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Trademark Appeal Case

不使用取消と商標同一性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2005−30479(T2005−30479/J2)
審判種別取消
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第2704995号商標の指定商品中「回転電気機械及び配電用または制御用機械器具並びにこれらに類似する商品」については、その登録を取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第2704995号商標(以下、「本件商標」という。)は、「アイシーエム」の文字を横書きしてなり、平成4年3月31日に登録出願、第11類「電気機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く)電気材料」を指定商品として、同7年3月31日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のとおり述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし同10号証を提出した。

(1)請求の理由

本件商標は、その指定商品中「回転電気機械及び配電用または制御用機械器具並びにこれらに類似する商品」について、被請求人が過去3年間において使用していた事実を発見することができない。また、本件商標については専用使用権者又は通常使用権者の登録は存在しない。さらに、本件商標が上記商品について不使用であることに正当な理由があるとも考えられない。

したがって、本件商標の指定商品中上記商品についての登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。

(2)答弁に対する弁駁

ア 本件使用商標は本件商標と社会通念上同一のものとはいえない。

本件商標は、片仮名文字で「アイシーエム」と横書きしてなる商標である。これに対して、使用商標1ないし使用商標8(以下「本件使用商標」という。)は、いずれも、ブロック体の英文字で「ICM」と横書きしてなるもの、あるいは当該「ICM」の文字に仮名文字、記号、数字あるいは他のアルファベット文字を付加してなるものである。

本件使用商標は、本件商標とは構成文字が全く相違し、外観において本件商標と同一のものとはいえないことが一見して明らかである。本件使用商標は本件商標と外観を著しく異にする。

それのみならず、本件使用商標は、本件商標と観念においても相違する。すなわち、本件商標を構成する「アイシーエム」の文字は特定の意味合いを有しないから、本件商標から特定の観念は生じない。一方、本件使用商標の上記構成文字は特定の意味合いを有しないから、本件使用商標からも特定の観念は生じない。したがって、本件使用商標は、観念においても本件商標と同一のものとはいえない。

なお、被請求人は、本件商標と本件使用商標は「被請求人に係る『PCカード用コネクタ』及びその周辺部品のシリーズ名を想起せしめる点で観念も共通」すると主張するが、本件商標からも本件使用商標からもそのような観念が生じないことは明らかである。

本件使用商標は、外観のみならず観念において本件商標と相違するものであるから、本件商標と社会通念上同一のものとはいえない。

イ 本件商品は取消請求に係る指定商品に該当しない。

(ア) 被請求人は、本件審判請求の登録前3年以内に本件使用商標を「PCカード用コネクタ」及びその部品である「メタルカバー、フレーム、リアカバー」(以下、これらを併せて「本件商品」という。)に使用したと主張している。

しかしながら、被請求人の提出に係る乙第1号証の商品カタログの第5頁には、「ICM/ICMBシリーズ」と呼ばれる商品の「概要」として「ICM、ICMBシリーズはJEITA・PCMCIAに準拠して開発されたPCカード・カードバスPCカード用キット及びスロットコネクタです。」なる記載が存在し、「パソコン、FA、PDA、通信機器」が「主な用途」とされている。

また、乙第1号証のカタログの第3頁の「PCカード用コネクタICM,IMCB,RMC,RMCA,RMCB&PCカードフレームキットシリーズ」と題した記載では、PCカードの構造が図解され、その構成要素(部品)として、下メタル、PCカード側68芯ソケットコネクタ、PCカード用I/Oコネクタ(基板用)、PCカード用メタルコネクタ(基板用)、PCカード用I/Oコネクタ(ケーブルカバー用)、フレーム、PCカード用フレーム(フレームキット)、PCカード用メタルカバー(フレームキット)、上メタル、並びにPCカードスロット側ピンコネクタが表示されている。

乙第1号証におけるこれらの記載から、本件使用商標がPCカードの上記構成部品に使用されていることが明らかである。

さらにまた、被請求人による本件商品に関する取引書類について下記のとおり説明している。

取引書類等に表示される製番は、(a)シリーズ名(ICM)、(b)芯数、(c)コンタクトの形状(ライトアングル雄ディップ)等から構成され、たとえば、「基板用ライトアングル・ディップタイプ雄コネクタ」において、芯数が68、コンタクトの形状がライトアングル雄ディップ、インクジェットボタンの長さが5.6mm、基板取付方法がネジ止め、適合基板厚が1.6mmのものについては「ICM−68MC」のように表示され(第10頁)、また、芯数が68、コンタクトの形状がライトアングル・ディップ雄、基板取付方法がFG端子付アースロックピンのものについては「ICM−68LMDGT」のように表示される(第11頁)」

かかる記載は、本件商品が、PCカードに適合する特殊な形態及び寸法において精密に設計されたPCカード専用のコネクタであることを示すものである。

ここで、「PCカード」とは、「米国のPCMCIAと日本電子工業振興協会が共同で制定したパソコン用カード周辺機器の規格。現在ではほとんどのノートパソコンや一部のデスクトップパソコンがPCカード用スロットを備えている。」とされ、「フラッシュメモリカードやハードディスク、SCSIカード、LANカード、モデムカードなどに利用される」ものであり、電気通信・コンピュータの周辺機器として把握されるものである。

また、上述のとおり、乙第1号証の商品カタログ中の本件商品に関する上記記載には、「JEITA・PCMCIAに準拠して開発された」、「カードバス」なる文字が存在する。

「PCMCIA」については、「米国にあるPCカード規格の標準化団体」、「携帯型パソコンに接続するICカードの仕様を策定するため、1989年6月に設立された米国の業界団体」、「JEITA」については、米国のPCMCIAと共同で携帯型パソコンに接続するICカードの共同規格「PCカード」を策定した国内の業界団体(日本電子工業振興協会・JEIDA)で、2000年11月に日本電子機械工業会と合併して電子情報技術産業協会(JEITA)となったもの、「カードバス」については、「PCカードで使われるバス(データ伝送路)の規格。PCカード規格の一部を構成する。」といった解説が電気通信・コンピュータ用語辞典等に掲載されている。

以上の観点に照らせば、本件商品は、パソコン、PDA(携帯情報端末)その他の通信機器に用いられるものであって(乙第1号証)、PCカード規格に準拠するカードの形状に適合する特殊な形態又は寸法で精密に設計されたPCカード専用品であることが明らかである。

換言すれば、本件商品は、PCカード専用のコネクタ・メタルカバー・フレーム・リアカバー、すなわち、PCカードの構成部品として把握されるものである。

なお、被請求人は、本件商品が「大手コンピュータメーカー」に納品されている事実を挙げているが、この事実は、本件商品がPCカードの構成部品として情報通信・コンピュータ産業の市場で取引されるものであることを示すものといえる。

したがって、本件商品は、「PCカード」の構成部品として「PCカード」と同一の商品概念に包含されるものというべきである。

(イ)本件商標は、昭和34年法による商品の区分第11類「電気機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く)電気材料」を指定して設定登録されたものである。

この商品区分に関して発明協会から発行された特許庁商標課編「商品区分解説」の中で、本件取消審判請求に係る指定商品「配電用または制御用機械器具」の概念については、「電気通信に専用の特殊な機械器具は“電気通信機械器具”に属し、この概念には含まれない(『継電器』『抵抗器』『蓄電器』等で特殊なもの)」と記載されている。

同じく、前掲書において、「電気通信機械器具の部品および附属品」の概念については、「電気機械器具の中概念《2.配電用または制御用機械器具》にも『抵抗器』『蓄電器』『変圧器』『接続器』等の例示商品が列挙されているが、この概念(=「電気通信機械器具」の概念)に属するのは、それらのうち、通信機械器具の部品としてのみ使用される特殊な形態又は寸法のものである」と記載されている。

上記観点に照らして本件商品を考察すれば、本件商品は「PCカード専用の構成部品としてのみ使用される特殊な形態又は寸法のもの」と認められるものであるから、「配電用または制御用機械器具」の概念に例示されている「接続器(配電用または制御用のもの)」に相当するものではなく、「PCカード」専用の部品として「PCカード」が属する概念に包含されるものであることが明らかである。

(ウ)特許電子図書館の「商品・役務名リスト」によれば、「PCカード」と同種の構造、機能、用途等の商品は「電気通信機械器具」及び(又は)「電子応用機械器具」の概念に分類されている。

すなわち、「無線式のLAN接続用カード」及び「有線式のLAN接続用カード」は、類似群コード「11B01」及び「11C01」が付与され、「電気通信機械器具」及び「電子応用機械器具」と同一又は類似の商品に分類されている。また、「モデム機能を有するコンピュータネットワーク用のインターフェースカード」及び「メモリーカード」は、類似群コード「11C01」が付与され、「電子応用機械器具」の概念に分類されている。

上記事情に、本件商品の用途(パソコン、FA、PDA、通信機器)を加味して検討すれば、本件商品は、「電気通信機械器具」あるいは「電子応用機械器具」の概念に包含される商品であることが明らかである。

(エ)本件商品は、PCカードの構成部品と認められるから、本件商標の指定商品中の「電気通信機械器具」あるいは「電子応用機械器具」の概念に属する商品として把握されるものである。

特許庁商標課編「類似商品審査基準」によれば、本件商標に係る指定商品中、「電気通信機械器具」及び「電子応用機械器具」の概念に包含される商品は、本件取消審判請求に係る指定商品「回転電気機械、配電用または制御用機械器具」の概念に包含される商品とは互いに非類似のものとして取り扱われているものである。

したがって、本件商品は、本件取消請求に係る「回転電気機械及び配電用または制御用機械器具並びにこれらに類似する商品」に該当しないことが明らかである。

3 被請求人の答弁

被請求人は、「本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のとおり述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし同35号証を提出した。

(1)商標権者である被請求人は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において指定商品中の「PCカード用コネクタ」及びその部品である「メタルカバー、フレーム、リアカバー」について本件商標と社会通念上同一の商標を使用している。以下、その使用事実について詳述する。

ア 乙第1号証は被請求人の「PCカード用コネクタ」のカタログである。表紙、第3頁、第5頁には「PCカード用コネクタ」の商標として「ICM」の商標(以下、「使用商標1」という。)が表示されている。

また、「ICM」の商標は「PCカード用コネクタ」のシリーズ名として使用されるものであり、第1頁、第3頁、第5頁には「ICMシリーズ」の商標(以下「使用商標2」という。)が表示されている。

そして、取引書類等に表示される製番は、(a)シリーズ名(ICM)、(b)芯数、(c)コンタクトの形状(ライトアングル雄ディップ)等から構成され、たとえば、「基板用ライトアングル・ディップタイプ雄コネクタ」において、芯数が68、コンタクトの形状がライトアングル雄ディップ、イジェクトボタンの長さが5.6mm、基板取付方法がネジ止め、適合基板厚が1.6mmのものについては「ICM−68MC」のように表示され(第10頁)、また、芯数が68、コンタクトの形状がライトアングル・ディップ雄、基板取付方法がFG端子付アースロックピンのものについては「ICM−68LMDGT」のように表示される(第11頁)。

イ 被請求人は、あずさ電子工業(株)等に本件商標に係る「PCカード用コネクタ」を製造させ、納入されたものを予めストックしておき、顧客からの注文に応じて販売している。

乙第2号証ないし同7号証は「ICM−68MC」に関する取引書類であるが、被請求人は、2004年3月26日にあずさ電子工業(株)に100個の製造を注文し、同年5月7日に納入され、同年5月12日に検査承認を行った後、同年9月28日に美竹電機(株)から20個の注文を受け、同年10月16日に納品し受領されている。当該取引書類には「ICM−68MC」の商標(以下「使用商標3」という。)が表示されている。

乙第8号証ないし同13号証は「ICM−68LMDGT」に関する取引書類であるが、被請求人は、2004年10月20日にあずさ電子工業(株)に100個の製造を注文し、同年11月17日に納入され、同年11月18日に検査承認を行った後、2005年1月17日に(株)タイメックスから20個の注文を受け、同年1月19日に納品し受領されている。当該取引書類には「ICM−68LMDGT」の商標(以下「使用商標4」という。)が表示されている。

また、被請求人は、「PCカード用コネクタ」の汎用部品である「メタルカバー、フレーム、リアカバー」についても販売しており、発注側で「PCカード用コネクタ」の最終組立を行う場合もある。乙第14号証ないし同19号証は大手コンピュータメーカーとの取引書類であるが、このメーカーとは電子データでの発注が行われている。すなわち、乙第14号証は2005年1月7日付けの「EDI注文リスト」であり、被請求人に対して「メタルカバー」6000個の発注がなされている。発注者・受注者の双方に乙第15号証の図面が備えられており、「ICM−68EX−F01−OM03−MB」の商標(以下「使用商標5」という。)により、「メタルカバー」の材質・寸法等が特定される。また、同年3月15日には、「ICM−68EX−F01−OM03−FR」の商標(以下「使用商標6」という。)により、「フレーム」5400個の発注がなされ、同年4月19日には、「ICM−68EX−F01−OM03−C」の商標(以下「使用商標7」という。)により、「リアカバー」112500個の発注がなされている。なお、被請求人・発注者間における秘密保持契約により、企業名等の営業秘密に関する事項については伏せてある。

ウ さらに、被請求人は、「PRODUCTS GUIDE」のカタログを毎年改訂し、通信・情報・映像の国際展示会「CEATEC JAPAN」(主催:CEATEC JAPAN実施協議会、毎年10月に開催)等の会場や取引先で配布している。乙第20号証ないし同23号証は最近4年間のカタログであるが、「ICMシリーズ」の商標(以下「使用商標8」という。)が表示されている。

なお、被請求人は、上記の「CEATEC JAPAN」の前身母体である「エレクトロニクスショー」(主催:社団法人電子機械工業会(現社団法人電子情報技術産業協会))の頃から約15年間継続して「PCカード用コネクタ」等を出展しており、今年度も「CEATEC JAPAN 2005」に出展することになっている。この展示会は日本、アジア最大の情報発信・交流メディアとして名声が高く、被請求人が出展する電子部品ゾーンには、毎年、国内外からIT関連産業の研究開発者や生産メーカーからエンドユーザまで幅広く多数の来場者が訪れる。また、2000年の展示会までは、毎年、主催である社団法人日本電子機械工業会(現社団法人電子情報技術産業協会)が発行する「Electronic Parts Catalog」に各出品者が広告掲載を行っており、被請求人も乙第34号証及び同35号証のように「ICM シリーズ」、「ICM」の商標により広告掲載を行っている。

(2)ところで、使用商標1は、「ICM」の欧文字を肉太又はゴシック文字で表示してなるものであり、形式的には、「アイシーエム」の片仮名文字を書してなる本件商標とは構成が相違するものではあるが、「アイシーエム」の称呼が生ずる点で共通し、かつ、被請求人に係る「PCカード用コネクタ」及びその周辺部品のシリーズ名を想起せしめる点で観念も共通しており、自他商品の識別機能になんら影響を及ぼすものではない。したがって、使用商標1は本件商標と同一の称呼及び観念が生ずる社会通念上同一の商標である。

また、使用商標2及び使用商標8は「ICMシリーズ」の文字を表示してなるものであるが、その構成中の「シリーズ」の文字部分は「ひと続き、系列」等を意味する英語「series」の表音であり、本件商標の指定商品を取り扱う業界においては、「一連の商品」又は「同系列の商品」を表示するための語として取引上普通に使用されているものであるから、使用商標2及び8の要部は「ICM」の文字部分にある。したがって、使用商標2及び8も本件商標と同一の称呼及び観念が生ずる社会通念上同一の商標である。

つぎに、使用商標3は「ICM−68MC」の文字を表示してなるものであるが、その構成中の「68MC」の文字部分は、芯数が68、コンタクトの形状がライトアングル雄ディップ、イジェクトボタンの長さが5.6mm、基板取付方法がネジ止め、適合基板厚が1.6mmであることを表示するものであるから、使用商標3の要部は「ICM」の文字部分にある。したがって、使用商標3も本件商標と同一の称呼及び観念が生ずる社会通念上同一の商標である。

また、使用商標4は「ICM−68LMDGT」の文字を表示してなるものであるが、その構成中の「68LMDGT」の文字部分は、芯数が68、コンタクトの形状がライトアングル・ディップ雄、基板取付方法がFG端子付アースロックピンであることを表示するものであるから、使用商標4の要部は「ICM」の文字部分にある。したがって、使用商標4も本件商標と同一の称呼及び観念が生ずる社会通念上同一の商標である。

さらに、使用商標5における「68EX−F01−OM03−MB」の文字部分、使用商標6における「68EX−F01−OM03−FR」の文字部分、使用商標7における「68EX−F01−OM03−C」の文字部分は芯数等を表示するものであるから、使用商標5ないし7の要部は「ICM」の文字部分にある。したがって、使用商標5ないし7も本件商標と同一の称呼及び観念が生ずる社会通念上同一の商標である。

(3)以上のとおり、商標権者である被請求人が本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、指定商品中の「PCカード用コネクタ」及びその部品である「メタルカバー、フレーム、リアカバー」について本件商標と社会通念上同一の商標を使用していることは明らかである。

したがって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものではない。

4 当審の判断

(1)乙各号証について

乙各号証によれば、以下の事実が認められる。

ア 2002年9月作成の被請求人の「PCカード用コネクタ」に係る商品カタログには、「PCカード用コネクタ」の現物写真や図解とともに「ICM」「ICMシリーズ」が表示され、さらに、このシリーズに該当する商品現物が掲載され、これらについて「ICM−68MBGT1」等が表示されている。

そして、当該カタログのG−10(第10頁)の「製番の構成」には、前記「68」「M」等がそれぞれ「芯数」「コンタクトの形状」等を表す記号である旨の記載がされている。

また、当該カタログのG−5(第5頁)の「概要」には、「ICM、ICMBシリーズはJEITA・PCMCIAに準拠して開発されたPCカード・カードバスPCカード用キット及びスロットコネクタです。」との記載、「主な用途」には「パソコン、FA、PDA、通信機器」との記載がある。(乙第1号証)。

イ 被請求人からあずさ電子工業(株)に対して、2004年3月26日に、「ICM−68MC」100個の製造注文がされ、同5月7日にその納品があった(乙第2号証ないし同4号証)。そして、美竹電機(株)から被請求人に対して、2004年9月28日に、「ICM−68MC」20個の発注があり、同年10月6日にそれらを納品した(乙第5号証ないし同7号証)。

ウ 被請求人からあずさ電子工業(株)に対して、2004年10月20日に、「ICM−68LMDGT」100個の製造注文がされ、同11月17日にその納品があった(乙第8号証ないし同10号証)。そして、(株)タイメックスから被請求人に対して、2005年1月17日に、「ICM−68LMDGT」20個の発注があり、同年1月19日にそれらを納品した(乙第11号証ないし同13号証)。

エ 被請求人に対して、注文主は不明であるが、2005年1月6日に、メタルカバー「ICM−68EX−F01−OM03−MB」、同年3月14日にフレーム「ICM−68EX−F01−OM03−FR」、同年4月18日にリアカバー「ICM−68EX−F01−OM03−C」の注文があった(乙第14号証ないし同19号証)。

オ 2002年ないし2005年のカタログ「PRODUCTS GUIDE」には、いずれも、「PCカード用コネクタ」のシリーズ名として「ICM」の表示があり、また、商品の現物写真とともに「ICM」「ICMシリーズ」の表示がある(乙第20号証ないし同23号証)。

カ 被請求人は、「エレクトロニクスショー」に継続して「PCカード用コネクタ」等を出展している(乙第24号証ないし同33号証)。

キ (社)日本電子機械工業会の「ELECTRONIC PARTS CATALOG ’93」及び「Electronic Parts Catalog 2001」に、被請求人の「メモリーカード用コネクタ」及び「PCカード用コネクタ」に係る広告が掲載され、その広告には、それぞれ商品の現物写真とともに「ICMシリーズ」「ICM」が表示されている(乙第34号証及び同35号証)。

以上によれば、「PCカード用コネクタ及びその部品」について、本件使用商標が使用され、前記イ及びウの年月日に、使用に係る当該商品の取引がなされたと推認される。

(2)使用商標と本件商標とが社会通念上同一の商標か否かについて

本件商標は「アイシーエム」の片仮名文字からなるものである。これに対して、本件使用商標は「ICM」の欧文字を表したものであるか、または、これに「シリーズ」の文字を付記し、あるいは「−(ハイフン)」を介して商品の記号や符号と認められる「68MC」等を付記したものである。そして、上記「シリーズ」等他の文字が付記されたとしても、本件使用商標は「ICM」が要部と認められるものである。両者は、称呼「アイシーエム」を同じにし、いずれも特定の観念を生ずるものではないから、文字の変更によって観念の変動を来していることはないものである。

したがって、本件使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標と認めて差し支えないものというべきである。

(3)使用商品について

本件商標は、平成3年改正前の商品の区分第11類に属する「電気機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く)電気材料」」を指定商品とするものである。そして、上記「電気機械器具」中の「配電用または制御用機械器具」との関係にあって、接続器、抵抗器等で電気通信に専用の特殊な機械器具は「電気通信機械器具」に属し、「配電用または制御用機械器具」には含まれないと解される。

本件審判において取消請求に係る指定商品は、「回転電気機械及び配電用または制御用機械器具並びにこれらに類似する商品」である。そして、被請求人の主張及び同人の提出した乙各号証によれば、使用に係る商品は、「PCカード用コネクタ及びその部品」と認められるものである。

しかして、当該使用に係る商品は、前記(1)からすれば、電気通信・コンピュータの周辺機器として把握される「PCカード」に専用の特殊な形態又は寸法のコネクタ及びその部品というのが相当であるから、「PCカード」が属すべき「電子応用機械器具」あるいは「電気通信機械器具」の範疇に属し、「配電用または制御用機械器具」には属さない商品というべきものである。また、これと「回転電気機械及び配電用または制御用機械器具」とは、その用途、需要者等からみて類似する商品ではないというのが相当である。

なお、被請求人は、汎用部品である「メタルカバー、フレーム、リアカバー」についても販売している旨主張しているが、使用に係る商品はいずれも「PCカード」に専用の部品というべきであって、前記主張に係る商品(汎用部品)について本件商標ないしこれと社会通念上同一の商標が使用されている事実を認め得る資料は見出せない。

そうしてみると、本件審判請求の登録前3年以内の時期に、本件商標と社会通念上同一と認め得る商標が使用されているとしても、その使用に係る商品は、本件審判の取消請求に係る指定商品に属するとはいい難いものである。

(4)むすび

以上、提出に係る証拠によっては、被請求人が、取消請求に係る指定商品の一について本件商標の使用を証明したということはできない。他に請求に係る指定商品についての使用を認め得る証拠はなく、また、使用していないことについて正当な理由の提示はない。

結局、取消請求に係る指定商品については、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが指定商品について本件商標の使用をしていないものに該当するといわざるを得ない。

したがって、本件商標は、結論掲記の商品について、その登録の取消を免れないものである。

よって、結論のとおり審決する。

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