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結論

敗訴(請求棄却)

第4条第1項第16号・第3条第1項第3号「記述的商標の識別力」の商標審決・判断理由(審判番号:不服2003−7931(T2003−7931/J1)|請求不成立)

審判番号
不服2003−7931(T2003−7931/J1)
審判種別
不服

本文で言及されている区分

事件のポイント・要約

対象商標
本件商標(図形等・本文参照)
争点(論点)
記述的商標の識別力
適用条文
第4条第1項第16号・第3条第1項第3号
指定商品・役務の区分
本文参照
最終結論
請求不成立(敗訴(請求棄却))

この審決(審判不服2003−7931(T2003−7931/J1)・不服)は、本件商標について、商標法第4条第1項第16号・第3条第1項第3号への該当性が争われた事例です。主な争点は「記述的商標の識別力」です。特許庁は「本件審判の請求は、成り立たない」と判断しました(請求不成立)。商品の品質や用途を直接表す語は識別力が否定されやすいため、出願前に造語化や図形との組合せを検討することが有効です。

※ 上記は審決公報の本文から自動で整理した要約です。正確な内容は下記の公報原文をご確認ください。

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

第1.本願商標

本願商標は、「ワカメペプチド」の文字を横書きしてなり、第29類「エキス醤油,スープ,たれ,ソース,ドレッシング」及び第30類「飲料,強化剤,酸化防止剤,調味料」を指定商品として、平成14年2月21日に登録出願されたものである。

第2.原査定の拒絶理由の要点

原査定は、以下の1.及び2.のとおり認定、判断し、本願を拒絶したものである。

1.本願商標は、「ワカメペプチド」の文字を普通に用いられる方法で表示してなるところ、株式会社岩波書店が発行した「広辞苑」第五版によれば、「ワカメ」の文字は、「海産の褐藻。」の意味を有し、「ペプチド【peptide】」の文字は、「ペプチド結合によってアミノ酸二個以上が結合した化合物。」の意味を有し、丸善株式会社が発行した「丸善食品総合辞典」の「蛋白質」の項によれば、「アミノ酸どうしが結合したものペプチド(peptide)という。」旨記載されており、ペプチドを添加したスープが存在することも知られているから、本願商標を指定商品中「前記文字に照応する商品(例えば、エキス醤油,スープ,たれ,ソース,ドレッシング,飲料,強化剤,酸化防止剤,調味料)」について使用するときは、単に前記商品がワカメの蛋白質をアミノ酸どうしが結合した状態(すなわち、ペプチド状態)にし、消化しやすくしたものであること、すなわち、商品の品質、原材料を表示したものと理解されるに止まり、自他商品の識別標識としての機能を果たさないものと判断する。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあり、同法第4条第1項第16号に該当する。

2.(1)本願は、政令で定める商品及び役務の区分第29類及び第30類に属さない商品を包含している。したがって、本願は、商標法第6条第2項の要件を具備しない。

(2)指定商品は、商標とともに権利範囲を定めるものであるから、その内容及び範囲は明確でなければならないところ、この商標登録出願に係る指定商品中、第29類「エキス醤油,スープ」及び第30類「飲料,強化剤」は、その内容及び範囲を明確に指定したものとは認められない。また、前記指定商品が不明確でその内容及び範囲が把握できないことから、政令で定める商品及び役務の区分に従って各類の商品を指定したものと認めることもできない。したがって、本願は、商標法第6条第1項及び第2項の要件を具備しない。

第3.当審の判断

1.商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号について

本願商標は、前記のとおり「ワカメペプチド」の文字よりなるところ、その構成中、「ワカメ」の文字は、本願指定商品の原材料である海藻のひとつである「ワカメ」を容易に認識するものであり、「ペプチド」の文字は、「ペプチド結合によってアミノ酸2個以上が結合した化合物。[株式会社岩波書店 広辞苑第五版]」と記載がある。

また、高齢化社会の到来により健康に関する関心が高まっているところ、海藻の成分についても注目され、海藻に含まれるたんぱく質から取り出すペプチドが血圧低下等に有効であり、ワカメに含まれるたんぱく質を分解して取り出した物質を「ワカメペプチド」と称し、ワカメペプチド含有の商品が製造、販売されている事実が認められる。

そして、上記した実情は、以下の各種新聞記事の記載、及びインターネットの情報からも裏付けられる。

(1)1996.02.24 共同通信には、「ネットワーク経済情報(九州)焼酎インターネット(鹿児島)/ペプチド飲料を通信販売(北九州)」の見出しのもと「□▽ペプチド飲料を通信販売/山口県下関市のカタノ物産・・・は、海藻、貝、魚の海洋生物のタンパク質をアミノ酸が二−三個つながっただけのペプチドに分解し、牛乳の脂肪分などを除いた乳清を加えた健康飲料水・・・を開発。」との記載。

(2)2001.07.18 日本食糧新聞には、「白子『毎日海菜 海苔ペプチド』に注目、体験モニターも募集」との見出しのもと「海苔ペプチドとは、海苔に多く含まれるタンパク質を酵素分解でできた物質。」との記載。

(3)2004.12.01 日本食糧新聞には、「経営:理研ビタミン・堺美保社長に聞く 17年度連結売上高770億円目指す」の見出しのもと「来年の1月に発売する『わかめペプチドゼリー・りんご風味』は特定保健用食品(特保)の許可を受けた。・・・わかめに含まれるタンパク質を分解して取り出す物質『わかめペプチド』がACEの働きを阻害する。わかめペプチド自体は苦く、そのうえ塩分の除去が難しかった。わかめペプチド配合の血圧抑制機能食品を、加工食品に利用、商品化したのは当社が初めてだ。」との記載。

(4)http://www.fsc.go.jp/senmon/sinkaihatu/s-dai8/sinkaihatu8-gijiroku.pdfのホームページには、「食品安全委員会新開発食品専門調査会/第8回会合議事録」の見出しのもと4頁には「基本的には商品パッケージにワカメペプチド等、ワカメが含まれているということが容易に理解できるような表示になっているということで問題はないのではないか。」との記載。

(5)http://www.oishasan.co.jp/oisha/topics/rireki/05_03_11.htmlのホームページには、「TOPICS=血圧抑える特保食品=」との見出しのもと「おやつ感覚で食べられる理研ビタミンの『わかめペプチド・ゼリー・りんご風味』が加わった。開発から4年余、主原料のワカメと格闘しながら商品化に導いたのは同社・・・カリウムや食物繊維などのほか、ワカメペプチドに血圧上昇を抑制する働きがあることは既に分かっていた。血圧は血管や血中に存在する酵素の1種『アンジオテンシン変換酵素(ACE)』が血管を収縮させることで上昇する。ワカメペプチドはACEの働きを阻害するという。」との記載。

(6)http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiikisaisei/osirase/040722/04.pdfのホームページには、「釜石市地域再生計画/平成16年6月30日」との見出しのもと「水産加工廃棄物リサイクル事業」「【製品サンプル】ワカメペプチド・DHA/(原料:ワカメ等)」の記載。

(7)http://www.rda.co.jp/lib/tokuho.htmlのホームページには、「特定保健食品(トクホ)」の見だしのもと「許可表示内容」が「血圧が高めの方に適する食品」として「保健機能成分(関与成分)」が「カゼインドデカペプチド、かつお節オリゴペプチド、サーデンペプチド、ラクトトリペプチド、杜仲葉配糖体、のりペプチド、ワカメペプチド、ゴマペプチド」との記載。

そうすると、「ワカメペプチド」の文字(語)からは、「ワカメのタンパク質を分解して取り出したペプチド」であると容易に理解、認識させるに止まるというのが相当である。

してみれば、本願商標は、「ワカメのタンパク質を分解して取り出したペプチド入りの商品」に使用したときは、商品の品質、原材料を表示するにすぎないものと認められ、前記以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものといわざるを得ない。

2.商標法第6条第1項及び同第2項について

本願の指定商品中、第29類「たれ,ソース,ドレッシング」は、商標法施行規則6条別表から、第30類に属する調味料に含まれる商品、及び第30類「酸化防止剤」は、同別表から、第1類に属する化学剤に含まれる商品と認められる。

また、本願の指定商品中、第29類「エキス醤油」は、例えば「肉エキス」を内容とするものであれば、第29類に属し、或いは調味料の範疇であれば、第30類に属するとも考えられるものであり、また、第30類「飲料,強化剤」は、例えば「茶,コーヒー及びココア」であれば、第30類に属し、「清涼飲料,果実飲料」であれば、第32類に属する商品と考えられるものであり、「食品強化剤」であれば、第5類に属する商品というように、その表現は明確でなく、商品の表示としても適切でなく、政令で定める商品及び役務の区分に従って第29類及び第30類の商品を指定したものと認めることができず、結局、本願は、商標法第6条第1項及び第2項の要件を具備しないものといわざるを得ない。

したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号、同法第4条第1項第16号、同法第6条第1項及び第2項に該当するとした原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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