sokuhyo

Trademark Appeal Case

指定役務の適格性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2002−9102(T2002−9102/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第9類「電気通信機械器具,電気通信機械器具の部品及び付属品,テープレコーダー用テープ,レコード原盤,レコード,EPレコード,LPレコード,録音済みの磁気カード・磁気シート及び磁気テープ,録音済みのコンパクトディスク,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,家庭用ビデオゲームおもちゃ」、第16類「印刷物」、第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,マフラー,耳覆い」、第35類「広告,雑誌による広告の代理,新聞による広告の代理,テレビジョンによる広告の代理,ラジオによる広告の代理,車両の内外における広告の代理,屋外広告物による広告,街頭及び店頭における広告物の配布,商品の実演による広告,郵便による広告物の配布,広告文の作成,ショーウインドーの装飾,トレーディングスタンプの発行,経営の診断及び指導,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,財務書類の作成又は監査若しくは証明,職業のあっせん,輸出入に関する事務の代理又は代行,新聞の予約講読の取り次ぎ,書類の複製,ビデオの複製,電子計算機・タイプライター・テレックス又はこれらに準ずる事務用機器の操作,文書又は磁気テープのファイリング,建築物における来訪者の受付及び案内,広告用具の貸与」、第36類「建物の管理,建物の貸借の代理又は媒介,建物の貸与,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,建物又は土地の鑑定評価,土地の管理,土地の貸借の代理又は媒介,土地の貸与,土地の売買,土地の売買の代理又は媒介,建物又は土地の情報の提供」、第38類「移動体電話による通信,テレックスによる通信,電子計算機端末による通信,電報による通信,電話による通信,ファクシミリによる通信,無線呼出し,テレビジョン放送,有線テレビジョン放送,ラジオ放送,報道する者に対するニュースの供給,電話機・ファクシミリその他の通信機器の貸与,放送番組等の制作における演出,映像機器・音声機器等の機器であって放送番組等の制作のために使用されるものの操作」、第41類「音楽の演奏会・講演会・談話会・展示会又はコンテストの企画・運営又は開催,技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナー・会議・討論会又は教育研修の企画・運営又は開催,図書及び記録の供覧,美術品の展示,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),映画の上映・制作又は配給,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,放送番組の制作,ゴルフの興行の企画・運営又は開催,音響用又は映像用のスタジオの提供,娯楽施設の提供,映写フィルムの貸与,レコード又は録音済み磁気テープの貸与,録画済み磁気テープの貸与,遊戯用機器の貸与」及び第42類「宿泊施設の提供,宿泊施設の提供の契約の媒介又は取り次ぎ,飲食物の提供,写真の撮影,オフセット印刷,グラビア印刷,スクリーン印刷,石版印刷,凸版印刷,気象情報の提供,求人情報の提供,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,コンピュータ又はコンピュータネットワーク(無線によるものを含む)による処理を利用した顧客に関するデータ・顧客の名刺の映像及びメッセージの供給,電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む。)の貸与,衣服の貸与」を指定商品及び指定役務として、平成12年5月31日に登録出願されたものである。そして、指定商品及び指定役務についは、平成13年8月6日付け及び当審における同14年9月11日付けの手続補正書において、第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,マフラー,耳覆い」及び第36類「建物の管理,建物の貸借の代理又は媒介,建物の貸与,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,建物又は土地の鑑定評価,土地の管理,土地の貸借の代理又は媒介,土地の貸与,土地の売買,土地の売買の代理又は媒介,建物又は土地の情報の提供」と、補正されたものである。

2 原査定の理由

原査定は、以下の(1)ないし(4)のとおり認定、判断し、本願を拒絶したものである。

(1)本願指定役務中には、公認会計士でなく、かつ、その資格を得ることができない法人(監査法人を除く)である出願人が、業として行うことが禁止されている役務「財務書類の監査若しくは証明」を含むものである。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項柱書の要件を具備しない。

(2)本願商標は、黒塗りの四角形内に「ichimarukyu.com」と書された文字より構成されている。ところで、東急グループは東京・渋谷駅近辺に「渋谷109」という名称の若者向け専門店ビルを本願商標の出願日以前より出店し、そこでは衣料品、雑貨あるいは飲食などさまざまな業種が営業をしており、該ビルは単に『イチマルキュウ』と呼ばれ、親しまれているところである。そこで本願商標についてみると、その構成中の『ichimarukyu」の文字は、『イチマルキュウ』をローマ字で表したものと容易に理解できるところである。そうとすると、『東急グループ』が使用している商標と類似する文字を含む本願商標を出願人が自己の商標として使用するときは、需要者をして、該者の承諾を得たもの又は該者と関連を有する者の取扱に係る商品であるかのように、その出所について誤認・混同を生ぜしめるおそれがあるものであって、公正な商取引の秩序、ひいては公の秩序を害するおそれがあるものといわざるを得ない。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。

(3)本願は、政令で定める商品及び役務の区分第35類及び第38類に属さない商品(役務)を包含している。第35類に記載の「ビデオの複製」、第38類に記載の「放送番組等の制作における演出,映像機器・音声機器等の機器であって放送番組等の制作のために使用されるものの操作」は第41類に属する役務である。したがって、本願は、商標法第6条第2項の要件を具備しない。

(4)指定役務は、商標とともに権利範囲を定めるものであるから、その内容及び範囲は明確でなければならないところ、本願に係る第42類に記載の指定役務「コンピュータ又はコンピュータネットワーク(無線によるものを含む)による処理を利用した顧客に関するデータ・顧客の名刺の映像及びメッセージの供給」は、指定役務の表示としてはその内容及び範囲を明確に指定したものとは認められない。また、前記指定役務が不明確でその内容及び範囲が把握できないことから、政令で定める商品及び役務の区分に従って第42類の役務を指定したものと認めることもできない。したがって、本願は、商標法第6条第1項及び第2項の要件を具備しない。

3 当審の判断

(1)本願の指定商品及び指定役務が、上記1のとおり補正された結果、本願商標が商標法第3条柱書、同法第6条第1項及び第2項に該当するとして本願を拒絶した原査定の拒絶の理由は解消した。

(2)本願商標は、別掲のとおりの構成よりなるところ、その構成中「・」は、他の文字に比べて大きく表示されてはいるものの、本願商標全体としては、請求人も認めるとおり「ichimarukyu.com」の文字を表示したものと認識されるものである。

そして、その構成中「.com」の文字部分は、インターネットのドメイン名の末尾に付され、商用を意味するものとして「ドットコム」と称呼され、一般に広く知られ使用されているものであり、さらに、近年はインターネットを介して行う電子商取引が幅広い分野において行われている実情があることからすれば、当該文字部分は自他商品・役務の識別標識としての機能を果たし得ないというのが相当である。

そうとすると、本願商標の構成中前半部の「ichimarukyu」の文字部分が、独立して自他商品・役務の識別標識としての機能を果たし得るものと認められ、本願商標からは、「イチマルキュウドットコム」の称呼のほか、「ichimarukyu」の文字部分より、単に「イチマルキュウ」の称呼をも生ずるといわなければならない。

(3)ところで、東京渋谷駅近くには、若者向け商業施設(ファッションビル)「SHIBUYA109」があることは、一般に広く知られているものであるところ、平成18年2月14日現在の請求人のホームページ(http://www.1009.jp/coinfo/index.html)及び東急商業開発株式会社のホームページ(http://www.tmd109.jp/enkaku.html)並びに本件審判請求の理由の記載及び平成13年7月27日付けの東京急行電鉄株式会社提出に係る刊行物等提出書の記載によれば、以下のことが認められる。

(ア)請求人は、当該施設が建設され、開業する以前より、現在地において業務を営む者であったが、渋谷道玄坂再開発事業に参画し、他数社(者)と共同でビルを建設し、共有するオーナーの一人になった。

(イ)ビル名は、「道玄坂共同ビル」といい、当該施設は、1979年3月に完成し、同年4月に開業した。

(ウ)当該施設の開業当時の名称は、「ファッションコミュニティ109(イチマルキュウ)」であった。

(エ)1989年より現在の名称「渋谷(SHIBUYA)109(シブヤイチマルキュウ)」に変更された。

(オ)当該施設の運営は、東京急行電鉄株式会社が100%出資した会社である東急商業開発株式会社(旧社名はティー・エム・ディー株式会社)が現在行っており、当該施設へは、請求人又はその関係人を含む数多くのテナントが出店している。

(カ)当該施設の開業後、それに関連して開業した商業施設であって、その名称中に「109(イチマルキュウ)」を含むものが複数ある。

さらに、当該施設の名称中「109」の文字を「イチマルキュウ(イチマルキュー)」と称呼すること、当該施設の運営は、東急グループの東急商業開発株式会社(旧社名はティー・エム・ディー株式会社)が行っていること及び当該施設に関連して開業した商業施設であって、その名称中に「109(イチマルキュウ)」を含むものが複数あることは、例えば、以下の新聞記事情報等からも窺い知ることができる。

(ア)1986.08.25 朝日新聞 東京朝刊9頁

「東京急行 文化村構想もグループ一体で」の見出しのもと、「東急グループは54年、駅と「百貨店」本店を結ぶ通りに、ファッション・ビルの「109」(いち・まる・きゅう=「とうきゅう」)を設ける。文化村の建設も、西武への対抗策。」との記載がある。

(イ)1999.10.25 読売新聞 東京朝刊11頁

「経済だって『シブヤ系』 ファッションが人気、ベンチャーネット企業も集積」の見出しのもと、「日ごろは中高年の主婦でにぎわう名古屋市栄の老舗(しにせ)デパート丸栄が女子高生を中心とした若い女性に“占拠”された。お目当ては渋谷のファッションビル『SHIBUYA109(いちまるきゅう)』から出張してきた“カリスマ店員”たちだ。(中略)“カリスマ店員”を輩出している『SHIBUYA109』は東急百貨店の100%子会社のT・M・Dが運営している。バブル崩壊後は売り上げが低迷した時期もあったが、『18歳から23歳までの若い女性にターゲットを絞り、他のファッションビルや百貨店と差別化できるようベンチャー系の企業を集めた』(T・M・D・杉崎弘明常務)のが功を奏して、不況が深刻化した97年下期以降も売り上げを伸ばし続けている。」との記載がある。

(ウ)1999.12.22 読売新聞 中部朝刊29頁

「岐阜市柳ヶ瀬に新風ブティック 『エゴイスト』の商品で若い女性を吸引=岐阜」の見出しのもと、「『エゴイスト』は、独特の色遣いでボディーラインをくっきりと強調したデザインが特徴のニューファッション。渋谷のファッションビル『109(いちまるきゅう)』のブティック『エゴイスト』の店員は“カリスマ店員”と呼ばれ、女子高生らのファッションリーダーとして話題を集めた。」との記載がある。

(エ)2002.10.25 読売新聞 東京朝刊32頁

「宇都宮『109』オープン1年 人気○でも目標の9割、伸びぬ売上高=栃木」の見出しのもと、「東京・渋谷で若者に人気の大型商業施設『SHIBUYA(渋谷)109(いちまるきゅう)』とほぼ同じ店舗をそろえた『109UTSUNOMIYA(宇都宮)』が、宇都宮市江野町に開店し、一年が過ぎた。」との記載がある。

(オ)2005.11.14 南日本新聞 夕刊

「企画[GOWASS−モード]ファッション新戦略/2つのビル、相次ぎリニューアル=鹿児島市・天文館」の見出しのもと、「二十歳前後に人気がある東京・渋谷のファッションビル109に入っているブランド店を誘致。雑誌に載っているが、福岡に行かなくては買えなかった商品をそろえた。(中略)おやじのための用語講座 109(イチマルキュー) 東京・渋谷駅近くにあり、10代を中心に若い女性に人気のファッションビル。略称マルキュー。ヒャクキュウとは読まない。このビルに入っている人気店はマルキューショップと呼ばれ、最新の商品が雑誌で紹介される。人気の店員は『カリスマ店員』と呼ばれる。ちなみに、東急百貨店の関連ビルなので名前が10(とお)9(きゅう)。」との記載がある。

(カ)1991.11.27 日本工業新聞 20頁

「東急百貨店、SCの地方展開に本格着手『109』 3倍の20ヵ所以上」の見出しのもと、「東急百貨店(社長・三浦守氏)は、ショッピングセンター(SC)事業の地方展開に本格着手する。東京・渋谷などに七つの施設がある『109』を当面、二十カ所以上に拡大する。(中略)SC『109』は、一〇〇%子会社のティー・エム・ディーを通じて運営している。七九年に東京都渋谷に『SHIBUYA109』をオープンして以来、『109−2』など三つを渋谷に開店。」との記載がある。

(キ)2003.01.07 繊研新聞 3面

「渋谷109運営会社の全株式を譲渡 東急百貨店」の見出しのもと、「東急百貨店は、百貨店本業に経営資源を集中するため、子会社のティー・エム・ディーとキューフロントの全株式を東京急行電鉄に譲渡した。ティー・エム・ディーは渋谷109などの運営会社で、収益面で貢献していた。」との記載がある。

(ク)2004.05.12 繊研新聞 3面

「ティー・エム・ディーが社名変更」の見出しのもと、「ティー・エム・ディーは、1日から会社名を東急商業開発(本社東京、久米基夫社長)に変更したと発表した。同社は「渋谷109」などを運営する東急グループの商業ディベロッパー。」との記載がある。

(ケ)http://ja.wikipedia.org/wiki/109(フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)

「109(商業施設)」の見出しのもと、「109(いちまるきゅう)は東急商業開発が展開するファッションビルの名称。由来は東急の読みの数字でのゴロ合わせから。1979年に東京都渋谷区道玄坂にオープンしたSHIBUYA109が旗艦店で、その店内のほとんどが10代〜20代の女性向けのテナントで占められている。その購買層からは「マルキュー」の略称で呼ばれている。また、ビル正面の壁面には旬のアーティストや商品の広告が掲げられていて、その時々の流行や文化をうかがうことができる。また、渋谷駅の北側向かいには109−2があり、10代女性向けのテナントが多く営業している。こちらは「キューツー」の愛称で呼ばれている。SHIBUYA109のほかに、KOHRINBO109(金沢市)、109MACHIDA(町田市)がある。2001年10月にオープンした初の地方出店「109UTSUNOMIYA」(宇都宮市)は売り上げ不振が続き2005年7月で撤退した。また、北陸地方の地場不動産会社の大洋不動産によるTOYAMA109(富山市)があったが、2000年9月にセプラに改称した」との記載がある。

(4)そして、「109」の文字が「東急グループ」を指称する「東急」を表すものであることも一般に広く知られているものである。

これについても、例えば、以下の新聞記事情報からも窺い知ることができる。

(ア)2005.12.17 朝日新聞 東京朝刊7頁

「キミの名は SHIBUYA109」の見出しのもと、「女子高生らコギャルファッションの火付け役として知られる日本を代表する総合ファッションビルだ。地上8階、地下2階建てで、10〜20代向けの洋服、雑貨店などが117店。通称「マルキュー」と親しまれる。海外でも有名で、あのヒルトン姉妹やベッカム夫人も立ち寄る。かつて恋文横町と呼ばれた東京都渋谷区道玄坂一帯の再開発に伴い79年に開業した。東急グループの東急商業開発が管理・運営に当たり、先代社長の五島昇氏が「ファッションコミュニティー109」と命名した。「109」は、「東急」を109(とうきゅう)で表現。営業が午前10時から午後9時までで、109店舗だったこと、百八つの煩悩を一つ超えた所からのスタートという意味を込めた。その後、複数の店舗を展開して地名を冠したため、「本家」も10周年の89年、「渋谷」を明確に打ち出した。」

(イ)2005.11.14 南日本新聞 夕刊

「企画[GOWASS−モード]ファッション新戦略/2つのビル、相次ぎリニューアル=鹿児島市・天文館」の見出しのもと、「二十歳前後に人気がある東京・渋谷のファッションビル109に入っているブランド店を誘致。雑誌に載っているが、福岡に行かなくては買えなかった商品をそろえた。(中略)おやじのための用語講座 109(イチマルキュー) 東京・渋谷駅近くにあり、10代を中心に若い女性に人気のファッションビル。略称マルキュー。ヒャクキュウとは読まない。このビルに入っている人気店はマルキューショップと呼ばれ、最新の商品が雑誌で紹介される。人気の店員は『カリスマ店員』と呼ばれる。ちなみに、東急百貨店の関連ビルなので名前が10(とお)9(きゅう)。」との記載がある。

(5)また、商業施設「SHIBUYA109」に端を発して開業した「109(イチマルキュウ)」関連の商業施設は、現在、「KOHRINBO109(コウリンボウ・イチマルキュウ)」(金沢市)、「109−2(イチマルキューツー)」(東京渋谷)、「109MACHIDA(イチマルキュウ・マチダ)」(東京町田市)において営業されていることが認められる。

(6)以上の実情を総合的に勘案すると、「109」の文字は、東急グループが、「SHIBUYA109」の開業以来、永年使用したことに加え、他の関連する商業施設でも使用されたことにより、本願出願前から現在に至るまで、一般には、「イチマルキュウ」と称呼され、かつ、「東急グループの運営に係る商業施設である」と広く認識されているものということができる。

さらに、請求人は、商業施設「ファッションコミュニティー109(SHIBUYA109)」の開業当時から、本願出願の時も含め現在に至るまで、当該施設の運営等について、よく知る立場にあった者であるから、請求人が単独で本願商標を出願したことは、「イチマルキュウ」標章について商標登録がないことを奇貨として、何らかの不正の目的があったものと推認されても、致し方のないところである。

(7)そうとすると、本願商標からは、上記(2)で述べたとおり、単に「イチマルキュウ」の称呼をも生ずると認められるものであるから、本願商標をその指定商品又は指定役務について使用するときは、これに接する取引者、需要者は、東急グループと何らかの関係がある者の業務に係るものであるかのように、商品又は役務の出所について混同を生ずるおそれがあるものと判断するのが相当であって、東急グループとは何ら関係のない請求人が本願商標を採択し、その指定商品又は指定役務について使用することは、公正な商取引の秩序を乱すおそれがあるから、本願商標を登録することは穏当ではないものといわなければならない。

(8)請求人は、「一般に商標法第4条第1項第7号に該当事項の解釈に当たってむやみに解釈の幅を広げるべきでなく、1号から6号までを考慮して行うべきであること(工業所有権逐条解説)から、限定的に、(a)猥褻な文字、図形(b)矯激な文字又は図形(c)皇室の尊厳を害する文字、図形(d)国際信義に反する商標(e)他の法律によって使用が禁止されている商標、国策上の観点からの限定して解釈されるべきであって、この点からも本願商標は商標法第4条第1項第7号に該当する商標ではない。」旨述べているが、商標法第4条第1項第7号に規定する公序良俗を害するおそれがある商標には、その構成自体がきょう激、卑わいな文字、図形である場合及び商標の構成自体がそうでなくとも、指定商品又は指定役務について使用することが社会公共の利益に反し、又は社会の一般的道徳観念に反するような場合が含まれ(東京高裁昭和27年10月10日判決・行政事件裁判例集3巻10号2023頁参照。商標法第4条第1項第7号に関する現行の商標審査基準も同旨である。)、さらに、その使用が不正な意図をもってされ、国際信義又は公正な取引秩序に反する場合もこれに当たると解される(東京高裁平成11年3月24日判決・判例時報1683号138頁、同平成11年12月22日判決・判例時報1710号147頁参照)から、採用の限りでない。

また、たとえ請求人が「SHIBUYA109」のビルオーナーの一人であること、出店者であること及びドメインネーム「ichimarukyu.com」を取得していることを考慮したとしても、東急グループとは関係のない者であることは明らかであるから、これも採用の限りでない。

したがって、本願商標が商標法第4条第1項第7号に該当するとして本願を拒絶した原査定は妥当であって、取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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