Trademark Appeal Case
「ROSSI」称呼類似と著名性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2005−90160(T2005−90160/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4831178号商標(以下「本件商標」という。)は、「FRANCESCO ROSSI」の文字を横書きしてなり、平成16年3月29日に登録出願、第18類及び第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同17年1月7日に設定登録されたものである。
2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標は、以下のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第2023083号商標(以下「引用商標1」という。)は、「SERGIO ROSSI」の文字を横書きしてなり、パリ条約に基づくイタリア国を最初の出願(1985年11月13日)とする優先権の主張を伴うものとして、昭和61年1月20日に登録出願、第17類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同63年2月22日に設定登録されたものである。
(2)登録第2057300号商標(以下「引用商標2」という。)は、「SERGIO ROSSI」の文字を横書きしてなり、パリ条約に基づくイタリア国を最初の出願(1985年11月13日)とする優先権の主張を伴うものとして、昭和61年1月20日に登録出願、第21類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同63年6月24日に設定登録されたものである。
(3)登録第2213448号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、昭和55年3月25日に登録出願、第22類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成2年2月23日に設定登録されたものである。
(4)登録第3215265号商標(以下「引用商標4」という。)は、「MISS ROSSI」の文字を横書きしてなり、平成6年1月7日に登録出願、第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同8年10月31日に設定登録されたものである。
(5)登録第4363933号商標(以下「引用商標5」という。)は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、パリ条約に基づくイタリア国を最初の出願(1998年7月6日)とする優先権の主張を伴うものとして、平成10年7月23日に登録出願、第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同12年3月3日に設定登録されたものである。
(これらの登録商標をまとめていうときは、以下「各引用商標」という。)
3 登録異議申立ての理由の要点
(1)商標法第4条第1項第11号について
各引用商標は、イタリア国のデザイナーであるセルジオ・ロッシのデザインに係る商品「被服、かばん類、履物」に使用され、世界的に著名なものとなっていた。わが国においても、各引用商標を使用した上記商品は、有名百貨店等で販売された結果、各引用商標は、本件商標の登録出願前より、需要者の間に広く認識されていた。
本件商標や各引用商標のようなデザイナーズブランドに接する需要者は、ファミリーネーム部分に着目して、商品の取引に当たる場合が多いところ、本件商標及び各引用商標は、ファミリーネーム部分である「ROSSI」を共通にするものであるから、該文字より生ずる称呼及び観念において類似する商標である。また、本件商標の指定商品は、各引用商標の指定商品と抵触するものである。
(2)商標法第4条第1項第10号及び同第15号について
引用商標1ないし3及び5は、申立人の取扱いに係る商品中の、特に「かばん類、履物」について使用され、本件商標の登録出願前より、世界的に著名なものとなっていたものである。
そして、本件商標は、引用商標1ないし3及び5と「ROSSI」の部分を共通にする類似する商標であり、また、引用商標1ないし3及び5が使用される上記商品は、本件商標の指定商品中に含まれるものである。
さらに、引用商標1ないし3及び5と類似する本件商標は、これをその指定商品について使用した場合は、該商品が申立人又はこれと営業上何らかの関係を有する者の取扱いに係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれがある。
(3)商標法第4条第1項第7号について
商標権者は、引用商標1ないし3及び5が世界的に著名であることを知りながら、本件商標に「ROSSI」の文字を取り入れたものであり、引用商標1ないし3及び5に蓄積された信用にただ乗りしようとする意図が明らかであるから、本件商標は、公の秩序又は善良な風俗を害するおそれがある。
(4)商標法第4条第1項第19号について
引用商標1ないし3及び5が、申立人の業務に係る商品について使用された結果、日本国内外において需要者の間に広く認識されているものであること、本件商標が引用商標1ないし3及び5に類似するものであることは前述したとおりである。そして、商標権者は、引用商標1ないし3及び5の著名性を十分認知していたにもかかわらず、本件商標を登録出願したものであるから、本件商標は、不正の目的をもって使用するものである。
(5)むすび
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号、同第10号、同第15号、同第7号及び同第19号に違反してされたものであるから、取り消されるべきものである。
4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、前記のとおり、「FRANCESCO ROSSI」の文字を書してなるものであるところ、該文字は、「FRANCESCO」と「ROSSI」との間にやや間隔があるとしても、同一の書体をもって、外観上一体的に表されているばかりでなく、これより生ずると認められる「フランシスコロッシ」の称呼もよどみなく称呼し得る程度のものである。そして、本件商標は、構成全体をもって、人名を表したと理解されるものであるから、これを「FRANCESCO」の文字部分と「ROSSI」の文字部分とに分離して、「ROSSI」の文字部分のみを抽出して称呼、観念すべきものではない。
してみると、本件商標は、その構成文字に相応して、「フランシスコロッシ」の一連の称呼のみを生ずるものといわなければならない。
一方、引用商標1ないし3及び5は、前記又は別掲のとおり、「SERGIO ROSSI」の文字よりなるもの又は該文字若しくは「sergio rossi」の文字を含むものであるところ、これらの文字は、外観上まとまりよく表されているばかりでなく、構成全体をもって、「セルジオロッシ」なるイタリアのデザイナー名を表したと理解されるものであるから、これより「セルジオロッシ」の一連の称呼を生ずるものである。
また、引用商標4は、「MISS ROSSI」の文字を書してなるものであるところ、該文字は、外観上の一体性に加え、構成全体として、「ロッシ嬢」の観念を生ずるものであって、また、これより生ずると認められる「ミスロッシ」の称呼も簡潔であるから、構成全体をもって、一体のものとして把握、認識されるというのが相当である。 したがって、これより「ミスロッシ」の一連の称呼のみを生ずるものである。
そうすると、本件商標より生ずる「フランシスコロッシ」の称呼と、引用商標1ないし3及び5より生ずる「セルジオロッシ」の称呼及び引用商標4より生ずる「ミスロッシ」の称呼は、構成する音の数・音質等の差により、それぞれの称呼を一連に称呼にした場合においても、明瞭に聴別し得るものである。
また、本件商標は、構成全体をもって、「FRANCESCO ROSSI」なる人名を表したと理解されるものであるから、前記認定のとおりの観念を生ずる各引用商標とは、観念上相紛れるおそれはない。
さらに、本件商標と各引用商標は、ぞれぞれ前記又は別掲のとおりの構成よりみて、外観上十分に区別し得るものである。
したがって、本件商標と各引用商標とは、称呼、観念及び外観のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。
(2)商標法第4条第1項第10号及び同第15号について
本件商標の登録出願前に発行されたものと確認し得る甲第7号証、甲第8号証の1及び2、甲第14号証、甲第19号証の1ないし甲第21号証並びに甲第25号証を総合すれば、「SERGIO ROSSI」、「sergio rossi」若しくはこれらの片仮名表記である「セルジオ・ロッシ」(これらをまとめて、以下「引用標章」という。)は、イタリアのデザイナーである「Sergio Rossi」のデザインに係る商品「靴、かばん類」等を表示するものとして、本件商標の登録出願前より、わが国のファッション関連の商品分野の需要者の間では知られていたと認め得るところである。
しかしながら、上記証拠をもってしては、引用標章が単に「ROSSI」、「ロッシ」等と略称されて、本件商標の登録出願前より、わが国の需要者の間で広く認識されていたと認めることはできない。加えて、前記認定のとおり、本件商標と引用商標1ないし3及び5とが非類似の商標であることからすると、本件商標は、引用標章とも非類似の商標ということができる。
そうすると、本件商標からは、これに接する需要者をして、引用標章を連想又は想起させることはなく、本件商標をその指定商品について使用しても、「Sergio Rossi(セルジオ・ロッシ)」のデザインに係る商品又は同人と業務上何らかの関係を有する者の取扱いに係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生じさせるおそれはない商標というのが相当である。
(3)商標法第4条第1項第7号及び同第19号について
本件商標が引用標章と商標において相違することは前記認定のとおりであるから、本件商標は、これをその指定商品について使用しても、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標ということはできないし、また、不正の目的をもって使用するものということもできない。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号、同第10号、同第15号、同第7号及び同第19号のいずれの規定にも違反してされたものではないから、商標法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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