Trademark Appeal Case
著名商標と称呼類似
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2005−90384(T2005−90384/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4858657号商標(以下「本件商標」という。)は、「atcity card」の文字を標準文字で表してなり、平成16年6月22日に登録出願、第9類、第35類及び第36類に属する商標登録原簿記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成17年4月22日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下、「申立人」という。)は、本件商標は、その指定商品中、第9類及び第36類の全指定商品及び指定役務については、商標法第4条第1項第15号に該当し、取り消されるべきであるとし、その理由を以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第29号証を提出した。
本件商標は、申立人の関連会社であるシティカードジャパン株式会社が発行し、申立人の銀行のキャッシュカード、クレジットカードの他、デビットカードの機能を併せ持つカード、並びに当該カードを用いて行われるキャッシュの預け入れ・引き出し、クレジットカードサービス等の各種を表示するものとして著名な「シティカード(Citicard)」と同一の称呼を発生させる「city card」をその構成中に有する。また、本件商標の指定商品及び指定役務には、申立人の主業務である「預金の受入れ(債権の発行により代える場合を含む。)及び定期預金の受入れ,資金の貸付け及び手形の割引,内国為替取引,債務の保証及び手形の引受け,有価証券の貸付け,・・・生命保険契約の締結の媒介,生命保険の引受け,損害保険契約の締結の代理,損害保険に係る損害の査定,損害保険の引受け,保険料率の算出,・・・現金支払機・現金自動預け払い機の貸与」などの金融・保険関係のサービスが含まれる。したがって、本件商標が、その指定役務について使用されれば、申立人又はそれと何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかの如く誤認されるおそれが高い。
(1)申立人の知名度
米国タイム誌の傘下にあるアジア発行の3誌(Asiaweek、Fortune Asia、Time Asia)が共同で行ったアンケートの結果、「世界のトップブランド」の5位に申立人が選ばれている。又、申立人は、日本で最も歴史の長い一外資系銀行といえるものであり、1980年代、日本の銀行が行わない各種サービスを行うことにより、その顧客数を飛躍的に増やした。さらに、金融機関や銀行との連携を広く行ってきた。
その結果、申立人は、日本でもよく知られるようになり、1998年の日経新聞のアンケートによると、日本における申立人の認知度は、92.2%であり、又、企業による外国銀行人気度ランキングでも1位になるなど、日本でも外国でも広く知られた一銀行であることは明らかである。
(2)「シティカードの認知度」
「シティカード」は、キャッシュカードとクレジットカードの機能を併せ持つカード、及びそれを用いて行われる各種金融サービスを表示するものである。申立人は、日本の銀行とは比較にならないほど広い地域に支店、ATM機を持っており、世界のどこででも「シティカード」を1枚持っていれば日本の円預金口座から現金の出し入れできるこのサービスは、特によく知られている。海外旅行者、海外留学者及び海外勤務者の急増とも相まって、「シティカード」は、多くの顧客を得た。また、「シティカード」は、世界最大の発行数を誇り、日本でも1998年時点で60万人が保有しているとされている。
上記のとおり、「シティカード」は、世界的に著名な銀行である申立人が発行するキャッシュカード兼クレジットカード並びにそのカードに基づいて行っているサービスを表すものとして広く需要者の間で知られている。
(3)本件商標との関係
本件商標は、上記のとおり、 広く需要者の間で知られている「シティカード」と全く同じ称呼を生じさせる「city card」の前に「at」を結合したものであるが、「at」は、場所などを表す前置詞にすぎず、それ自体に識別力は、極めて弱い。よって、本件商標が「預金の受入れ(債券の発行により代える場合を含む。)及び定期積金の受入れ」等の銀行・投資・保険・クレジットカード業務に関する本件指定役務について使用されれば、本件商標中の「city card」部分から生ずる称呼「シティカード」が需要者の注意を惹き、申立人の著名な「シティカード」であると理解され、申立人又はそれと何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかの如く誤認されるおそれが高い。
加えて、インターネットなど、コンピュータによる通信ネットワークを用いるサービスが発達した今日では、「at」又は「@」が、サービスがインターネットや電子メールなどのコンピュータによる通信ネットワークを用いて提供されることを示すために語頭に付与される傾向があり、金融サービスでも同様であることと、上記(1)及び(2)で述べたように申立人の知名度や「シティカード」の周知度の高さを合わせてかんがみれば、本件商標が金融サービスを多く含むその指定役務について使用し、「アットシティカード」と称呼された場合に、一般の需要者は、これを「@Citicard」と理解し、申立人又はそれと何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかの如く誤認混同する可能性が極めて高いといわざるを得ない。
3 当審の判断
本件商標は、「atcity card」の文字を書してなるところ、外観上、同じ書体、同じ大きさで纏まりよく書されており、これより生ずる一連の称呼「アットシティカード」も決して冗長とはいえないものである。
又、観念においても特定の観念を有しないものであることから、本件商標は、一種の造語と見るのが相当である。
一方、申立人が引用する標章は、「シティカード」又は「Citicard」(以下、これらを「引用標章」という。)であるところ、これらも外観上、同じ書体、同じ大きさで纏まりよく書されており、これより、「シティカード」の称呼が生ずること明らかである。
しかして、本件商標と引用標章を比較検討するに、両者は、外観において著しい差異を有するばかりでなく、それぞれから生ずる「アットシティカード」と「シティカード」の称呼においても何ら聞き誤るおそれはない非類似のものというべきである。
また、観念についは、上記のとおり、本件商標からは、特定の観念を有しないものであることから、観念においても類似するものとは認められない。
なお、申立人は、本件商標は、需要者間で周知な申立人の「シティカード」と全く同じ称呼を生じさせる「city card」の前に場所などを表す前置詞の「at」を結合したもので、それ自体に識別力は、極めて弱い、とか、今日では、「at」又は「@」が、コンピュータによる通信ネットワークを用いて提供されることを示すために語頭に付与される傾向があり、金融サービスでも同様であること、及び申立人の知名度や引用標章の周知度の高さを合わせかんがみれば、本件商標が金融サービスを多く含むその指定役務について使用し、「アットシティカード」と称呼された場合に、一般の需要者は、これを「@Citicard」と理解すると主張しているが、仮に申立人の知名度や引用標章の周知度が高いものであるとしても、「at」が識別力が極めて弱い、又は@を看取する、との主張は、その根拠が希薄であって、合理性が認め難いことから採用することができない。
そうとすると、引用標章が申立人の標章として需要者間に周知であるとしても、本件商標と、引用標章とは、上記のとおり非類似というべきものであって、本件商標を申立人の取消請求に係る指定商品及び指定役務に使用しても、申立人の引用標章を直ちに想起するようなことはないというべきであり、本件商標は、申立人又はそれと何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかの如く、誤認混同するおそれがあるものとは認められない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものということができない。
よって、商標法43条の3第4項の規定に基づき、結論のとおり決定する。
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