片仮名文字と「TreasureBox」の欧文字を二段に併記してなり、平成5年12月3日に登録出願され、第9類「電子応用機械器具及びその部品」を指定商品として、平成8年10月31日に設定登録されたものである。
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
(1)請求の理由
本件商標は、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても、指定商品について、本件審判の請求登録前3年以内に使用されていない。
よって、商標法第50条の規定に基づき本件商標の登録を取り消すべきである。
(2)乙各号証について
(ア)乙第1号証、乙第7号証及び乙第28号証は、本件商標の使用の事実を立証するものではない。
乙第2号証及び乙第3号証は、本件審判の請求登録日(平成13年7月18日)前3年より以前の平成9年1月7日及び同年1月10日の有限会社尾崎商事(以下「尾崎商事」又は「通常使用権者」という。)が件外プロサイド株式会社(以下「プロサイド」という。)に送金したことを示している東京三菱銀行発行の「ご利用明細書」であるが、ここに記載されている金銭がどのような主旨のものであるか明らかではなく、「バーコードスキャナ」の文字は人為的に記入されたものである。この「ご利用明細書」が示すものは、尾崎商事がプロサイドより商品を仕入れたことを示しているものであり、これらは本件商標を使用していることを証明しているものではない。
乙第5号証及び乙第6号証は、支払の相手方及び支払日以外は乙第2号証及び乙第3号証と同様で、その送金は本件審判の請求登録日前3年より以前の、平成9年1月28日及び同年1月30日のものであり、「ポスレジの部品」の文字は人為的に記載されたものである。また、これらは購入商品の代金支払いを示すものであり、本件商標が使用されている事実を立証するものではない。
乙第8号証は、被請求人が、件外のメーカーであるメルコより商品BPC−MS31DWを仕入れ、その代金を、本件審判の請求登録日前3年より以前の、平成9年3月5日に支払ったことを示しているが、本件商標を使用している事実を証明するものではない。
乙第4号証は、通常使用権者が、件外株式会社エムエスシー・トップ(以下「エムエスシー・トップ」という。)から、品名DM−D202等を購入し、その代金の支払を求められている請求書であるが、この請求書の日付は、本件審判の請求登録日前3年より以前の平成9年1月28日であり、本件商標の使用の事実を証明するものではない。
乙第9号証及び乙第10号証は、プロサイドが、被請求人に対し、商品ALPHA‐20K(W/PC/AT CABLE)の見積を行い、被請求人が同商品を購入した証拠はないものの、見積と同額の金額を支払ったことを示すものである。これによっては、見積した商品が本件商標の指定商品であるか否かを確認できないばかりか、その商品に本件商標が付されていたか否かも確認できないし、代金は本件審判の請求登録日前3年より以前の、平成9年5月7日に支払ったことを示しており、本件商標の使用の事実を証明するものではない。
乙第11号証及び乙第12号証は、被請求人が、エムエスシー・トップからキャッシュドロワーT33DR−AC等を購入し、その代金を支払ったことを示すものである。しかし、購入した商品は、本件商標の指定商品であるか否かは確認できないし、代金の支払期日は、本件審判の請求登録日前3年より以前の、平成9年5月29日である。これらは、本件商標の使用の事実を証明するものではない。
乙第13号証は、被請求人の東芳青果株式会社(以下「東芳青果」という。)に対する、バーコードスキャナの見積書である。この見積書には本件商標と同様の文字が記載されてはいるが、それが商品、バーコードスキャナに付されて使用されていることを証明するものではない。したがって、これは本件商標の使用の事実を証明するものではない。
乙第14号証は、本件商標を使用した商品の価格一覧表の体裁をとっているものであるが、単なる一覧表にすぎず、本件商標がバーコードスキャナに使用している事実を証明するものではない。したがって、これは本件商標の使用の事実を証明するものではない。
また、この種の商品の価格表は、販売時点の記載が重要不可欠であるが、その記載がないのは不可解である。
乙第15号証及び乙第16号証は、被請求人が、東芳青果にバーコードスキャナを販売し、同東芳青果が代金を支払ったことを示す体裁をとっているものであるが、単に請求書に商標が記載されているだけで、本件商標がバーコードスキャナに使用されている事実を証明するものではない。
乙第17号証ないし乙第21号証には、本件商標がダンボール箱に使用されているが、ダンボール箱は本件商標の指定商品ではないから、使用の事実を証明するものではない。
また、カーキ色のダンボール箱には青色で、「MADE IN JAPAN」の文字が印刷されており、その箱に本件商標等を印刷した白色の紙が糊付けされたのは明らかであり、それは、商標の使用の事実を作成するために行われたものであることを推定させる。
乙第18号証は、ダンボール箱の手前の鍵穴らしきものが付いた引出しを有する箱に、本件商標が付されてはいるが、この箱はいかなるものか不明で、指定商品ということはできないから、使用の事実を証明するものではない。
乙第21号証ないし乙第23号証には、バーコードスキャナが表示され、そこには本件商標が表示されているが、これは商標の使用の事実の証拠を作成するために、テープに印刷されたものを糊付けしたものとの疑問を抱かせるものであるから、これをもって商標の使用の事実を証明するものということはできない。
乙第24号証ないし乙第27号証には、ディスプレイが表示され、その左下には本件商標が表示されているが、これはバーコードスキャナと同様に、商標の使用の事実を示す証拠を作成するためにテープに印刷されたものを糊付けしたものとの疑問を抱かせるものであり、これをもって商標の使用の事実を証明するものということはできない。
また、断定はできないものの、写真に示されているディスプレイはかなり古いタイプであり数年以上前に販売されたものと思われる。
乙第29号証ないし乙第33号証は、通常使用権者が、東芳青果に宛てた請求書である。その「品名」欄には本件商標が記載されてはいるが、伝票に記載されていることをもって商標がその指定商品に使用されていることを証明するものではない。したがって、これらをもって本件商標の使用の事実を証明するものとはいえない。
また、請求書は、平成13年1月31日から同年5月31日までの5か月分であるが、請求金額は毎月、○○月分として90,000円としているだけで、どの項目の支払であるかが不明である。
乙第34号証には、「TreasureBox仕入れ集計システム一式の商品代価と、ソフトウエア代価と、保守管理代価」と記載されているが、管理費のほかに商品代価が含まれていて毎月同額というのは不自然である。また、東芳青果は「平成12年3月10日にはバーコードスキャナ1個を、有限会社尾崎商事より購入しました」と記してあり、通常使用権者が発行したその請求書が上記請求書とは別(乙第15号証)にあり、しかも、これにのみ通常使用権者発行の領収証(乙第16号証)があることは不可解である。これらの請求書は、本件商標の使用の事実を証明するものでないことは明らかであるが、これらの請求書自体の信憑性にも疑問がある。
また、乙第34号証は、東芳青果が、東急サービス株式会社が経営する日本放送協会食堂等に青果及び関連食品を販売する必要から、通常使用権者の開発した仕入集計システムを購入し、使用し、保守管理を委託し、その代価を支払っているとして、それを文書にして特許庁長官に提出したと主張するのみのことで、何の裏付けもないものである。
(3)被請求人(商標権者)と、通常使用権者の尾崎商事と、東芳青果の関係について
上記の三者は、甲第1号証及び甲第2号証が示すとおり、その住所「東京都中央区新川一丁目28番3号」を同一にする。また、登記簿でみると、尾崎商事と東芳青果の役員は、被請求人と同一の姓のものが就いている。
そうすると、被請求人が提出した証拠は、被請求人のごく狭い身内だけの関係を利用して作成されたと考えられる。このことは、提出された証拠によっては本件商標の使用の事実が証明されるものではないことは明らかであるとともに、提出された証拠そのものの信憑性に強い疑問を抱かせる。
商標は商品と共に流通経路にのって大量に広い地域に流通し、不特定多数の取引者、需要者に商品選択の方法として行き渡ることを本旨とするものである。
被請求人、通常使用権者及び東芳青果の間で作成されたこれらの証拠は、本件商標がそのような商品、商標の流通の過程において機能しているものではないことを雄弁に立証しているものである。この点からみても、本件商標は、商標権者、通常使用権者によっては使用されていないことを示している。
それらの証拠は、本件商標の使用の事実を証明するものではなく、本件商標の使用の事実を立証するために作り上げられたものとの強い疑念を抱かせるものであり、それによる本件商標の使用の実態は、商標が使用されていると社会的に認められる状態ではない。
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第35号証を提出した。
(1)被請求人山野雅徳は、尾崎商事と、平成9年3月1日付けで本件商標について通常使用権の許諾を契約をした(乙第7号証及び乙第28号証)。
(2)乙各号証について
(ア)通常使用権者は、平成9年1月よりポスと仕入集計システムの開発をはじめた。具体的には以下のとおり。
平成9年1月7日にプロサイドへ¥39,655を支払い、バーコードスキャナ1個を購入した(乙第2号証)。平成9年1月10日にプロサイドへ¥79,310を支払い、バーコードスキャナ2個を購入した(乙第3号証)。平成9年1月28日にエムエスシー・トップへ¥138,226を支払い、キャッシュドロワーその他を購入した(乙第4号証及び乙第5号証)。平成9年1月30日にエムエスシー・トップへ¥138,226を支払い、キャッシュドロワーその他を購入した(乙第6号証)。平成9年3月5日にキンキシステムサービス株式会社へ¥309,988を支払い、パソコン2台を購入した(乙第8号証)。
(イ)平成9年5月、通常使用権者は、本件商標を製品に付し、ポスシステム「TreasureBox(R)ポスシステム」と、仕入集計システム「TreasureBox(R)仕入集計システム」の価格一覧表を作成した(乙第14号証及び乙第17号証ないし乙第21号証)
(ウ)平成9年5月7日にプロサイドへ¥119,700を支払い、バーコードスキャナ3個を購入した(乙第9号証及び乙第10号証)。平成9年5月29日にエムエスシー・トップへ¥277,200を支払い、キャッシュドロワーその他を購入した(乙第11号証及び乙第12号証)。
(エ)平成10年3月、通常使用権者は、東芳青果に「TreasureBox(R)仕入集計システム」の価格一覧表と製品を見せ、説明し(乙第14号証)、東芳青果は、通常使用権者に対し毎月合計9万円を支払うことで、[TreasureBox(R)パソコン(モニター付)代、バーコードスキャナ代、仕入集計用ソフトウエア代、サポート代(バーコード表を年に2回作成も含む。)]の購入の契約が成立した(乙第24号証ないし乙27号証及び乙第34号証)。
平成10年5月に通常使用権者は、東芳青果に「TreasureBox(R)仕入集計システム」を納品し、また、平成10年6月に通常使用権者は、春用のバーコードの一覧表を東芳青果へ納品した。
(オ)平成10年6月22日、東芳青果より通常使用権者に、「TreasureBox(R)パソコン(モニター付)代、バーコードスキャナ代、仕入集計用ソフトウエア代、サポート代(バーコード表を年に2回作成も含む。)」の6月分が支払われた。その後、東芳青果より通常使用権者に毎月支払われている(乙第29号証ないし乙33号証)
(カ)通常使用権者は、平成10年9月に秋用、平成11年3月に春用、平成11年9月に秋用、平成12年3月に春用のバーコードの一覧表を作り、東芳青果へ納品した。また、平成12年9月に秋用、平成13年3月に春用のバーコードの一覧表を作り、東芳青果へ納品した(乙第22号証及び乙第23号証)。
(キ)平成12年2月15日に通常使用権者は、東芳青果に、「TreasureBox(R)バーコードスキャナ」の見積書と価格一覧表を提出し(乙第13号証及び乙第14号証)、平成12年3月10日に「TreasureBox(R)バーコードスキャナ」1個を東芳青果へ販売した(乙第15号証、乙第16号証及び乙第34号証)。
(ク)平成13年9月、現在、購入した在庫部品は、通常使用権者が保管している(乙第17号証ないし乙第21号証)。
(3)弁駁に対する答弁
(ア)乙第24号証から乙第27号証のディスプレイは、乙第8号証が示すところの平成9年3月5日に通常使用権者がキンキシステムサービス株式会社から購入したパソコンセット2台(メーカー名「メルコ」の形番「BPC−MS31DW」)の中のディスプレイであるから古いタイプではない。
(イ)東芳青果は、東京都中央卸売市場大田市場(東京都大田区東海3丁目2番1号)に事務所と倉庫がある。東芳青果の取締役には同一姓でない大江俊幸氏が就任している。東芳青果も通常使用権者も登記された法人であり、それぞれの定款の目的と、それぞれの取引先、取締役がいる。本件取引は、市場原理に基づいたものであり、本社所在地が同一だからという理由で行われた取引ではない。
(1)本件について、乙第7号証によれば、被請求人(商標権者)は、本件商標をその指定商品について使用する通常使用権を、平成9年3月1日付けで東京都中央区新川1−28−3所在の尾崎商事に対し許諾していたことを認めることができる。
(2)つぎに、被請求人は、通常使用権者は本件商標を「仕入集計システム(モニター付パソコン1台、バーコードスキャナ1個、仕入集計システム用ソフトウエア及び年2回のバーコード表作成を含む保守管理込み。)」(以下「仕入集計システム」という。)及びバーコードスキャナについて使用していたと主張しているので、以下、判断する。
(a)仕入集計システムについて
被請求人は、その答弁のなかで、通常使用権者は、平成9年5月に「『TreasureBox(R)』ポスシステム」及び「『TreasureBox(R)』仕入集計システム」の価格一覧表(乙第14号証)を作成し、本件商標を製品に付した。平成10年3月に東芳青果に同「『TreasureBox(R)』仕入集計システム」の価格一覧表とその製品(仕入集計システム)を見せ、説明し、東芳青果は同仕入集計システムを毎月9万円の支払いで購入契約した(乙第24号証ないし乙第27号証及び乙第34号証)。そして、平成10年5月通常使用権者は東芳青果に仕入集計システムを納品し、東芳青果は平成10年6月22日に通常使用権者に仕入集計システムの使用料6月分を支払った。以後、その使用料は東芳青果より通常使用権者に対し毎月支払われていると主張している(乙第29号証ないし乙第33号証)。
しかして、まず、乙第14号証は、上段に「『TreasureBox(R)』ポスシステム」、下段に「『TreasureBox(R)』仕入集計システム」の2つのシステムの価格及びそれぞれのシステムを構成する機器毎の価格を示した「『TreasureBox(R)』価格一覧表」と称する一枚紙よりなる価格表であるところ、通常、この種価格表にはその作成時の日付の表示が不可欠とみられるが、同価格一覧表にはその記載がない。
また、被請求人は、同価格一覧表を平成9年5月に作成したと主張しているところ、例えば、その価格一覧表中「品番 T3−3DR−AC」の「キャッシュドロワー」は、「単価 ¥110,000」、「品番 ALPHA−20K」の「バーコードスキャナ」は、「単価 ¥74,800」と表示されているが、乙第4号証ないし乙第6号証、乙第11号証及び乙第12号証によれば、通常使用権者は「T3−3DR−AC」と同一の品番の付されたキャッシュドロワーを平成9年1月及び5月にエムエスシー・トップから単価5万3千円及び5万5千2百円で購入し、また、乙第2号証、乙第3号証、乙第9号証、乙第10号証及び乙第35号証によれば、通常使用権者は「ALPHA−20K」と同一の品番の付されたバーコードスキャナを平成9年1月及び5月にプロサイドから単価4万2千円で購入していることが認められる。
そうすると、購入価格5万5千円前後の同一機種のキャッシュドロワーが「¥110,000」、同様に4万2千円の同一機種のバーコードスキャナが「¥74,800」と表示された同価格一覧表の価格設定は不自然といわなければならず、上記のとおり、乙第14号証には作成日の記載がないこと相俟ってみれば、乙第14号証が本件仕入集計システムの取引に当たり平成9年5月に事実として作成され、その取引の用に供されたものであるとは、これを直ちに認めることができない。
乙第24号証は、稼働状態のモニター付きパソコン及びバーコードスキャナと共にプリンター(「Canon」の商標がある。)、マウス及びバーコード表等を写した写真であり、乙第25号証ないし乙第27号証は、稼働状態のモニター付きパソコンを写した写真である。モニター付きパソコンの下部左側及びマウスの上部には本件商標が表示されたテープ状の片が貼付してあり、モニターの画面中には本件商標及び「仕入集計システム」の文字と共に野菜に関する各種商品データが電光表示されている。しかしながら、これら写真にはそのいずれにも撮影年月日、あるいはその撮影時期を示す表示がない。
乙第29号証ないし乙第33号証は、平成13年1月31日、同年2月28日、同年3月31日、同年4月30日及び同年5月31日付けの通常使用権者が東芳青果に対し発行した「御請求書」であるところ、同書面中には「品名 1月分 TreasureBox(R) 仕入集計システム パソコン代金 バーコードスキャナ代金 ソフトウエア代金 サポート代金」(但し、月分の表示は各月に応じた表示となっている。)及び「合計金額(消費税込) ¥94,500」との記載があり、これら書証は、一応、その記載内容からみて通常使用権者が平成10年5月に東芳青果に納品した仕入集計システムの代価として、月々9万円の支払いを東芳青果に求めた請求書の形式になっていることは認めることができる。
しかしながら、本件審判請求の登録(平成13年7月18日)の約半年前より僅か5か月分の、しかも一方の当事者である被請求人(通常使用権者)が発行した仕入集計システムの使用料の支払いのための請求書(5通)のみにより、通常使用権者が平成10年3月に東芳青果と本件仕入集計システムの納入契約をし(平成10年5月に納品)、以後、引き続き、約3年を超える長期にわたる同システムの取引に関する一連の事実関係を証明するには十分なものということはできない。
そして、被請求人よりは、かかる事実関係を客観的に証明し得る証拠、例えば、仕入集計システムの納品書あるいは売上伝票、その後における一連の料金支払いの領収書、納品先である東芳青果の受領書等の取引書類の提出は一切ないものである。
そうすると、被請求人の提出に係る上記各証拠によっては、本件仕入集計システムの一連の取引を十分に証明し得ていないといわざるを得ないから、これらをもってしては、被請求人が本件商標を本件審判の請求の登録前3年以内に本件仕入集計システムに使用したものと認めることができない。
なお、被請求人は、東芳青果が特許庁長官を名宛てとして平成13年8月27日付けで作成した文章を乙第34号証として提出しているところ、同文章中には、東芳青果は、平成10年6月1日より通常使用権者の仕入集計システムを商品仕入管理に使用していること、平成12年3月10日に通常使用権者よりバーコードスキャナを1個購入したこと、平成10年6月1日より平成13年5月31日まで毎月仕入集計システム及びその保守管理等の代価を、平成13年6月1日からは保守管理の代価を通常使用権者に対して支払っていること等の経過が記載されているが、その記載ある内容の事実関係を裏付けるべき証拠が十分でない以上、これのみをもって、これら一連の取引が通常使用権者と東芳青果との間で行われたとの主張を直ちに認めることはできない。
(b)「バーコードスキャナ」について
被請求人は、通常使用権者は平成12年2月15日に東芳青果に本件商標の付された「バーコードスキャナ」の見積書と価格一覧表を提出し(乙第13号証及び乙第14号証)、平成12年3月10日に同商品を1個、東芳青果に販売したと主張している(乙第15号証、乙第16号証及び第34号証)。
しかして、乙第13号証及び乙第15号証は、前者が平成12年2月15日付け、後者が同12年3月10日付けで通常使用権者が東芳青果に発行したバーコードスキャナの「御見積書」と「御請求書」であるところ、同書面中には、品名、数量、単価欄に「TreasureBox(R) バーコードスキャナ 1個 ¥74,800」及び合計金額(消費税込)欄に「¥74,613」との記載がある。
乙第16号証は、通常使用権者が東芳青果に平成12年3月10日付けで発行した「領収書」であり、同領収書中には、手書きで「東芳青果(株)」、「¥74,613」及び「TreasureBox(R)バーコードスキャナ1ケ」との記載がある。
ところで、通常使用権者は、本件バーコードスキャナの取引に当たっては平成12年2月15日に乙第14号証(同号証自体には作成日の記載がないことは上記(a)のとおり。)を東芳青果に提出したとしているが、しかるに、答弁によれば、乙第14号証は上記(a)の仕入集計システムの取引より前の平成9年5月に既に作成されていたものであり、コンピュータ等価格変動の激しい電子機器類(乙第14号証中にはバーコードスキャナのほか、パソコン(モニター付)等もその価格と共に記載されている。)の取引に当たり、同一規格の商品とはいえ、3年を経て全く価格に変更なく、同一内容の価格表が取引の実際の用に供されたということにおいていささか疑念を持たざるを得ないばかりでなく、そもそも乙第14号証はバーコードスキャナ等の価格設定に疑問があること上記(a)のとおりであってみれば、乙第14号証と同一の価格で取引が行われたとして提出された他の取引書類である乙第13号証、乙第15号証及び乙第16号証についてもその取引書類としての信憑性について疑義を持たざるを得ない。
しかも、乙第13号証及び乙第15号証は通常使用権者自身の作成した同一の書式による「御見積書」及び「御請求書」とみられるのに対し、その領収書である乙第16号証のみがこれらとは異なり、一般に市販されているように見受けられる形式の領収書であることも不自然である。
そうすると、これら取引書類をもって本件バーコードスキャナの販売を行ったとする被請求人の主張は、これを直ちに認めることはできず、被請求人よりかかる取引を明確に立証し得る証拠の提出が他にない以上、これをもって、本件商標が本件審判の請求の登録前3年以内に使用されたものということはできない。
なお、乙第34号証中には平成12年3月10日に東芳青果が通常使用権者よりバーコードスキャナを1個購入したことの記載があるが、同第34号証のみによっては同取引を事実として直ちに認めることができないこと、上記(a)と同様である。
(c)そして、被請求人の提出に係る乙第2号証ないし乙第6号証及び乙第8号証ないし乙第12号証は、いずれも本件審判の請求の登録前3年より以前に作成されたものであり、また、これら証拠には本件商標の表示も見当たらない。
乙第17号証ないし乙第21号証は、本件商標は表示されているが内容物が不明な包装箱、あるいは本件商標の指定商品中には含まれない商品であるキャッシュドロワー、金額表示器等(但し、乙第21号証にはバーコードスキャナが認められる。)を写した写真であり、しかも、その撮影年月日も見当たらない。
乙第22号証及び乙第23号証は、「2000年秋用」、「2001年春用」と表示したバーコード表及びバーコードスキャナを写した写真であるが、バーコード表自体は本件商標の指定商品中には含まれないものであるのに加え、係るバーコード表自体の作成日が確認し得ないものであれば、同写真の撮影日時が示されていない以上、これが本件審判の請求の登録前3年以内のものということはできない。
(3)上記のとおり、被請求人の提出に係る各乙号証は、いずれも本件商標が本件審判の請求の登録前3年以内に使用されていたことを証明し得ていないものや、その証拠の真実性自体に疑問なしとしないものばかりであり、請求人もその弁駁のなかで、「それらの証拠は、本件商標の使用の事実を証明するものではなく、本件商標の使用の事実を立証するために作り上げられたものとの強い疑念を抱かせるものであり・・・」と疑義を呈しているところ、被請求人よりはそれを解消すべき的確な回答はない。
ところで、商標法第50条に基づく商標登録の取消審判は、登録されている商標であっても実際には使用されず、あるいは使用されていないに等しい商標は、商標使用者の業務上の信用が化体されていないから、財産的価値がないか極めて少なく、このような登録商標を商標法で保護する価値はないのみならず、このような登録商標を放置することは、商標の使用を欲する者の商標選択の範囲を狭める結果ともなり、国民一般の利益を損なうこととなるから、請求によりこのような商標登録を取り消そうとするのが、その制度の趣旨と解される。
本件の場合、仮に、前記した被請求人の主張する一連の取引、すなわち、通常使用権者が平成10年3月及び平成12年3月10日にそれぞれ仕入集計システムとバーコードスキャナ(1個)を東芳青果に販売したことが事実であったとしても、使用に係る商品の取引が3年の間に僅か2回、しかも数個程度の極めて少数の商品数をいずれも同一の取引者との間で行なったという本件取引にあっては、それをもって反復、継続してなされた通常の商品取引の形態とみることはできず、したがって、そのことをもってしても本件商標をその指定商品について使用したとは到底いえないものである。
そして、被請求人は、他に、本件商標を本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において被請求人又は通常使用権者が、その指定商品のいずれかについて使用していたことを客観的に認めるに足る取引書類や宣伝広告の類といった証拠を提出するところがない。
(4)してみれば、本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、被請求人又は通常使用権者等のいずれによってもその指定商品について使用されていなかったものといわざるを得ないから、本件商標は、商標法第50条の規定に基づき、その登録を取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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