Trademark Appeal Case
TREK商標の類否と著名性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2003−90848(T2003−90848/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4712685号商標(以下「本件商標」という。)は、平成14年6月25日に登録出願、「TREK」の欧文字を標準文字により表してなり、第18類「皮革製包装用容器,愛玩動物用被服類,かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,皮革」及び第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,仮装用衣服」を指定商品として、同15年9月26日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由(要旨)
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当するものであるから、その登録は、同法第43条の2第1号により取り消されるべきである、旨主張し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第12号証(枝番号を含む)を提出している。
(1)商標法第4条第1項第11号について
申立人が本件商標と類似するとして引用する登録第2381687号の1商標(以下「引用商標」という。)は、「TREK」の欧文字を太字で横書きしてなり、昭和63年9月29日に登録出願、第12類「自転車、自転車のフレーム、その部品および附属品、その他本類に属する商品」を指定商品として、平成4年2月28日に設定登録された登録第2381687号商標の分割に係るものであり、その指定商品を「自転車、自転車のフレーム、その部品および附属品、その他本類に属する商品、但し、自動車のタイヤおよびチューブを除く、但し、(自動車並びにその部品及び附属品、但し、自動車のタイヤ及びチューブを除く)を除く」とするものであり、その後、平成16年7月7日に、第12類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品に指定商品の書換登録がなされているものである。
(2)商標法第4条第1項第15号について
申立人の所有に係る引用商標(TREK商標)は、主としてマウンテンバイク及びその附属品に付され、かかるマウンテンバイクは、毎年全世界で100万台以上を売り上げる世界でNO.1のシェアを誇っているから、引用商標は斯界における世界的著名商標であることは明らかである。
そして、引用商標を付した自転車を製造・販売する「トレク バイシクル コーポレーション(TREK Bicycle Corporation)」は、1976年、米国ウィスコンシン州ウォータールーにおける創業以来、たゆまぬ技術開発と大々的な宣伝広告、営々たる企業努力により、斯界における世界的トップブランドとなったものである。
また、ユーザーからも高い評価を受け、1995年から1998年まで連続して「バイシクル・オブ・ザ・イヤー」に輝いたことでも実証されている。さらに、1995年にはクライン社(世界でNO.1のハイクォリティアルミフレーム製造メーカー)及びボントレガー社(競技用クロモリフレームのNO.1メーカー)を買収し、両社のブランドを「トレック」の名のもとで販売することになった。
なお、申立人は、米国に本社を置くものであるが、海外支社として我が国のほか、イギリス、ドイツ、スペイン、ベネルクス、オーストリア及びスイスに支社を有している。
このような世界的名声を誇る申立人は、我が国において、平成3年2月5日にトレック・ジャパン株式会社(以下「トレック・ジャパン」という。)を設立し、申立人より自転車及びその関連商品を輸入し、国内約300店舗を通じてその販売を行っている。
トレック・ジャパンは、設立当初から各種雑誌などを通じて大々的に宣伝広告活動を行い、その販売する商品の品質の高さと相俟って、国内マウンテンバイク市場において不動の地位を築き上げてきた。この広告の一例を挙げれば以下のとおりである。
(ア)「Bicycle Club」(えい出版社発行)
1991年6月号乃至2003年10月号(甲第4号証)
(イ)「サイクルスポーツ」(八重洲出版)
1991年1月号ないし2003年11月号(甲第5号証)
(ウ)「ファンライド」(株式会社ランナーズ)
1991年1月号ないし2003年9月号(甲第6号証)
(エ)「MTBマガジン」(株式会社ネコ・パブリッシング)
2000年6月号ないし2003年8月号(甲第7号証)ほか。
さらに、トレック・ジャパンの平成5年から平成15年までの売上げ推移は、甲第10号証に示すとおりであるが、最近5年間の総売上高は以下のとおりである。
(ア)平成11年度 約7億3591万円
(イ)同 12年度 約19億7776万円
(ウ)同 13年度 約21億6986万円
(エ)同 14年度 約24億815万円
(オ)同 15年度 約25億7339万円
このように、引用商標は、長年の間、盛大に使用されてきたものであり、申立人及び申立人の代理店の活発な宣伝広告と相俟って、申立人の業務を示す商標として、取引者、需要者の間に極めて広く認識されるに至ったものであることは明らかである。
また、引用商標は、申立人のハウスマークとして、自転車及びその関連商品について長年の間盛大に使用されてきた結果、現在は勿論のこと、本件商標の登録出願時には、申立人の商標として広く認識されるに至ったものである。
したがって、本件商標と同一商標である引用商標を、第18類や第25類の商品に使用した場合、取引者・需要者は、あたかも申立人の業務と一定の関連性があるかの如く認識し、申立人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがあるものといわざるを得ないから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号について
申立人は、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当する旨主張しているので、まず、この点について判断する。
本件商標は、前記のとおり、「TREK」の欧文字よりなり、他方、引用商標も「TREK」の欧文字よりなるから、両商標は、共に「トレック」の称呼を共通にする類似の商標といわざるを得ない。
他方、本件商標の指定商品は、前記のとおり、第18類「皮革製包装容器、かばん類、皮革等」及び第25類「洋服、コート、セーター類、バンド、ベルト等」の商品であるのに対し、引用商標の指定商品は、第12類「二輪自転車用フレーム、二輪自転車用タイヤ、二輪自転車用ラック等」である。
そこで、両商標の指定商品の類否について判断するに、両者は、その原材料、生産者、販売場所、取引系統等を著しく異にする商品というべきであるから、互いに非類似の商品とみるのが相当である。
してみれば、たとえ、両商標は、商標において類似するとしても、その指定商品において類似しないものであるから、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとする申立人の主張は採用できない。
(2)商標法第4条第1項第15号について
申立人の提出した甲各号証によれば、以下の事実が認められる。
(ア)申立人は、米国に本社を置く自転車(特にマウンテンバイク)及びその附属品製造メーカーであり、1976年の創業以来、企業努力と大々的な宣伝広告等により、毎年全世界で100万台以上を売り上げる世界でNO.1のシェアを誇ること。
(イ)海外支社として、我が国のほかイギリス、ドイツ、スペイン、ベネルクス、オーストリア及びスイスに支社を有すること。
(ウ)我が国においては、平成3年2月5日にトレック・ジャパンを設立し、申立人より自転車及びその関連商品を輸入し、国内約300店舗を通じてその販売を行っていること。
(エ)トレック・ジャパンは、設立当初から各種雑誌などを通じて大々的に宣伝広告活動を行い、その広告の一例を挙げれば、1991年1月から2003年11月頃にかけて、「Bicycle Club」、「サイクルスポーツ」、「ファンライド」、2000年6月から2003年8月にかけて「MTBマガジン」等により宣伝広告を行っていること。
(オ)トレック・ジャパンの最近5年間の総売上高は、平成11年度は約7億3591万円、同12年度は約19億7776万円、同13年度は約21億6986万円、同14年度は約24億815万円、同15年度は約25億7339万円であること。
以上のことから、申立人及びその代理店であるトレック・ジャパンが、引用商標「TREK」をマウンテンバイク及びその附属品に使用した結果、我が国において、特にマウンテンバイク関連の分野においては、相当程度、取引者・需要者間に認識されていたことを認めることができる。
しかしながら、「現代用語の基礎知識」(株式会社自由国民社2004年1月1日発行)等によれば、マウンテンバイクは、「オフロード用自転車。頑丈なフレームと18〜21段のギアを持ち、凹凸の深いブロックパターンのタイヤを使用するもの。」であって、一般の自転車と異なり、やや特殊な自転車ということができ、特に申立人の製造・販売に係るマウンテンバイクは、高級タイプのものが多く、競技用としても使用されている事実を窺い知ることができるところである。
また、申立人の提出に係る甲各号証は、膨大な量が提出されているものの、その多くが自転車関係の専門誌であり、その購読者も限定されるというべきであって、取引者・需要者も自ずから若者や自転車愛好家、同競技者等の一部に限られるとみるのが相当である。
そうすると、たとえ、引用商標「TREK」が自転車、特にマウンテンバイク及びその附属品の分野において、相当程度、認識されているとしても、その取引者、需要者は、上記とおり、特定分野の者に限られること及び前述のとおり、マウンテンバイク等と本件商標の指定商品である第18類「皮革製包装用容器,かばん,皮革」等、及び第25類「洋服,コート,セーター類,バンド,ベルト等」とは、その原材料をはじめ、生産者、販売場所、取引系統を著しく異なる商品であるから、本件商標をその指定商品に使用しても、申立人又は申立人と経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について、誤認混同を生ずるおそれはないものと判断するのが相当である。
してみれば、本件商標は、商標法第4条第1項第15号にも該当しないものといわなければならない。
(3)結語
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号のいずれにも違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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