Trademark Appeal Case
レインガードの記述性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2004−90438(T2004−90438/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
第1 本件商標
本件登録第4763845号商標(以下「本件商標」という。)は、平成15年1月22日に登録出願され、「レインガード」の片仮名文字と「RAIN GUARD」の欧文字とを上下二段に書してなり、第25類「被服」を指定商品として、平成16年4月16日に設定登録されたものである。
第2 登録異議申立の理由の要旨
これに対し、本件登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標の取り消すべく理由を要旨次のように主張し、証拠方法として甲第1号証ないし同第28号証を提出した。
(1)本件商標「レインガード」「RAIN GUARD」は、その指定商品である「被服」との関係で、「雨を防ぐこと、すなわち防水・撥水加工がされたもの」との品質又は用途・効能を表す自他商品識別力に著しく欠ける商標である。また、本願商標を防水・撥水加工を施してなる商品以外の商品について使用した場合、その商品の品質について誤認を生じさせるおそれがある。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同第4条第1項第16号の規定に該当するものである。
(2)本件商標「レインガード」「RAIN GUARD」からは、「雨を防ぐ」という意味合いが万人の共通理解として成立する。実際、「雨を防ぐ」又はそのための防水・撥水処理がなされたものを指称する語として「レインガード(RAIN GUARD)」の語が多種多様な産業分野において記述的説明として多用されている。
このような状況下で、とりわけ防水加工等を施すことが多い被服について本件商標に接する需要者は、当該加工が施されていることを示す標識であることを認識するに過ぎず、本件商標が何人かの一定の業務に係るものであることは認識し得ないというべきである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号にも該当するものである。
第3 当審における取消理由の要旨
当審における平成17年6月29日付け取消理由は、概略下記のとおりである。
記
(1)本件商標は、前記「第1」のとおりである。
(2)しかして、本件商標を構成する「レイン/RAIN」」の語は、「雨」を意味する語として、また、「ガード/GUARD」の語は、「守る、防衛する」等を意味する語として日常一般においても極めて親しまれて用いられている語であり、この両語を結合した「レインガード/RAIN GUARD」の語からは、容易に「雨を防ぐこと、雨から守ること」の如き意味合いを理解・認識させるものということができる。
そして、申立人の提出に係る甲号証によれば、「レインガード/RAIN GUARD」の語は、本件商標の指定商品の分野においては、日経カルチャー物品事業部が「レインウエア」として「ファミネツト レインガード/透湿防水のレインパーカー。雨の日の水先案内人です。」なる商品の紹介をしているばかりでなく(甲第7号証)、レインジャケット、防寒コート、スラックス等の商品の説明中においても、撥水加工が施されているとか、防水コーティング加工がしてある旨の説明がなされており、生地や素材にも撥水特性の優れたものが各種開発されていることを認めることができる(甲第8号証ないし甲第16号証)。また、本件商標の指定商品以外の分野においても、「レインガード」の語は用いられており、例えば、アピカ社のメモ用紙について「レインガードメモ/水にぬれてもはじきやすい、撥水タイプのメモ用紙です(2003年12月)」(甲第19号証)、ベビースリング(抱っこ紐)に「レインガード/傘用生地を使用・・・」(甲第20号証)、ランドセルに「クラリーノレインガードα」(甲第21号証)、車の部品に「耐久性の高いリアレインガードです。」(甲第22号証)、双眼鏡に「レンズコーティング技術で開発したレインガードを採用しております。」(甲第23号証)のような使用例を認めることができる。
そうとすれば、「レインガード」の語は、本件商標の指定商品の分野ばかりでなく、雨対策の必要な各種商品について、防水・撥水処理を施したものとの意味合いで広く用いられているものということができる。
してみれば、本件商標は、「レイン/RAIN」の語も「ガード/GUARD」の語も日常一般において極めて親しまれている語であり、上記のような商品取引の実情のもとにあっては、全体として、容易に「防水・撥水処理が施された商品」の如き記述的な意味合いを想起・認識させるものであるから、これをその指定商品中の「防水・撥水加工されている被服(例えば、防水・撥水加工されているレインウエア、スラックス等)」について使用しても、これに接する取引者・需要者をして、単に商品の品質を表したものと理解・認識させるにすぎないものであり、また、これを上記以外の被服に使用するときは、その商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反してされたものである。
第4 商標権者の意見の要点
本件商標「レインガード/RAIN GUARD」の語から容易に「防水処理、撥水処理が施された商品」を認識するとしているが、「防水性」や「撥水性」の語として知られた一般的な英語表示は「WATER PROOF(ウォータープルーフ)」であり、これを「RAIN GUARD(レインガード)」とは絶対言わない。
「レイン/RAIN」は「雨」を、「ガード/GUARD」は「守る、防衛する」の意味を有するものの、これをもって「レインガード/RAIN GUARD」の語から「防水、撥水処理が施された商品」であると認識されるとするのは、あまりにも理論の飛躍であって、三段論法のそしりを免れないのである。
即ち、本件商標「レインガード/RAIN GUARD」語からは、「雨を防ぐ」の意から、「防水性、撥水性のある商品」であるとの意味合いを暗示・連想させる可能性はあっても、それは商品の品質を間接的に表示しているのであって、「WATER PROOF(ウォータープルーフ)」のように商品の品質を直接表示したものとは言えず、甲各号証から「防水処理、撥水処理が施された商品」を意味すものとして取引者・需要者に一般的に認識・理解されているものとは到底いえないものであって、本件商標は当然自他商品識別力を有するものであることは明らかであり、商標法第3条第1項第3号には何ら該当しないのである。
しかも、本件商標の属する分類以外の分類でも「レインガード」又は「RAIN GUARD」商標は複数登録されている。
以上述べたように、本件商標「レインガード/RAIN GUARD」は商品の品質・効能等を暗示あるいは連想させることはあっても、何ら指定商品の品質・効能等を直接表示するものではなく、また「レインガード/RAIN GUARD」の語が甲各号証をもってしても「防水性、搬水性のある商品」を意味するものとして未だ取引者・需要者に一般的に認識・理解されているものとは到底いえないのであって、本件商標は自他商品識別力を有する商標であることは明らかであり、何ら商標法第3条第1項第3号に該当するものではない。
また、上記のように本件商標が商品の品質等を直接表示した商標ではない以上、当然「防水、溌水加工されている被服」以外の商品について使用しても、商品の品質等について誤認を生じさせるおそれもないので、本件商標は商標法第4条第1項第16号にも何ら該当するものではない。
よって、本件商標はその登録が当然維持されるべきである。
第5 当審の判断
平成17年6月29日付けで通知した前記「第3」の取消理由は、妥当なものであり、これに対する商標権者の意見は、以下の理由により採用できない。
商標権者は、本件商標「レインガード/RAIN GUARD」は商品の品質・効能等を暗示あるいは連想させることはあっても、何ら指定商品の品質・効能等を直接表示するものではなく、また「レインガード/RAIN GUARD」の語が甲各号証をもってしても「防水性、撥水性のある商品」を意味するものとして未だ取引者・需要者に一般的に認識・理解されているものとは到底いえないのであって、本件商標は自他商品識別力を有する商標であることは明らかである旨主張するが、先ず、商標法第3条第1項第3号の立法趣旨をみるに、「商標法3条1項3号は、取引者、需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき、それ故に登録を受けることができないとしているものであって、該表示態様が商品の品質を表すものとして必ず使用されているのであるとか、現実に使用されている等の事実は、同号の適用において必ずしも要求されないものと解するべきである。」(平成12年9月4日判決 東京高裁平成12年(行ケ)76号)最高裁ホームページ参照)としている。
これを本件についてみるに、本件商標は、「レイン」「RAIN」及び「ガード」「GUARD」の各文字を組み合わせてなるものであって、特定の語義を有する成語とも認められない。
しかしながら、本件商標を構成する「レイン」「RAIN」及び「ガード」「GUARD」の各文字は、平易な外来語で前者が「雨」、後者が「守る」等を意味するものとして一般に親しまれている上、甲第7号証ないし同第16号証に徴して、本件商標は、それぞれの持つ語義から全体として「防水・撥水加工が施された商品」との意味合いを有するものとして、取引者、需要者の間で認識されているものと認められる。
してみれば、本件商標は、その指定商品中「防水・撥水加工されている被服(例えば、防水・撥水加工されているレインウエア、スラックス等)」の商品について使用しても単に商品の品質を表したものと認識させるにすぎないものであり、また、これを上記以外の被服に使用するときは、その商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。
なお、商標権者は、既登録例を挙げて本件商標の登録性を主張しているが、登録要件は、証拠に基づき個別具体的に判断されるべきものであって、過去の事例が必ずしもそのまま現在における法的判断の基準となり得るものではないから、商標権者の指摘する登録例の存することをもって、本件商標の登録性を裏付けることは適当でない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反してされたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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