sokuhyo

Trademark Appeal Case

立体形状と称呼の類否

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号判定2005−60076(T2005−60076/J6)
審判種別記載はありません。
結論other

結論テキスト

商品「フェルトペン」に使用するイ号標章は、登録第4489930号商標の商標権の効力の範囲に属する。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第4489930号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)に示すとおりの構成よりなり、平成12年1月14日に立体商標として登録出願、第16類「フェルトペン」を指定商品として、同13年7月13日に設定登録がされたものである。

第2 イ号標章

被請求人に係る商品「フェルトペン」について使用するものとして、請求人の提示した標章(以下「イ号標章」という。)は、別掲(2)に示すとおりの構成よりなるものである。

第3 請求人の主張

請求人は、「被請求人が商品『フェルトペン』について使用するイ号標章は、本件商標の商標権の効力の範囲に属する。」との判定を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第13号証及び検甲第1号証及び検甲第2号証を提出した。

1 判定請求の必要性

請求人は、本件判定請求に係る本件商標の商標権者である。本件商標は、請求人が製造・販売する速乾性の「フェルトペン」について、昭和51年より使用され、現在もなお使用されているものである(甲第3号証及び甲第4号証)。

上記「フェルトペン」は、商標「ハイマッキー」と称して、日本国内はもとよりアジアを中心として世界各国へも輸出されており、当該商標を付した「フェルトペン」は、約30年間に渡り製造・販売されている。

さらに、当該商標を付した「フェルトペン」は、その知名度の高さゆえ、頻繁に模倣され、その対策に苦慮しているが、今回新たに模倣品が発見された。

そこで、請求人は、本件判定請求に係る本件商標(立体商標)をもとに、本件商標を模倣した相手方に対して警告書等を送付する予定でいるが、その前にイ号標章が、本件商標の効力の範囲に属しているかについての、本件判定を求めるものである。

2 イ号標章の説明

イ号標章が付された商品(以下「イ号物品」という。)は、いわゆる油性インキを使用した速乾性の「フェルトペン」であり、別掲(2)の左上の正面図において、上側を細字用、下側を太字用として形成されている。

イ号標章の外観は、全体的には略筒状に形成され、上側の細字用キャップ端部から下側の太字用キャップ端部にかけて連続的に大経化されている。また、上側の細字用キャップ及び下側の太字用キャップの外周上には全域に渡り、軸方向に複数の溝部が形成されている。そして、下側の太字用キャップは、二重筒状に形成されている。また、イ号標章は、上側の細字用キャップ端面には、「I」の文字を図案化若しくは「Z」の文字を反転して図案化した模様を円で囲んだ部分が施されている。

さらに、イ号標章には、軸筒部分の中央に「セッタ<油性>」、「ハイラッキー」、「HiーMarker」等の文字が付されている。「セッタ」、「ハイラッキー」の文字は、普通に認識可能な程度に図案化されている。

「ハイラッキー」、「HiーMarker」の文字の外周には、両矢印形状を図案化した模様が施されており、その矢印の先端部の上側の細字用キャップ側には、「細」の文字が書され、また、下側の太字用キャップ側には、「太」の文字が書されている。

3 イ号標章が、本件商標の商標権の効力の範囲に属することについて

(1)本件商標とイ号標章(以下、まとめていうときは「両標章」という。)の共通点について

本件商標とイ号標章の共通点は、下記の(ア)ないし(エ)のとおりである。

(ア)全体が略筒状に形成され、上側の細字用キャップ端部から下側の太字用キャップ端部にかけて連続的に大径化される形状となっている。

(イ)細字用及び太字用キャップそれぞれに、外周上の全域に渡って軸方向に溝部が形成されている。

(ウ)下側の太字用キャップは二重筒形状に形成される(以下「共通形状部分(ウ)」といい、(ア)ないし(ウ)を一括していうときは、単に「共通形状部分」という。)。

上記各共通点については、標章全体に占める大きさの割合についても、本件商標及びイ号標章ともに大きな差異はなく、特に上記共通形状部分(ウ)の溝部の溝幅、本数、溝部の側面から見た形状についても、大きな差はないものである。

(エ)本件商標が、上側の細字用キャップの端面に、「I」若しくは「Z」の文字を図案化した模様を円で囲んだ部分を有するのに対して、イ号標章は、同部分に「I」文字を図案化若しくは「Z」の文字を反転させて図案化した模様を円で囲んだ部分が存在する。

そして、本件商標の「I」若しくは「Z」の文字を図案化した部分と、イ号標章の「I」若しくは「Z」の文字を図案化した円で囲んだ部分とは、ほとんど同一視できるものであるといえる。

また、本件商標の「I」若しくは「Z」の文字とイ号標章の「I」若しくは「Z」の文字からは、それぞれ「マルアイ」又は「マルゼット」の同一の称呼が生じるといえる。

(2)本件商標とイ号標章の異なる部分について

イ号標章は、軸筒中央部分に「セッタ<油性>」、「ハイラッキー」、「HiーMarker」、「細」、「太」等の文字とともに、両矢印形状を図案化した模様が施されているのに対し、本件商標には、これらの文字、矢印等は、存在しない。

(3)そうすると、本件商標とイ号標章の対比観察においては、上記差異点に比べ、共通部分の影響が大きいものであるから、両標章は、外観、称呼、観念ともに同一若しくは類似のものと判断せざるを得ない。

(4)以上述べたとおり、本件商標とイ号標章の外観の全体観察、本件商標の使用状況及び本件商標の指定商品とイ号物品が同一であることをかんがみれば、イ号標章は、本件商標の効力の範囲に属するといえる。

第4 被請求人の答弁

被請求人は、前記3の請求人の主張に対し、何ら答弁するところがない。

第5 当審の判断

本件商標は、別掲(1)のとおり、下部が上部と比較してやや大径化したほぼ筒状で、上下のキャップと思しき部分の軸方向に薄い溝が施されているフェルトペンを表した立体形状よりなるものである。

そして、本件商標は、その上下のキャップ部の薄い溝を含めた立体的形状部分全体が、その指定商品である「フェルトペン」との関係からすると、商品の機能を果たすための通常の形状、すなわち、キャップの取り外しの便、細書き用と、太書き用の区別、及び商品の美感を発揮させる範囲内というべきであるから、本件商標の立体的形状部分は、商品の形状を表示したものと認識されるに止まり、自他商品識別標識としての機能を果たし得ない部分というべきである。

しかしながら、本件商標は、その形状中のやや細くなっている上部のキャップの上面部中央に「Z」の文字を図案化した図形部分(以下「本件図形部分」という。)を有するものであって、該図形部分は、一般に用いられている図案化の域を超え、相当程度の創意考案に係る図形というのが相当であるから、本件商標にあっては、本件図形部分が自他商品の識別標識としての機能を果たしていると見るべきである。

他方、イ号標章は、別掲(2)のとおりの構成であって、本件商標と同様に、その立体的形状部分は商品の機能又は美感をより発揮するために施された形状と認められるものであって、自他商品の識別標識としての機能を有しないものである。

しかしながら、イ号標章の構成中のやや細くなっている上部のキャップの上面部中央に「Z」の文字を反転させて図案化した図形部分(以下「イ号標章の図形部分」という。)を有するものであって、該図形部分は、一般に用いられている図案化の域を超え、相当程度の創意考案にかかる図形というのが相当であるから、イ号標章にあっては、該図形部分が自他商品の識別標識としての機能を果たしていると見るべきである。

そこで、本件商標の本件図形部分とイ号標章の図形部分とを比較すると、両標章は、イ号図形部分の「Z」の文字が反転している差異を有するとしても、中央部分の太さ、「Z」文字の始点、終点及び上下の頂点部分の特徴において、外観の構成上極めて酷似した印象を与えるものというべきである。

そうすると、両標章を仔細に対比するときは、多少の差異を有しているとしても、全体として「Z」の文字をモチーフにし、図案化の手法も共通にしたものであって、構成の軌を同一にするものと認めらるものであるから、これを時と場所を異にして離隔的に観察した場合であっても、両標章は、外観上かれこれ相紛れるおそれのあるものといわなければならない。

してみれば、本件商標とイ号標章とは、上記図形部分において相紛れるおそれのある類似する商標であって、また、イ号標章は、本件商標に係る指定商品「フェルトペン」に使用されるものである。

したがって、被請求人が「フェルトペン」に使用するイ号標章は、本件商標に類似するものであり、かつ、本件商標の指定商品と同一の商品に使用するものであるから、本件商標の商標権の効力の範囲に属するものである。

よって、結論のとおり判定する。

Next Action

次の一手につながるサービス

類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。

次の一歩へ

商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。