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Trademark Appeal Case

結合商標の要部抽出

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2005−89062(T2005−89062/J3)
審判種別無効
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4385013号商標(以下「本件商標」という。)は、「サイエンスビューティー」の片仮名文字と「SCIENCEBEAUTY」の欧文字とを二段に横書きしてなり、平成11年6月10日に登録出願、第3類「化粧品,せっけん類」を指定商品として、同12年4月6日に登録査定がなされ、同年5月19日に設定登録されたものである。

2 請求人の引用する商標

請求人が本件商標の登録の無効の理由として引用する登録第2110684号商標(以下「引用商標」という。)は、「サイエンス」の片仮名文字と「SCIENCE」の欧文字とを二段に横書きしてなり、昭和56年9月22日に登録出願、第4類「化粧品、その他本類に属する商品」を指定商品として、平成元年2月21日に設定登録されたものであり、現に有効に存続しているものである。

3 請求人の主張

請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証の1ないし同第4号証(枝番を含む)を提出した。

(1)請求の理由

本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してなされたものであるから、無効とされるべきである。

本件商標は、「サイエンスビューティー」及び「SCIENCEBEAUTY」の文字を二段に表してなるものであるところ、両者は、その構成上はいずれも一連不可分の態様で表されてはいるが、「サイエンス」「SCIENCE」が「科学」の意味の外来語、英語として、「ビューティー」「BEAUTY」が「美」の意味の外来語、英語として広く一般に親しまれているものであるところから、両者は、その構成上の一連不可分性にも拘わらず、なお、前者は「サイエンス」と「ビューティー」、後者は「SCIENCE」と「BEAUTY」という二語よりなるものと容易に把握されるものとみるのが相当であり、他に、これらを常に一連不可分のものとしてのみ把握しなければならないとする特段の事情(例えば、両者は全体として一般に親しまれている一語を形成しているといったような事情)は見出せない。

そうすると、本件商標は、相互になんらの関連性のない「サイエンス」「SCIENCE」と「ビューティー」「BEAUTY」という語からなるものというべきである。

ところで、薬事法第2条第3項は、「化粧品とは人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え又は皮膚もしくは毛髪をすこやかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされている物で、人体に対する作用が緩和なものをいう」としていて(甲第3号証)、その使用目的は人の身体の美化だけではないが、化粧品を使用することの終局的な目的、願望が“美しくなりたい”ということ、すなわち、人の身体の美化であることは顕著といえる事実であり、このような事情を反映してか化粧品の宣伝や広告には、その使用効果を訴えるべく「美」「美しい」「Beautiful」といった語とともに「BEAUTY」といった語が使用されていることも顕著といえる事実である。

また、せっけん類が人の身体や物を洗浄、美化するために用いられるものであることは、言うを俟たないところである。

してみると、化粧品及びせっけん類との関係における「ビューティー」あるいは「BEAUTY」の語は、特段の特異性を有しないところから、自他商品の識別力を有しないか、有しているとしても極めて薄弱なものというべきである。

そうすると、本件商標がその指定商品中の「化粧品,せっけん類」について使用されたとき、これに接する取引者、需要者は、その構成中の「サイエンス」あるいは「SCIENCE」の文字部分を自他商品の識別標識として捉え、これより生ずる「サイエンス」の称呼及び「科学」の観念をもって商品の購入に当たる場合も少なからずあるとみるのが相当である。

したがって、本件商標は、「サイエンス」の称呼及び「科学」の観念を生ずるものといわざるを得ない。

一方、引用商標は、「サイエンス」及び「SCIENCE」の文字よりなるものであるから、これから「サイエンス」の称呼及び「科学」の観念が生ずることは明らかである。

そうすると、本件商標と引用商標は、「サイエンス」の称呼及び「科学」の観念を同じくする類似の商標といわざるを得ない。

そして、本件商標と引用商標の指定商品は、「化粧品,せっけん類」において同一である。

以上、本件商標は、他人の先願に係る登録商標と類似のものであって、当該他人の登録商標の指定商品と同一の商品について使用するものに帰着するから、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものというべきである。

(2)答弁に対する弁駁

商標法第4条第1項第11号でいう商標の類似とは、対比する商標を同一又は類似の商品について使用したときに、その出所について誤認混同を生じさせるおそれがある場合の両商標の状態をいうものとされており、現に、平成16年8月31日言渡の東京高裁平16(行ケ)168号事件判決も、そこで「商標の類否は、対比される両商標が同ー又は類似の役務等に使用された場合に、役務等の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであり、誤認混同を生ずるおそれがあるか否かは,そのような役務等に使用された商標がその外観、観念又は称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を考慮し、これらに加え、その役務等についての取引の具体的な実情に照らし、その役務等の取引者及び需要者において通常に払われる注意力を基準として、総合的に判断すべきものと解される」と判示している(甲第4号証)。

そうすると、商標を一連不可分のものとみるか否かの判断も、商標の外観、称呼及び観念の三要素からなされるべきである。

しかるところ、被請求人の主張は、本件商標を観念の面及び指定商品との関係から観察することなく、その外観上及び称呼上のみの一連不可分性を前提に、本件商標を一連不可分のものとするものであるから、その主張は失当なものといわざるを得ない。

本件商標と引用商標が共に登録商標として存在するということは、被請求人は本件商標を、請求人は引用商標を化粧品とせっけん類の範囲内の同一商品に使用することができる結果、もし、このような使用が実際になされた場合には、その要部というべき「SCIENCE」(サイエンス)の文字において、引用商標と同一のものである本件商標と引用商標を使用した同一の商品が、同一の市場に流通するということになる。

そして、このような取引市場において、取引者・需要者がこれら両商品に接したときは、当該取引者・需要者が両商品を同一の出所より出たものと誤認、混同することも決して少なくないといわざるを得ない。

4 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第7号証を提出した。

(1)本件商標は、「サイエンス」「ビューティー」なる語を同書・同大・同一間隔に表したものが上段に、「SCIENCE」「BEAUTY」なる語を同書・同大・同一間隔に表したものが下段に書された二段構成の商標からなるものであり、「サイエンス」「ビューティー」、「SCIENCE」「BEAUTY」のいずれも等しく記載されているため、軽重の差が一切なく、構成上−体不可分の態様で表されており、これを敢えて個々の単語毎に分離して、意味内容を解釈する必然性は全くなく、また、全体を称呼する場合にも、無理なく一連に称呼し得るものである。

請求人は、指定商品との関係において、本件商標に含まれる「ビューティー」「BEAUTY」なる語がそれ単独では、特段の特異性を有しないため、自他商品の識別力を有しないか、有しているとしても極めて薄弱なものである旨主張しているが、本件商標の構成態様からすれば、「ビューティー」「BEAUTY」が商品の品質を具体的に表示するものであるとは言い難いものであり、むしろ一連の造語として解釈するべきであって、単に広く知られている語から構成されているからという理由のみで、敢えて分離して解釈すべきであるという特段の事情こそがないというべきである。

(2)とりわけ、本件商標の指定商品である「化粧品,せっけん類」の分野では、個々の単語毎にみれば、それ自体には自他商品識別力がないと思われる単語であって、外来語、英語として広く知られ、一般に使用されている単語同士を軽重の差なく構成態様上一連不可分に結合させた造語商標が多数登録されている状況にある。

参考までに、引用商標「サイエンス(SCEINCE)」を含む登録商標で、本件商標と同様に、全ての文字が軽重の差なく同等に表され、一連不可分の態様で構成されている登録商標として下記のものがある。これらは、いずれも、引用商標よりも後に出願され登録されたものである。

(a)登録第2709589号商標「コスメサイエンス」(乙第1号証)

「コスメ」の語は、「化粧品」を意味する語で、化粧品業界においては広く使用され、また、自他商品識別力が極めて弱い語であるが、「サイエンス」と結合して、一連不可分の造語商標として登録されている。

(b)登録第4034918号商標「モイスチュアサイエンス/Moisture Science」(乙第2号証)

「モイスチュア」の語は、化粧品業界では「潤い」を意味し、広く使用されている語であり、また、自他商品識別力が極めて弱い語であるが、「サイエンス」と結合して、一連不可分の造語商標として登録されている。

(c)登録第4034919号商標「サイエンスカバー/Science Cover」(乙第3号証)

「カバー」の語は、化粧品業界では「メークでカバーする」といった表現として頻繁に使用される語で、自他商品識別力が極めて弱い語であるが、「サイエンス」と結合して、−連不可分の造語商標として登録されている。

(d)登録第4132997号商標「アロマサイエンス/AROMA SCIENCE」(乙第4号証)

「アロマ」の語は、「香料、におい」を意味する語で、最近ではアロマ化粧品といった使用を頻繁にされる語で、自他商品識別力が極めて弱い語であるが、「サイエンス」と結合して、一連不可分の造語商標として登録されている。

(e)登録第4348690号商標「アミノサイエンス/AminoScience」(乙第5号証)

「アミノ」の語は、「アミノ酸」を意味し、アミノ酸入り化粧品といった使用をされる語で、自他商品識別力が極めて弱い語であるが、「サイエンス」と結合して、一連不可分の造語商標として登録されている。

(f)登録第4442545号商標「BEAUTIFUL SCIENCE」(乙第6号証)

「BEAUTIFUL」の語は、本件商標と同様「美」を意味する語で、一般に広く知られ、かつ使用されている外来語であるが、「サイエンス」と結合して、一連不可分の造語商標として登録されている。

(g)登録第4530702号商標「リンクルサイエンス」(乙第7号証)

「リンクル」の語は、「しわ」を意味する語として知られている語で、化粧品業界においては、自他商品識別力が極めて弱い語であるが、「サイエンス」と結合して、一連不可分の造語商標として登録されている。

(3)以上のように、本件商標は、一連不可分の構成態様からなる、全体として一つの造語と解すべきでものであるから、その称呼は、「サイエンスビューティー」であり、また、造語であるから、特定固有の観念を生じさせるものではない。

そうすると、引用商標の称呼は、「サイエンス」であり、その観念は「科学」となるので、称呼、観念のいずれもが非類似となる。

よって、本件商標は、指定商品において引用商標と一部同一であるとしても、商標が非類似であるため、商標法第4条第1項第11号に該当するものでないことは明らかである。

5 当審の判断

(1)本件商標は、前記表示のとおりの構成からなるところ、上段及び下段に書された各文字は、同書・同大・同一間隔をもって、まとまりよく一連に書されているものであって、それぞれより生ずると認められる「サイエンスビューティー」の称呼も格別冗長に亘るものとはいえず、例え、構成中の「ビューティー/BEAUTY」の文字が「美」等の意味を有するものであるとしても、かかる構成においては、商品の品質等を具体的に表示するものとして直ちに理解し得るものともいい難いところであるから、むしろ構成全体をもって一体不可分のものと認識し把握されるとみるのが自然であり、他に構成中の「サイエンス」、「SCIENCE」の文字部分のみを分離抽出すべき理由は見い出せない。

そうとすれば、本件商標は、その構成全体をもって一体不可分の商標を表したものと認識し把握されるとみるのが自然であるから、該構成文字全体に相応して「サイエンスビューティー」の称呼のみを生ずるものであって、単に「サイエンス」の称呼が生ずることはないものといわなければならない。

他方、引用商標は、前記表示のとおりのものであるから、該構成文字に相応して、「サイエンス」の称呼を生ずるものである。

してみると、本件商標から生ずる「サイエンスビューティー」の称呼と引用商標から生ずる「サイエンス」の称呼とは、音構成、構成音数において顕著な差異を有するものであるから、称呼上、相紛れるおそれはないものである。

また、本件商標は、全体として特定の観念を有するものとは認められないが、「サイエンス/SCIENCE」の語も「ビューティー/BEAUTY」の語も広く知られている語であることから、「科学に裏付けられた美しさ」の如き意味合いを想起させるものということができる。他方、引用商標は、「科学」の観念を生ずるものである。

そうとすれば、本件商標と引用商標とは、観念においては比較できないか、比較し得るとしても、互いに紛れるおそれのないものといわなければならない。

更に、外観においては、両者は、明らかに区別し得る差異を有するものである。

(2)この点について、請求人は、東京高裁平成16年(行ケ)168号判決を引用しつつ、商標を一連不可分のものとみるか否かの判断は、商標の外観、称呼及び観念の三要素からなされるべきであり、化粧品及びせっけん類との関係における「ビューティー/BEAUTY」の語は、自他商品の識別力を有しないか、有しているとしても極めて薄弱なものというべきであるから、本件商標には、常に一連不可分のものとしてのみ把握しなければならないとする特段の事情(例えば、両者は全体として一般に親しまれている一語を形成しているといったような事情)は見出せない旨主張している。

もとより、商標の類否の判断にあたっては、商標の外観、称呼及び観念によって取引者・需要者に与える印象、記憶、連想等を考慮するとともに、その商品等についての取引の具体的な実情に照らし、総合的に判断すべきものであることは、請求人の主張のとおりである。

しかしながら、本件商標は、上記したとおり、上段に書された「サイエンスビューティー」の片仮名文字も、下段に書された「SCIENCEBEAUTY」の欧文字も、各文字の結合状態は極めて一体的なものであり、視覚上、分断すべき要素は全く見当たらない。加えて、称呼の点からみても、全体として、むしろ語呂の良い称呼であり、観念の点においても、「科学に裏付けられた美しさ」の如き意味合いを想起させるものであって、これを分離して観察することの方が取引上不自然であると思われるほどに不可分的に結合しているものというべきである。

確かに、本件商標構成中の「ビューティー/BEAUTY」の語のみを捉えてみれば、化粧品やせっけん類といった商品との関係においては、自他商品識別力の弱い語であることを一概には否定できない。

しかし一方、例えば、東洋経済新報社発行「現代商品大辞典新商品版(昭和61年10月18日)」の化粧品の項によれば、「最近になって化粧品の研究は、従来の科学的アプローチ、たとえば、乳化、可溶化、分散等の化粧品の基礎的な製造技術の研究に加えて、生物科学分野の研究が一層重視されるようになってきた。バイオテクノロジーの技術を化粧品に応用したり、皮膚生理の解明研究等学際的な展開が活発に行われている。・・・」旨記載されており、化粧品業界においては、「化粧品科学、皮膚科学」のように、「科学」の語が用いられているのも実情である。

そして、このことに呼応するように、乙第2号証ないし同第7号証によれば、「コスメサイエンス」、「モイスチュアサイエンス/Moisture Science」、「アロマサイエンス/AROMA SCIENCE」、「アミノサイエンス/Amino Science」、「BEAUTIFUL SCIENCE」、「リンクルサイエンス」等の如く、「サイエンス」や「Science」の語と結合した商標が多数登録されている事実が認められる。

そうとすれば、化粧品等のファインケミカルと称される商品においては、「科学」の意味を表す「サイエンス/Science」の語自体も、さほど強い出所表示力を有する語とはいえないものとみるのが相当である。

そして、他に、引用商標が化粧品やせっけん類等の商品について使用され、取引者・需要者間において広く知られている商標であるというような事情があれば格別、そのような主張もないし、そのような事実を裏付ける証拠の提出もない。

そうとすれば、本件商標は、上記したとおり、その構成全体をもって、一連一体の商標として理解・認識され、取引に供されるものとみるのが相当であり、取引の実情等を総合勘案しても、この点についての請求人の主張は採用できない。

(3)したがって、本件商標は、引用商標と外観、称呼及び観念において相紛れるおそれのない非類似の商標であるから、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではなく、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効にすることはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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