Trademark Appeal Case
称呼類似性:リとル音の差異
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成8年審判第9963号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本願商標
本願商標は、「Meriton」の欧文字を横書してなり、第16類「紙類、紙製包装用容器、家庭用食品包装フィルム、紙製ごみ収集用袋、プラスチック製ごみ収集用袋、型紙、紙製テーブルクロス、衛生手ふき、紙製タオル、紙製手ふき、紙製のぼり、紙製旗、紙製ハンカチ、紙製ブラインド、紙製幼児用おしめ、裁縫用チャコ、荷札、印刷物、書画、写真、写真立て、遊戯用カード、文房具類、事務用又は家庭用ののり及び接着剤、青写真複写機、あて名印刷機、印字用インクリボン、こんにゃく版複写機、自動印紙はり付け機、事務用電動式ホッチキス、事務用封かん機、消印機、製図用具、装飾塗工用ブラシ、タイプライター、チェックライター、謄写版、凸版複写機、文書細断機、封ろう、マーキング用孔開型板、郵便料金計器、鑑賞魚用水槽及びその附属品」を指定商品とし、平成6年2月14日に登録出願、指定商品につき同8年2月27日付手続補正書により「紙類、紙製包装容器、家庭用食品包装フィルム、紙製ごみ収集用袋、プラスチック製ごみ収集用袋、型紙、紙製テーブルクロス、衛生手ふき、紙製タオル、紙製手ふき、紙製のぼり、紙製旗、紙製ハンカチ、紙製ブラインド、紙製幼児用おしめ、裁縫用チャコ、荷札、印刷物、書画、写真、写真立て、遊戯用カード、文房具類、青写真複写機、あて名印刷機、印字用インクリボン、こんにゃく版複写機、自動印紙はり付け機、事務用電動ホッチキス、事務用封かん機、消印機、製図用具、装飾塗工用ブラシ、タイプライター、チェックライター、謄写版、凸版複写機、文書細断機、封ろう、マーキング用孔開型板、郵便料金計器、鑑賞魚用水槽及びその附属品」に補正されたものである。
第2 原査定の引用商標
(1)原査定において商標法第4条第1項第11号に該当するとして拒絶の理由に引用した商標登録第2000212号に係る商標は、「メルトン」の片仮名文字を横書きしてなり、昭和59年2月10日登録出願、第9類「保安用機械器具、その他本類に属する商品(但し、産業用機械器具、動力機械器具、風水力機械器具、事務用機械器具、機械要素を除く)」を指定商品として同62年11月20日設定登録、平成9年6月24日に商標権存続期間の更新登録がされたものである。
(2)同じく商標登録第2382417号に係る商標は、「メルトン」の片仮名文字を横書きしてなり、昭和63年8月12日登録出願、第19類「家庭用融雪槽、その他本類に属する商品」を指定商品として平成4年2月28日に設定登録されたものである。
以下、上記(1)及び(2)の各商標を併せて「引用各商標」という。
第3 請求人の主張
1 請求の趣旨
「原査定を取り消す。本願商標は、登録すべきものとする。」旨の審決
2 請求の理由
本願商標の称呼が「メリトン」、引用各商標の称呼が「メルトン」であることは原査定認定のとおりであるが、差異音「リ」と「ル」が称呼全体に及ぼす影響についての認定は、以下の理由により妥当でなく、両者は紛れることのない非類似の商標である。
(1)母音の相違
本願商標と引用各商標の差異音「リ」と「ル」とは子音[r]が共通し、母音において[i]と[u]の差異がある。
両母音の調音方法を比較すると、母音[i]は、唇を左右に引っ張り、舌先を上に上げて、口腔の前方で調音する音であり、母音[u]は、唇を窄めて少し前方に突き出し、舌の付け根を上に上げ、舌先は下がり気味として、口腔の後方で調音する音である。
音の印象を比較すると、母音[i]は、最も女性的な印象の、高く澄んだ音であり、母音[u]は、最も男性的な印象の、低く重い音である(甲第3号証)。その結果、本願商標の称呼「メリトン」は「リ」の存在により全体として女性的な印象を、引用各商標の称呼「メルトン」は「ル」の存在により全体として男性的な印象を与える。
(2)差異音は明瞭に発音される
両商標の語頭音「メ」は鼻子音[m]と母音[e]が結合した音である。鼻音[m]は鼻へ空気を通して調音し、内にこもった音として発音、比較的弱い音として聴取される。
一方、差異音「リ」「ル」の子音[r]は弾き音ないし流音で、内にこもることなく、外に向かって明瞭に発音される。
したがって、「中間部に位置する」という位置のみを根拠として差異音が聴別され難いとした原査定の認定はその前提を欠き妥当でない。
本願商標は「メ」「リ」「ト」と、引用各商標は「メ」「ル」「ト」とほぼ同等の強さで明瞭に発音される。そして、語尾音「ン」が弱音で称呼全体に及ぼす影響が微弱なものであってみれば、たとえ中間音であっても「リ」「ル」の差異は全体の称呼に及ぼす影響は大きい。
(3)アクセントが異なる
日本語のアクセントは「高低アクセント」であるから、音の高さが高いところにアクセントが置かれやすい。両商標のように造語の場合、アクセントの学習をする機会はないので、音の性質に従ってアクセントが発生し、本願商標では「リ」に、引用各商標では「メ」にアクセントが置かれる。
(4)連想する意味合いが異なる
本願商標も引用各商標も造語であるが、商標の文字の構成あるいは音から馴染まれた言葉を連想し、本願商標「Meriton」からは英語「merit」を、引用各商標「メルトン」からは英語「melt」を連想する。
(5)差異音が全体に及ぼす影響
以上のとおり、差異音は、決して弱く前後の音に埋没してしまうものではなく、称呼全体に及ぼす影響は決して小さいものではなく、両商標の印象を左右し、聴き紛れることのないものとするに十分である。
(6)むすび
したがって、本願商標と引用各商標とは、称呼においても紛れることのない非類似の商標である。
3 証拠方法
請求人は、請求書記載のとおり甲第1号証ないし甲第4号証を提出した。
第4 当審の判断
1 そこで、本願商標と引用各商標との類否について検討する。
(1)本願商標は、上記のとおり「Meriton」の欧文字を横書してなるものであり、特定の語義を生じない造語と認められ、その構成文字に相応して「メリトン」の称呼が生ずる(この点については請求人も争わないところである。)。
(2)引用各商標は、上記のとおり「メルトン」の片仮名文字を横書きしてなるところ、特定の語義を生じないものと認められ、その構成文字に相応して「メルトン」の称呼が生ずることは明らかである。
(3)本願商標と引用各商標とは、前者が欧文字、後者が片仮名文字であり、外観上は相違するものである。
また、両商標は、いずれも特定の語義を生ずるものではなく、また、特定の語を連想するものでもないから、観念については比較することはできない。
(4)本願商標より生ずる「メリトン」と引用各商標より生ずる「メルトン」とを比較すると、両称呼はいずれも4音構成よりなり、称呼の識別上重要な要素を占める冒頭音「メ」と末尾の2音「トン」を共通にし、中間音である第2音において前者が「リ」後者が「ル」の音において相違があるのみである。
しかして、両称呼における相違する第2音「リ[ri]」と「ル[ru]」は、いずれも舌面を硬口蓋に近づけ、舌先で上歯茎を弾くようにして発音する有声子音[r]を同じくし、該[r]の音は歯茎音の中で最も弱い音であり、子音の中で必ずしも明瞭に発音される音ということはできず、しかも称呼の識別上印象の薄い中間に位置する音である。
そうすると、本願商標の称呼「メリトン」と引用各商標の称呼「メルトン」とは、それぞれ時と処を異にして一連に称呼するときは、取引者、需要者をして全体の語調、語感が近似した印象、連想等を与えるものであって、称呼において互いに相紛れるおそれのある類似するものである。
そして、我が国では一般に欧文字の語が、その発音に従って読み易い片仮名文字をもって表示されることがあることをも考慮すると、両商標における欧文字と片仮名文字という外観上の相違が需要者の印象、記憶、連想等に与える影響は、それほど大きいものではないとみるのが相当である。
してみれば、本願商標と引用各商標とは、観念においては特定の意味を生じないものであって比較することができないが、外観において相違するものであっても、前記認定したとおり称呼において互いに紛れ易いものであり、全体として出所の混同を生ずるおそれのある類似する商標であるといわなければならない。
請求人は本願商標の指定商品について上記第1に記載のとおり補正しているところ、補正された指定商品は、引用各商標の指定商品と同一又は類似するものである。
2 請求人は、本願商標の称呼「メリトン」は「リ」の存在により全体として女性的な印象を、引用各商標の称呼「メルトン」は「ル」の存在により全体として男性的な印象を与える旨主張する。
しかしながら、請求人提出の甲第3号証(松島▲廣▼美著「国際ネーミング」)によれば、母音「i」が女性度が高い、母音「u」が男性度が強いと述べているにすぎず、これら母音の相違により本願商標及び引用各商標の全体の称呼について、請求人主張の如き印象を生ずるとする事実は認められないから、請求人の主張は採用することができない。
請求人は、本願商標では「リ」に、引用各商標では「メ」にアクセントが置かれる旨主張するが、本願商標及び引用各商標は、いずれも特定の観念、特定の語を連想しないものであることからすると、特定の音にアクセントを置くことなく称呼される。
3 以上のとおり、本願商標は商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、本願を拒絶した原査定は、取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
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