結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2004−31288(T2004−31288/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
登録第872428号商標(以下、「本件商標」という。)は、「マッハ」の文字を横書きにしてなり、昭和44年1月22日登録出願、第13類「手動利器、手動工具、金具(他の類に属するものを除く)」を指定商品として、同45年9月8日に設定登録されたものである。その後、同55年12月23日、平成2年11月26日及び同12年8月8日の3回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
請求人は、本件商標の指定商品中「手動利器」について、その登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第5号証を提出した。
本件商標は、被請求人、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが、本件商標を継続して3年以上日本国内において本件商標の指定商品中「手動利器」に使用した事実がない。
したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の要件を充足し本件商標の登録は、取消されるべきである。
(1)被請求人は、被請求人のトイレタリー事業を扱う株式会社エフティ資生堂(以下、「エフティ資生堂」という。)を通常使用権者として、本件商標と社会通念上同一の商標を、請求に係る商品中「レザー」 「ハンディレザー」について、本件審判の請求の登録前3年以内に使用している事実があるから本件商標は取消されるべきではない旨主張している。
しかし、この主張は、本件商標の使用についての主張として不適切なものである。何故なら被請求人は、エフティ資生堂が被請求人(弁駁書において「請求人」となっているが、「被請求人」の誤り)の100%子会社であると立証していないし、また、本件商標「マッハ」は商標「レザー」 「ハンディレザー」とは無関係な商標だからである。
(2)被請求人は、エフティ資生堂が本件商標の通常使用権者であると主張しているが、商標原簿上その登録はない。被請求人は更にエフティ資生堂が本件商標権者の100%出資の連結子会社で、本件商標の使用権を与えられている旨述べている。
しかし、乙第1号証及び乙第2号証をみるも、その「有価証券報告書」には「連結計算書類」は一切付されておらず、またトイレタリー事業部の担当は数社に分けそれぞれ為されておりその品目までは書かれていない。してみると、被請求人の主張は証拠によらない、単なる主張にすぎないことが明らかである。このように被請求人の主張は、それを裏付けるに足る証拠は何もないのみならず「契約自由の原則」 を主張しなければならない不当なものとなっている。
(3)被請求人は、本件商標を付した「レザー」 「ハンディレザー」 を主に業務用化粧品や客室用アメニティーグッズを販売する被請求人のグループ企業である資生堂アメニティーグッズ株式会社(以下、「資生堂アメニティーグッズ」という。)に販売し、更にその他鹿児島共和株式会社等の卸売や被請求人のグループ企業である株式会社ザ・ギンザ等に販売しているとし、その事実関係を示すため乙第5号証ないし乙第9号証を提出している。
よくみると、被請求人の子会社エフティ資生堂がトイレタリー事業を行い、その製品を同じく子会社のアメニティーグッズが同社カタログに収載して同社のトイレタリー商品として販売しているものであることが示されている。ここでの商標使用はすべて子会社によるもので、被請求人は実質的使用関与を何等していない。
もし被請求人が法的使用の主張を行うことを欲するならば、使用権の設定登録をするか、あるいは権利共有にすれば容易に問題は処理することができるはずであるにもかかわらず、それ等手続をしないでいることは被請求人の使用関与がないことがその理由であるとみることができる。
(4)さらに、被請求人が証拠上の指摘としてなす商標使用記載例をみてみると、それらはいずれも本件商標には当たらないものである。
先ず、乙第5号証の記載例は、「【6】(黒丸内に「6」の数字が白抜きで配されている。)828590 レザー(マッハ3 1枚刃)」及び「【13】(黒丸内に「13」の数字が白抜きで配されている。)828930 レザー(マッハ3 1枚刃)バラ」である。
これについて被請求人は、「マッハ3」の部分が本件商標の使用であるとしている。しかし、本件商標は、甲第2号証で明らかなとおり「マッハ」を片仮名で書いたものである。したがって、被請求人の挙示するこれ等の例は本件商標とは異なる別の商標であり、本件商標の使用には当たらないものである。
また、乙第6号証におけるその他5つの使用例として被請求人が挙げるところは乙第5号証における使用例と同じ態様であるから、ここにも本件商標の使用例がないことが明らかである。
さらに、乙第7号証における事例も何の意味か不明の「3」の文字を付したものでそれが本件商標と相違するものであることはいうまでもない。しかし、実質的理由をみると、請求人のかみそりは技術の革新により3枚刃の商品を導出しているのに対し、被請求人のかみそりは1枚刃の製品である。そのことは両者の相違をエフティ資生堂において十分に承知しているところと思われる。これと趣きを異にした乙第10号証の審決を本件に適用することは妥当でない。
(5)乙第7号証のカタログの一部を拡大コピーしたものについて、被請求人は、商標法第2条第3項第1号の使用に該当する旨述べている。
しかし、ここで問題なのは何が商標かであり、それは客観的に決めなければならないものである。もし「3」 「スリー」が商品記号であれば「マッハ」は「音速」ということになろう。結局問題は被請求人の使用があるのかが重要であり、それ以外の点は問題とする余地がほとんどないものである。
さらに、平成11年審判第30792号審決において不使用取消が認められなかった理由は、静かなドア(カームの音訳)についてであり、それは本件と異なった事案である。
(6)エフティ資生堂から鹿児島共和株式会社等への売上伝票(乙第8号証)は、商品コード番号を数字で表示したにすぎないものでそこに商標自体の使用は一切認められない。結局被請求人の商標使用はこれを認めることができない。
なお、最後に、乙第3号証カタログ中かみそりは有名な第3者のものが記載されており(シック、SCHICK)(甲第3号証、商標原簿、(甲第4号証、商標公報)、カタログ商品が誰の製造に係るものかカタログ自体から不明な使用例となっている。したがって、このカタログをもって被請求人の商標使用を認めることはこれまた不可能なところである。
(7)さらに、本件商標に関しそれが商標権者によって使用されているものでないことをインターネットによる資生堂アメニティグッズのカンパニープロフィールの説明において明記し、「さらに当社(アメニティグッズ)は“ご利用される方に快適をお届けする”ことをコンセプトに、資生堂製品にかぎらず、ホテルの客室用アメニティーグッズやパウダールーム用の小物・雑貨等も幅広く品揃えしており、皆さまの仕入業務のお役に立てるものと存じます。」と述べて実状を説明している(甲第5号証)。してみると、被請求人のアメニティーグッズのカタログにそれら商品がすべからく記載されているとする被請求人の主張は明らかに誤ったもので、その主張の信憑性に欠けるものである。
被請求人は、結論と同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第11号証(枝番を含む。)を提出した。
本件商標の使用者であるエフティ資生堂は、商標権者である被請求人の100%出資の連結子会社であり(乙第1号証及び乙第2号証)、被請求人は、かかる100%出資子会社による本件商標の使用について使用許諾を与えている。したがって、エフティ資生堂が本件商標の通常使用権者である。
なお、被請求人とエフティ資生堂との間で書面による使用許諾契約はないが、取引の経験則上100%の資本を有する子会社に自己の登録商標が付された商品を販売させるにあたって敢えて書面で使用許諾契約を締結することはないのが通例であり、被請求人もこれに倣ったものである。また、そもそも使用許諾は、商標権者と使用権者の意思表示の合意によって成立し、契約自由の原則により何らの方式も必要としない以上、書面による使用許諾契約が存在しないことは、特に問題とならない。
本件商標の通常使用権者であるエフティ資生堂は、本件商標を付した「レザー」「ハンディレザー」を主に業務用化粧品や客室用アメニティーグッズを販売する被請求人のグループ企業である資生堂アメニティグッズ(乙第3号証)に販売するほか、その他鹿児島共和株式会社(乙第4号証)等の卸売や同じく被請求人のグループ企業である株式会社ザ・ギンザ等に販売している。
その事実は、以下の乙第5号証ないし乙第9号証より明らかである。
(1)資生堂アメニティグッズ作成の商品カタログ
乙第5号証及び乙第6号証は、資生堂アメニティグッズが本件商標の付された商品を販売するために使用するカタログの写しであり、乙第5号証は2000年9月から、乙第6号証は2003年6月から使用されているものである。
乙第5号証には、以下の記載がある。
「【6】(黒丸内に「6」の数字が白抜きで配されている。)828590 レザー(マッハ3 1枚刃)」
「【13】(黒丸内に「13」の数字が白抜きで配されている。)828930 レザー(マッハ3 1枚刃)バラ」
また、乙第6号証には、以下の記載がある。
4頁:「【16】(黒丸内に「16」の数字が白抜きで配されている。)R10901 FTSレザーマッハ3(H) ハコ」
12頁:「1ヶ函 R10901 FTSレザーマッハ3(H)/業務用バラ R11907 FTSレザーマッハ3(バラ)」
44頁:「R10901 FTSレザーマッハ3(H)1ヶ函/R11907 FTSレザーマッハ3 バラ」
上記カタログ記載の商標のうち、「FTS」は通常使用権者である「エフティ資生堂」を表すもの、「レザー」部分はかみそりを表す英語の「RAZOR」をカタカナ読みしたものであり、商品の普通名称を表す部分である。また数字の「3」のアラビア数字部分は、一般に商品の記号、符号として取引上類型的に使用され、自他商品識別力のない部分と認識されるから、カタログに使用されている文字のうち、カタカナ「マッハ」部分が商標として使用されている部分となる。そして、かかる「マッハ」の表示は、本件商標の表示態様と同一である。
なお、平成11年審判第8471号(乙第10号証)においては、「Dpro3」からなる商標について「『3』の数字部分がこれら使途に用いられる記号、符号と認識し把握される」と認定されていることからも、上記判断は妥当である。
したがって、上記カタログ記載の商標の使用は、本件商標と社会通念上同一の商標の使用(商標法第2条第3項第8号)に該当する。
なお、乙第7号証として、上記カタログで販売されている商品の拡大コピーを提出する。かかる箱の裏面には、以下の記載があり、かかる使用は、商標法第2条第3項第1号の使用に該当する。
「エフティ資生堂レザー/マッハ3/<ハンディレザー>」
上記使用商標「マッハ3」のうち、「3」の数字部分は、上述したとおり、一般に商品の記号、符号として使用され、自他商品識別力のない部分と認識されるから、「マッハ」部分が商標として使用されている部分となり、かかる「マッハ」の表示は、本件商標の表示態様と同一である。
したがって、上記使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標の使用に該当する。また、かかる点については、以下の使用が社会通念上同一の使用と認められた審決(平成11年審判第30792号,乙第11号証)に鑑みても、妥当である。
なお、商品に使用される商標は、常に登録商標そのものが使用されるものとは限らず、当該登録商標に商品の記号、符号等を付加したりして使用することは、取引の実情に照らして明らかであり、このことは本件商標の指定商品を取り扱う分野のみならず、広く商品一般について行われているところである。
さらに、上記商品「レザー」「ハンディレザー」は、請求に係る商品「かみそり」に含まれていることは明らかである。
(2)エフティ資生堂から鹿児島共和株式会社等への売上伝票
乙第8号証は、品番「828930」又は「828590」の商品が鹿児島共和株式会社、ダイカ株式会社秋田支店、株式会社ザ・ギンザヘ取引されたことを示すエフティ資生堂の売上伝票である。
乙第5号証の商品カタログから明らかなとおり、本件商標が付された商品「レザー」「ハンディレザー」の品番は「828590」もしくは「828930」であるから、かかる売上伝票より、上記カタログ掲載の各品番に対応する各商品が取引されたことが客観的に明らかである。
また、売上伝票に記載の日付もそれぞれ「020925」(2002.09.25)、「030108」(2003.1.8)、「030403」(2003.4.3)、「021022」(2002.10.22)、「030611」(2003.6.11)となっており、これらはいずれも本件審判の請求の登録前3年以内のものである。
なお、乙第5号証のカタログは、乙第6号証のカタログが発行される2003年6月まで使用されていたものであり、その期間の本件商標が付された商品「レザー」「ハンディレザー」の取引は、かかる品番「828590」もしくは「828930」で取引されていたものである。
また、乙第9号証は、上記取引を示すエフティ資生堂ロジスティクス部作成の売上げ表一覧であり、上記の取引がされていることを示すものである。
しかして、前記乙号証と被請求人の主張を総合すれば、エフティ資生堂は、被請求人から本件商標の使用について許諾を受けた者、通常使用権者と認められるというのが相当である。
なお、連結子会社について、商法上、連結計算書類の作成義務があるとしても、本件審判において同書類が示されないことにより、前記認定を左右するものとはいえない。
(1)乙第3号証は、資生堂アメニティグッズのホームページの写しであるところ、この「会社概要」によれば、同社は被請求人のグループ企業の一であること、同社が業務用化粧品や客室用アメニティーグッズを販売すること、被請求人の製品を取り扱うことが認められ、乙第9号証をも併せみれば、エフティ資生堂の取引先であることが認められる。
そして、「取り扱い商品」欄の中には、「FTSレザーマッハ3(H) 1ヶ函」「FTSレザーマッハ3 バラ」の表示とともに各商品の実物の写真が掲載されている。
(2)乙第5号証は、資生堂アメニティグッズの商品カタログの写しであるところ、その2枚目には、「828590 レザー(マッハ3 一枚刃)紙箱入」「828930 レザー(マッハ3 一枚刃)バラ」の記載があり、これに対応した商品の実物の写真が掲載されている。そして、その最下段末尾には「2000.9」の表示があり、同カタログが2000年9月に作成されたものと推認される。
(3)乙第6号証は、資生堂アメニティグッズの商品カタログの写しであるところ、その4頁には「FTSレザーマッハ3(H)ハコ」の記載とともに、これに対応した商品の実物の写真が掲載されている。また、同12頁には「FTSレザーマッハ3(H)」の記載とその商品実物が掲載されている。さらに、同44頁には、「FTSレザーマッハ3(H)1ヶ函」「FTSレザーマッハ3 バラ」の記載がある。そして、同カタログの後ろから2枚目の最下段の右端に「03.6」の表示があり、これより、同カタログが2003年6月に作成されたものと推認される。
(4)乙第7号証は、商品実物の写しと認められるところ、その商品包装の裏面には、「エフティ資生堂レザー」の文字の下段に「マッハ3」と「<ハンディレザー>」とが二段に表示されており、その下に図案化した欧文字とともに「株式会社エフティ資生堂」と「東京都中央区銀座7−5−5」の記載を認めることができる。そして、下段の商品実物の写しは、包装の表面に表された青色系の四角を「H」状にした図形からして、乙第6号証にいう「Hマークシリーズ」の一を示したとみられるものである。
(5)本件商標は、「マッハ」の文字よりなるものである。そして、乙第5号証に示された商標「マッハ3」はその構成中「3」が商品の品番等として理解されるから、自他商品の識別機能を果たす主要部は「マッハ」にあるというのが相当である。
してみれば、当該主要な部分は、本件商標と同じ文字をもって構成されるものであり、かつ、称呼を同じにするものであるから、前記の商標は、社会通念上本件商標と同一の商標と認めて差し支えないものというべきである。
さらに、乙第7号証に示された商標は、その表示中「<ハンディレザー>」はハンディタイプのレザーを看取させ、商品の品質を表したと理解されるものであり、また、「3」は商品の品番等として理解されるから、この場合には、自他商品の識別機能を果たす主要部は「マッハ」にあるというのが相当である。してみると、当該主要な部分は、本件商標と同じ文字をもって構成されるものであり、かつ、称呼を同じにするものであって、さらに、他の文字や図形から独立して自他商品の識別機能を果たし得るといいうるものであるから、前記の商標は、社会通念上本件商標と同一の商標と認めて差し支えないものというべきである。
(6)乙第8号証の1ないし5は、いずもエフティ資生堂の売上伝票の写しである。そして、乙第8号証の1ないし同3は鹿児島共和株式会社との間の売上に係るものであるところ、同伝票の商品コード/品名の欄には「レザーホテルヨウバラ1(N)」とともに「828930」の表示があり、この番号は乙第5号証に示された商品の番号と共通の番号であることから、同商品を示したものとみるのが相当である。また、年月日の欄には「020925」の記載が認められ、2002年9月25日を示すものとみるのが相当である。
さらに、乙第8号証の4及び5をみると、前者は、エフティ資生堂とダイカ株式会社との間の、また、後者は、株式会社ザ・ギンザとの間の売上に係るものであるところ、いずれも、商品コード/品名の欄には「レザーホテルヨウ 1マイバ」とともに「828590」の表示があり、この番号は乙第5号証に示された商品の番号と共通の番号であることから、同商品を示したものとみるのが相当である。また、年月日の欄にはそれぞれ「021022」「030611」の記載が認められ、2002年10月22日、2003年6月11日を示すものとみるのが相当である。
そして、上記の事項は、乙第9号証のそれぞれの取引を示したとみられる欄の、「製品コード」「製品名」「得意先名」「年月」の各記載とも合致している。
してみれば、エフティ資生堂と鹿児島共和株式会社、ダイカ株式会社、及び株式会社ザ・ギンザとの間で、前記年月日に、本件商標と社会通念上同一の商標を付した商品「レザー」の取引がなされたものと推認し得るところである。
(7)「レザー」はかみそり、西洋剃刀を指す用語であり、上記の使用に係る商品「レザー」は、本件の取消請求に係る指定商品「手動利器」の範疇に属する商品というべきものである。
したがって、本件商標の登録は、その指定商品中「手動利器」について、商標法第50条第1項により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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