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Trademark Appeal Case

Digital ABSの識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2004−25785(T2004−25785/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、「Digital ABS」の文字を標準文字により書してなり、第12類「制動装置」を指定商品として、平成16年2月16日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点

原査定は、「本願商標は、デジタル制御の車輪のロックを防ぎ操舵性の確保や方向安定性などを図るための自動制御システムであることを認識させる『Digital ABS』の文字を表してなるから、これを本願指定商品中前記文字に照応する商品に使用するときは、単に商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標である。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断

(1)本願商標は、前記のとおりの構成よりなるところ、「Digital」及び「ABS」の各文字を結合したものと認められ、その構成中の「Digital」の文字は「物質・システムなどの状態を、離散的な数字・文字などの信号によって表現すること。ディジタル。」(大辞林 三省堂発行)の意味を有する語として、「ABS」の文字は、「アンチロックブレーキシステム(anti lock braking system)」の略語を表し「急制動時や雪道などにおいて、車輪のロックを防ぎ操舵性の確保や方向安定性などを図るための自動制御システム」(自動車用語中辞典 山海堂発行)等の意味を有する語としていずれも一般に親しまれているものといい得るものであり、普通に使用されている語である。

また、データをデジタル信号に置き換えて演算処理を行うマイクロプロセッサによってデジタル制御された機械器具・装置を表示するのに、例えば、溶接機について「デジタル溶接機」(http://www.daihen.co.jp/new_info/20040608.htm)、印刷機について「デジタル印刷機」(http://www.medialinker.co.jp/equipment_digital.html)、鉄道における保安装置の一種で、自動的にブレーキ制御を行う自動列車制御装置(Automatic Train Control)について「デジタルATC」(フリー百科事典ウィキペディア(Wikipedia)http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A1%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%B8『自動列車制御装置』の項参照)のように称し、普通に使用されているものである。

ところで、近年、マイクロコンピュータの発達と普及は自動車のあらゆる部分での制御を高度化、高機能化し、安全性、快適性の向上を実現するためにABS等のさまざまな装備がマイクロプロセッサを用いたデジタル制御によって機能している実情がある。

そうとすれば、本願商標は、その構成全体から、「デジタル制御による車輪のロックを防ぎ操舵性の確保や方向安定性などを図るための自動制御システム」の意味合いを有するものとして容易に認識、把握され得るものとするのが相当である。

してみれば、本願商標は、その指定商品中、「アンチロックブレーキ装置」に使用するときは、その取引者、需要者は、全体として、「デジタル制御によるアンチロックブレーキ装置(車輪のロックを防ぎ操舵性の確保や方向安定性などを図るための自動制御装置)」であることを表示したものとして理解し、把握するに止まり、自他商品を識別するための標識とは認識し得ないものと判断するのが相当である。

(2)そして、前記の認定、判断は、例えば、次の(a)ないし(d)のインターネット情報及び新聞記事によっても、既にデジタル制御されたABS(アンチロックブレーキシステム)が一般的に普及していることからみても妥当なものとして是認できる。

(a)インターネットの「http://www1.harenet.ne.jp/~noriaki/link65.html」のホームページには、「クルマの安全について(アクティブ・セーフティ)」の見出しの下に「アクティブ・セーフティの中で代表的なものが、ABS(アンチ・ロックブレーキ・システム)である。緊急時ブレーキでタイヤがロックを防ぐ装置で、クルマの方向性を確保することによって、事故を未然に防ぐ効果があるという。1980年代に入り、エレクトロニクス技術の発展によって、ABSはデジタル制御になった。」の記載がある。

(b)インターネットの「http://sociosys.mri.co.jp/ITS/member/online/carcomp.html」のホームページには、「車載コンピュータの展開〜 車載コンピュータネットワークと新たなAPI 〜」の見出しの下に「車内のコンピュータシステム 現在、自動車に関わる多くの機器がCPUを用いたディジタル制御により機能しています。燃料噴射をはじめとするエンジン制御やアンチロックブレーキシステム等の走行に欠かせないものからオーディオやカーナビゲーション等、その数は枚挙にいとまがありません。・・・」の記載がある。

(c)1997年2月15日付け読売新聞東京朝刊の9頁には「ステーションワゴン『オルティア』を一部改良し発売/本田技研工業」の見出しの下に「本田技研工業は、ステーションワゴン『オルティア』を一部改良し、発売した。排気量1.8−2リットルのDOHCエンジンを搭載。全車種に運転席・助手席エアバッグや、制動距離を縮めるデジタル制御のABS(アンチロック・ブレーキ・システム)を標準装備し、安全性を高めたという。」の記載がある。

(d)1990年7月18日付け化学工業日報の5頁には「日本テキサス・インスツルメンツ、自動車用ICに注力」の見出しの下に「日本テキサス・インスツルメンツ(TI)は、自動車用IC、制御システム事業を強化している。・・・また安全なブレーキ制動を行うABSの採用例も確実に増えている。これらのシステム制御にはICによるデジタル制御が必要であり、日本TIが得意とするDSPを生かせる分野となっている。・・・」の記載がある。

(3)そうとすれば、本願商標は、その指定商品中、「アンチロックブレーキ装置」に使用するときは、その取引者、需要者をして、その商品の品質を表示するものと認識させるものであるから、商標法第3条第1項第3号に該当し、また、前記以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。

したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び第4条第1項第16号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であり、取り消すことができない。

よって、結論のとおり審決する。

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