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Trademark Appeal Case

著名デザイナー名の混同

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成11年異議第90773号
審判種別異議
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第4238886号商標の商標登録を取り消す。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第4238886号に係る商標(以下、「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、平成9年7月16日登録出願、同11年2月12日に設定登録されたものである。

第2 職権証拠調べ通知及び取消理由通知(要旨)

本件異議事件について、本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当するか否かに関し、職権により証拠調べをしたところ、商標登録異議申立人(以下「申立人」という。)が既に提出した証拠以外に、上記法条に該当すると認められる以下の書証を発見したので、その結果を本取消理由通知と共に通知する。

1 職権証拠調べ通知

(1)辞典類

(ア)「英和商品名辞典」(株式会社研究社、1991年第3刷発行、447頁)には、「イタリアRomaのデザイナーValentino Garavani(1932− )のデザインした婦人・紳士物の衣料品・毛皮・革製バッグ・革小物・ベルト・ネクタイ・アクセサリー・婦人靴・香水・ライター・インテリア用品など.・・・1967年にFirenzeで白一色のコレクションを発表してマスコミに大きく取り上げられ、一躍その名を高めた.」の記載がある。

(イ)「岩波=ケンブリッジ世界人名辞典」(株式会社岩波書店、1997年11月21日第1刷発行)の[ガラヴァーニ]の項において「ヴァレンティノ Garavani,Valentino通称ヴァレンティノ Valentino(伊 1933−)服飾デザイナー、同じく、[ヴァレンティノ Valentino]の項において、「ガラヴァーニ、ヴァレンティノ」を見よとの表示があること。

(ウ)「服飾辞典」(文化出版局、昭和54年3月5日第1刷発行、付録世界のデザイナー29及び30頁)には、「イタリア北部の都市に生まれる。・・・スチリストになるため、パリのサンジカ(パリ高級衣装店組合の学校)で技術を身につける。・・・1958年独立、ヴァレンティーノ・クチュールの名でローマに店を開いた。このころ、イタリアのモードは世界的に有名になりつつあった。彼の最初の仕事は、フィレンツェのピッティ宮殿でのコレクションである。このコレクションは、〈白だけの服〉という珍しい演出であったが、その美しさはジャーナリストの間で評判になり、「ニューズ・ウィーク」「ライフ」「タイム」「ウィメンズ・ウェア・デイリー」各誌紙で取材、モードのオスカー賞を獲得した。1967年、ヴァレンティーノの名は世界に知れわたった。1972年には紳士物も始め、その他アクセサリー、バッグ、宝石類、香水、化粧品、家具、布地、インテリアと、その仕事の幅はたいへん広いが、すべてヴァレンティーノ独特のセンスを保っているのはみごとである。」の記載がある。

(2)書籍、雑誌類

(ア)「世界の一流品大図鑑ライフカタログVOL.1」(昭和51年6月5日講談社発行)において、「ヴァレンティノ・ガラバーニ」が、「イタリアファッション界の旗手と呼ばれ、女性を最高に美しく見せるデザイナーとして高く評価されている。」こと、及びその経歴等を紹介する内容とともに「ブラウス、セーター、ネクタイ」の商品の写真が掲載されていること。

(イ)「世界の一流品大図鑑'81年版」(発行日不明、講談社発行)において、「...ヴァレンティノにとって、トータルファッションは欠くことのできない条件。ハンドバッグは...」との記載がされていること。

(ウ)「世界の一流品大図鑑'85年版」(昭和60年5月25日講談社発行)において、「...魅惑的で優美な衣裳作りを心がけているというヴァレンティノ」「シーズン毎にカジュアルシューズも発表しているヴァレンティノ...」との掲載がされていること。

(エ)「世界の一流品大図鑑'90年版」(平成2年5月30日講談社発行)において、「VALENTINO GARAVANI\ヴァレンティノ ガラバーニ(イタリア)」と「ネクタイ」の写真が掲載されていること。

(オ)「男の一流品大図鑑'85年版」(昭和59年12月1日講談社)において、「ベルト」の写真とともに、「...オフタイムこそ、ヴァレンティノで洒落てみたい」との掲載がされていること。

(カ)「EUROPE一流ブランドの本(講談社MOOK第2巻)」(昭和52年12月1日講談社発行)において、「ローマだけでもヴァレンティノの店は四店ある。」等の紹介と「ヴァレンティノ ガラバーニ」の簡単な経歴が商品「婦人服」と共に掲載されていること。

(キ)「ヴァンサンカン 25ans 1987年10月号」(昭和62年10月1日婦人画報社発行)において、「...ヴァレンティノの服は、...」との掲載がされていること。

(ク)「ヴァンサンカン 25ans 1994年4月号」(発行日不明、婦人画報社発行)において、「...もうこれは芸術の域。さすがヴァレンティノです。...」との掲載がされていること。

(ケ)「Miss[ミス]家庭画報 創刊号」(1989年5月1日世界文化社発行)において、「...<左>衿もとや袖口を飾るラッフルはヴァレンティノらしい遊び。...」との掲載がされていること。

(コ)「Miss[ミス]家庭画報 1990年5月号」(1990年5月1日発行)において、「...ヴァレンティノが得意とする、着る人の知性をひきだす服づくり...」との掲載がされていること。

(サ)「Miss[ミス]家庭画報 1994年6月号」(1994年6月1日発行)において、「ウエストシェイプされたラインにヴァレンティノらしい格好よさが表現されています。」との掲載がされていること。

(シ)「ELLE(エル・ジャポン)1997年8月号とじ込み付録'97−’98秋冬トレンド大辞典」において、婦人服及びバッグの写真に付された「VALENTINO」との掲載がされていること。

(ス)「DONNA giappone 1998年4月号」(1998年4月1日ビクターエンタテイメント社発行)において、「VALENTINO」の表示の下「...タイトなシルエットのスーツは、そんなヴァレンティノらしさを象徴している。スーツ¥930000/ヴァレンティノ」との掲載がされていること。

(セ)「non−no」1989年 No23号(平成元年12月5日集英社発行)において、「ヴァレンチノ、ソニア・リキエルから、若々しいbisブランドがデビュー。」の見出しの下「...この秋デビューしたヴァレンチノの「オリバー・ドンナ」...」との掲載がされていること。

(ソ)「an・an臨時増刊Fall&Winter 1976−’77」(マガジンハウス社発行)において、「ヴァレンティノはイタリアのオートクチュール出身のメーカー...いいものがわかる人なら誰でもがヴァレンティノを愛してしまう...」との掲載がされていること。

(タ)「ヴァンテーヌ Vingtaine 1994年12月号」(1994年婦人画報社発行)において、「...ストッキングはいつもヴァレンティノなのよ...」との掲載がされていること。

(3)新聞記事

(ア)繊研新聞(昭和51年9月28日付)において「ヴァレンティノ秋冬ショー」の見出し記事の掲載がされていること。

(イ)センイ・ジャァナル(昭和51年9月29日付)において「ヴァレンティノ・コレクション」との見出しの下「...この秋のバレンティノの個性を強調したものと見うけられた。...」との記事の掲載がされていること。

(ウ)読売新聞大阪版(昭和51年9月30日付)において「ヴァレンティノのショーから」との見出しの掲載がされていること。

(エ)朝日新聞(昭和51年9月30日付、同年10月2日付及び同月5日付)において「バレンティノ・ショー」との見出しの下「...かつて、白一色だけのショーを開き、注目を浴びたバレンティノが...」、「...もっともバレンティノにいわせると...」との記事の各掲載がされていること。

(オ)秋田さきがけ新聞(昭和51年9月30日付)において「見事な色と素材/バレンチノ作品展から/エレガンスを創造」との見出し、河北新報(昭和51年10月1日付)において「バレンチノのトータルファッション/鮮やかな赤と黒/エレガンスな世界を創造」との見出し、センイ・ジャァナル(昭和51年10月1日付)において「(東京)イタリアのデザイナーヴァレンティノの...」との記事、日刊ゲンダイ(昭和51年10月2日付)において「ヴァレンティノ・コレクション発表」との見出し、東奥日報(昭和51年10月4日付)において「見事な色と素材/バレンチノの作品群」との見出し、山陰中央日報(昭和51年10月4日付)において「...惜しみなく絶賛!を贈れるバレンチノだった。...」との記事、サンケイ新聞(昭和51年10月5日付)において「ヴァレンティノ・コレクション」との見出し、宮崎日日新聞(昭和51年10月5日付)において「超一級の色と素材/見事なバレンチノ作品」との見出し、日経産業新聞(昭和51年10月6日付)において「伊の鬼才ヴァレンティノ」との見出し、福島民友新聞(昭和51年10月6日付)において「バレンチノの芸術」との見出し、日経流通新聞(昭和51年10月7日付)において「...来春からヴァレンティノブランドのインテリア小物を売り出す。...」との記事、徳島新聞(昭和51年10月12日付)において「見事な色と素材/バレンチノの作品群から」との見出し、公明新聞(昭和51年10月14日付)において「無地が売り物のヴァレンティノ」との見出しの下「欧州イタリアのヴァレンティノの秋冬物が公開されました。」との記事及び写真に付された「ヴァレンティノのスポーティー・ルック」との表示記載、夕刊フクニチ(昭和51年10月18日付)において「すばらしい色と素材/バレンチノの秋冬新作」との見出し、及び千葉日報(昭和51年11月3日付)において「みごとな色と素材/ファッション/バレンチノの作品群」との見出し等の掲載がされていること。

(カ)報知新聞(平成3年7月29日付)において「リズの花嫁衣装はバレンチノ」との見出しの下「...イタリアの有名デザイナー,バレンチノが作ることになった。...」等との掲載がされていること。

2 取消理由通知

(1)上記職権証拠調べの証拠によれば、次の事実が認められる。

(ア)「VALENTINO GARAVANI」(ヴァレンティノ ガラヴァーニ)は、1932年イタリア国ボグヘラで誕生、17才の時パリに行き、パリ洋裁学院でデザインの勉強を開始し、その後フランスの有名なデザイナー「ジーン・デシス、ギ・ラ・ロシュ」の助手として働き、1959年ローマで自分のファッションハウスを開設した。1967年にはデザイナーとして最も栄誉ある賞といわれる「ファッションオスカー(Fashion Oscar)」を受賞し、ライフ誌、ニューヨークタイムズ誌、ニューズウィーク誌など著名な新聞、雑誌に同氏の作品が掲載された。これ以来、同氏は、イタリア・ファッションの第1人者としての地位を確立し、フランスのサンローランなどと並んで世界三大デザイナーと呼ばれ国際的なトップデザイナーとして知られている。

我が国においても、ヴァレンティノ ガラヴァーニの名前は、1967年(昭和42年)のファッションオスカー受賞以来知られるようになり、その作品は「Vogue(ヴォーグ)」誌などにより継続的に日本国内にも紹介されている。

昭和49年には、三井物産株式会社の出資により同氏の日本及び極東地区総代理店として株式会社ヴァレンティノヴティックジャパンが設立され、ヴァレンティノ製品を輸入、販売するに至り、同氏の作品は、我が国のファッション雑誌にも、より数多く掲載されるようになり、同氏は、我が国においても著名なデザイナーとして一層注目されるに至っている。

以上のとおり、ヴァレンティノ・ガラヴァーニは、世界のトップデザイナーとして本件商標が登録出願された平成9年7月16日当時には、既に我が国においても著名であったものと認められる。

同氏の名前は、「VALENTINO GARAVANI」「valentino garavani」「ヴァレンティノ・ガラヴァーニ」とフルネームで表示され、このフルネームをもって紹介されることが多いが、同時に新聞、雑誌の記事や見出し中には、単に「VALENTINO」「valentino」「ヴァレンティノ」と略称されてとりあげられており、ファッションに関して「VALENTINO」「valentino」「ヴァレンティノ」といえば同氏を指すものと広く認識されるに至っているというべきである。そして、「VALENTINO GARAVANI」(ヴァレンティノ・ガラヴァーニ)氏がデザインした婦人服、紳士服、ネクタイ、バッグ、靴、ベルト、アクセサリー等のファッション関連の商品は、「VALENTINO GARAVANI」「valentino garavani」「VALENTINO」「valentino」「ヴァレンティノ ガラヴァーニ」「ヴァレンチノ」の商標(以下、これらの商標をあわせて「引用商標」という。)をもって我が国の取引者、需要者の間に広く知られていた事実が認められる。

(イ)さらに、「ヴァレンティノ ガラヴァーニ」「VALENTINO GARAVANI」「valentino garavani」は、我が国においては、「ヴァレンチノ」、「ヴァレンティーノ」あるいは「VALENTINO」「valentino」とも略されて表示されていることは、田中千代「服飾辞典」(同文書院1981年p550)、山田政美「英和商品辞典」(株式会社研究社1990年p447)、金子雄司外「世界人名辞典」(岩波書店1997年p84)において裏付けられるばかりでなく、雑誌における表現においても、例えば、「marie claire」1996年2月1日号、「non-no」1989年 No23号等からも認められる。

(2)以上の事実よりすると、上記デザイナーである「VALENTINO GARAVANI」(ヴァレンティノ・ガラヴァーニ)は、引用商標を婦人服を始めとし、紳士服、ネクタイ、バッグ、靴、ベルト、アクセサリー等のファッション関連の商品に使用しており、その結果、引用商標は、遅くとも本件商標の登録出願の時には、既に我が国において、取引者、需要者の間に広く認識されていたものである。

(3)他方、本件商標は、その構成中に「VALENTINO」の文字を有するものであり、前記認定したとおり「VALENTINO」は周知なものであるから、本件商標において「VALENTINO」の文字は重要な意味を持つ言葉と認識される。そして、本件商標の指定商品第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」は、引用商標が使用されている被服等の商品と同一又は類似する商品である。

(4)そうすると、本件商標を、商標権者がその指定商品について使用した場合、これに接する取引者、需要者をして、周知商標である引用商標を連想させ、本件商標が付された商品が引用商標の一種ないし兄弟ブランド、ファミリーブランドであるなどと誤解し、あたかも上記デザイナーである「VALENTINO GARAVANI」(ヴァレンティノ・ガラヴァーニ)又は、同人と組織的・経済的に何らかの関係にある者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものというべきである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の2第1号に該当する。

第3 当審の判断

本件に関し、審判長は、商標権者に対し、平成17年9月27日付けで、前記第2の職権証拠調べ及び取消理由を通知し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、商標権者からは何らの応答もなかった。

そして、前記第2の取消理由は、妥当なものと認められるので、本件商標の登録は、商標法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものとする。

よって、結論のとおり決定する。

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