Trademark Appeal Case
称呼類似と出所混同
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成5年審判第15378号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、別紙に示すとおり、「VOGUE CO.,LTD.」の欧文字よりなり、第17類「洋服、オーバーコート、レインコート」を指定商品として、昭和62年7月28日に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由
原審において、登録異議の申立てがあった結果、原査定は、本願商標は商標法第4条第1項第15号に該当する、との理由をもって本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
(1)本願商標の構成について
本願商標は、「VOGUE CO.,LTD.」の欧文字よりなるところ、該構成の全体からは、特定会社に係る会社名称の英文表記と看取される場合があるとしても、一般に、事業者が自己の事業を表彰するために使用する会社の名称、すなわち、商号は、商法所定の定めにより、会社組織の別を表すために義務づけられている表示であって、その限りにおいて一つの名称としての意義、機能を有するものであるが、一方、これを事業者が自己の取扱いに係る商品について、商標として使用する場合(いわゆる「商号商標」)は、専ら商標としての機能が問われる故にその登録の可否等については、通常の商標の場合と同様に考察すべきものと解するのが相当である。
したがって、商号商標といえども、他人の業務に係る商品等と混同するかどうかの判断に当たっては、通常の商標の場合と同様、商標自体の構成、需要者一般の注意力及び当該他人に係る商標の著名の程度等諸般の事情を考慮の上、取引の実情に照らし具体的に判断すべきものと解される。
そうすると、たとえ、本願商標が請求人会社に係る会社名称の英文表記ないしはその慣用的表示であるとしても、構成中、後半の「CO.,LTD.」の文字部分は、会社名称を英文表記する場合の一般的表示法の一つであって、それ自体が単独に商品識別の機能を果たし得るものとはいい難いから、本願商標に接する取引者、需要者は、構成中冒頭の「VOGUE」の文字部分を主要な構成部分と捉え、それをもって取引指標とする場合も決して少なくないといわなければならない。
(2)「VOGUE」商標の著名性と出所混同のおそれについて
原審における登録異議申立人(「ザ・コンド・ナスト・パブリケーションズ・インコーポレーテッド」、現在の「アドバンス・マガジン・パブリッシャーズ・インコーポレーテッド」、以下、「申立人」という。)の提出に係る証拠(甲各号証)及びその主張の全趣旨を総合勘案するに、本願商標の出願時である昭和62年当時はもとより(現在その著名性が衰えたことを認めるに足りる証拠はない。)、それ以前において、「VOGUE」の文字よりなる標章(以下、「VOGUE商標」という。)は、日本国内において、申立人の発行に係り、世界的に有名なファッション雑誌である「VOGUE」(「ヴォーグ」)誌の題号として、服飾関係のデザイナーはもちろん、ファッションに関連する商品の取引者、需要者間において広く認識せられた商標と認められる。
また、申立人は、早くからわが国において、印刷物等の商品についてVOGUE商標の商標登録を受け(商標登録第655209号、昭和39年10月9日登録)、さらに、この間、該商標権に基づき被服類その他広範な商品分野に亘って防護標章登録を取得し、「VOGUE」商標の著名性の確保を図るとともに、他人による商標登録への防御策を講じていることが認められる。
そして、本願商標の指定商品(「洋服、オーバーコート、レインコート」)とVOGUE商標の使用に係る商品(「ファッション雑誌」)とは、その性質こそ違え、一方はファッションに関連する諸情報を提供する媒体物であり、他方はそれらファッション情報に係る商品の具象物という点で密接に関連し、かつ、需要者層の範囲(特に女性層)を共通にする場合が多いといえるものである。
さらに、本願商標にあって、構成上又は商品の出所を識別する上で、主要な構成部分というべき冒頭の「VOGUE」の文字部分は、VOGUE商標と同一の文字綴りと認められる。
そうすると、本願商標をその指定商品について使用した場合、これに接する取引者、需要者は、前記事情よりして、該商品が申立人または申立人と事業上何らかの関係を有する商品であるかの如く、その出所を混同するおそれが少なからずあるといわなければならない。
(3)請求人の主張について
請求人は、請求理由において、VOGUE商標の著名性については容認する旨述べる一方、▲1▼本願商標とVOGUE商標とは文字の態様を異にし外観印象が大きく違うこと、▲2▼本願商標は請求人商号(「株式会社ボオグ」)の英文表記であり、かつ、同商号は、請求人に係る登録商標(商標登録第655209号)として申立人に係る商品と混同することなく30年間使用してきたものであって、一般需要者の間で周知されていること、▲3▼請求人「株式会社ボオグ」の販売実績は、昭和40年代末から同50年代初頭にかけて年商15億円乃至20億円の実績があり、その商号商標及びその英訳名である本願商標をもって長年の信用を蓄積し需要者の間に営業上の独自の信用を築いてきた、とする旨主張し、第1号証乃至第116号証の書証を提出している。
しかしながら、それら主張及び提出の書証をもって前記認定を覆し得るものとはいい難く、本願商標の他人の業務に係る商品との混同可能性を否定する根拠とすることはできない。
すなわち、本願商標中の「VOGUE」の欧文書体は、各文字ともセリフ部がなく全体に肉太である点等において、VOGUE商標の書体と相違するものとしても、構成各文字は共に明瞭でありかつその綴りも同じくするものであるから、取引場裡において、需要者一般がかかる欧文書体の細部の違いまでを正確に記憶に留め、それぞれの出所を判然と区別し得るとみるのは到底困難というべきであり、したがって、この点を理由に、本願商標がVOGUE商標と混同しない旨述べる請求人の主張は採用することができない。
また、本願商標に係る英文表記の使用事例は、僅かに第8号証の2(昭和52年2月23日付繊研新聞抜粋写し)のみであって、ほかに、英文表記が商号商標と同様に使用されたとする証拠は見出せないから、これをもって英文表記が需要者に広く周知されたとする事実を証明し得るものとはいい難く、ほかに該事実を客観的に認め得る証拠はない。
さらに、請求人の提出に係る第29号証乃至第116号証の書証は、請求人からその取引先とみられる国内各地の小売業者に対し、予め印刷された当該証明事項の文面の通り相違ないことを証明する、という定型様式の各一片の証明書であって、通常、かかる内容の証明事項を第三者が証明するとした場合、証明事項に関して客観的に判断し得る具体的な事柄ないしは関連資料を伴うことなく証明することは困難と考えられるにも拘わらず、本証明書の一群は、それら関連資料を何ら伴うものではないから、当該証明者が如何なる資料に基づき具体的に証明をなし得たものか、その状況は不明というほかはなく、したがって、これら書証をもって請求人主張の本願商標の周知性を立証し得るものとは認め難い。したがって、この点を述べる請求人の主張は採用することができない。このほか、本願商標の周知性を認め得る証拠はない。
(4)結語
以上のとおり、本願商標は商標法第4条第1項第15号に該当するものといわざるを得ないから、これを理由に本願を拒絶した原査定は妥当であって、取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
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