Trademark Appeal Case
称呼の類似性と末尾音
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成8年審判第1375号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本願商標
本願商標は、別紙に表示するとおりの構成よりなり、第28類「おもちゃ」を指定商品とし、平成5年9月29日登録出願されたものである。
第2 原査定の拒絶の理由に引用する商標
原査定が商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する商標登録第2333004号に係る商標(以下、「引用商標」という。)は、「モビロン」の片仮名文字と「MOBILON」の欧文字を二段に横書きしてなり、昭和56年12月2日登録出願、第24類「おもちゃ、人形、娯楽用具、運動具、釣り具、楽器、演奏補助品、蓄音機、レコード、これらの部品及び附属品」を指定商品として平成3年9月30日に設定登録されたものである。
第3 請求人の主張
1 請求の趣旨
「原査定を取り消す。本願商標は登録すべきものとする。」旨の審決
2 請求の理由
請求人は、審判請求書において「原審意見書において述べた如く、本願・引用両商標は類似しないものである」旨主張し、そのうえで、「詳細な理由は追って補充する。」としているところ、本件審判の審理終結に至るまで、理由の補充を行っていないが、原審意見書における請求人の主張は、次のとおりである。
本願商標は請求人が以前所有していた商標登録第1577339号商標「plasticant mobilo」を現在使用している態様で再出願したものであるところ、引用商標はその間に登録を受けており、両者は「プラスティカントモビロ」と「モビロ」の称呼において非類似とされたものである。
本願商標は、「plasticant」「mobilo」の欧文字において書体及び大きさを異にし、大書した「mobilo」が要部と考えられるが、「plasticant」は「plastic(プラスチック)」を「mobilo」は「mobile(自由に動く)」を連想させ、全体で「プラスチック製の自由に動くおもちゃ」を暗示させる造語商標である。
したがって、「plasticant」と「mobilo」の一体性は強く、本願商標からは「プラスティカントモビロ」の称呼が生ずる。
一方、引用商標は、第24類全商品を指定しているものの、願書によれば、出願人の業務が「つり糸製造業」となっているため、「ナイロン」「ビニロン」等と同様に繊維素材のイメージを有する商標であり、「おもちゃ」に使用する本願商標との間で互いに出所が混同されるおそれはない。
以上により、本願商標と引用商標とは外観、称呼、観念において類似するものでない。
第4 当審の判断
そこで、本願商標と引用商標の類否について検討する。
(1)本願商標は、別紙に表示するとおり、全体に丸みを帯びた図案化した態様の欧文字の小文字で「mobilo」と表示し、その欧文字の第1文字及び第2文字「mo」の上部に、「mobilo」の文字に比較して1/3程度の大きさで「plasticant」と小さく欧文字の小文字を活字体で表示した構成よりなるものである。
本願商標は、上記の構成、態様よりみて、その構成中の「mobilo」の文字部分が図案化した文字で大きく顕著に表示されていること、「plasticant」及び「mobilo」の文字について、我が国で最も普及している英語においては該当する語がなく、特定の語義が見出せず、構成文字全体よりも特定の観念が生じないことから、本願商標に接する取引者、需要者は、必ず「plasticant」と「mobilo」とを一体として認識するよりも、むしろ図案化し大きく顕著に表示されている「mobilo」の文字に着目し、この文字及びこの文字に相応して生ずる「モビロ」の称呼をもって取引にあたるとみるのが相当である。
(2)他方、引用商標は、「モビロン」の片仮名文字と「MOBILON」の欧文字を二段に横書きしてなるものであるところ、片仮名文字は欧文字の読みを特定するために表示されたものと容易に理解され、その構成文字に相応して「モビロン」の称呼が生ずることは明らかである。そして、引用商標は、我が国で最も普及している英語においては該当する語がなく、特定の語義を見出すことはできないから、観念のない造語商標と認められる。
(3)しかして、本願商標より生ずる「モビロ」と引用商標より生ずる「モビロン」の称呼について比較すると、両称呼は、称呼の識別上重要な要素を占める冒頭音を含めて「モビロ」までの構成音を全て同じくし、その異なるところは引用商標の末尾音に「ン」が付加されている点のみである。そして、末尾音は、冒頭音に比較して称呼の識別においては重要視されない音であるばかりでなく、「ン」の音は、鼻音で弱い音であって、他の構成音と比較してほとんど聴取し難い音となるものであり、印象の弱い音である。
そうすると、両称呼は、それぞれ一連に称呼するときは、全体の語調語感が近似したものとなり、本願商標と引用商標とは、聴者をして互いに相紛れるおそれのある称呼上類似する商標である。
次に、本願商標と引用商標とを外観について比較すると、本願商標は、前記(1)で認定したとおりその構成中の「mobilo」の文字部分が顕著なものである。他方、引用商標は、その構成中の片仮名文字の部分が「MOBILON」の欧文字部分のみからでも生ずる称呼をそのまま片仮名で記載しただけのものであって、欧文字との関連性が強いだけに、その印象がさほど強いとはいえないものであるから、その要部は「MOBILON」の欧文字部分と認められる。しかして、両者は、いずれも欧文字である点において共通であり、前者が小文字で図案化した態様であるのに対し、後者が大文字である点で相違する。そうすると、取引者、需要者が時と処を異にして、この外観に接する場合、上記共通点よりみて、外観上ある程度近似した印象、連想を生じさせるものであって、両商標の類似性を否定することはできない。
さらに、本願商標及び引用商標は、いずれも特定の意味は生じないものであるから、両者の観念の類否は検討することができない。
(4)請求人は、「本願商標は請求人が以前所有していた登録商標『Plasticant mobilo』を現在使用している態様で再出願したもので、引用商標はその間に登録を受けており、両者は『プラスティカントモビロ』と『モビロ』の称呼において非類似とされたものである」旨主張する。
しかしながら、上記登録商標「plasticant mobilo」は、同書、同大に一連一体に表示された商標であり、本願商標と構成及び態様が異なる商標であるから、本件とは事案を異にするものである。
請求人は、「『plasticant』は『plastic(プラスチック)』を『mobilo』は『mobile(自由に動く)』を連想させ、全体で『プラスチック製の自由に動くおもちゃ』を暗示させる造語商標である。したがって、『plasticant』と『mobilo』の一体性は強く、本願商標からは『プラスティカントモビロ』の称呼が生ずる。」旨主張する。
しかしながら、「plasticant」及び「mobile」については、特定の語義が見出せないことは前記(1)で認定したとおりであり、請求人主張の如き意味合いを連想することもないものというべきである。そして、これを覆すに足りる証拠もない。
(5)したがって、本願商標と引用商標とは、観念については検討すべくもないが、外観においてある程度類似する商標であり、かつ、称呼において類似するものであって、結局全体として互いに紛れ易い類似する商標であるといわなければならない。
そして、本願商標の指定商品「おもちゃ」は、前記した引用商標の指定商品に含まれるものである。
(6)結び
以上のとおりであって、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものであって、登録すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
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