結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2005−89013(T2005−89013/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第4427267号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成11年9月3日に登録出願、第30類「サンドイッチ」を指定商品として、平成12年10月27日に設定登録されたものである。
請求人が本件商標の登録無効の理由に引用する登録第3367077号商標(以下「引用商標」という。)は、「テンバーガー」の文字を横書きしてなり、平成7年7月7日に登録出願、第30類「ハンバーガー」を指定商品として、平成9年12月19日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
請求人は、「本件商標の登録を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を次のとおり述べ、証拠方法として、甲第1号証の1ないし甲第2号証の2を提出した。
(1)本件商標と引用商標の類似について
本件商標は、その構成中の「サンド」がサンドイッチの略称であり、単に商品「サンドイッチ」を表すにすぎないから、自他商品識別機能を有する部分は、漢字の「天」にある。また、該「天」の漢字は、片仮名文字の「サンド」に比べてかなり大きく表されており、さらに、漢字と片仮名文字という文字の相違と相侯って、「天」がとりわけ着目される。
したがって、本件商標は、「テンサンド」の称呼のほか、「テン」の称呼が生ずる。
引用商標は、その構成中の「バーガー」は、ハンバーガーの略称であり、単に商品「ハンバーガー」を表すにすぎないから、自他商品識別機能を有する部分は、「テン」にあり、これから「テン」の称呼を生じる。
したがって、本件商標と引用商標とは、「テン」の称呼を共通にする類似の商標である。
(2)指定商品の類似
本件商標の指定商品「サンドイッチ」と引用商標の指定商品「ハンバーガー」は、パンの間に具材を挟み込んで食するという商品の機能、形態が全く共通する商品であり、また、製造者、販売業者及び需要者を共通にするから、類似の商品である。
(1)商標の類似について
(ア)被請求人は、僅か4文字からなる本件商標からは、「テンサンド」のみの称呼が生じると主張するが、本件商標は、前記のとおり、外観上、「テン」と「サンド」の間に明白な軽重の差があるものである。そして、一般の取引社会において「サンドイッチ」を「サンド」と略称していることは、「ハンバーガー」に対して「バーガー」と略称するのと同じく普通に行われていることであるから、分離解釈されることはあり得る。
したがって、前記のとおり、本件商標及び引用商標から「テン」の称呼が生ずることは否定できない。
なお、「テンバーガー」に、証券業界内における特殊な意味があったとしても、当該指定商品との関係においては、そのような特殊な用語に解されることはない。
(イ)乙第2号証ないし乙第4号証は、「天サンド」の紹介記事であり、商品の内容、2001年より売り出されていることなどは明らかとなっているが、「天サンド」の4文字からなる商標として、自他商品識別標識の機能を発揮していることを明らかにしたものではないし、「テンサンド」と一連一気に発音されている事実を明らかにしたものでもない。これらの証拠は、引用商標と類似する本件商標が、2001年より使用されている事実を証明しているにすぎない。
(ウ)被請求人は、前方に「天」の漢字を有する商標が多数存在すると主張する(乙第5号証)が、これは、単に「天○○」の登録商標又は出願商標が287件あるだけのことであるから、本件審判に関する証拠にはならない。
そして、被請求人は、本件商標と同じく「テン」の称呼が生ずるものとし、「天むす」、「天ころ」、「天あげ」、「天巻き」、「天しゃぶパスタ」等があると主張する(乙第6号証)が、これらは、「天」の文字から始まるとしても、商品の普通名称ないしその略称とが結合したものではないから、「テン」の称呼が生ずるものではなく、すべて本件審判とは事案の異なるものである。よって、特許庁の審査においても、引用商標とは類似とされなかったものである。
(エ)被請求人は、本件審判は、禁反言に反すると主張するが、商標権者が自己の登録商標に類似すると思われるものが登録されていることに気づき、それに対して無効審判を請求することは正当な行為であり、禁反言云々の問題ではない。請求人は、引用商標を使用するに際し、本件商標が取引現場において相紛らわしくなるおそれがあると考えたため、本件審判を請求したにすぎない。
(2)審判費用について
被請求人の「代理人に当該手続きを委ねなければならなくなった」との主張は、請求人の関知しないところであり、それを問題とすることは全くの見当違いである。そして、「濫請求」であるとする乙第5号証及び乙第6号証にしても、上述のとおり、本件と事案を異にするものであることは明らかであるから、これらを根拠に、「濫請求」であるとすることはできず、請求人が、懲罰的な費用負担まで求められる理由はどこにもない。
なお、乙第7号証及び乙第8号証で示された請求人の商標登録出願は、本件商標と類似すると判断されたのであるから、本件商標が「テン」の称呼が生ずるものであると特許庁が認めたということである。
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を次のとおり述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第10号証を提出した。
(1)請求人は、本件商標から「テン」の称呼をも生じると主張する。
しかしながら、本件商標は、僅か4文字からなる商標である。これを「テン」と「サンド」に分離して、その上で、本件商標から「テン」の称呼をも生じるとするのは、社会通念に反する独自の主張である。
そもそも商標の類否を判断するための称呼の基準は、取引者・需要者が、ある文字をロ頭で読むときの通常の識字力を有する通常人の読み上げ方を基準にするものでなければならず、単なる4文字からなるにすぎない本件商標を「テン」と「サンド」に分けて読んだり、後半の「サンド」を省略して読むことはなく、一気一連に「テンサンド」と読むのが自然である。
また、引用商標も6文字からなる商標である。本件商標と同様に、「テン」の称呼が生じるという主張も社会通念からかけ離れた独自の見解に基づくものであり、引用商標は、「テンバーガー」と一気に称呼される。
なお、「テンバーガー」の語をインターネットのサーチサイトで検索すると、証券業界の取引用語で、「10倍にも大化けする株式」を意味するようである(乙第1号証)。したがって、このような特殊な用語が存在するから、引用商標が登録されたのではないかと窺わせる。
(2)本件商標を使用した商品は、被請求人が21世紀に向けた新商品として開発し、発売したもので、多数の新聞、雑誌に取り上げられ、引用商標を使用した商品と誤認混同されたなどという事実は全くなかった(乙第2号証ないし乙第4号証)。これらの新聞、雑誌記事が示すように、本件商標は、「天サンド」の4文字からなる商標として、自他商品識別の機能を発揮しているものであり、単に「テン」と称呼されることはない。
(3)IPDL(特許庁電子図書館)の商標出願・登録情報の検索によれば、「天」の文字を冠する商標(類似商品群:32F06)は287件がヒットした(乙第5号証)。このうち、商品の普通名称ないしその略称に該当するものとの結合商標は、例えば、「天むす」、「天ころ」、「天あげ」、「天巻き」、「天しやぶパスタ」等があり(乙第6号証)、請求人の主張によれば、これらは「テン」の称呼が生じるので、引用商標を含めて、本来登録されなかったはずであるが、これらの商標が登録されたということは、その商標から「テン」の称呼が生じるものではなく、非類似の商標であることを示すものである。
引用商標は、前述のように、証券業界の取引用語を意識したかも知れない状況下で登録されたものである。しかも、その構成は、「テンバーガー」の6文字よりなる。かかる状況下で登録を得た後の今日になって、「テンバーガー」の文字のうち、後ろの「バーガー」の文字を省略して、「テン」の称呼を生じ、その後願に係る「テン」を含む商標に対して類似であると主張することは、禁反言に反し許されない。
請求人の別件商標登録出願(商願2004一50871:商標「天バーガー」)によれば、該商標登録出願は、本件商標を引用した拒絶理由が通知されているところから、請求人は、本件商標に対して、引用商標の存在を理由に無効理由があるとして本件審判を請求し、上記商標登録出願に対しては、審査の猶予を求めている(乙第7号証及び乙第8号証)。そして、被請求人は、本件審判の請求によって、応訴の手続をとることを余儀なくされ、さらには、被請求人代理人にその手続を委ねざるを得なかった。
本件審判の請求は、「濫請求」以外の何ものでもなく、上述の社会通念に反する商標の類否判断、前後の数多くの先登録商標の存在等をかんがみれば(乙第5号証及び乙第6号証)、本件審判請求は、必要のないものであったにもかかわらず、本件審判の濫請求によって、被請求人が損害を蒙ったのであるから、懲罰的意味を込めて、被請求人は、代理人費用を含む本件審判の審判費用を請求人の負担とすることを求める。
(1)本件商標は、別掲のとおり、「天サンド」の文字を書してなるものであるところ、該文字中「天」の漢字は、「サンド」の片仮名に比べ、やや大きく書されているものであるとしても、いずれも毛筆書き風に統一的に表されているばかりでなく、本件商標より生ずると認められる「テンサンド」の称呼も無理なく称呼し得るものである。
そして、本件商標は、その構成中の「サンド」が指定商品の略称を表したと理解される場合があるとしても、かかる構成においては、構成全体をもって、一つの商標を表したと理解されるとみるのが相当である。
そうすると、本件商標は、その構成文字に相応して、「テンサンド」の一連の称呼のみを生ずるものといわなければならない。
(2)引用商標は、前記のとおり、「テンバーガー」の文字を書してなるものであるところ、該文字は、同一の書体をもって、同一の大きさ・間隔で横書きされているばかりでなく、これより生ずると認められる「テンバーガー」の称呼も冗長というものではなく、よどみなく称呼し得るものである。
そして、引用商標は、その構成中の「バーガー」が指定商品の略称を表したと理解される場合があるとしても、かかる構成においては、構成全体をもって、一体不可分の造語を表したと理解されるとみるのが相当である。
そうすると、引用商標は、その構成文字に相応して、「テンバーガー」の一連の称呼のみを生ずるものであって、特定の観念を有しない造語よりなるものといわなければならない。
(3)してみれば、本件商標より生ずる「テンサンド」の称呼と引用商標より生ずる「テンバーガー」の称呼は、後半部において、「サンド」と「バーガー」の音の顕著な差異を有するものであるから、それぞれの称呼を一連に称呼した場合においても、称呼上相紛れるおそれはないものである。
また、本件商標は、構成全体をもって、「天ぷらを挟んだサンドイッチ」なる観念が生ずる場合があるとしても、引用商標は、前記のとおり、造語を表したと理解されるものであるから、両商標は、観念上比較することはできない。
さらに、両商標は、それぞれ別掲又は前記の構成よりみて、外観上明らかに区別し得るものである。
したがって、本件商標と引用商標とは、その称呼、観念及び外観のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものはないから、同法第46条第1項の規定により、無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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