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Trademark Appeal Case

著名著作題号と普通名称の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2005−90265(T2005−90265/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第4843084号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4843084号商標(以下「本件商標」という。)は、「水の文化」の文字を標準文字で表してなり、平成16年5月25日に登録出願、第16類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同17年3月4日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由の要点

本件商標は、以下の(1)ないし(5)の各号に該当するものであるから、その登録を取り消されるべきである。

(1)商標法第4条第1項第7号について

商標権者が、自社の「水」に関する機関誌発行に際し、登録異議申立人(以下「申立人」という。)に協力を要請してきたのも、申立人が「水の文化史」の著者として、「水の文化」についての提唱者であることを知っていたからにほかならない。また、「水の文化」という言葉が、「水」問題を研究してきた申立人の研究を貫くキーワードとなる、いわばトレードマークとしての役割を果たしてきたものであるから、「水」に関する機関誌を発行すべく準備をしていた商標権者が、そのことに気が付かないはずはない。商標権者は、この間の事情を充分に知り得ていたにもかかわらず、申立人によって「水の文化」という言葉が、商標登録されていないことを奇貨として、その独占的使用を企てて登録出願したものである。

本件商標は、その登録出願の経緯に著しく社会的妥当性を欠くものであり、公正な取引秩序を乱すものであって社会公共の利益を害するものと云うべきである。

(2)商標法第4条第1項第10号について

書籍や雑誌をはじめとする本件異議申立に係る指定商品の分野で、「水の文化史」といえば、すぐに申立人の著作であると認識されるに至っているが、本件商標は、申立人の「水の文化史」に類似する「水の文化」の文字を書してなるものである。

(3)商標法第4条第1項第15号について

申立人の「水の文化史」は著名なものとなっている。このことは、申立人の著書における作者のプロフィールだけでなく、新聞・雑誌等において申立人を紹介する際にも、「水の文化史」の著者であるといった紹介のされ方をしていることからも裏付けられるものであり、商標権者が「水の文化史」に類似する「水の文化」を指定商品に使用すると申立人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがある。

(4)商標法第4条第1項第16号について

申立人の「水の文化史」に類似する「水の文化」の文字よりなる本件商標が付された商品に接する取引者・需要者は、あたかも当該商品が、申立人である富山和子の「水」問題に関する考え方に基づいて刊行ないし製造された商品であるかの如く商品の品質の誤認を生ずるおそれがある。

(5)商標法第4条第1項第19号について

商標権者は、本件商標の登録出願時には「水の文化史」が、申立人の代表作であり、また、商標であることを充分認識したうえで、その著名性に便乗することを意図して、類似商標「水の文化」を登録出願し登録を受けたことは明らかである。

(6)以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号、同第10号、同第15号、同第16号及び同第19号に違反してされたものであるから、取り消されるべきである。

3 当審の判断

(1)商標法第4条第1項第7号について

申立人提出の甲各号証によれば、「水の文化史」という申立人の著書が上程されたこと、申立人の、各種書籍の著者紹介欄において主な著書として「水と緑と土」等とともに「水の文化史」が紹介されていること、そして、新聞等における申立人のプロフィールにおいても同様の紹介がなされていること、また、河川や湖に関する論文を雑誌文芸春秋に掲載したことなどが認められる。

しかして、「水の文化史」は河川等の水に纏わる種々の文化的事象等を歴史的な観点において体系化したものと認識させるというのが相当であり、「水の文化」をその内容に含むものであることは容易に理解し得るところではあるが、「水の文化」と「水の文化史」とは、その意味合いにおいて、明確に区別し得るものというべきである。また、「水の文化」は「米の文化」や「山の文化」「都市の文化」といった語と同様に普通に用いられている言葉ということができる。

そして、全証拠をもってしても、「水の文化」の文字が唯一申立人に帰属すべき標章であるということはできない。

したがって、たとえ商標権者が登録出願前から申立人及び同人の研究テーマを知っていたとしても、本件商標の出願・登録が社会的に是認し得ない程に著しく妥当性を欠いたものであるとはいい難いものである。

また、本件商標がその構成自体において公序良俗に反する商標でないことは明らかである。

(2)商標法第4条第1項第10号について

申立人提出の甲各号証に徴するも、前記(1)のとおり申立人の主な著書の一として「水の文化史」なる著書が紹介されているけれども、標章「水の文化史」が、本件商標の登録出願前において、商品の商標として需要者の間で広く認識されるに至っていたと認めるに足りる証左は見いだせない。

なお、「水の文化史」が申立人の研究テーマであり、あるいは著作物の題号に使用されていたとしても、それは当該著作物の内容を表示するものとして認識されるに止まるとするのが相当であるから、これによっては、上記判断は左右されないというべきである。

(3)商標法第4条第1項第15号について

仮に「水の文化史」と申立人の関係が申立人主張のとおりであったとしても、「水の文化」と申立人の関係が一般に知られ周知のことであると認めるに足りる証左はなく、本件商標に接した需要者が直ちに「水の文化史」あるいは申立人を想起するとまでいうことはできないから、本件商標を指定商品に使用しても、申立人又は同人と関係のある者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について誤認混同するおそれがあるとはいえないというべきである。

(4)商標法第4条第1項第16号について

本件商標は、その構成文字に照らしてみても、特定の商品の品質を表示するものということはできないから、これを全指定商品に使用しても、商品の品質について誤認を生じさせるおそれはないというべきである。

(5)商標法第4条第1項第19号について

申立人提出の甲各号証によっても、本件商標は、商標権者が不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をもって使用するものであると認めることはできない。

(6)まとめ

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号、同第10号、同第15号、同第16号及び同第19号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。

よって、結論のとおり決定する。

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