Trademark Appeal Case
記述的表現の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2004−16511(T2004−16511/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、後掲のとおりの構成よりなり、第44類「医業,医療情報の提供,健康診断,調剤,歯科医業,栄養の指導」を指定役務として、平成15年8月26日に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、うすい赤の色からなる『私のクリニック』の文字を書してなるものであり、これが、医者、薬剤師、栄養士である、その本人自身が従事している診療所、医院、といった意味を表わし、すでに、普通に使用されている事実が認められることから、これを本願指定役務に使用しても、取引者・需要者は、役務を提供する際に、その本人自身が従事している診療所、医院を強調し、人の注意を引くために使用する簡潔な宣伝文句であると理解するにとどまり、何人かの業務に係る役務であることを認識することができず、自他役務の識別標識としての機能を有しないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
本願商標は、後掲のとおり「私のクリニック」の文字を肌色で書し、やや濃い色で陰影を施し、立体的表現を用いて表してなるものであるところ、文字のデザイン化が盛んに行われている昨今の実情からすると、この程度のデザインをして、格別特異な書体、特殊な文字を表したものとは認められず、普通に用いられる態様の域を出ない方法で表してなるものといわざるを得ない。
しかして、構成中の「クリニック」の文字は、本願指定役務との関係で見れば、「診療所、個人(専門)病院、臨床講義」等の意味を表す英語「clinic」の表音を片仮名で表したものと認められ、該語は、我が国において外来語としても親しまれているということができるものである。
そうとすれば、「自分自身に関することの、個人的なことの」程の意味合いを表す「私の」の語と、上記意味を表す「クリニック」の語とを一連に書した本願商標は、指定役務を提供する者から見れば、「自身が従事する診療所あるいは病院、自身が行う医業」程度の意味合いを、また、役務の提供を受ける者から見れば、「自身が専ら利用する、あるいは自分のかかりつけの診療所あるいは病院」程度の意味合いを、容易に看取させるものであって、「自分自身と関係が深い診療所あるいは病院」である旨を、記述的に表してなるにすぎないものと認められる。
ところで、商標法第3条第1項各号列挙のいわゆる自他商品又は役務の識別機能を有しない商標について商標登録できないこととするのは、これらは通常、商品又は役務を流通過程又は取引過程に置く場合に必要な表示であるから何人も使用をする必要があり、かつ、何人もその使用を欲するものだから一私人に独占を認めることは妥当でないこと、また、多くの場合にすでに一般的に使用されているものであるから、これらのものに自他商品又は役務の識別力を認めることができないことと解される。
そして、本願商標は、上記のとおり、役務についての記述的なものであると認められ、チラシ、パンフレット等の広告媒体において、また、役務自体においても、宣伝文句の一部として何人もその使用を欲するものというのが相当であり、仮に同様の表示を他人が使用していないとしても、これを一私人の独占に委ねることは、商品取引社会の正常な競業秩序を害し、公益上適当でないということから、商標の本質的機能に照らし、妥当性を欠くものといわなければならない。
そうすると、本願商標は、これに接する取引者、需要者は、上記理由により、これが直ちに自他役務識別機能を有する商標であるとは認識し得ないものであって、これをその指定役務について使用しても、需要者が何人かの業務に係る役務であるかを認識することができないものというべきである。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
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