Trademark Appeal Case
香味醤の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2003−7330(T2003−7330/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本願商標
本願商標は、「コウミジャン」の文字と「香味醤」の文字を上下二段に横書きしてなり、第3類「香料類,家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,かつら装着用接着剤,つけまつ毛用接着剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり,塗料用剥離剤,靴クリーム,靴墨,つや出し剤,せっけん類,歯磨き,化粧品,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布,つけづめ,つけまつ毛」及び第30類「調味料,食品香料(精油のものを除く。),アイスクリーム用凝固剤,家庭用食肉軟化剤,ホイップクリーム用安定剤,茶,コーヒー及びココア,氷,菓子及びパン,香辛料,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,コーヒー豆,穀物の加工品,アーモンドペースト,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,即席菓子のもと,酒かす,米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,食用粉類,食用グルテン」を指定商品として、平成14年2月4日に登録出願されたものである。
第2 原査定における拒絶の理由(要旨)
原査定は、「本願商標は、『においとあじわい』の意の『香味』の文字と『みそ状につぶしたもの』の意を認識する『醤』の文字とを一連に『香味醤』と書した上部に『コウミジャン』の文字とを2段に表してなるところ、例えば、新聞、インターネットおよび辞典類によれば、『生の唐辛子〜フレッシュな状態で半ペースト状にした香味調味料』、および『有吉・協会名誉顧問は、自社開発の香味醤開発について〜調味香エキスとして開発〜とんかつなど香味醤を使用したもの〜』(いずれも日本食糧新聞の記事)、『香味醤冷麺』の見出しおよび『香味醤〜コチュジャンに、韓国甘味噌、ゴマ油他、多数の香辛料を加えて仕上げた〜韓国風調味料。まろやかでこくのある辛みが特徴です。』、および中国料理のメニューとして、『鶏の香り揚げ香味醤』(いずれもインターネット)の記載、さらには、『醤』の文字は、”ひしお『肉醤・魚醤』。みそ・したじの類『醤油』”(岩波書店発行、広辞苑第5版)の記載がそれぞれ認められるため、結局、本願商標は、『香味を添えるみそ状のもの、または香味を添える醤(みそ・したじ)の類』の意味合いを認識させるものであるから、これをその指定商品中、『香味を添えるみそ状の調味料』に使用するときは、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、同第4条第1項第16号に該当する。」と認定、判断し、本願を拒絶したものである。
第3 当審の判断
1 本願商標は、前記したとおりの上下二段の構成よりなるところ、その下段中の「香味」、「醤」および「香味醤」の文字、およびこれらを含む文字は、各種辞典類、インターネットおよび新聞情報によれば、以下の事実(上記第2の事実認定を一部含む。)が認められる。
(1)「香味」または「『香味』を含む」文字について
(ア)1998年11月11日、株式会社岩波書店発行「広辞苑第五版」918頁
「香味」・・・においとあじわい。飲食物の香気。
「香味料」・・・飲食物に香味を添えるもの。との記載。
(イ)1993年12月25日第24刷、株式会社三省堂発行「大辞林」839頁
「香味」・・・においとあじわい。飲食物のかおりと味。
「香味料」・・飲食物に少量加えて香味を添えるもの。薬味。との記載。
(ウ)平成10年12月25日、社団法人 全国調理師養成施設協会発行「改訂 調理用語辞典」394頁
「香味野菜」・・・料理の香りづけや風味づけに使われる野菜。
「香味料」・・・食品や料理に少量添加すると香りや味が引き立ち、食欲を増進させる役割を持つもの。一般に香辛料と同じ意味で用いることが多いが、特に芳香と味をつけるものをいう。との記載。
(エ)2000年1月31日(原審での拒絶理由通知書では、「2000.02.31」と記載しているが、1月の間違い)、日本食糧新聞における「富士食品工業、「Oh!Hhot」で商談会」の見出しの下、
「香味料」・・・生の唐辛子〜フレッシュな状態で半ペースト状にした香味調味料。との記載。
(オ)平成10年4月5日、第6版新訂版第5刷、株式会社同文書院発行「総合食品辞典第6版ハンディ版」318および319頁
「香味」・・・食物を食べたときに感ずる香りと味とを総称して<香味>という。
「香味液」・・・合成清酒に清酒に似た香味を賦与するために使用される液であり〜。との記載。
(2)「醤」または「『醤』を含む」文字について
(ア)平成10年12月25日、社団法人 全国調理師養成施設協会発行「改訂調理用語辞典」743頁
チヤン「醤」・・・中国調理用の調味料で、みそのこと。〜代表的な醤は、ダイズが原料の黄醤、小麦粉が原料の甜麺醤、ソラマメが原料の豆瓣醤。ペースト状の調味料としての番茄醤、芝麻醤などである。との記載。
(イ)同辞典、792頁
ティエンミエンチヤン「甜麺醤」・・・小麦粉を原料にしたみそ。色が濃く、甘みがある。北京ダックに添えられるので有名である。との記載。
(ウ)同辞典、823頁
トウバンジャン「豆瓣醤」・・・中国語で豆瓣醤(トウバンチヤン)。ソラマメを原料とする中国の塩辛いみそ。〜豆板醤の字を当てることもある。との記載。
(エ)平成10年4月5日、第6版新訂版第5刷、株式会社同文書院発行「総合食品辞典第6版ハンディ版」909頁
マーボードウフ「麻婆豆腐」の項に掲載の「豆板醤」および「甜面醤」・・・〜「材料」豆腐とひき肉が主となり、四川特有の辛味をもつ調味料、<豆板醤(トウバンヂャン)、とうがらし味噌>、<甜面醤(テンメンヂャン、中国の甘味噌)>〜。との記載。
(オ)1998年11月11日、株式会社岩波書店発行「広辞苑第五版」1298頁
しょう「醤」・・・ひしお。「肉醤・魚醤」。みそ・したじの類。「醤油」。との記載。
(カ)同辞典1890頁
トウバンジャン「豆板醤・豆瓣醤」(中国語)ソラマメから作った中国の味噌。麻婆豆腐など、中国の四川料理に多く用いる。
(キ)1993年12月25日第24刷、株式会社三省堂発行「大辞林」2026頁
ひしお「醤・醢」・・・なめ味噌の一。との記載。
(3)「香味醤」の文字について(以下、いずれも平成18年1月18日現在「香味醤」なるワードでのインターネット検索結果)
(ア)東天紅 ホームページへようこそ!ご宴会 特選メニューなる見出しの下「大海老と季節野菜の四川省特産香味醤炒め」、「牛ヒレ肉の四川省香味醤ピリ辛仕上げ」(http://www.totenko.co.jp/contents/shop/kan/uenoten/rest/uenotokusen9.html)および、同忘年会新年会 ご宴会プランなる見出しの下「海老の四川香味醤炒め」(http://www.totenko.co.jp/enkai/04fuyu/nagoya/nagoya.html)との表示。
(イ)膳處漢ぽっちり(ぜぜかんぽっちり)京町家の古き時代の雰囲気のなかで、北京料理を!なる見出しの下、MENUとして「和牛ステーキ香味醤かけ」、およびその料理説明欄に「近江の和牛を使った自家製の特性香味ソース」(http://www.galu-kyoto.com/shop/0237_zezekan/)との表示。
(ウ)季節限定 秋のおすすめメニューなる見出しの下、「まぐろカマ スペアリブ 香味醤de豪快グリル」(http://www3.ocn.ne.jp/~nanpoo/04akichef.html)との表示。
(エ)ぐるなび−老虎東一居 六本木ヒルズ店 メニューなる見出しの下、「揚げ鶏さくさく香味醤だれ」(http://r.gnavi.co.jp/a384171/menu1.htm)との表示。
(オ)胡同文華 CHINOIS HALL 銀座コリドー街店 主な料理メニューなる見出しの下、「揚げ魚 香味醤」(http://www.hotpepper.jp/s/H000011699/food.html)との表示。
(カ)よってこや(阪東橋)なる見出しの下、「・・・韓風冷麺は、・・・汁に使われている香味醤も柑橘系・・・」(http://www31.ocn.ne.jp/~highbridge/r_yotteb.htm)との表示。
2 以上の記載および表示事実によれば、本願商標中の「香味」の文字部分は、「においとあじわい。飲食物の香気。飲食物のかおりと味、等」を意味する語であり、他の語と結合して、例えば「香味料、香味野菜、香味液」等の複合語を形成し、いずれも「匂いと味わいのある〜」の意味を有する接頭語としても一般に親しまれているものとみるのが相当である。
また、同様に「醤」の文字部分は、「肉醤、魚醤、みそ・したじの類、なめ味噌の一」や「中国調理用の調味料でみそのこと」を意味する語であり、やはり他の語と結合して、例えば、「豆瓣醤(豆板醤)、甜麺醤(甜面醤)」等の複合語を形成し、いずれも「〜みそ(状のもの)」の意味を有する接尾語としても一般に親しまれているものとみるのが相当である。
しかして、これらいずれも親しまれている「香味」および「醤」の語が結合したにすぎない「香味醤」なる本願商標からは、上記複合語の存在と相まって、単に「匂いと味(香味)を添えるみそ状、したじ状の調味料の類(たぐい)」を認識するに止まるものであって、自他商品識別力を有しないものといわざるを得ず、実際、インターネット上でも「香味醤」なる語が上記意味合いで普通に使用されているところである。
なお、「醤」の文字は、中国語においては、「チヤン」と称するが、我が国においては、「豆瓣醤、または豆板醤」が「トウバンジャン」、「甜麺醤」が「テンメンジャン」と称することが認められることから、本願商標中の上段に配した「コウミジャン」の片仮名文字部分は、単に下段の「香味醤」の文字の読みを表したものと無理なく認められるものである。
ところで、請求人(出願人)は、上記第2における日本食糧新聞の記事(「有吉・協会名誉顧問は、自社開発の香味醤開発について〜調味香エキスとして開発〜とんかつなど香味醤を使用したもの〜」)中の「有吉氏」は、出願人の現会長であること、併せて、「香味」または「醤」の文字を有する過去の商標登録例を示し、本願商標は登録されるべきである旨、主張しているが、当該新聞記事を考慮しない場合であっても、また、過去の登録例如何に関わらず、本審決時においては本願商標が自他商品識別力を有しないものとの認定、前記のとおりであって、請求人(出願人)主張により前記認定が左右されるものではない。
3 してみれば、本願商標をその指定商品中、例えば「匂いと味(香味)を添えるみそ状、したじ状の調味料およびその類(たぐい)」に使用しても単に商品の品質を表示するにすぎず、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるものと認める。
したがって、本願商標を商標法第3条第1項第3号および同第4条第1項第16号に該当するとして拒絶した原査定は、妥当なものであって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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